37 / 58
第2章 グランタリア大陸東部編
71.ラバネス半島三国会議①
しおりを挟む
セレーネ王妃の号令で、ブリタニス王国、トランスベル王国、ナブラスト王国、ラバネス半島の三国の王宮が王都ブリタスに集うこととなった。
どこから情報が漏れたのか、三国の会合があることを知った、商業ギルド東支部のリンメイさんも協議に参加するという。
それから一週間後の会合の当日、僕と父上、アグウェルの三人は王宮からの呼び出しを受け、王城へと向かった。
会議室に入ると、ライオネル王陛下、セレーネ王妃、フィーネ、マリナ女王陛下、ゲアハルト国王陛下、ロナウド王太子、カイロス第二王子と三国の王家が勢揃いしていて、リンメイさんも席に座っていた。
僕達三人が椅子に座ると、セレーネ王妃が立ち上がって恭しく礼をする。
「皆さん集まってくださり、ありがとうございます。まずは簡単に『ロンメル商会』のラバネス半島での現状を知っていただきたいと思います。ではシオン君、皆さんへ発表してあげて」
……え……全く打ち合わせも何もなかったんですけど……最近、僕は魔法学院のことや、アシュラム王国やファラレスト皇国へ旅に出ていたから、『ロンメル』商会の内情については全く知らないんですけど……
いきなりセレーネ王妃に話を振られて戸惑っていると、僕の隣に座っていたアグウェルがスッと席から立ち上がる。
「『ロンメル商会』の統括をしておりますアグウェルと申します。まずは『ボーン食器』の売れ行きについては三国共に順調で、各家庭の食器の中で、ほぼ六割以上の食器が『ボーン食器』となっており、全ての食器が『ボーン食器』という家も少なくありません』
……各家庭の食器の六割が『ボーン食器』……それって僕の予想の斜め上過ぎるんだけど……
「次に石鹸と香水についてですが、石鹸の販売以降、ラバネス半島では、毎日のように体を石鹸で洗う庶民は増え続けております。ですので石鹸の消費はこれからも継続して続くでしょう。香水にいたっては、三国の貴族、資産を持つ商人を中心に、香水を常時つける習慣が広まっており、若い男女の間でも流行しています」
……石鹸の影響で、毎日体を洗う人が増えてるんだね……これで病気になる人が減ればすごくいいな……
「そして『ブラーフ』と『パンピ』についてですが、三国の女性達のほぼ全員が『ブラーフ』と『パンピ』を着用し、着替え用に数枚の『ブラーフ』と『パンピ』を保有しています。爆発的な伸びは収束しましたが、まだまだ売り上げは伸びていくでしょう。現状は以上です」
アグウェルが報告を終えると、セレーネ王妃はニッコリと微笑んで、大きく頷いた。
「これで皆さんにも現状をおわかりいただけたでしょう。ラバネス半島三国にとって『ロンメル商会』の商品は、既になくてはならないモノになっているということを。その『ロンメル商会』がグランタリア大陸のイシュガルド帝国、ファラレスト皇国、アシュラム王国から工場建設の打診を受け、爵位まで提示されています 。爵位については、シオン君が断っていますけれど」
「ということは、大陸の三国は『ロンメル商会』に拠点を変えさせ、抱き込もうということかのう?」
「待て、大陸の連中のところに工場を建設するなら、順序としてトランスベル王国も工場を作るのが先ではないか」
「父上、今はそういう話をしていませんよ。大陸の三国に対して、我々がどう対処すべきかを話し合っているんです」
声を荒げるゲアハルト国王陛下をカイロス第二王子が諫める。
するとリンメイさんがスッと立ち上がり、手の平を見せる。
「少し待っていただきたい。確かにイシュガルド帝国からもアシュラム王国からも、シオン君は爵位を与えると言われていますが、その時に断って、二国ともそれで了承しています。工場建設の希望については三国から要望が出ていますが、それは『ロンメル商会』の拠点を大陸に移すことが三国の目的ではないと推測いたします」
「商業ギルドは国を持たぬが故に、国というもの考え方がわからんようだな。国というのは自国が潤うためには他国を蹴落とす。それが国のあり方というものだ」
「……そうだな。ゲアハルト国王陛下のいうことも一理ある。だからこうして、皆に集まってもらったのだからな」
リンメイさんにゲアハルト国王陛下が噛みつき、ライオネル国王陛下がそれに同意する。
……そういえば、前世の日本の地球でも色々な国が諍いを起こしていたよね……
「まずはシオン君の意見を聞くべきでしょう。シオン君、大陸の三国からの工場建設の打診について、どのように回答しようと思ってるの?」
「……アシュラム王国は砂漠の国で、日焼け止め薬は必要なので、薬剤工場は必要かなって……あと大陸に『ロンメル商会』の商品を広めるには、どこかに工場を建設しないといけないから、工場を建ててくれると言ってくれてる、イシュガルド帝国とファラレスト皇国に工場を建設してもいいかなって……」
「では三国からの工場建設の要望には、受けたいという考えなのね?」
「……はい……」
リンメイさんの問いに、僕は大きく頷く。
するとマリナ女王が小さく手をあげる。
