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第2章 グランタリア大陸東部編
74.荷の輸送について考えてみた!
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ファラレスト皇国には『ボーン食器』の工場、アシュラム王国では薬品工場の稼動が始まり、王都イシュタルの『ブラーフ&パンピ』の工場の建設が始まった。
それと同じ頃、王都トラントでも『石鹸と香水』の工場建設が始まり、リムルにはその工事を監督をしてもらうため、王都トラントの店舗へと行ってもらっていた。
その代わりに帝都イシュタルの店舗には、アグウェルに来てもらっている。
……レミリア一人に店舗を任せて、彼女にこれ以上の負担を持ってほしくないからね……
今は各工場から荷馬車で、それぞれの王都にある店舗に輸送しているんだけど、これ以上物流が多くなると、中継地点となる場所に倉庫を置いたほうがいいと、アグウェルから提案があった。
工場で働いている工員の中から、荷馬車を操れる者達に、工場と店舗までの荷運びをしてもらっているけど、これより荷の流通が激しくなれば、専門の業者が欲しいところだよね……
……このエクストリア世界には乗合馬車を営んでいる者達はいるけど、荷の運搬を専門に扱う商会や商人……例えば、前世の日本の記憶にある〇〇運輸みたいな運送を営む商人ってなかなかいないんだよね……
だって、街から街、国から国へ移動する時、野盗や魔獣に襲われる危険性も高いから、冒険者や傭兵団を雇わないといけないし、その危険に見合うだけの利益を得られるかというと、微妙としか言えないからね。
王都ブリタス、王都ナブル、王都トラント、王都ダルトンにある『ロンメル商会』の店舗には、姿見の転移ゲートを設置してあるから、今まで商品の運搬についてはさほど問題はなかったけど……工場の数と店舗数が増えてきて、長距離での荷運びが必要になってくると、そこは解決しておきたい課題だよね……
そこまで考えて、僕は対面のソファに座るアグウェルへ声をかける。
「この世界には飛竜、ワイバーン、グリフォンをテイム、従魔にしている国ってないの?」
「グランタリア大陸の多くの国々を旅しましたが、空を飛ぶ大型魔獣を従魔にしていたのは、五百年前に滅んでしまった魔王国と古代王国のみですね。どうしてそのようなことを聞かれるのですか?」
「いや……陸で運ぶと危険が多いなら、空を飛んで荷を運べれば安全だと思って」
「グランタリア大陸の中央にある、オートルザム山脈には多くの竜種やグリフォンが生息しています。その魔獣達を使役することができれば、荷運びをさせるには適任かと。下等の竜種でも比較的に頭が良いので、飼い慣らすことは簡単ではあります」
オートルザム山脈って、父上の蔵書で読んだことがあるけど、五百年前までは魔王軍の拠点があった場所だよね……古代竜まで棲んでいるって本には書かれてたけど……
「でも、そんな危険な場所まで行って、グリフォンや飛竜を見つけてきたとしても、飛竜を操れる者っているの?」
「人族、亜人、獣人の中にはテイマーもいますが、今まで空飛ぶ大型魔獣をテイムして操った者はいないでしょう」
「操縦者がいないのなら、グリフォンや飛竜をテイムしても意味ないね」
いきなりソファから立ち上がったアグウェルが、僕に向けて深々と頭を下げる。
「グランタリア大陸の国々には、五百年前の大戦に破れた魔族が多く隠れ住んでいます。その中には元は私の配下だった者達もいます。シオン様に命じていただければ、その者達を探し出し、招集をかけたいと存じます。皆、人族、亜人、獣人に見つからぬように怯えて暮らしている者達ばかりですので、喜んでシオン様の下で働くことでしょう」
ロンメル商会の正規の人員も足りてないし、従順に働いてくれるなら種族なんて関係ないけど……それにアグウェルの元配下であれば、アグウェルに指示に従ってくれるだろうし……
「魔族が集まったからといって、魔王軍復活とかはイヤだからね」
「魔王軍が滅んで五百年が過ぎ、今更そんな野望は持っておりません。それに今の私は、シオン様が辿るこれからの行く末、その一助になれることを喜んでいるのですから」
「人員の件はアグウェルに任せるよ。その間に僕は、魔獣をテイムするアイテムを開発しておくね」
「では失礼いたします」
アグウェルは胸に手をあて礼をすると、黒霧となって去っていった。
帝都イシュタルの執務室に一人残った僕は、机の中から羊皮紙、ペン、インクを取り出す。
そして床に羊皮紙を敷き、《創造魔法陣》のスキルを開放して、魔法陣を描いていく。
今回描く魔法陣は『従順になる肉』と『テイムできる果実』だ。
二つの魔法陣を描き終えた僕は、肉と果実を執務室まで持ってきてくれるようにレミリアに頼んだ。
すると彼女はオークの肉と林檎に似た果実を街で買って来てくれた。
「何に使うですか?」
「ちょっと見ててね」
皿に乗っている肉と果実をそれぞれの魔法陣に置いて、魔法陣に手を添えて魔力を流してみる。
すると肉と果実が輝き始め、しばらくすると光は消えていった。
……これで効果はあるはずだけど……見た目的な変化はないね……どうやって検証しようかな……
肉と果実の皿を持って頭を悩ませていると、レミリアが横から果実を取って、一口かじる。
「ん~すっごく美味しいですよ。シオン様もおひとついかがですか?」
あれ?……テイムできる果実を食べちゃったってことは、レミリアは僕にテイムされたってこと?
