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第2章 グランタリア大陸東部編
85.法治国家デルパドーレへ!
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最近、街で『ロンメル商会』の情報を収集している連中がいて、僕に秘密でアグウェルは店の魔族達を使って、その者達を掴まえていたらしい。
真剣な表情をして、アグウェルは話しを続ける。
「諜報員から吐かした情報によると、イシュガルド帝国、ファラレスト皇国、アシュラム王国の三国の周辺の国々が、六国の会合を知り、それを脅威と感じて間者を送り込んでいるようです」
……国々が他の国々に諜報員を送り込んで、情報を収集していることは知ってるけど、それが活発化してるんだね……
「特に イシュガルド帝国と戦争状態にあるネバレイル王国、 ファラレスト皇国と緊張の状態にあるイグラシア王国、それとアシュラム王国と昔から敵対している、同じ砂漠の国のナルニアス王国、この三国が情報を集めています」
「今日、僕を掴まえようとした二人は?」
「はい、ネバレイル王国とナルニアス王国の諜報員のようです。どうやら二国は六国が軍事的な同盟を結ぶことを危険視しているようです」
……大陸の三国だけでも軍事の面で同盟を組めば、三国の軍事力は飛躍的に向上するから、周辺の国からすると、それは警戒するよね……
「それでなぜ、僕を狙ったの?」
「六国の会合に、『ロンメル商会』が関わっていることは他国に知られています。しかし、『ロンメル商会』と六国の繋がりの内容については把握できていません。ただ『ロンメル商会』が何か六国の鍵を握っていると推測したのでしょう」
「それでシオン様を掴まえて自国まで連行し、自分達の国に従わせようとしたらしいでござる」
サイゾウも真剣な表情で目を細める。
すると彼の隣へ移動したケロちゃんが話しを引き継ぐ。
「ネバレイル王国、イグラシア王国、ナルニアス王国の三国は、『ロンメル商会』が竜やグリフォンを使役して、商品の空輸していることを知っているでケロ。それでシオン様を掴まえて、竜を味方につけたいでケロよ。そうすれば六国が同盟を組んでも怖くないケロ」
……六国の空には『ロンメル商会』の商品を空輸する、竜やグリフォンの姿が毎日のようにあるからね………その竜やグリフォンを軍事に使いたいと、国々が思っても不思議ではないよね……
イシュガルド帝国のシェルダン皇帝陛下も竜やグリフォンを戦争に使いたいと言っていたから……他の国々がそう思うのは予想していたけど……強引に僕を捕まえる動きに出るとは考えていなかったな……これは僕の判断が甘かったってことだよね……
僕が凹んだ表情を浮かべていると、アグウェルが静かに微笑む。
「諜報員と、それを差し向けている国々については、全ててこのアグウェルにお任せを。リムル、サイゾウ、シャーロットと共に、必ず騒動を鎮圧いたします。しかし、少し日数がかかりますので、その間にリンメイ様と法治国家デルパドーレへ赴いてはいかがでしょう」
……そろそろリンメイさんから、旅の日程の連絡が入るはずだけど……こちらから催促するのもおかしいしよね……
「でもリンメイさんも支部長だから忙しいし……」
「では、私がリンメイ様に伺って参りましょう。こちらの事情を話せば、きっと協力していただけるはずですので」
「リンメイさんに無茶なことをするのは止めてね」
「もちろんでございます。リンメイ様はシオン様の協力者でありますので、そのようなことは決していたしません」
……アグウェルって、魔族の習性なのか、時々無茶なことをするから心配なんだよね……
アグウェルはソファから立ち上がると、丁寧に礼をして黒霧へと変化して、部屋から去っていった。
そして翌日の朝、アロムが売り場にお客様が来ていると、僕を呼びにきた。
執務室を出て一階へ駆け付けると、大きな背嚢を背負ったリンメイさんが立っている。
「アグウェルさんから話しを聞いたわ。ほとぼりが冷めるまで、王都イシュタルを離れたほうがいいらしいわね。微力ながら私も協力させてもらうわ。さぁ、法治国家デルパドーレへ向けて出発しましょう」
「え……突然、そんなことを言われても、旅の準備が」
「シオン様、準備なら、私が既に整えてあります」
後ろから声をかけられ、振り向くとレミリアがニッコリと微笑んでいた。
もう旅の準備ができているなんて、さすがはレミリアだね……
僕、レミリア、アグウェル、リンメイさんの四人で馬車に乗り込み、店舗の前を出発する。
そのまま帝都イシュタルの外へ出ると思っていたのだけど、馬車は路地を進んで『ロンメル商会』の竜の発着場に到着した。
馬車を下りて発着場の中央まで歩いていくと、既にサイゾウ、リムル、シャーロットが待機している。
「アグウェル様の命で待っていたでござる。我等が操縦して法治国家デルパドーレへ、竜でひとっ飛びでござるよ」
「えー! 私も竜に乗って空を飛ぶの! ヤダヤダ、絶対に落ちそうじゃない! 私は高所恐怖症なの、高い所は絶対にイヤー!」
え……いつも冷静なリンメイさんのキャラが壊れた……こんな彼女を見るのは初めてだ……よほど空を飛ぶのがダメなのかな?
