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第2章 グランタリア大陸東部編
75.実験の検証をしてみよう!
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二時間ほどレミリアを観察したけど、彼女は普段と全く様子が変わらなかった。
……これじゃあ、検証にならないよね……
レミリアに頼んで魔法陣に乗せた肉を串焼きにしてもらい、その肉串と果実を持って、彼女と二人で街に出ることにした。
エクストリア世界の街は衛生面が行き届いていないので、街角にゴミが置いていることも多い。
その中には料理屋から出された生ゴミなどもあり、その生ごみを糧にしている鼠やノラ猫が多くいる。
だからノラ猫で実験しようと考えついたんだ。
まずは『従順になる肉』の魔法陣で加工した肉串を皿に乗せて、路地の隅に置いて、少し離れた所から様子を見る。
すると、あっという間にノラ猫達が集まってきて、串肉を食べだした。
頃合いをみて、角から姿を現した僕を見て、ノラ猫達は一斉に警戒を強めて逃げ出そうとする。
「待て、こっちに来て」
「ニャオ~ン」
肉串を食べた数匹のノラ猫達が、僕の声に反応して立ち止まり、恐る恐る僕のほうへと歩いてきた。
その様子に満足した僕は、手に持っていた『テイムできる果実』を路上に置く。
すると猫達は果実を食べ、僕の目に寝転んで腹を見せだした。
……これでノラ猫達をティムできてるはずなんだけど……
「僕の主を思うなら、一緒についてきて」
僕はレミリアと店舗に戻るため通りを歩きはじめると、ノラ猫達は「にゃー」と泣きながら、僕達の後ろを追いかけてくる。
どうやら無事にテイムできてるようだね。
店舗に帰ってきた僕とレミリアは、ノラ猫達をペットにするため、そのままでは汚いので、お風呂に入れることにした。
一匹一匹をお風呂にいれて、石鹸で丁寧に体を洗っていく。
するとノミがピョンピョンと風呂の中に……
それを見てレミリアは悲鳴をあげる。
「キャー! ノミです!」
「……ノラ猫だったからね」
「シオン様、落ち着いてないで何とかしないと、店の中がノミだらけに!」
それはヤバイ!
僕は羊皮紙を床に置いて、大至急で《創造魔法陣》を使って『ノミ消滅』の魔法陣を描いていく。
そして完成した魔法陣の上に猫達を乗せて、ノミを消滅させる。
それでも、まだ警戒しているレミリアから、虫を殺す薬を作ってと頼まれた。
レミリアの願いを叶えるべく、井戸から桶で水を組んできて、それを《創造魔法陣》のスキルを利用して『殺虫剤』を作る。
次いでに『虫よけ剤』も作っておいた。
……レミリアがあんなに虫が嫌いだって知らなかったよ……だいたいの女性は虫が苦手だから仕方ないよね……
「お前達は今日から「ロンメル商会」のペットだからね。だからキチンと餌と水はあげるから、拾い食いなんてしちゃダメだよ。外で遊んでもいいけど、いつも身綺麗にして、人に好かれる猫になってね。眠る時はきちんと戻ってくるんだよ」
「「「「「にゃ~ん」」」」」
ノラ猫達をペットにしてから一週間後、アグウェルが戻ってきた。
その後ろに牛顔、蛙顔、蜥蜴顔、獅子顔、など色々な動物の顔の魔人族がゾロゾロと姿を現した。
……全く気配を感じなかったのに、どこから店の中に入ったんだろう……
獣人は犬耳や猫耳、尻尾はあるけど、顔は人族と変わらない……でも動物の顔をしているから、サイゾウと同じ魔族なのだろう……
「元、配下の魔族、二十人を連れて参りました」
「うん、それはいいけど……その姿でよく人の街に紛れ込めたね」
「サイゾウと同じように人化の術が使えますので、その心配には及びません」
アグウェルの言葉を聞いて、後ろに控えていた魔族達が人の姿に変化した。
サイゾウが人化の術を使った時も思ったけど……どこから見ても人族にしか見えないんだよね……やっぱり魔族ってすごいな……
「シオン様、テイムの準備はいかがですか?」
「うん、『従順になる肉』『テイムできる果実』の魔法陣は完成させてあるよ」
「では早速、魔法陣を使って肉と果実をテイム用にしてください」
「わかった」
……理由はわからないけど、アグウェルが必要と判断したなら用意しよう。
僕はレミリアに頼み、大量の調理済の串肉と果実を露天商で買ってきてもらった。
そして、それを魔法陣で『従順になる肉』『テイムできる果実』へと変化させる。
するとアグウェルは連れてきた魔人族に、その串肉と果実を食べさせた。
……この串肉と果実はテイム用だけど……魔族に食べさせて大丈夫なの?