……普段と全く変わらないんだけど、どういうこと?
それと同じ頃、王都トラントでも『石鹸と香水』の工場建設が始まり、リムルにはその工事を監督をしてもらうため、王都トラントの店舗へと行ってもらっていた。
その代わりに帝都イシュタルの店舗には、アグウェルに来てもらっている。
……レミリア一人に店舗を任せて、彼女にこれ以上の負担を持ってほしくないからね……
今は各工場から荷馬車で、それぞれの王都にある店舗に輸送しているんだけど、これ以上物流が多くなると、中継地点となる場所に倉庫を置いたほうがいいと、アグウェルから提案があった。
工場で働いている工員の中から、荷馬車を操れる者達に、工場と店舗までの荷運びをしてもらっているけど、これより荷の流通が激しくなれば、専門の業者が欲しいところだよね……
……このエクストリア世界には乗合馬車を営んでいる者達はいるけど、荷の運搬を専門に扱う商会や商人……例えば、前世の日本の記憶にある〇〇運輸みたいな運送を営む商人ってなかなかいないんだよね……
だって、街から街、国から国へ移動する時、野盗や魔獣に襲われる危険性も高いから、冒険者や傭兵団を雇わないといけないし、その危険に見合うだけの利益を得られるかというと、微妙としか言えないからね。
王都ブリタス、王都ナブル、王都トラント、王都ダルトンにある『ロンメル商会』の店舗には、姿見の転移ゲートを設置してあるから、今まで商品の運搬についてはさほど問題はなかったけど……工場の数と店舗数が増えてきて、長距離での荷運びが必要になってくると、そこは解決しておきたい課題だよね……
そこまで考えて、僕は対面のソファに座るアグウェルへ声をかける。
「この世界には飛竜、ワイバーン、グリフォンをテイム、従魔にしている国ってないの?」
「グランタリア大陸の多くの国々を旅しましたが、空を飛ぶ大型魔獣を従魔にしていたのは、五百年前に滅んでしまった魔王国と古代王国のみですね。どうしてそのようなことを聞かれるのですか?」
「いや……陸で運ぶと危険が多いなら、空を飛んで荷を運べれば安全だと思って」
「グランタリア大陸の中央にある、オートルザム山脈には多くの竜種やグリフォンが生息しています。その魔獣達を使役することができれば、荷運びをさせるには適任かと。下等の竜種でも比較的に頭が良いので、飼い慣らすことは簡単ではあります」
オートルザム山脈って、父上の蔵書で読んだことがあるけど、五百年前までは魔王軍の拠点があった場所だよね……古代竜まで棲んでいるって本には書かれてたけど……
「でも、そんな危険な場所まで行って、グリフォンや飛竜を見つけてきたとしても、飛竜を操れる者っているの?」
「人族、亜人、獣人の中にはテイマーもいますが、今まで空飛ぶ大型魔獣をテイムして操った者はいないでしょう」
「操縦者がいないのなら、グリフォンや飛竜をテイムしても意味ないね」
いきなりソファから立ち上がったアグウェルが、僕に向けて深々と頭を下げる。
「グランタリア大陸の国々には、五百年前の大戦に破れた魔族が多く隠れ住んでいます。その中には元は私の配下だった者達もいます。シオン様に命じていただければ、その者達を探し出し、招集をかけたいと存じます。皆、人族、亜人、獣人に見つからぬように怯えて暮らしている者達ばかりですので、喜んでシオン様の下で働くことでしょう」
ロンメル商会の正規の人員も足りてないし、従順に働いてくれるなら種族なんて関係ないけど……それにアグウェルの元配下であれば、アグウェルに指示に従ってくれるだろうし……
「魔族が集まったからといって、魔王軍復活とかはイヤだからね」
「魔王軍が滅んで五百年が過ぎ、今更そんな野望は持っておりません。それに今の私は、シオン様が辿るこれからの行く末、その一助になれることを喜んでいるのですから」
「人員の件はアグウェルに任せるよ。その間に僕は、魔獣をテイムするアイテムを開発しておくね」
「では失礼いたします」
アグウェルは胸に手をあて礼をすると、黒霧となって去っていった。
帝都イシュタルの執務室に一人残った僕は、机の中から羊皮紙、ペン、インクを取り出す。
そして床に羊皮紙を敷き、《創造魔法陣》のスキルを開放して、魔法陣を描いていく。
今回描く魔法陣は『従順になる肉』と『テイムできる果実』だ。
二つの魔法陣を描き終えた僕は、肉と果実を執務室まで持ってきてくれるようにレミリアに頼んだ。
すると彼女はオークの肉と林檎に似た果実を街で買って来てくれた。
「何に使うですか?」
「ちょっと見ててね」
皿に乗っている肉と果実をそれぞれの魔法陣に置いて、魔法陣に手を添えて魔力を流してみる。
すると肉と果実が輝き始め、しばらくすると光は消えていった。
……これで効果はあるはずだけど……見た目的な変化はないね……どうやって検証しようかな……
肉と果実の皿を持って頭を悩ませていると、レミリアが横から果実を取って、一口かじる。
「ん~すっごく美味しいですよ。シオン様もおひとついかがですか?」
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