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第2章 グランタリア大陸東部編
91.エヴェ学院長からの依頼!
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法治国家デルパドーレの旅から、帝都イシュタルの店舗に戻ってきた僕は、久しぶりにサイフォン魔法学院に登校した。
教室の中に入ると、エレミアとレトが席に座って話し合っていった。
「あれ? 他の皆は?」
「カイロスは父上を手伝うと言って、アシュラム王国に帰っているわ。クラウスとグレースは自分達の商会の運営が忙しいと言って、ファラレスト皇国へ戻っていったわ」
皇都ファランと王都アッシュの『ロンメル商会』の工場も稼動し、各店舗では商品が爆発的な売れ行きをみせている。
……今頃、三人とも忙しく働いているんだろうな……
「だから昨日まで私とレトだけで授業を受けてたんだから。それでウェルム先生なんて、めちゃくちゃ機嫌が悪くて」
「そういえばエヴェ学院長が、シオン君が登校したら学院長室へ来るように言ってたよ」
……エヴェ学院長に無断で、魔法学院を一週間以上も休んで、旅に出ていたんだから、苦言を言われても仕方ないよね……
とりあえず早く言ったほうがいいだろうと、僕は教室を出て、学院長室へ向かった。
扉を開けて中に入ると、エヴェ学院長は、大きなソファに座って寛いでいた。
「シオン君か、やっと登校してきたね」
「休んでいてすみません。これお土産です」
僕は手に持っていた籠をエヴェ学院長に手渡す。
すると彼女は籠の蓋を開けて、目を輝かせた。
「これはヤマト国の饅頭ではないか。グランタリア大陸では、なかなか食べれない品だ。よく手に入れたものだな」
「先日までデルパドーレへ行ってまして、デルパドーレの首都デルパレで、珍しい高級宿に泊ったんですよ。その宿はヤマト国の料理を出してくれる宿で、そこで饅頭が土産物として売られていたので」
「それはもしや『ヤマト亭』のことかい?」
「エヴェ学院長もご存じなんですか?」
「あそこの女将さんとは、昔に旅をしていた時に懇意になった仲でな」
……トキコさんとエヴェ学院長が知り合いだったなんて……ちょっと不思議な縁を感じるよね……
エヴェ学院長は饅頭を頬張りながら、トキコさんと出会った頃の昔話を聞かせてくれた。
トキコさんは元々はヤマト国の出身で、勇者の後継者を探すためグランタリア大陸へやってきて、ヤマトの郷土料理を提供する宿屋『やまと亭』を始めたのだとか。
……疑ってはいなかったけど……トキコさんが転生者を探していたという話しは、やっぱりホントのことだったんだね……
「それで僕に呼んでおられたようですけど、何かご用があったんですか?」
「うむ、この魔法学院にはネバレイル王国、イグラシア王国の王家に連なる子息がいてな。その者達からシオン君を紹介してほしいと頼まれてな」
「同じ魔法学院の生徒なら、気軽に僕に会いにくればいいじゃないですか?」
「どうもシオン君はSクラスのことをわかっていないようだな。Sクラスとは魔法学院でトップのクラスだ。だからSクラスの君達については、休みが多くても単位さえ取れればいいとされているのだ。君は自覚がないようだが、他のクラスの者からすると、Sクラスの生徒とは壁があるのだよ」
……言われてみると、Sクラスの生徒は僕を含めて、いつ休んでもいいし、様々な特別待遇を魔法学院から受けているよね……
「それで僕はどうすればいいんですか?」
「一度だけでいいから、話しを聞いてあげてほしい。場所は私が整えよう」
「わかりました」
エヴェ学院長の頼みなので、ちょっと気になったけど、僕に会いたいという生徒と会うことにした。
その翌日、魔法学園の授業が終わると、ウェルム先生に声をかけられ、二人で会議室へと赴いた。
室内にはエヴェ学院長が二人の生徒と、対面の席に座って談笑していた。
僕の姿を見て、エヴェ学院長がニコリと微笑む。
「シオン君、来たね。二人を紹介しよう。Aクラスのロザリア・イグラシアとBクラスのルミエラ・ネバレイルだ」
「シオン・ディルメスです。よろしくお願いします」
僕は紹介を受けた二人に向けて、ペコリと頭を下げる。
……僕と話しをしたいというから、勝手に男子だと思い込んでいたけど……女の子だったのか……
「はじめましてシオン君、私のことは気軽にロザリアとお呼びください」
「私はルミエラです。お会いしたかったですわ」
エヴェ学院長が説明してくれたんだけど、ロザリアはイグラシア王国の第十三王女殿下で、ルミエラはネバレイル王国の第十一王女殿下だという。
……第十三王女殿下に一王女殿下……両国の国王陛下には、いったいどれだけの側室がいるのだろうか……もしかして子供好きなのかな?
「それで僕に何用ですか?」
「父上から封書が届いたのです。イグラシア王国の王宮から、シオン君に一度お会いして話しをしたいと何度も伝令を出しているのですが、なぜかいつもお返事ももらえずに、伝令が戻ってきてしまうらしいのです。それで私からシオン君にそのことを伝えてもらえないかという手紙の内容でした」
「私も父上から手紙がきまして、ロザリアさんと同じような内容です。どうかネバレイル王国の王宮と話し合っていただけないでしょうか」
……旅から帰ってきて一週間ほど経つけど、アグウェルから何の報告も受けてないぞ……隠してるということは、アグウェルが何ををしてるってことかな?
