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第2章 グランタリア大陸東部編
68.帝都イシュタルへの帰路!
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アシュラム王国は砂漠の国であるが故に日差しが厳しい。
だから日中に外に出て仕事をする肉体労働者達は、酷い火傷に苦しんでいるという。
なので日焼け止め薬は、火傷防止の特効薬となるということだ。
僕の顔を見て、日焼け止め薬の効果を核心したフスタース国王陛下は、日焼け止め薬をアシュラム王国に卸してほしいと、僕に依頼をしてきた。
日焼け止め薬はアシュラム王国の暑さと日差しの強さをヒントとして作った薬だから、アシュラム王国に売るのに何の問題もない。
その報酬として、フスタース国王陛下は『ロンメル商会』の店舗を王都アッシュに建設してくれるという。
……この旅のキッカケはカイロスが『ロンメル商会』の商品を、アシュラム王国に広めたいということだったから、これで一応は目的達成になるよね……
その申し出に、僕は素直に応じることにした。
すると、フスタース国王陛下が王都アッシュに薬剤工場を作りたいと言い出した。
薬剤は王都ブリタスにあると伝えると、運搬費用がかさむので王都アッシュに工場を置いて欲しいと懇願されたのだけど。
……薬剤工場はセレーネ王妃が建ててくれたものだし……セレーネ王妃の許可を得ないと怒られる可能性がある……それにマリナ女王陛下にも伝えておかないとな……
「僕の一存では決められないので、その件については、持ち帰っていいですか?」
「致し方ない……なるべく希望を叶えてほしい……そのためであれば爵位を与えてもよい」
「僕はアシュラム王国の民ではないので、それは謹んでお断り申し上げます」
フスタース国王陛下に残念そうな表情をされたけど、こればかりは仕方がない。
先日、イシュガルド帝国の爵位も断ったばかりだからね。
フスタース国王陛下との会談を終えると、カイロスが慌てだした。
「こうしちゃいられない。すぐに帝都イシュタルへ戻ろうぜ。シオンには一刻も早く、日焼け止め薬の件で動いてほしいからな」
「えー、せっかく砂漠の国に来たんだから、観光もして行きたいのに」
「エレミア、すまない。アシュラム王国の多くの肉体労働者達が日焼けの火傷で苦しんでるんだ。だからわかってほしい」
「そんなこと言われたら、ワガママ言えないじゃない」
そう言ってエレミアは頬を赤らめる。
リムルが黙っているので不思議に思い訊ねると、「シオン様と一緒なら、どの国でもいいわ」とのことだった。
こうして僕、リムル、エレミア、カイロスの四人は、王都アッシュに到着したばかりなのに、トンボ帰りすることになった。
既に当初の目的は達成しているからいいけど……エレミアと一緒で、僕も砂漠の国をもっと堪能したかったな……でもカイロスの気持ちも理解できるから……今回は諦めよう……
フスタース国王陛下と会った翌日、僕達四人は馬車に乗り込んで、ファラレスト皇国への帰路に着いた。
途中で国境の砦を越えて、僕達を乗せた馬車は五日間の後に、ファラレスト皇国の王都ファランに到着した。
そして僕達四人は王城へ向かい、クラウス、グレース、アミーレ王妃に、王都アッシュであった出来事を説明した。
するとアミーレ王妃から驚くような言葉が飛び出した。
「王都アッシュに『ロンメル商会』の工場を作るなら、ぜひ我が王都ファランにも工場を置いてほしいわ」
「それなら帝都イシュタルにも『ロンメル商会』の工場が欲しいわよ。父上に頼めば、すぐに建設してくれるはずだもの」
アミーレ王妃とエレミアの間で静かに火花が散っているようだ。
……僕の商会の工場の件で二人に揉めてほしくないな……
「王都ファランの件も、帝都イシュタルの件も考えますから」
「本当ですね、それは嬉しいです。こちらも爵位を考えておくわね」
「爵位については謹んでお断りします……」
……なんだかややこしいことになってきたよね……帝都イシュタルに戻ったらアグウェルを呼んで、二人で商業ギルド東支部のリンメイさんを訊ねてみよう。
支部長のリンメイさんなら、いい案がでるかもしれないし……
クラウスも僕達と一緒に帰ろうとすると、アミーレ王妃から待ったがかかった。
「クラウス、あなたは自分の商会の店舗が全てが完了するまで、帝都に戻ってはいけません。自分で言い出したことでしょ。自分でキチンと責任をもちなさい」
「そんな……」
「私も一緒に残ります。クラウスだけを残したりはしません」
クラウスの隣にいたグレースが彼の肩にポンと手を置く。
こうして僕、リムル、エレミア、カイロスの四人だけで帝都イシュタルへと戻ることになった。
王都アッシュから馬車を乗り詰めだった僕達四人は、宿に二日泊まり、体調を整えてから帝都イシュタルへと出発した。
街道の街々の宿で一泊しながら、国境を越えて馬車で旅を続けて一週間後、僕達は帝都イシュタルに到着した。
エレミア、カイロスとわかれて、帝都イシュタルの店舗へ向かうと、レミリアが満面の笑みで迎えてくれた。
「お早いお帰りでしたが、何かあったのですか?」
「うん……色々あったんだ……」
「疲れているようですね。今日はゆっくりしてください。後のことは私とリムルでやっておきますから」