「ウフ、私がギュッと抱いて飛んであげる。だから私に身を任していれば大丈夫よ」
「それはそれで、なんとなくイヤ!」
ワァワァーと騒ぐリンメイさんを引きずって、リムルは楽しそうに竜の背中に乗ると、竜を操作して一気に空へと飛翔した。
「キャー! 空飛んでる! 落ちるー! 助けて―!」
「では、我々も参りましょう」
空を見上げてニコリとアグウェルは微笑む。
……リムルがやり過ぎたらごめんなさい……でも僕の指示じゃないからね……
真剣な表情をして、アグウェルは話しを続ける。
「諜報員から吐かした情報によると、イシュガルド帝国、ファラレスト皇国、アシュラム王国の三国の周辺の国々が、六国の会合を知り、それを脅威と感じて間者を送り込んでいるようです」
……国々が他の国々に諜報員を送り込んで、情報を収集していることは知ってるけど、それが活発化してるんだね……
「特に イシュガルド帝国と戦争状態にあるネバレイル王国、 ファラレスト皇国と緊張の状態にあるイグラシア王国、それとアシュラム王国と昔から敵対している、同じ砂漠の国のナルニアス王国、この三国が情報を集めています」
「今日、僕を掴まえようとした二人は?」
「はい、ネバレイル王国とナルニアス王国の諜報員のようです。どうやら二国は六国が軍事的な同盟を結ぶことを危険視しているようです」
……大陸の三国だけでも軍事の面で同盟を組めば、三国の軍事力は飛躍的に向上するから、周辺の国からすると、それは警戒するよね……
「それでなぜ、僕を狙ったの?」
「六国の会合に、『ロンメル商会』が関わっていることは他国に知られています。しかし、『ロンメル商会』と六国の繋がりの内容については把握できていません。ただ『ロンメル商会』が何か六国の鍵を握っていると推測したのでしょう」
「それでシオン様を掴まえて自国まで連行し、自分達の国に従わせようとしたらしいでござる」
サイゾウも真剣な表情で目を細める。
すると彼の隣へ移動したケロちゃんが話しを引き継ぐ。
「ネバレイル王国、イグラシア王国、ナルニアス王国の三国は、『ロンメル商会』が竜やグリフォンを使役して、商品の空輸していることを知っているでケロ。それでシオン様を掴まえて、竜を味方につけたいでケロよ。そうすれば六国が同盟を組んでも怖くないケロ」
……六国の空には『ロンメル商会』の商品を空輸する、竜やグリフォンの姿が毎日のようにあるからね………その竜やグリフォンを軍事に使いたいと、国々が思っても不思議ではないよね……
イシュガルド帝国のシェルダン皇帝陛下も竜やグリフォンを戦争に使いたいと言っていたから……他の国々がそう思うのは予想していたけど……強引に僕を捕まえる動きに出るとは考えていなかったな……これは僕の判断が甘かったってことだよね……
僕が凹んだ表情を浮かべていると、アグウェルが静かに微笑む。
「諜報員と、それを差し向けている国々については、全ててこのアグウェルにお任せを。リムル、サイゾウ、シャーロットと共に、必ず騒動を鎮圧いたします。しかし、少し日数がかかりますので、その間にリンメイ様と法治国家デルパドーレへ赴いてはいかがでしょう」
……そろそろリンメイさんから、旅の日程の連絡が入るはずだけど……こちらから催促するのもおかしいしよね……
「でもリンメイさんも支部長だから忙しいし……」
「では、私がリンメイ様に伺って参りましょう。こちらの事情を話せば、きっと協力していただけるはずですので」
「リンメイさんに無茶なことをするのは止めてね」
「もちろんでございます。リンメイ様はシオン様の協力者でありますので、そのようなことは決していたしません」
……アグウェルって、魔族の習性なのか、時々無茶なことをするから心配なんだよね……
アグウェルはソファから立ち上がると、丁寧に礼をして黒霧へと変化して、部屋から去っていった。
そして翌日の朝、アロムが売り場にお客様が来ていると、僕を呼びにきた。
執務室を出て一階へ駆け付けると、大きな背嚢を背負ったリンメイさんが立っている。
「アグウェルさんから話しを聞いたわ。ほとぼりが冷めるまで、王都イシュタルを離れたほうがいいらしいわね。微力ながら私も協力させてもらうわ。さぁ、法治国家デルパドーレへ向けて出発しましょう」
「え……突然、そんなことを言われても、旅の準備が」
「シオン様、準備なら、私が既に整えてあります」
後ろから声をかけられ、振り向くとレミリアがニッコリと微笑んでいた。
もう旅の準備ができているなんて、さすがはレミリアだね……
僕、レミリア、アグウェル、リンメイさんの四人で馬車に乗り込み、店舗の前を出発する。
そのまま帝都イシュタルの外へ出ると思っていたのだけど、馬車は路地を進んで『ロンメル商会』の竜の発着場に到着した。
馬車を下りて発着場の中央まで歩いていくと、既にサイゾウ、リムル、シャーロットが待機している。
「アグウェル様の命で待っていたでござる。我等が操縦して法治国家デルパドーレへ、竜でひとっ飛びでござるよ」
「えー! 私も竜に乗って空を飛ぶの! ヤダヤダ、絶対に落ちそうじゃない! 私は高所恐怖症なの、高い所は絶対にイヤー!」
え……いつも冷静なリンメイさんのキャラが壊れた……こんな彼女を見るのは初めてだ……よほど空を飛ぶのがダメなのかな?
「ウフ、私がギュッと抱いて飛んであげる。だから私に身を任していれば大丈夫よ」
「それはそれで、なんとなくイヤ!」
ワァワァーと騒ぐリンメイさんを引きずって、リムルは楽しそうに竜の背中に乗ると、竜を操作して一気に空へと飛翔した。
「キャー! 空飛んでる! 落ちるー! 助けて―!」
「では、我々も参りましょう」
空を見上げてニコリとアグウェルは微笑む。
……リムルがやり過ぎたらごめんなさい……でも僕の指示じゃないからね……
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