自重知らずの転生貴族は、現在知識チートでどんどん商品を開発していきます!!

潮ノ海月

文字の大きさ
上 下
75 / 93
第2章 グランタリア大陸東部編

74.荷の輸送について考えてみた!

しおりを挟む
ファラレスト皇国には『ボーン食器』の工場、アシュラム王国では薬品工場の稼動が始まり、王都イシュタルの『ブラーフ&パンピ』の工場の建設が始まった。

それと同じ頃、王都トラントでも『石鹸と香水』の工場建設が始まり、リムルにはその工事を監督をしてもらうため、王都トラントの店舗へと行ってもらっていた。

その代わりに帝都イシュタルの店舗には、アグウェルに来てもらっている。


……レミリア一人に店舗を任せて、彼女にこれ以上の負担を持ってほしくないからね……


今は各工場から荷馬車で、それぞれの王都にある店舗に輸送しているんだけど、これ以上物流が多くなると、中継地点となる場所に倉庫を置いたほうがいいと、アグウェルから提案があった。

工場で働いている工員の中から、荷馬車を操れる者達に、工場と店舗までの荷運びをしてもらっているけど、これより荷の流通が激しくなれば、専門の業者が欲しいところだよね……


……このエクストリア世界には乗合馬車を営んでいる者達はいるけど、荷の運搬を専門に扱う商会や商人……例えば、前世の日本の記憶にある〇〇運輸みたいな運送を営む商人ってなかなかいないんだよね……


だって、街から街、国から国へ移動する時、野盗や魔獣に襲われる危険性も高いから、冒険者や傭兵団を雇わないといけないし、その危険に見合うだけの利益を得られるかというと、微妙としか言えないからね。

王都ブリタス、王都ナブル、王都トラント、王都ダルトンにある『ロンメル商会』の店舗には、姿見の転移ゲートを設置してあるから、今まで商品の運搬についてはさほど問題はなかったけど……工場の数と店舗数が増えてきて、長距離での荷運びが必要になってくると、そこは解決しておきたい課題だよね……


そこまで考えて、僕は対面のソファに座るアグウェルへ声をかける。


「この世界には飛竜、ワイバーン、グリフォンをテイム、従魔にしている国ってないの?」

「グランタリア大陸の多くの国々を旅しましたが、空を飛ぶ大型魔獣を従魔にしていたのは、五百年前に滅んでしまった魔王国と古代王国のみですね。どうしてそのようなことを聞かれるのですか?」

「いや……陸で運ぶと危険が多いなら、空を飛んで荷を運べれば安全だと思って」

「グランタリア大陸の中央にある、オートルザム山脈には多くの竜種やグリフォンが生息しています。その魔獣達を使役することができれば、荷運びをさせるには適任かと。下等の竜種でも比較的に頭が良いので、飼い慣らすことは簡単ではあります」


オートルザム山脈って、父上の蔵書で読んだことがあるけど、五百年前までは魔王軍の拠点があった場所だよね……古代竜まで棲んでいるって本には書かれてたけど……


「でも、そんな危険な場所まで行って、グリフォンや飛竜を見つけてきたとしても、飛竜を操れる者っているの?」

「人族、亜人、獣人の中にはテイマーもいますが、今まで空飛ぶ大型魔獣をテイムして操った者はいないでしょう」

「操縦者がいないのなら、グリフォンや飛竜をテイムしても意味ないね」


いきなりソファから立ち上がったアグウェルが、僕に向けて深々と頭を下げる。


「グランタリア大陸の国々には、五百年前の大戦に破れた魔族が多く隠れ住んでいます。その中には元は私の配下だった者達もいます。シオン様に命じていただければ、その者達を探し出し、招集をかけたいと存じます。皆、人族、亜人、獣人に見つからぬように怯えて暮らしている者達ばかりですので、喜んでシオン様の下で働くことでしょう」


ロンメル商会の正規の人員も足りてないし、従順に働いてくれるなら種族なんて関係ないけど……それにアグウェルの元配下であれば、アグウェルに指示に従ってくれるだろうし……


「魔族が集まったからといって、魔王軍復活とかはイヤだからね」

「魔王軍が滅んで五百年が過ぎ、今更そんな野望は持っておりません。それに今の私は、シオン様が辿るこれからの行く末、その一助になれることを喜んでいるのですから」

「人員の件はアグウェルに任せるよ。その間に僕は、魔獣をテイムするアイテムを開発しておくね」

「では失礼いたします」


アグウェルは胸に手をあて礼をすると、黒霧となって去っていった。

帝都イシュタルの執務室に一人残った僕は、机の中から羊皮紙、ペン、インクを取り出す。

そして床に羊皮紙を敷き、《創造魔法陣》のスキルを開放して、魔法陣を描いていく。

今回描く魔法陣は『従順になる肉』と『テイムできる果実』だ。

二つの魔法陣を描き終えた僕は、肉と果実を執務室まで持ってきてくれるようにレミリアに頼んだ。

すると彼女はオークの肉と林檎に似た果実を街で買って来てくれた。


「何に使うですか?」

「ちょっと見ててね」


皿に乗っている肉と果実をそれぞれの魔法陣に置いて、魔法陣に手を添えて魔力を流してみる。

すると肉と果実が輝き始め、しばらくすると光は消えていった。


……これで効果はあるはずだけど……見た目的な変化はないね……どうやって検証しようかな……


肉と果実の皿を持って頭を悩ませていると、レミリアが横から果実を取って、一口かじる。


「ん~すっごく美味しいですよ。シオン様もおひとついかがですか?」


あれ?……テイムできる果実を食べちゃったってことは、レミリアは僕にテイムされたってこと?


