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第2章 グランタリア大陸東部編
83.ダルシアン王国からの相談事!
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晩さん会が開かれてから十日ほどが過ぎた。
その間に、僕はアグウェルの二人は、彼の飛翔の魔法で、皇都ファランと王都アッシュの城に赴き、城の最上階にあるアミーレ王妃の部屋、ソーニャ王妃の部屋、それぞれに姿見の転移ゲートを設置した。
もちろん城の近くに着地して、城を訪問したから、アグウェルの『飛翔魔法』については誰にも知られていない。
街の庶民には、空から降下する姿を、遠くから見られてかもしれないけど……幻と思ってくれるかな……
もちろんシャーレ王妃の部屋にも姿見の転移ゲートは設置しておいた。
そのことがエレミアに知れ、彼女の部屋にも、転移ゲートをつけてと言われたけど断った。
そんなことをすれば、エレミアのことだから頻繁に店に遊びにきそうだからね……
帝都イシュタル、皇都ファラン、王都アッシュの店舗では、未だに商品が売れ続け、『ロンメル商会』の噂は一気に三国の間で広がっていった。
僕は魔法学院に通いつつ、帝都イシュタルの店舗の手伝いをして、忙しい日々を送っていた。
そんなある日、姿見の転移ゲートを潜ってオルデンが姿を現した。
彼がいうにはグラントル宰相が僕を呼んでいるという。
オルデンには王都ダルトンの店舗を任せていて、ダルシアン王国の王宮との取引についても交渉を担当してもらっている。
通常の商談であれば、オルデンが僕を頼ることはないから、よほどのことなのだろう。
僕はレミリアと一緒に、姿見の転移ゲートを利用して、王都ダルトンの店舗へと転移した。
街中を馬車で移動して城へと向かう。
城の兵士に案内してもらって、来賓室でまっていると、扉を開けてグラントル宰相が部屋に入ってきた。
ソファに座ったグラントル宰相は僕の顔を見て、難しい表情をする。
「ある筋からの情報で、最近、帝都イシュタルの城で、グランタリア大陸の三国の王家と、ラバネス半島三国の王家が秘密裡に会合を行ったらしいのだが、その件に『ロンメル商会』も関わっていると聞いたものでな。その真偽を知りたいのだ」
……ある筋からの情報……国って他国に諜報員を潜ませているから、その諜報員から情報が入ったんだろうな……別に怪しまれるようなことはないし、話してもいいよね……
「ラバネス半島の三国の王家が集まって、『ロンメル商会、サポートの会』を結成してまして、その会に大陸の三国が加盟することになったんですよ。それで帝都イシュタルの城で晩さん会が開かれ、王家の皆さんが参加されたんです」
「『ロンメル商会、サポートの会』……初めて聞く名だが?」
……そういえば、ダルシアン王国の王宮とは三年契約で、『ブラーフ』と『パンピ』を、王都ダルトンの衣服職人を卸しるんだった……ダルシアン王国の王宮にも伝えておいたほうがよかったね……すっかり忘れていたな……
「最近、会ができたばかりで、『ロンメル商会』の商品を扱うには、『ロンメル商会、サポートの会』に加盟する義務ができたんです」
「その会合で話されたのは、それだけか? 他国に対する話し合いは? 例えば軍備の話とか、軍事の話はなかったのか?」
「はい…‥ありませんけど。『ロンメル商会』を応援する集まりですから」
僕の答えを聞いて、グラントル宰相は「フー」と息を吐いて、体の力を抜く。
「それを聞いて安心した。一国に六国の王家が集まって会合を開くなど、前代未聞のことだ。我が王国とイシュガルド帝国とは微妙な関係でな。会合の情報を聞いたダルベルク国王陛下が気にしておられたのだ。では聞くが、ダルシアン王国も『ロンメル商会、サポートの会』に加盟はできるのか?」
「『ロンメル商会』から『ブラーフ』と『パンピ』を卸してますから、 ダルシアン王国も加盟義務があります」
「わかった加盟については前向きに検討する。それで会合に参加できるのは王家のみなのか? 宰相の私が王国を代表して参加してもよいのか?」
「宰相閣下でも大丈夫だと思います」
……『ロンメル商会、サポートの会』への参加者が王家だけと、決まっているわけじゃないからね……
これで用件は終わりと思いかけた頃、グラントル宰相が前屈みになって、真剣な表情で話しだした。
「相談なのだが、衣服職人が、刺繍やフリルなどの装飾を施した『ブラーフ』と『パンピ』を、各国にある『ロンメル商会』の店舗で販売してほしいのだ」
「どうされたんですか?」
「装飾を施した『ブラーフ』と『パンピ』は、今もダルシアン王国内で好調に売れ行きを伸ばしている。王国の特産品としても根付いてきた。そこで他国に販売して、ダルシアン王国の特産品として宣伝したいのだ」
……元々は『ロンメル商会』の『ブラーフ』と『パンピ』だし、装飾を施した下着は女性達が喜びそうだよね……
「わかりました。装飾した下着を卸していただけるのなら、『ロンメル商会』の店舗で売ってみます」
「そうか、それはありがたい。よろしく頼む」