レミリアが優しく僕を抱きしめて、髪を撫でてくれる。
……やっぱりレミリアが近くにいると心が落ち着く……今度から旅に出る時は必ず彼女に同行してもらおう……
だから日中に外に出て仕事をする肉体労働者達は、酷い火傷に苦しんでいるという。
なので日焼け止め薬は、火傷防止の特効薬となるということだ。
僕の顔を見て、日焼け止め薬の効果を核心したフスタース国王陛下は、日焼け止め薬をアシュラム王国に卸してほしいと、僕に依頼をしてきた。
日焼け止め薬はアシュラム王国の暑さと日差しの強さをヒントとして作った薬だから、アシュラム王国に売るのに何の問題もない。
その報酬として、フスタース国王陛下は『ロンメル商会』の店舗を王都アッシュに建設してくれるという。
……この旅のキッカケはカイロスが『ロンメル商会』の商品を、アシュラム王国に広めたいということだったから、これで一応は目的達成になるよね……
その申し出に、僕は素直に応じることにした。
すると、フスタース国王陛下が王都アッシュに薬剤工場を作りたいと言い出した。
薬剤は王都ブリタスにあると伝えると、運搬費用がかさむので王都アッシュに工場を置いて欲しいと懇願されたのだけど。
……薬剤工場はセレーネ王妃が建ててくれたものだし……セレーネ王妃の許可を得ないと怒られる可能性がある……それにマリナ女王陛下にも伝えておかないとな……
「僕の一存では決められないので、その件については、持ち帰っていいですか?」
「致し方ない……なるべく希望を叶えてほしい……そのためであれば爵位を与えてもよい」
「僕はアシュラム王国の民ではないので、それは謹んでお断り申し上げます」
フスタース国王陛下に残念そうな表情をされたけど、こればかりは仕方がない。
先日、イシュガルド帝国の爵位も断ったばかりだからね。
フスタース国王陛下との会談を終えると、カイロスが慌てだした。
「こうしちゃいられない。すぐに帝都イシュタルへ戻ろうぜ。シオンには一刻も早く、日焼け止め薬の件で動いてほしいからな」
「えー、せっかく砂漠の国に来たんだから、観光もして行きたいのに」
「エレミア、すまない。アシュラム王国の多くの肉体労働者達が日焼けの火傷で苦しんでるんだ。だからわかってほしい」
「そんなこと言われたら、ワガママ言えないじゃない」
そう言ってエレミアは頬を赤らめる。
リムルが黙っているので不思議に思い訊ねると、「シオン様と一緒なら、どの国でもいいわ」とのことだった。
こうして僕、リムル、エレミア、カイロスの四人は、王都アッシュに到着したばかりなのに、トンボ帰りすることになった。
既に当初の目的は達成しているからいいけど……エレミアと一緒で、僕も砂漠の国をもっと堪能したかったな……でもカイロスの気持ちも理解できるから……今回は諦めよう……
フスタース国王陛下と会った翌日、僕達四人は馬車に乗り込んで、ファラレスト皇国への帰路に着いた。
途中で国境の砦を越えて、僕達を乗せた馬車は五日間の後に、ファラレスト皇国の王都ファランに到着した。
そして僕達四人は王城へ向かい、クラウス、グレース、アミーレ王妃に、王都アッシュであった出来事を説明した。
するとアミーレ王妃から驚くような言葉が飛び出した。
「王都アッシュに『ロンメル商会』の工場を作るなら、ぜひ我が王都ファランにも工場を置いてほしいわ」
「それなら帝都イシュタルにも『ロンメル商会』の工場が欲しいわよ。父上に頼めば、すぐに建設してくれるはずだもの」
アミーレ王妃とエレミアの間で静かに火花が散っているようだ。
……僕の商会の工場の件で二人に揉めてほしくないな……
「王都ファランの件も、帝都イシュタルの件も考えますから」
「本当ですね、それは嬉しいです。こちらも爵位を考えておくわね」
「爵位については謹んでお断りします……」
……なんだかややこしいことになってきたよね……帝都イシュタルに戻ったらアグウェルを呼んで、二人で商業ギルド東支部のリンメイさんを訊ねてみよう。
支部長のリンメイさんなら、いい案がでるかもしれないし……
クラウスも僕達と一緒に帰ろうとすると、アミーレ王妃から待ったがかかった。
「クラウス、あなたは自分の商会の店舗が全てが完了するまで、帝都に戻ってはいけません。自分で言い出したことでしょ。自分でキチンと責任をもちなさい」
「そんな……」
「私も一緒に残ります。クラウスだけを残したりはしません」
クラウスの隣にいたグレースが彼の肩にポンと手を置く。
こうして僕、リムル、エレミア、カイロスの四人だけで帝都イシュタルへと戻ることになった。
王都アッシュから馬車を乗り詰めだった僕達四人は、宿に二日泊まり、体調を整えてから帝都イシュタルへと出発した。
街道の街々の宿で一泊しながら、国境を越えて馬車で旅を続けて一週間後、僕達は帝都イシュタルに到着した。
エレミア、カイロスとわかれて、帝都イシュタルの店舗へ向かうと、レミリアが満面の笑みで迎えてくれた。
「お早いお帰りでしたが、何かあったのですか?」
「うん……色々あったんだ……」
「疲れているようですね。今日はゆっくりしてください。後のことは私とリムルでやっておきますから」
レミリアが優しく僕を抱きしめて、髪を撫でてくれる。
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