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第29話 突然の死の知らせ
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時刻は二十二時になり、護符のおかげなのか、家に帰ってきてから異変は起こらなかった。
天音は楓姉と一緒に寝ることが決まり、二人は楓姉の部屋へ、俺と渉は俺の部屋に向かう。
渉は床に敷いた布団に横になり、俺はベッドの上に寝転んで眠りにつく。
その夜は妙な夢を見ることもなかった。
そして突然体を大きく揺すられて目覚めると、楓姉が真剣な表情で俺を起していた。
「いったい朝からどうしたんだよ」
「天音ちゃんのご両親から連絡があったの。彼女のお友達の悠乃ちゃんが、昨日の夜、コンビニに買い物に行って、交通事故に遭ったらしくて、すぐに救急車で運ばれたらしいけど、今朝になって総合病院のICUで、息を引き取ったらしいの」
楓姉の言葉を聞いて、俺は愕然とする。
悠乃といえば天音と一緒にスイーツ店に来た女子二人の内の一人だ。
天音にとって大事な友達だったに違いない。
上半身だけ起して、咄嗟に部屋を見回すと、既に渉の姿はなかった。
楓姉は立ち上がり、スタスタと扉まで歩いて、こちらに振り返る。
「渉君ならリビングよ。天音ちゃんと一緒にいるわ。和也もすぐに下りてきて」
慌ててベッドから跳ね起き、服を脱ぎ捨てて外出着に着替える。
そして階段を駆けおりて、リビングに入ると、ソファに座ったまま泣き崩れている天音がいた。
向かいのソファに座っている渉は、俺を見て大きく左右に首を振る。
相当なショックを受けているようで、俺のことも気づいていないようだ。
俺は黙ったまま天音の隣に座り、彼女の肩を抱き寄せた。
すると天音は俺の膝の上に泣き崩れて、嗚咽する。
「……どうして……悠乃が…… どうして……」
何か慰めを言いたいが、上手く言葉が出てこない。
しばらく何も言えずに天音の背中を擦っていると、厳しい表情をして渉が部屋から出て行く。
そして俺達二人の様子を見ていた、楓姉も口を片手で塞ぎ、涙を零しながらダイニングへと駆けていった。
昨日、俺と天音に起こったLINE通話の心霊現象、それと悠乃の交通事故、二つの事象には何の因果関係もない。
普通に考えれば、悠乃の死は、ただの偶発的な交通事故によるものだ。
でも、どうしても結びつけて考えてしまいそうになる。
もし、心霊が影響して彼女が死んだとすれば、なぜ悠乃なのだろうか。
頭の中に疑問が渦巻く。
それからしばらくして、楓姉がハンカチを持って現れ、天音の隣に座り、彼女と寄り添う。
すると天音は楓姉に抱き着き、また激しく泣き始めた。
俺はソファから立ち上がり、扉を開けて廊下に出て、壁にもたれて大きくため息を吐く。
すると渉も俺の追うようにリビングから出てきた。
「何も言ってやれない……」
「それでいいんだよ。今の天音ちゃんに必要なことは傍にいてあげることだからね」
「ああ、それしかないよな……」
渉の言葉に深く頷き、彼の方へ顔を向ける。
すると渉は眉間に皺を寄せ、険しい表情をしていた。
「どうした?」
「さっき凪沙に悠乃ちゃんが死んだことを連絡したんだ。それと彼女の友人に連絡して、安否を確認してもらった。何名かの女子と連絡が取れないらしい」
凪沙は天音と仲がいい、何度も悠乃と会っているはずだ。
彼女に悠乃の死を伝えるのはわかるが、どうして他の女友人達に連絡を?
