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第2章 グランタリア大陸東部編
65.王都アッシュへ到着!
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ファラレスト皇国の皇都ファランに到着した僕達は、城に赴いてクラウスの母親であるアミーレ王妃とお会いした。
その場でクラウスが皇都ファランで商会をすると言い、『ロンメル商会』の商品を卸したいと言い出した。
知らない人なら断るところだけど、学友であるクラウスの頼みだし、僕も皇都ファランに拠点を持ちたいから、彼に商会の商品を卸すことにした。
僕はリムルに頼んで、夜のうちに空を飛んで、帝都イシュタルにいるレミリアへ、クラウスが商会を作って『ロンメル商会』の商品を卸すことを伝えてもらい、彼女にその下準備を進めてもらうように伝言を頼んでおく。
朝方近くに皇都ファランの宿に戻ってきたリムルは、少し眠そうだったけど、魔族はあまり眠らなくても大丈夫と元気に笑っていた。
クラウスは街の大通りにある店舗を借り受け、店内を改装するという。
街の職人が改装工事をしている間に、僕、リムル、エレミア、カイロスの四人はアシュラム王国へ向かうため出発することになった。
クラウスとグレースもアシュラム王国へ向かう予定だったけど、自分の商会の店舗の改装を見守りなさいと、アミーレ王妃から止められた。
まあクラウスは自分から商会を作ると言い出したから仕方ないけど、グレースはちょっと可哀そうかも……
僕達四人は馬車一台に乗り込み、街道を西へと進んでいく。
道の途中にある街々で宿泊しながら、三日の間馬車で走らせると国境が見えてきた。
その頃から段々と周囲は乾いた荒地へと変わってきた。
国境の砦を潜り、僕達の馬車は王都アッシュを目指す。
周囲の景色は、徐々に荒地から砂漠地帯へと変化していった。
……馬車を引いているのがレントリザードで良かった……もし馬だったら足を砂に取られて、馬車が真っ直ぐ走れなかったかもしれない……
王都アッシュに到着したのは国境を出発してから二日目の昼前だった。
馬車から下りた僕達を、ギラギラとした日光が容赦なく照らす。
……馬車の中は冷風の魔道具があったから快適だったけど、さすがに街中にはないからね……
「だから城に泊まればいいと言ってるだろ。城なら街よりは涼しいのに」
「でも、せっかく砂漠に来たんだから、やっぱり砂漠の国の暑さを感じたいよ」
「シオンの言いたいことすっごくわかるわ。やっぱり旅の醍醐味って不自由さよね」
……激しく同意してくれるけど、ちょっと僕と言ってる意味が違う気がする……
僕達四人は大通りの衣服屋に立ち寄り、砂漠の衣装を買って試着室で着替えた。
……前世の日本にいた時から、一度は砂漠の国へ旅行したいと思ってたんだよね……
僕は頭に巻いたターバンを触って、異国の服を堪能した。
エレミアとリムルは暑いと言って、上は水着のような『ブラーフ』、下はシルクのような生地の長いスカート、そして体の上から、薄いヒラヒラした民族衣装のアバーヤのような服を羽織り、腰を紐でキュッと絞っている。
僕、リムル、エレミアの三人は高級宿に泊まることになり、カイロスは一足先に城へと戻っていった。
僕達の泊まった宿は高級店なだけあって、部屋には冷風の魔道具が設定されており、室内はとても快適だ。
カバーヤを脱いだ、エレミアとリムルがベッドに飛び乗る。
「あー暑かったー! 干からびるかと思ったわ」
「うー溶けちゃうー!」
「二人共、『ブラーフ』姿でウロウロするのは止めてよ。僕も一応は男なんだから」
「えー、だってシオンは十歳のお子ちゃまだから気にしないよ」
……エレミアだって僕と二歳しか変わらないじゃないか……
「シオン様だったら、私は全部見せちゃってもいいーよ」
「うわうわ、リムル、裸になろうとしないで!」
ベッドの上でリムルが服を脱ぎ始めたので、僕は慌てて部屋を飛び出した。
室内からはエレミアが「キャハハ」と笑う声が聞こえてくる。
部屋に戻るとまたからかわれると思った僕は、廊下を歩いて一階の応接室へと向かった。
広い応接室には、多くの泊り客が、それぞれにソファに座って休んでいた。
僕もソファに座って、一息つく。
応接室も冷風の魔道具が置かれているから、実に快適だ。
窓から見える外の人々は、日光を避けるように過ぎていく。
アバーヤのような日光を遮る服を着ても、直射日光はキツイよね。
砂漠に住む女性の人達は、日光を避けるような衣装を着ないといけないから、色々なオシャレができないみたいで、ちょっと可哀そうかも……
そういえば前世の記憶にある日本でも、美白ブームが流行った時、女性の人達は街中を歩く時でも、日焼け止め薬クリームを塗ってたっけ。
そこまで考えて僕はハッと気づく。
もし、完全に日焼けを防ぐ薬を作れば、ここアシュラム王国で売れるんじゃないのかな?
