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第2章 グランタリア大陸東部編
79.セレーネ王妃からの頼み事!
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アグウェルに頼んで、セレーネ王妃に『ロンメル商会、スポンサーの会』のことを聞いてきてもらった。
彼の報告では、イシュガルド帝国、ファラレスト皇国、アシュラム王国の三国の王宮の使者がブリタニス王国の城に来訪したという。
セレーネ王妃が会の代表として使者達と謁見したらしい。
その場で三人の使者からは会に加盟するので、グランタリア大陸まで来て欲しいと依頼があったという。
それで相談があるらしく、僕に王宮まできてほしいと頼まれたそうだ。
報告を聞いた僕は、さっそくアグウェルと二人で、店舗の姿見の転移ゲートを使って、フィーネの部屋へと転移した。
するとフィーネは読書の最中だったらしく、本を置いてニコリと笑う。
「今日はいったいどうしたの?」
「セレーネ王妃が『ロンメル商会、スポンサーの会』のことで、僕を呼んでるって聞いたから」
「その件なら私も知ってるわ。今度、母上とマリナ女王陛下と一緒に、帝都イシュタルへ旅行に行くことになってるから」
……たぶん、それって会の加盟のことで、帝都イシュタルへ行くって意味だろうけど、三人にとっては旅行気分なのか……そういえば三人共、王族だから他国へ行く機会も少ないよね……
「少し待って」と言って、フィーネがセレーネ王妃を呼びに部屋を出ていった。
僕とアグウェルだけになったので、テーブルの上に置いてある本を手に取ってみると、表紙を見ると、そこには『ロベルト王太子と敵国の姫』という文字が書かれていた。
……フィーネもお年頃だから、庶民の間で流行している恋愛小説を読んでるんだね……アレン兄上との婚約も正式に決まったことだし、二人仲よくしてほしいな……
少し経って、廊下を歩く足音が聞こえてくる。
そして部屋の扉が開き、セレーネ王妃を連れてフィーネが戻ってきた。
「シオン君、来てくれたのね」
「どうされたんですか?」
「『ロンメル商会、スポンサーの会』の加盟の件で、シェルダン皇帝陛下から帝都イシュタルの王宮に招かれたのよ。それでファラレスト皇国のアミーレ王妃、アシュラム王国のエリーナ王妃も帝都イシュタルの城へ招待されるらしいの」
……エリーナ王妃って、もしかしてカイロスの母上なのかな?
「皆が集まった夜に晩さん会も催される予定になっていて、私とフィーネ、マリナ女王陛下も参加することにしたの。それでシオン君の転移ゲートを使わせてもらいたいの」
ラバネス半島からグランタリア大陸のイシュガルド帝国へ行くためには、本来であれば馬車を連ねて、沢山の兵を護衛として率いていく必要がある。
でも転移ゲートを使えば、一瞬で帝都イシュタルの『ロンメル商会』の店舗へ移動できるから、経費もかからないし、なにより野盗や魔獣に襲われる心配もないから安心だよね。
「承りました。いつでも転移ゲートを使ってください。ゲートを潜れば帝都イシュタルの店舗の執務室に出ます。もし部屋の中に僕がいなければ、店の者に言ってもらえれば、すぐに挨拶にいきます。それから馬車を用意して、安全に城までお送りいたします」
「何を言ってるのかしら。シオン君、あなたももちろん晩さん会には出席するのよ。だって『ロンメル商会、スポンサーの会』の代表として私やマリナ女王陛下が参加するのですから。商会の会長であるシオン君がいなくては話にならないでしょう」
……そう言われると、そうなのかもしれないけど……前世の日本ではしがない一般庶民だったから、晩さん会のような場所は、マナーも必要だし、華やか過ぎて苦手なんだよね……
あれ? セレーネ王妃、フィーネ、マリナ女王陛下が参加するのはわかったけど、トランスベル王国からは誰が来るんだろう……
ゲアハルト国王陛下は国王だから国から動けないし、代わりに王国の代表を務めるなら、たぶんロナウド王太子とカムシン第二王子が王都イシュタルへ行くことになるのかな?