俺は不思議そうな表情をすると渉が渋い表情で、壁に手をつく。
「悠乃ちゃんの死が心霊が関わってるとすれば、誰が現象の中心なのかわからない。凪沙なら、交友関係も広いだろ。だから彼女に確認してもらったんだ。雄二にも男友達の安否を確認してもらっている」
説明を要約すると、心霊現象の影響の範囲と、その現象の中心にいる人物を特定しようと渉は考えたようだ。
そう言われてみると、心霊現象に遭っているのは俺達だけとは限らない。
俺や渉とは縁の薄い、悠乃が事故に遭っているし。
あくまで彼女の死が怪異に関係していればの話だが。
重い沈黙の中、渉のスマホのバイブ音が鳴った。
すぐにスマホを操作し、耳に当てる。
「……うん……うん…そうか。わかった、待ってるよ」
スマホの通話を切り、渉が俺を凝視する。
「雄二からだ。男友達に連絡してみたそうだ。全員が何の異変にも遭わずに無事だったらしい。雄二と凪沙は、この家に向かっているそうだ。凪沙が天音ちゃんに付き添ってあげたいそうだ」
「そうか……凪沙が来てくれると助かる。俺はどうしてやればいいかわからないからな」
「和也が凹んでいてどうする。辛いのは天音ちゃんだ」
「ああ……わかってる」
渉に、そう言われても、無力な自分を悔しい。
天音とは付き合っていないが、彼女から好きだと告白され、やっぱり嬉しかったんだと思う。
それなのに、今辛くて悲しんでいる彼女を、俺は守ってやることも、慰めてやることもできない。
俯いている俺の肩を、渉が鷲づかみにする。
「気持ちを切り替えろ。僕は僕のできることをやるだけだ。何も考えられないなら和也は僕に協力しろ。決して負の感情に染まるな」
「……」
「まずは今わかっていることを話そう。今回の悠乃ちゃんの件は心霊絡みの可能性があると僕は考えている。それで昨日、天音ちゃんと凪沙も女友達の何名かと連絡がつかないと言っている。そのことを踏まえると、二人の周囲にいる女子達の間で怪異が広がっていると考えることもできる」
渉の説明に違和感を覚えた俺は彼に疑問をぶつける。
「それなら俺と雄二のことはどうなる? 俺もLINE通話で、うめき声を聞いてるんだぞ。それに雄二も、凪沙との通話中に異変が起きてるぞ」
「それについて凪沙と天音ちゃんから和也と雄二に怪異が伝播したと考えれば、やはり二人の周囲の女子達に心霊現象が広がっていると説明できる。あくまで推測だけどね」
暗い瞳で、渉は言葉を終える。
俺は彼の考えを聞いて、知らぬ間に巨大な暗闇に巻き込まれいたような気がして、背筋に悪寒が走るのだった。
天音は楓姉と一緒に寝ることが決まり、二人は楓姉の部屋へ、俺と渉は俺の部屋に向かう。
渉は床に敷いた布団に横になり、俺はベッドの上に寝転んで眠りにつく。
その夜は妙な夢を見ることもなかった。
そして突然体を大きく揺すられて目覚めると、楓姉が真剣な表情で俺を起していた。
「いったい朝からどうしたんだよ」
「天音ちゃんのご両親から連絡があったの。彼女のお友達の悠乃ちゃんが、昨日の夜、コンビニに買い物に行って、交通事故に遭ったらしくて、すぐに救急車で運ばれたらしいけど、今朝になって総合病院のICUで、息を引き取ったらしいの」
楓姉の言葉を聞いて、俺は愕然とする。
悠乃といえば天音と一緒にスイーツ店に来た女子二人の内の一人だ。
天音にとって大事な友達だったに違いない。
上半身だけ起して、咄嗟に部屋を見回すと、既に渉の姿はなかった。
楓姉は立ち上がり、スタスタと扉まで歩いて、こちらに振り返る。
「渉君ならリビングよ。天音ちゃんと一緒にいるわ。和也もすぐに下りてきて」
慌ててベッドから跳ね起き、服を脱ぎ捨てて外出着に着替える。
そして階段を駆けおりて、リビングに入ると、ソファに座ったまま泣き崩れている天音がいた。
向かいのソファに座っている渉は、俺を見て大きく左右に首を振る。
相当なショックを受けているようで、俺のことも気づいていないようだ。
俺は黙ったまま天音の隣に座り、彼女の肩を抱き寄せた。
すると天音は俺の膝の上に泣き崩れて、嗚咽する。
「……どうして……悠乃が…… どうして……」
何か慰めを言いたいが、上手く言葉が出てこない。