「これより皆は『ロンメル商会』の人員です。商会の主であるシオン様、統括である私に忠誠を近いなさい。あなた達の生が尽きるまで、あなた達はシオン様の忠実なシモベとなるのです」
アグウェルの発言を聞き、魔族達は次々と片膝をついて頭を垂れる。
そしてアグウェルは残っていた串肉と果実を頬張った。
「これで私を含めて全員がシオン様に従属するシモベとなりました。なんなりとお申し付けください」
……気持ちは嬉しいけど、ちょっとやり過ぎじゃないかな……それにしてもレイミアもそうだったけど、どうしてアグウェルには串肉も果実も効果がないようなんだけど……
……これじゃあ、検証にならないよね……
レミリアに頼んで魔法陣に乗せた肉を串焼きにしてもらい、その肉串と果実を持って、彼女と二人で街に出ることにした。
エクストリア世界の街は衛生面が行き届いていないので、街角にゴミが置いていることも多い。
その中には料理屋から出された生ゴミなどもあり、その生ごみを糧にしている鼠やノラ猫が多くいる。
だからノラ猫で実験しようと考えついたんだ。
まずは『従順になる肉』の魔法陣で加工した肉串を皿に乗せて、路地の隅に置いて、少し離れた所から様子を見る。
すると、あっという間にノラ猫達が集まってきて、串肉を食べだした。
頃合いをみて、角から姿を現した僕を見て、ノラ猫達は一斉に警戒を強めて逃げ出そうとする。
「待て、こっちに来て」
「ニャオ~ン」
肉串を食べた数匹のノラ猫達が、僕の声に反応して立ち止まり、恐る恐る僕のほうへと歩いてきた。
その様子に満足した僕は、手に持っていた『テイムできる果実』を路上に置く。
すると猫達は果実を食べ、僕の目に寝転んで腹を見せだした。
……これでノラ猫達をティムできてるはずなんだけど……
「僕の主を思うなら、一緒についてきて」
僕はレミリアと店舗に戻るため通りを歩きはじめると、ノラ猫達は「にゃー」と泣きながら、僕達の後ろを追いかけてくる。
どうやら無事にテイムできてるようだね。
店舗に帰ってきた僕とレミリアは、ノラ猫達をペットにするため、そのままでは汚いので、お風呂に入れることにした。
一匹一匹をお風呂にいれて、石鹸で丁寧に体を洗っていく。
するとノミがピョンピョンと風呂の中に……
それを見てレミリアは悲鳴をあげる。
「キャー! ノミです!」
「……ノラ猫だったからね」
「シオン様、落ち着いてないで何とかしないと、店の中がノミだらけに!」
それはヤバイ!
僕は羊皮紙を床に置いて、大至急で《創造魔法陣》を使って『ノミ消滅』の魔法陣を描いていく。
そして完成した魔法陣の上に猫達を乗せて、ノミを消滅させる。
それでも、まだ警戒しているレミリアから、虫を殺す薬を作ってと頼まれた。
レミリアの願いを叶えるべく、井戸から桶で水を組んできて、それを《創造魔法陣》のスキルを利用して『殺虫剤』を作る。
次いでに『虫よけ剤』も作っておいた。
……レミリアがあんなに虫が嫌いだって知らなかったよ……だいたいの女性は虫が苦手だから仕方ないよね……
「お前達は今日から「ロンメル商会」のペットだからね。だからキチンと餌と水はあげるから、拾い食いなんてしちゃダメだよ。外で遊んでもいいけど、いつも身綺麗にして、人に好かれる猫になってね。眠る時はきちんと戻ってくるんだよ」
「「「「「にゃ~ん」」」」」
ノラ猫達をペットにしてから一週間後、アグウェルが戻ってきた。
その後ろに牛顔、蛙顔、蜥蜴顔、獅子顔、など色々な動物の顔の魔人族がゾロゾロと姿を現した。
……全く気配を感じなかったのに、どこから店の中に入ったんだろう……
獣人は犬耳や猫耳、尻尾はあるけど、顔は人族と変わらない……でも動物の顔をしているから、サイゾウと同じ魔族なのだろう……
「元、配下の魔族、二十人を連れて参りました」
「うん、それはいいけど……その姿でよく人の街に紛れ込めたね」
「サイゾウと同じように人化の術が使えますので、その心配には及びません」
アグウェルの言葉を聞いて、後ろに控えていた魔族達が人の姿に変化した。
サイゾウが人化の術を使った時も思ったけど……どこから見ても人族にしか見えないんだよね……やっぱり魔族ってすごいな……
「シオン様、テイムの準備はいかがですか?」
「うん、『従順になる肉』『テイムできる果実』の魔法陣は完成させてあるよ」
「では早速、魔法陣を使って肉と果実をテイム用にしてください」
「わかった」
……理由はわからないけど、アグウェルが必要と判断したなら用意しよう。
僕はレミリアに頼み、大量の調理済の串肉と果実を露天商で買ってきてもらった。
そして、それを魔法陣で『従順になる肉』『テイムできる果実』へと変化させる。
するとアグウェルは連れてきた魔人族に、その串肉と果実を食べさせた。
……この串肉と果実はテイム用だけど……魔族に食べさせて大丈夫なの?
「これより皆は『ロンメル商会』の人員です。商会の主であるシオン様、統括である私に忠誠を近いなさい。あなた達の生が尽きるまで、あなた達はシオン様の忠実なシモベとなるのです」
アグウェルの発言を聞き、魔族達は次々と片膝をついて頭を垂れる。
そしてアグウェルは残っていた串肉と果実を頬張った。
「これで私を含めて全員がシオン様に従属するシモベとなりました。なんなりとお申し付けください」
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