「消費期限の長い商品であれば、輸送で事足りるじゃろう。わざわざ工場を建設せずとも、倉庫でよいではないか。工場を作れば、人件費もバカにならんしのう。倉庫であれば人員もそれほどいるまい」
……『ロンメル商会』の工場は、王宮や商業ギルドが人員募集をかけ、その工員を管理してくれてるんだけど、人件費はもちろん『ロンメル商会』が支払っている。詳細についてはアグウェルとレミリアに任せているので、正確な数字までは把握していないけど、人件費がバカにできないことはわかる。
……マリナ女王の指摘も一理あるよね……でも、三国から打診されているのは工場建設だから、倉庫を作るというのは、倉庫を建設した国から不満が出るよね……
どこから情報が漏れたのか、三国の会合があることを知った、商業ギルド東支部のリンメイさんも協議に参加するという。
それから一週間後の会合の当日、僕と父上、アグウェルの三人は王宮からの呼び出しを受け、王城へと向かった。
会議室に入ると、ライオネル王陛下、セレーネ王妃、フィーネ、マリナ女王陛下、ゲアハルト国王陛下、ロナウド王太子、カイロス第二王子と三国の王家が勢揃いしていて、リンメイさんも席に座っていた。
僕達三人が椅子に座ると、セレーネ王妃が立ち上がって恭しく礼をする。
「皆さん集まってくださり、ありがとうございます。まずは簡単に『ロンメル商会』のラバネス半島での現状を知っていただきたいと思います。ではシオン君、皆さんへ発表してあげて」
……え……全く打ち合わせも何もなかったんですけど……最近、僕は魔法学院のことや、アシュラム王国やファラレスト皇国へ旅に出ていたから、『ロンメル』商会の内情については全く知らないんですけど……
いきなりセレーネ王妃に話を振られて戸惑っていると、僕の隣に座っていたアグウェルがスッと席から立ち上がる。
「『ロンメル商会』の統括をしておりますアグウェルと申します。まずは『ボーン食器』の売れ行きについては三国共に順調で、各家庭の食器の中で、ほぼ六割以上の食器が『ボーン食器』となっており、全ての食器が『ボーン食器』という家も少なくありません』
……各家庭の食器の六割が『ボーン食器』……それって僕の予想の斜め上過ぎるんだけど……
「次に石鹸と香水についてですが、石鹸の販売以降、ラバネス半島では、毎日のように体を石鹸で洗う庶民は増え続けております。ですので石鹸の消費はこれからも継続して続くでしょう。香水にいたっては、三国の貴族、資産を持つ商人を中心に、香水を常時つける習慣が広まっており、若い男女の間でも流行しています」
……石鹸の影響で、毎日体を洗う人が増えてるんだね……これで病気になる人が減ればすごくいいな……
「そして『ブラーフ』と『パンピ』についてですが、三国の女性達のほぼ全員が『ブラーフ』と『パンピ』を着用し、着替え用に数枚の『ブラーフ』と『パンピ』を保有しています。爆発的な伸びは収束しましたが、まだまだ売り上げは伸びていくでしょう。現状は以上です」
アグウェルが報告を終えると、セレーネ王妃はニッコリと微笑んで、大きく頷いた。
「これで皆さんにも現状をおわかりいただけたでしょう。ラバネス半島三国にとって『ロンメル商会』の商品は、既になくてはならないモノになっているということを。その『ロンメル商会』がグランタリア大陸のイシュガルド帝国、ファラレスト皇国、アシュラム王国から工場建設の打診を受け、爵位まで提示されています 。爵位については、シオン君が断っていますけれど」
「ということは、大陸の三国は『ロンメル商会』に拠点を変えさせ、抱き込もうということかのう?」
「待て、大陸の連中のところに工場を建設するなら、順序としてトランスベル王国も工場を作るのが先ではないか」
「父上、今はそういう話をしていませんよ。大陸の三国に対して、我々がどう対処すべきかを話し合っているんです」
声を荒げるゲアハルト国王陛下をカイロス第二王子が諫める。
するとリンメイさんがスッと立ち上がり、手の平を見せる。
「少し待っていただきたい。確かにイシュガルド帝国からもアシュラム王国からも、シオン君は爵位を与えると言われていますが、その時に断って、二国ともそれで了承しています。工場建設の希望については三国から要望が出ていますが、それは『ロンメル商会』の拠点を大陸に移すことが三国の目的ではないと推測いたします」
「商業ギルドは国を持たぬが故に、国というもの考え方がわからんようだな。国というのは自国が潤うためには他国を蹴落とす。それが国のあり方というものだ」
「……そうだな。ゲアハルト国王陛下のいうことも一理ある。だからこうして、皆に集まってもらったのだからな」
リンメイさんにゲアハルト国王陛下が噛みつき、ライオネル国王陛下がそれに同意する。
……そういえば、前世の日本の地球でも色々な国が諍いを起こしていたよね……
「まずはシオン君の意見を聞くべきでしょう。シオン君、大陸の三国からの工場建設の打診について、どのように回答しようと思ってるの?」
「……アシュラム王国は砂漠の国で、日焼け止め薬は必要なので、薬剤工場は必要かなって……あと大陸に『ロンメル商会』の商品を広めるには、どこかに工場を建設しないといけないから、工場を建ててくれると言ってくれてる、イシュガルド帝国とファラレスト皇国に工場を建設してもいいかなって……」