僕はガバッとソファから立ち上がり、廊下を駆け抜け、階段を急いで上って、自分達が泊まる部屋へと戻る。
扉を開けて部屋の中へ入ると、リムルとエレミアはベッドの上でスヤスヤと眠っていた。
僕もちょっと眠くなってきたので、空いているベッドに横になる。
……気持ちよく寝てるから、新商品の開発は明日からでもいいかな……
……おやすみなさい……
その場でクラウスが皇都ファランで商会をすると言い、『ロンメル商会』の商品を卸したいと言い出した。
知らない人なら断るところだけど、学友であるクラウスの頼みだし、僕も皇都ファランに拠点を持ちたいから、彼に商会の商品を卸すことにした。
僕はリムルに頼んで、夜のうちに空を飛んで、帝都イシュタルにいるレミリアへ、クラウスが商会を作って『ロンメル商会』の商品を卸すことを伝えてもらい、彼女にその下準備を進めてもらうように伝言を頼んでおく。
朝方近くに皇都ファランの宿に戻ってきたリムルは、少し眠そうだったけど、魔族はあまり眠らなくても大丈夫と元気に笑っていた。
クラウスは街の大通りにある店舗を借り受け、店内を改装するという。
街の職人が改装工事をしている間に、僕、リムル、エレミア、カイロスの四人はアシュラム王国へ向かうため出発することになった。
クラウスとグレースもアシュラム王国へ向かう予定だったけど、自分の商会の店舗の改装を見守りなさいと、アミーレ王妃から止められた。
まあクラウスは自分から商会を作ると言い出したから仕方ないけど、グレースはちょっと可哀そうかも……
僕達四人は馬車一台に乗り込み、街道を西へと進んでいく。
道の途中にある街々で宿泊しながら、三日の間馬車で走らせると国境が見えてきた。
その頃から段々と周囲は乾いた荒地へと変わってきた。
国境の砦を潜り、僕達の馬車は王都アッシュを目指す。
周囲の景色は、徐々に荒地から砂漠地帯へと変化していった。
……馬車を引いているのがレントリザードで良かった……もし馬だったら足を砂に取られて、馬車が真っ直ぐ走れなかったかもしれない……
王都アッシュに到着したのは国境を出発してから二日目の昼前だった。
馬車から下りた僕達を、ギラギラとした日光が容赦なく照らす。
……馬車の中は冷風の魔道具があったから快適だったけど、さすがに街中にはないからね……
「だから城に泊まればいいと言ってるだろ。城なら街よりは涼しいのに」
「でも、せっかく砂漠に来たんだから、やっぱり砂漠の国の暑さを感じたいよ」
「シオンの言いたいことすっごくわかるわ。やっぱり旅の醍醐味って不自由さよね」
……激しく同意してくれるけど、ちょっと僕と言ってる意味が違う気がする……
僕達四人は大通りの衣服屋に立ち寄り、砂漠の衣装を買って試着室で着替えた。
……前世の日本にいた時から、一度は砂漠の国へ旅行したいと思ってたんだよね……
僕は頭に巻いたターバンを触って、異国の服を堪能した。
エレミアとリムルは暑いと言って、上は水着のような『ブラーフ』、下はシルクのような生地の長いスカート、そして体の上から、薄いヒラヒラした民族衣装のアバーヤのような服を羽織り、腰を紐でキュッと絞っている。
僕、リムル、エレミアの三人は高級宿に泊まることになり、カイロスは一足先に城へと戻っていった。
僕達の泊まった宿は高級店なだけあって、部屋には冷風の魔道具が設定されており、室内はとても快適だ。
カバーヤを脱いだ、エレミアとリムルがベッドに飛び乗る。
「あー暑かったー! 干からびるかと思ったわ」
「うー溶けちゃうー!」
「二人共、『ブラーフ』姿でウロウロするのは止めてよ。僕も一応は男なんだから」
「えー、だってシオンは十歳のお子ちゃまだから気にしないよ」
……エレミアだって僕と二歳しか変わらないじゃないか……
「シオン様だったら、私は全部見せちゃってもいいーよ」
「うわうわ、リムル、裸になろうとしないで!」
ベッドの上でリムルが服を脱ぎ始めたので、僕は慌てて部屋を飛び出した。
室内からはエレミアが「キャハハ」と笑う声が聞こえてくる。
部屋に戻るとまたからかわれると思った僕は、廊下を歩いて一階の応接室へと向かった。
広い応接室には、多くの泊り客が、それぞれにソファに座って休んでいた。
僕もソファに座って、一息つく。
応接室も冷風の魔道具が置かれているから、実に快適だ。
窓から見える外の人々は、日光を避けるように過ぎていく。
アバーヤのような日光を遮る服を着ても、直射日光はキツイよね。
砂漠に住む女性の人達は、日光を避けるような衣装を着ないといけないから、色々なオシャレができないみたいで、ちょっと可哀そうかも……
そういえば前世の記憶にある日本でも、美白ブームが流行った時、女性の人達は街中を歩く時でも、日焼け止め薬クリームを塗ってたっけ。
そこまで考えて僕はハッと気づく。
もし、完全に日焼けを防ぐ薬を作れば、ここアシュラム王国で売れるんじゃないのかな?
僕はガバッとソファから立ち上がり、廊下を駆け抜け、階段を急いで上って、自分達が泊まる部屋へと戻る。
扉を開けて部屋の中へ入ると、リムルとエレミアはベッドの上でスヤスヤと眠っていた。
僕もちょっと眠くなってきたので、空いているベッドに横になる。
……気持ちよく寝てるから、新商品の開発は明日からでもいいかな……
……おやすみなさい……
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