……普段と全く変わらないんだけど、どういうこと?
しおりを挟む
感想 77

あなたにおすすめの小説

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

俺しか使えない『アイテムボックス』がバグってる

十本スイ
ファンタジー
俗にいう神様転生とやらを経験することになった主人公――札月沖長。ただしよくあるような最強でチートな能力をもらい、異世界ではしゃぐつもりなど到底なかった沖長は、丈夫な身体と便利なアイテムボックスだけを望んだ。しかしこの二つ、神がどういう解釈をしていたのか、特にアイテムボックスについてはバグっているのではと思うほどの能力を有していた。これはこれで便利に使えばいいかと思っていたが、どうも自分だけが転生者ではなく、一緒に同世界へ転生した者たちがいるようで……。しかもそいつらは自分が主人公で、沖長をイレギュラーだの踏み台だなどと言ってくる。これは異世界ではなく現代ファンタジーの世界に転生することになった男が、その世界の真実を知りながらもマイペースに生きる物語である。

異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します

桂崇
ファンタジー
小さな町で酒場の手伝いをする母親と2人で住む少年イールスに転生覚醒する、チートする方法も無く、母親の死により、実の父親の家に引き取られる。イールスは、冒険者になろうと目指すが、周囲はその才能を惜しんでいる

転生チートは家族のために~ユニークスキルで、快適な異世界生活を送りたい!~

りーさん
ファンタジー
 ある日、異世界に転生したルイ。  前世では、両親が共働きの鍵っ子だったため、寂しい思いをしていたが、今世は優しい家族に囲まれた。  そんな家族と異世界でも楽しく過ごすために、ユニークスキルをいろいろと便利に使っていたら、様々なトラブルに巻き込まれていく。 「家族といたいからほっといてよ!」 ※スキルを本格的に使い出すのは二章からです。

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油
ファンタジー
 貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。  僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。  魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。  言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。  この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。  小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。 ------------------------------------------------------------------  お知らせ   「転生者はめぐりあう」 始めました。 ------------------------------------------------------------------ 注意  作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。  感想は受け付けていません。  誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

レベルを上げて通販で殴る~囮にされて落とし穴に落とされたが大幅レベルアップしてざまぁする。危険な封印ダンジョンも俺にかかればちょろいもんさ~

喰寝丸太
ファンタジー
異世界に転移した山田(やまだ) 無二(むに)はポーターの仕事をして早6年。 おっさんになってからも、冒険者になれずくすぶっていた。 ある日、モンスター無限増殖装置を誤って作動させたパーティは無二を囮にして逃げ出す。 落とし穴にも落とされ絶体絶命の無二。 機転を利かせ助かるも、そこはダンジョンボスの扉の前。 覚悟を決めてボスに挑む無二。 通販能力でからくも勝利する。 そして、ダンジョンコアの魔力を吸出し大幅レベルアップ。 アンデッドには聖水代わりに殺菌剤、光魔法代わりに紫外線ライト。 霧のモンスターには掃除機が大活躍。 異世界モンスターを現代製品の通販で殴る快進撃が始まった。 カクヨム、小説家になろう、アルファポリスに掲載しております。

30年待たされた異世界転移

明之 想
ファンタジー
 気づけば異世界にいた10歳のぼく。 「こちらの手違いかぁ。申し訳ないけど、さっさと帰ってもらわないといけないね」  こうして、ぼくの最初の異世界転移はあっけなく終わってしまった。  右も左も分からず、何かを成し遂げるわけでもなく……。  でも、2度目があると確信していたぼくは、日本でひたすら努力を続けた。  あの日見た夢の続きを信じて。  ただ、ただ、異世界での冒険を夢見て!!  くじけそうになっても努力を続け。  そうして、30年が経過。  ついに2度目の異世界冒険の機会がやってきた。  しかも、20歳も若返った姿で。  異世界と日本の2つの世界で、  20年前に戻った俺の新たな冒険が始まる。

辺境領主は大貴族に成り上がる! チート知識でのびのび領地経営します

潮ノ海月
ファンタジー
旧題:転生貴族の領地経営~チート知識を活用して、辺境領主は成り上がる! トールデント帝国と国境を接していたフレンハイム子爵領の領主バルトハイドは、突如、侵攻を開始した帝国軍から領地を守るためにルッセン砦で迎撃に向かうが、守り切れず戦死してしまう。 領主バルトハイドが戦争で死亡した事で、唯一の後継者であったアクスが跡目を継ぐことになってしまう。 アクスの前世は日本人であり、争いごとが極端に苦手であったが、領民を守るために立ち上がることを決意する。 だが、兵士の証言からしてラッセル砦を陥落させた帝国軍の数は10倍以上であることが明らかになってしまう 完全に手詰まりの中で、アクスは日本人として暮らしてきた知識を活用し、さらには領都から避難してきた獣人や亜人を仲間に引き入れ秘策を練る。 果たしてアクスは帝国軍に勝利できるのか!? これは転生貴族アクスが領地経営に奮闘し、大貴族へ成りあがる物語。

処理中です...