もし、そうだったら王都トラントの店舗にも姿見の転移ゲートがあるから、二人のことはリムルに頼んで連れてきてもらおう。
帝都イシュタルの執務室へ戻ってきた僕は、アグウェルに頼んでリムルに言伝を頼んだ。
これで二人の王子も無事に帝都イシュタルまで来れるだろう。
その翌日、執務室でレミリア、アグウェルと紅茶を楽しんでいると、アロムが慌てた顔で部屋に飛び込んできた。
「店にリンメイさんがきたよ。なんだか青い顔をして、大至急でシオン様と会いたいって」
なんだろうと首を傾げながら一階の売り場へ行ってみると、僕を発見したリンメイさんがドスドスと歩いてきて、僕の肩を鷲掴みにする。
「シオン君、空を飛んでる竜やグリフォンは何かな? それとラバネス半島三国の王宮の使者が『ロンメル商会、スポンサーの会』に加盟するために帝都イシュタルの城まで来るっていうじゃないの。どうしてそういう重要なことを私に報告してないのかな?」
……しまった……最近、忙しすぎて商業ギルドのことも、リンメイさんのことも忘れてたよ……決して仲間外れにしたわけじゃないけど……やっぱり先に報告しておいたほうがよかったのかな……
彼の報告では、イシュガルド帝国、ファラレスト皇国、アシュラム王国の三国の王宮の使者がブリタニス王国の城に来訪したという。
セレーネ王妃が会の代表として使者達と謁見したらしい。
その場で三人の使者からは会に加盟するので、グランタリア大陸まで来て欲しいと依頼があったという。
それで相談があるらしく、僕に王宮まできてほしいと頼まれたそうだ。
報告を聞いた僕は、さっそくアグウェルと二人で、店舗の姿見の転移ゲートを使って、フィーネの部屋へと転移した。
するとフィーネは読書の最中だったらしく、本を置いてニコリと笑う。
「今日はいったいどうしたの?」
「セレーネ王妃が『ロンメル商会、スポンサーの会』のことで、僕を呼んでるって聞いたから」
「その件なら私も知ってるわ。今度、母上とマリナ女王陛下と一緒に、帝都イシュタルへ旅行に行くことになってるから」
……たぶん、それって会の加盟のことで、帝都イシュタルへ行くって意味だろうけど、三人にとっては旅行気分なのか……そういえば三人共、王族だから他国へ行く機会も少ないよね……
「少し待って」と言って、フィーネがセレーネ王妃を呼びに部屋を出ていった。
僕とアグウェルだけになったので、テーブルの上に置いてある本を手に取ってみると、表紙を見ると、そこには『ロベルト王太子と敵国の姫』という文字が書かれていた。
……フィーネもお年頃だから、庶民の間で流行している恋愛小説を読んでるんだね……アレン兄上との婚約も正式に決まったことだし、二人仲よくしてほしいな……
少し経って、廊下を歩く足音が聞こえてくる。
そして部屋の扉が開き、セレーネ王妃を連れてフィーネが戻ってきた。
「シオン君、来てくれたのね」
「どうされたんですか?」
「『ロンメル商会、スポンサーの会』の加盟の件で、シェルダン皇帝陛下から帝都イシュタルの王宮に招かれたのよ。それでファラレスト皇国のアミーレ王妃、アシュラム王国のエリーナ王妃も帝都イシュタルの城へ招待されるらしいの」
……エリーナ王妃って、もしかしてカイロスの母上なのかな?
「皆が集まった夜に晩さん会も催される予定になっていて、私とフィーネ、マリナ女王陛下も参加することにしたの。それでシオン君の転移ゲートを使わせてもらいたいの」
ラバネス半島からグランタリア大陸のイシュガルド帝国へ行くためには、本来であれば馬車を連ねて、沢山の兵を護衛として率いていく必要がある。
でも転移ゲートを使えば、一瞬で帝都イシュタルの『ロンメル商会』の店舗へ移動できるから、経費もかからないし、なにより野盗や魔獣に襲われる心配もないから安心だよね。
「承りました。いつでも転移ゲートを使ってください。ゲートを潜れば帝都イシュタルの店舗の執務室に出ます。もし部屋の中に僕がいなければ、店の者に言ってもらえれば、すぐに挨拶にいきます。それから馬車を用意して、安全に城までお送りいたします」
「何を言ってるのかしら。シオン君、あなたももちろん晩さん会には出席するのよ。だって『ロンメル商会、スポンサーの会』の代表として私やマリナ女王陛下が参加するのですから。商会の会長であるシオン君がいなくては話にならないでしょう」
……そう言われると、そうなのかもしれないけど……前世の日本ではしがない一般庶民だったから、晩さん会のような場所は、マナーも必要だし、華やか過ぎて苦手なんだよね……
あれ? セレーネ王妃、フィーネ、マリナ女王陛下が参加するのはわかったけど、トランスベル王国からは誰が来るんだろう……
ゲアハルト国王陛下は国王だから国から動けないし、代わりに王国の代表を務めるなら、たぶんロナウド王太子とカムシン第二王子が王都イシュタルへ行くことになるのかな?
もし、そうだったら王都トラントの店舗にも姿見の転移ゲートがあるから、二人のことはリムルに頼んで連れてきてもらおう。
帝都イシュタルの執務室へ戻ってきた僕は、アグウェルに頼んでリムルに言伝を頼んだ。
これで二人の王子も無事に帝都イシュタルまで来れるだろう。
その翌日、執務室でレミリア、アグウェルと紅茶を楽しんでいると、アロムが慌てた顔で部屋に飛び込んできた。
「店にリンメイさんがきたよ。なんだか青い顔をして、大至急でシオン様と会いたいって」
なんだろうと首を傾げながら一階の売り場へ行ってみると、僕を発見したリンメイさんがドスドスと歩いてきて、僕の肩を鷲掴みにする。
「シオン君、空を飛んでる竜やグリフォンは何かな? それとラバネス半島三国の王宮の使者が『ロンメル商会、スポンサーの会』に加盟するために帝都イシュタルの城まで来るっていうじゃないの。どうしてそういう重要なことを私に報告してないのかな?」
……しまった……最近、忙しすぎて商業ギルドのことも、リンメイさんのことも忘れてたよ……決して仲間外れにしたわけじゃないけど……やっぱり先に報告しておいたほうがよかったのかな……
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