56 / 93
第2章 グランタリア大陸東部編
55.はじめての学友!
しおりを挟む
え……どうして僕が生身で魔法を使えないことがバレてるの?……
エレミアに指摘されたことに驚いていると、彼女が茶目っ気いっぱいに微笑む。
「私、魔力を見通す目を持ってるの……だから人の魔力の循環が見えるわけ。……シオン君の体は内部でちゃんと魔力が循環しているのに、魔力を外へ放出できないような壁があるって感じなのよね」
僕には魔力が見えないからわからないけど……エレミアに言われてなんとなく納得できる……体内に魔力を放出できなくする壁か……それがチート魔法のスキルを持つ代償なのかもしれないな……
「でも……どうやってこの学院の編入試験を突破できたの?」
「それは僕だけが使える魔法ペンを使ったからだよ。そのペンで文字を書くと、自分の体から魔力を引き出して、一時的に魔法を使えるようになるんだ」
「それって賢者タナカと同じぐらいすごいことよね。あなたもしかして賢者なの?」
「違うよ。僕はただの貴族の息子で、商人だよ」
「ふーん、変わった男の子ね、でも面白いわ。私と友達になろうよ。私も友達の秘密を漏らしたりしないから」
「わかった、よろしくね」
こうしてエレミアと友達になり、二人で一緒に弁当を食べることにした。
僕がレミリアの弁当を食べていると、ジーっと物欲しげにエレミアが見つめてくる。
「シオンのお弁当を見てると、家族に愛されてるって感じよね」
レミリアが作ってくれたお弁当の中身はオムライスなんだけど、ケチャップでハートマークが書かかれていて、ちょっと恥ずかしい……
エレミアの弁当へ目を向けると、オマール海老の蒸し焼きやフォアグラのソテーなど、高級食材がふんだんに使われていて、さすがは貴族の弁当といった感じだ。
「それって邸の人が作ってくれたの?」
「うん、邸の人というか、王宮の料理長ね」
王宮住まいということは……エレミアはどこかのお姫様?
でも……お弁当を持ってきてるってことは……
「もしかして、イシュガルド帝国の王宮に住んでるのかな?」
「そうよ。私の正式な名前はエレミア・イシュガルド。この帝国の第七王女よ。気軽にエレミアって呼んでね」
「……わかったよ……」
……僕が原因で授業中で騒動になった時、クラウスはエレミアに言い返さず、カイロスと言い合いになったのは、エレミアがこの帝国の姫殿下だったからか……いくらファラレスト皇国の皇子でも、イシュガルド帝国の姫と揉めたくないもんね……
少しずつだけど、Sクラスの生徒達の力関係がわかってきような気がするな。
それにしても、さすがはサイフォン魔法学院、国々の上級貴族の子息が集まっているのは予想していたけど、まさか王家の子息までがいるとは思わなかったよ。
弁当を食べている間、エレミアに教えてもらったんだけど、このクラスの生徒の人数は僕を含めると七人で、茶髪の女子の名をグレースと言い、ファラレスト皇国の皇宮騎士団の団長の娘だという。
カイロスは帝国から離れた砂漠の国、アシュラム王国の王太子で、おかっぱ頭の灰色髪の男子の名はレトと言い、帝都イシュタルの庶民出身らしい。
後一人は今日は学院を休んでいるそうだ。
……二人が一緒に食堂に行った意味が何となく、わかったような気がする……グレースはクラウスのお目付け役兼、護衛といったところかな……。
二人でにこやかに食事をしていると、 クラウスと茶髪の女の子が教室に戻ってきた。
そして僕達の近くを通る時、グレースが僕をキッと睨む。
「どうやって編入試験をパスしたか知りませんが、私はあなたのことを、まだサイフォン魔法学院の生徒と認めていません」
「やめておけグレース、彼はラバネス半島から出て来たばかりだ。自分の状況も私達が何者かも、まだよく知らないのだからな」
クラウスは見下すような視線を僕に向けた後に、グレースと一緒に後ろの席へと歩いていった。
たぶんラバネス半島の出身だから田舎者と言いたいのだろうな……
昼の休憩時間が終わり、午後の授業はつつがなく進んでいった。
夕暮れ前に授業が終わり、クラウスとグレースは一緒に教室を出ていた。
そろそろ僕も帰ろうと鞄に教材を詰め込んでいると、エレミアが声をかけてきた。
「私の馬車で一緒に帰りましょ」