……これは一度、問い質したほうがいいかもね……
教室の中に入ると、エレミアとレトが席に座って話し合っていった。
「あれ? 他の皆は?」
「カイロスは父上を手伝うと言って、アシュラム王国に帰っているわ。クラウスとグレースは自分達の商会の運営が忙しいと言って、ファラレスト皇国へ戻っていったわ」
皇都ファランと王都アッシュの『ロンメル商会』の工場も稼動し、各店舗では商品が爆発的な売れ行きをみせている。
……今頃、三人とも忙しく働いているんだろうな……
「だから昨日まで私とレトだけで授業を受けてたんだから。それでウェルム先生なんて、めちゃくちゃ機嫌が悪くて」
「そういえばエヴェ学院長が、シオン君が登校したら学院長室へ来るように言ってたよ」
……エヴェ学院長に無断で、魔法学院を一週間以上も休んで、旅に出ていたんだから、苦言を言われても仕方ないよね……
とりあえず早く言ったほうがいいだろうと、僕は教室を出て、学院長室へ向かった。
扉を開けて中に入ると、エヴェ学院長は、大きなソファに座って寛いでいた。
「シオン君か、やっと登校してきたね」
「休んでいてすみません。これお土産です」
僕は手に持っていた籠をエヴェ学院長に手渡す。
すると彼女は籠の蓋を開けて、目を輝かせた。
「これはヤマト国の饅頭ではないか。グランタリア大陸では、なかなか食べれない品だ。よく手に入れたものだな」
「先日までデルパドーレへ行ってまして、デルパドーレの首都デルパレで、珍しい高級宿に泊ったんですよ。その宿はヤマト国の料理を出してくれる宿で、そこで饅頭が土産物として売られていたので」
「それはもしや『ヤマト亭』のことかい?」
「エヴェ学院長もご存じなんですか?」
「あそこの女将さんとは、昔に旅をしていた時に懇意になった仲でな」
……トキコさんとエヴェ学院長が知り合いだったなんて……ちょっと不思議な縁を感じるよね……
エヴェ学院長は饅頭を頬張りながら、トキコさんと出会った頃の昔話を聞かせてくれた。
トキコさんは元々はヤマト国の出身で、勇者の後継者を探すためグランタリア大陸へやってきて、ヤマトの郷土料理を提供する宿屋『やまと亭』を始めたのだとか。
……疑ってはいなかったけど……トキコさんが転生者を探していたという話しは、やっぱりホントのことだったんだね……
「それで僕に呼んでおられたようですけど、何かご用があったんですか?」
「うむ、この魔法学院にはネバレイル王国、イグラシア王国の王家に連なる子息がいてな。その者達からシオン君を紹介してほしいと頼まれてな」
「同じ魔法学院の生徒なら、気軽に僕に会いにくればいいじゃないですか?」
「どうもシオン君はSクラスのことをわかっていないようだな。Sクラスとは魔法学院でトップのクラスだ。だからSクラスの君達については、休みが多くても単位さえ取れればいいとされているのだ。君は自覚がないようだが、他のクラスの者からすると、Sクラスの生徒とは壁があるのだよ」
……言われてみると、Sクラスの生徒は僕を含めて、いつ休んでもいいし、様々な特別待遇を魔法学院から受けているよね……
「それで僕はどうすればいいんですか?」
「一度だけでいいから、話しを聞いてあげてほしい。場所は私が整えよう」
「わかりました」
エヴェ学院長の頼みなので、ちょっと気になったけど、僕に会いたいという生徒と会うことにした。
その翌日、魔法学園の授業が終わると、ウェルム先生に声をかけられ、二人で会議室へと赴いた。
室内にはエヴェ学院長が二人の生徒と、対面の席に座って談笑していた。
僕の姿を見て、エヴェ学院長がニコリと微笑む。
「シオン君、来たね。二人を紹介しよう。Aクラスのロザリア・イグラシアとBクラスのルミエラ・ネバレイルだ」
「シオン・ディルメスです。よろしくお願いします」
僕は紹介を受けた二人に向けて、ペコリと頭を下げる。
……僕と話しをしたいというから、勝手に男子だと思い込んでいたけど……女の子だったのか……
「はじめましてシオン君、私のことは気軽にロザリアとお呼びください」
「私はルミエラです。お会いしたかったですわ」
エヴェ学院長が説明してくれたんだけど、ロザリアはイグラシア王国の第十三王女殿下で、ルミエラはネバレイル王国の第十一王女殿下だという。
……第十三王女殿下に一王女殿下……両国の国王陛下には、いったいどれだけの側室がいるのだろうか……もしかして子供好きなのかな?
「それで僕に何用ですか?」
「父上から封書が届いたのです。イグラシア王国の王宮から、シオン君に一度お会いして話しをしたいと何度も伝令を出しているのですが、なぜかいつもお返事ももらえずに、伝令が戻ってきてしまうらしいのです。それで私からシオン君にそのことを伝えてもらえないかという手紙の内容でした」
「私も父上から手紙がきまして、ロザリアさんと同じような内容です。どうかネバレイル王国の王宮と話し合っていただけないでしょうか」
……旅から帰ってきて一週間ほど経つけど、アグウェルから何の報告も受けてないぞ……隠してるということは、アグウェルが何ををしてるってことかな?
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