「では三国からの工場建設の要望には、受けたいという考えなのね?」
「……はい……」
リンメイさんの問いに、僕は大きく頷く。
するとマリナ女王が小さく手をあげる。
「消費期限の長い商品であれば、輸送で事足りるじゃろう。わざわざ工場を建設せずとも、倉庫でよいではないか。工場を作れば、人件費もバカにならんしのう。倉庫であれば人員もそれほどいるまい」
……『ロンメル商会』の工場は、王宮や商業ギルドが人員募集をかけ、その工員を管理してくれてるんだけど、人件費はもちろん『ロンメル商会』が支払っている。詳細についてはアグウェルとレミリアに任せているので、正確な数字までは把握していないけど、人件費がバカにできないことはわかる。
……マリナ女王の指摘も一理あるよね……でも、三国から打診されているのは工場建設だから、倉庫を作るというのは、倉庫を建設した国から不満が出るよね……
1,364
お気に入りに追加
4,761
あなたにおすすめの小説

【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます
まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。
貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。
そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。
☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。
☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。
辺境領主は大貴族に成り上がる! チート知識でのびのび領地経営します
潮ノ海月
ファンタジー
旧題:転生貴族の領地経営~チート知識を活用して、辺境領主は成り上がる!
トールデント帝国と国境を接していたフレンハイム子爵領の領主バルトハイドは、突如、侵攻を開始した帝国軍から領地を守るためにルッセン砦で迎撃に向かうが、守り切れず戦死してしまう。
領主バルトハイドが戦争で死亡した事で、唯一の後継者であったアクスが跡目を継ぐことになってしまう。
アクスの前世は日本人であり、争いごとが極端に苦手であったが、領民を守るために立ち上がることを決意する。
だが、兵士の証言からしてラッセル砦を陥落させた帝国軍の数は10倍以上であることが明らかになってしまう
完全に手詰まりの中で、アクスは日本人として暮らしてきた知識を活用し、さらには領都から避難してきた獣人や亜人を仲間に引き入れ秘策を練る。
果たしてアクスは帝国軍に勝利できるのか!?
これは転生貴族アクスが領地経営に奮闘し、大貴族へ成りあがる物語。
異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します
桂崇
ファンタジー
小さな町で酒場の手伝いをする母親と2人で住む少年イールスに転生覚醒する、チートする方法も無く、母親の死により、実の父親の家に引き取られる。イールスは、冒険者になろうと目指すが、周囲はその才能を惜しんでいる
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

魔王を倒した手柄を横取りされたけど、俺を処刑するのは無理じゃないかな
七辻ゆゆ
ファンタジー
「では罪人よ。おまえはあくまで自分が勇者であり、魔王を倒したと言うのだな?」
「そうそう」
茶番にも飽きてきた。処刑できるというのなら、ぜひやってみてほしい。
無理だと思うけど。

今さら言われても・・・私は趣味に生きてますので
sherry
ファンタジー
ある日森に置き去りにされた少女はひょんな事から自分が前世の記憶を持ち、この世界に生まれ変わったことを思い出す。
早々に今世の家族に見切りをつけた少女は色んな出会いもあり、周りに呆れられながらも成長していく。
なのに・・・今更そんなこと言われても・・・出来ればそのまま放置しといてくれません?私は私で気楽にやってますので。
※魔法と剣の世界です。
※所々ご都合設定かもしれません。初ジャンルなので、暖かく見守っていただけたら幸いです。


またね。次ね。今度ね。聞き飽きました。お断りです。
朝山みどり
ファンタジー
ミシガン伯爵家のリリーは、いつも後回しにされていた。転んで怪我をしても、熱を出しても誰もなにもしてくれない。わたしは家族じゃないんだとリリーは思っていた。
婚約者こそいるけど、相手も自分と同じ境遇の侯爵家の二男。だから、リリーは彼と家族を作りたいと願っていた。
だけど、彼は妹のアナベルとの結婚を望み、婚約は解消された。
リリーは失望に負けずに自身の才能を武器に道を切り開いて行った。
「なろう」「カクヨム」に投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。