しばらく何も言えずに天音の背中を擦っていると、厳しい表情をして渉が部屋から出て行く。
そして俺達二人の様子を見ていた、楓姉も口を片手で塞ぎ、涙を零しながらダイニングへと駆けていった。
昨日、俺と天音に起こったLINE通話の心霊現象、それと悠乃の交通事故、二つの事象には何の因果関係もない。
普通に考えれば、悠乃の死は、ただの偶発的な交通事故によるものだ。
でも、どうしても結びつけて考えてしまいそうになる。
もし、心霊が影響して彼女が死んだとすれば、なぜ悠乃なのだろうか。
頭の中に疑問が渦巻く。
それからしばらくして、楓姉がハンカチを持って現れ、天音の隣に座り、彼女と寄り添う。
すると天音は楓姉に抱き着き、また激しく泣き始めた。
俺はソファから立ち上がり、扉を開けて廊下に出て、壁にもたれて大きくため息を吐く。
すると渉も俺の追うようにリビングから出てきた。
「何も言ってやれない……」
「それでいいんだよ。今の天音ちゃんに必要なことは傍にいてあげることだからね」
「ああ、それしかないよな……」
渉の言葉に深く頷き、彼の方へ顔を向ける。
すると渉は眉間に皺を寄せ、険しい表情をしていた。
「どうした?」
「さっき凪沙に悠乃ちゃんが死んだことを連絡したんだ。それと彼女の友人に連絡して、安否を確認してもらった。何名かの女子と連絡が取れないらしい」
凪沙は天音と仲がいい、何度も悠乃と会っているはずだ。
彼女に悠乃の死を伝えるのはわかるが、どうして他の女友人達に連絡を?
俺は不思議そうな表情をすると渉が渋い表情で、壁に手をつく。
「悠乃ちゃんの死が心霊が関わってるとすれば、誰が現象の中心なのかわからない。凪沙なら、交友関係も広いだろ。だから彼女に確認してもらったんだ。雄二にも男友達の安否を確認してもらっている」
説明を要約すると、心霊現象の影響の範囲と、その現象の中心にいる人物を特定しようと渉は考えたようだ。
そう言われてみると、心霊現象に遭っているのは俺達だけとは限らない。
俺や渉とは縁の薄い、悠乃が事故に遭っているし。
あくまで彼女の死が怪異に関係していればの話だが。
重い沈黙の中、渉のスマホのバイブ音が鳴った。
すぐにスマホを操作し、耳に当てる。
「……うん……うん…そうか。わかった、待ってるよ」
スマホの通話を切り、渉が俺を凝視する。
「雄二からだ。男友達に連絡してみたそうだ。全員が何の異変にも遭わずに無事だったらしい。雄二と凪沙は、この家に向かっているそうだ。凪沙が天音ちゃんに付き添ってあげたいそうだ」
「そうか……凪沙が来てくれると助かる。俺はどうしてやればいいかわからないからな」
「和也が凹んでいてどうする。辛いのは天音ちゃんだ」
「ああ……わかってる」
渉に、そう言われても、無力な自分を悔しい。
天音とは付き合っていないが、彼女から好きだと告白され、やっぱり嬉しかったんだと思う。
それなのに、今辛くて悲しんでいる彼女を、俺は守ってやることも、慰めてやることもできない。
俯いている俺の肩を、渉が鷲づかみにする。
「気持ちを切り替えろ。僕は僕のできることをやるだけだ。何も考えられないなら和也は僕に協力しろ。決して負の感情に染まるな」
「……」
「まずは今わかっていることを話そう。今回の悠乃ちゃんの件は心霊絡みの可能性があると僕は考えている。それで昨日、天音ちゃんと凪沙も女友達の何名かと連絡がつかないと言っている。そのことを踏まえると、二人の周囲にいる女子達の間で怪異が広がっていると考えることもできる」
渉の説明に違和感を覚えた俺は彼に疑問をぶつける。
「それなら俺と雄二のことはどうなる? 俺もLINE通話で、うめき声を聞いてるんだぞ。それに雄二も、凪沙との通話中に異変が起きてるぞ」
「それについて凪沙と天音ちゃんから和也と雄二に怪異が伝播したと考えれば、やはり二人の周囲の女子達に心霊現象が広がっていると説明できる。あくまで推測だけどね」
暗い瞳で、渉は言葉を終える。
俺は彼の考えを聞いて、知らぬ間に巨大な暗闇に巻き込まれいたような気がして、背筋に悪寒が走るのだった。
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