僕の手を握り、グラントル宰相はにこやかに微笑んだ。
……先日の六国の晩さん会って、他国から注目を浴びてるのかな……何も起こらなければいいけど……
その間に、僕はアグウェルの二人は、彼の飛翔の魔法で、皇都ファランと王都アッシュの城に赴き、城の最上階にあるアミーレ王妃の部屋、ソーニャ王妃の部屋、それぞれに姿見の転移ゲートを設置した。
もちろん城の近くに着地して、城を訪問したから、アグウェルの『飛翔魔法』については誰にも知られていない。
街の庶民には、空から降下する姿を、遠くから見られてかもしれないけど……幻と思ってくれるかな……
もちろんシャーレ王妃の部屋にも姿見の転移ゲートは設置しておいた。
そのことがエレミアに知れ、彼女の部屋にも、転移ゲートをつけてと言われたけど断った。
そんなことをすれば、エレミアのことだから頻繁に店に遊びにきそうだからね……
帝都イシュタル、皇都ファラン、王都アッシュの店舗では、未だに商品が売れ続け、『ロンメル商会』の噂は一気に三国の間で広がっていった。
僕は魔法学院に通いつつ、帝都イシュタルの店舗の手伝いをして、忙しい日々を送っていた。
そんなある日、姿見の転移ゲートを潜ってオルデンが姿を現した。
彼がいうにはグラントル宰相が僕を呼んでいるという。
オルデンには王都ダルトンの店舗を任せていて、ダルシアン王国の王宮との取引についても交渉を担当してもらっている。
通常の商談であれば、オルデンが僕を頼ることはないから、よほどのことなのだろう。
僕はレミリアと一緒に、姿見の転移ゲートを利用して、王都ダルトンの店舗へと転移した。
街中を馬車で移動して城へと向かう。
城の兵士に案内してもらって、来賓室でまっていると、扉を開けてグラントル宰相が部屋に入ってきた。
ソファに座ったグラントル宰相は僕の顔を見て、難しい表情をする。
「ある筋からの情報で、最近、帝都イシュタルの城で、グランタリア大陸の三国の王家と、ラバネス半島三国の王家が秘密裡に会合を行ったらしいのだが、その件に『ロンメル商会』も関わっていると聞いたものでな。その真偽を知りたいのだ」
……ある筋からの情報……国って他国に諜報員を潜ませているから、その諜報員から情報が入ったんだろうな……別に怪しまれるようなことはないし、話してもいいよね……
「ラバネス半島の三国の王家が集まって、『ロンメル商会、サポートの会』を結成してまして、その会に大陸の三国が加盟することになったんですよ。それで帝都イシュタルの城で晩さん会が開かれ、王家の皆さんが参加されたんです」
「『ロンメル商会、サポートの会』……初めて聞く名だが?」
……そういえば、ダルシアン王国の王宮とは三年契約で、『ブラーフ』と『パンピ』を、王都ダルトンの衣服職人を卸しるんだった……ダルシアン王国の王宮にも伝えておいたほうがよかったね……すっかり忘れていたな……
「最近、会ができたばかりで、『ロンメル商会』の商品を扱うには、『ロンメル商会、サポートの会』に加盟する義務ができたんです」
「その会合で話されたのは、それだけか? 他国に対する話し合いは? 例えば軍備の話とか、軍事の話はなかったのか?」
「はい…‥ありませんけど。『ロンメル商会』を応援する集まりですから」
僕の答えを聞いて、グラントル宰相は「フー」と息を吐いて、体の力を抜く。
「それを聞いて安心した。一国に六国の王家が集まって会合を開くなど、前代未聞のことだ。我が王国とイシュガルド帝国とは微妙な関係でな。会合の情報を聞いたダルベルク国王陛下が気にしておられたのだ。では聞くが、ダルシアン王国も『ロンメル商会、サポートの会』に加盟はできるのか?」
「『ロンメル商会』から『ブラーフ』と『パンピ』を卸してますから、 ダルシアン王国も加盟義務があります」
「わかった加盟については前向きに検討する。それで会合に参加できるのは王家のみなのか? 宰相の私が王国を代表して参加してもよいのか?」
「宰相閣下でも大丈夫だと思います」
……『ロンメル商会、サポートの会』への参加者が王家だけと、決まっているわけじゃないからね……
これで用件は終わりと思いかけた頃、グラントル宰相が前屈みになって、真剣な表情で話しだした。
「相談なのだが、衣服職人が、刺繍やフリルなどの装飾を施した『ブラーフ』と『パンピ』を、各国にある『ロンメル商会』の店舗で販売してほしいのだ」
「どうされたんですか?」
「装飾を施した『ブラーフ』と『パンピ』は、今もダルシアン王国内で好調に売れ行きを伸ばしている。王国の特産品としても根付いてきた。そこで他国に販売して、ダルシアン王国の特産品として宣伝したいのだ」
……元々は『ロンメル商会』の『ブラーフ』と『パンピ』だし、装飾を施した下着は女性達が喜びそうだよね……
「わかりました。装飾した下着を卸していただけるのなら、『ロンメル商会』の店舗で売ってみます」
「そうか、それはありがたい。よろしく頼む」
僕の手を握り、グラントル宰相はにこやかに微笑んだ。
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