「それは遠慮しようかな、僕の家は街中にあるから」
「あら? 家をわざわざ買ったの? 学院には寮もあるのに? ここの寮って下級貴族の邸よりも設備が整っているのよね」
「そうだったんだ……まったく知らなかったよ」
嘘です。知っていました……ここに寮があることはリンメイさんから説明を受けていたからね……でもレミリアとリムルから一人で寮で暮らすのは反対と言われたし……それに帝都内で商売をするのに、僕が寮に入っていると色々と面倒ごとが増えそうだから残念したんだよね……
エレミアと二人で話していると、カイロスが歩いてきて僕達二人の間に割り込んできた。
「エレミアに馴れ馴れしくすんな。お前ちょっとツラ貸せ」
……もしかして、カイロスってエレミアのことが気になってるの?……気づかなかったごめんなさいと言っても許してくれそうにないよね……
エレミアに指摘されたことに驚いていると、彼女が茶目っ気いっぱいに微笑む。
「私、魔力を見通す目を持ってるの……だから人の魔力の循環が見えるわけ。……シオン君の体は内部でちゃんと魔力が循環しているのに、魔力を外へ放出できないような壁があるって感じなのよね」
僕には魔力が見えないからわからないけど……エレミアに言われてなんとなく納得できる……体内に魔力を放出できなくする壁か……それがチート魔法のスキルを持つ代償なのかもしれないな……
「でも……どうやってこの学院の編入試験を突破できたの?」
「それは僕だけが使える魔法ペンを使ったからだよ。そのペンで文字を書くと、自分の体から魔力を引き出して、一時的に魔法を使えるようになるんだ」
「それって賢者タナカと同じぐらいすごいことよね。あなたもしかして賢者なの?」
「違うよ。僕はただの貴族の息子で、商人だよ」
「ふーん、変わった男の子ね、でも面白いわ。私と友達になろうよ。私も友達の秘密を漏らしたりしないから」
「わかった、よろしくね」
こうしてエレミアと友達になり、二人で一緒に弁当を食べることにした。
僕がレミリアの弁当を食べていると、ジーっと物欲しげにエレミアが見つめてくる。
「シオンのお弁当を見てると、家族に愛されてるって感じよね」
レミリアが作ってくれたお弁当の中身はオムライスなんだけど、ケチャップでハートマークが書かかれていて、ちょっと恥ずかしい……
エレミアの弁当へ目を向けると、オマール海老の蒸し焼きやフォアグラのソテーなど、高級食材がふんだんに使われていて、さすがは貴族の弁当といった感じだ。
「それって邸の人が作ってくれたの?」
「うん、邸の人というか、王宮の料理長ね」
王宮住まいということは……エレミアはどこかのお姫様?
でも……お弁当を持ってきてるってことは……
「もしかして、イシュガルド帝国の王宮に住んでるのかな?」
「そうよ。私の正式な名前はエレミア・イシュガルド。この帝国の第七王女よ。気軽にエレミアって呼んでね」
「……わかったよ……」
……僕が原因で授業中で騒動になった時、クラウスはエレミアに言い返さず、カイロスと言い合いになったのは、エレミアがこの帝国の姫殿下だったからか……いくらファラレスト皇国の皇子でも、イシュガルド帝国の姫と揉めたくないもんね……
少しずつだけど、Sクラスの生徒達の力関係がわかってきような気がするな。
それにしても、さすがはサイフォン魔法学院、国々の上級貴族の子息が集まっているのは予想していたけど、まさか王家の子息までがいるとは思わなかったよ。
弁当を食べている間、エレミアに教えてもらったんだけど、このクラスの生徒の人数は僕を含めると七人で、茶髪の女子の名をグレースと言い、ファラレスト皇国の皇宮騎士団の団長の娘だという。
カイロスは帝国から離れた砂漠の国、アシュラム王国の王太子で、おかっぱ頭の灰色髪の男子の名はレトと言い、帝都イシュタルの庶民出身らしい。
後一人は今日は学院を休んでいるそうだ。
……二人が一緒に食堂に行った意味が何となく、わかったような気がする……グレースはクラウスのお目付け役兼、護衛といったところかな……。
二人でにこやかに食事をしていると、 クラウスと茶髪の女の子が教室に戻ってきた。
そして僕達の近くを通る時、グレースが僕をキッと睨む。
「どうやって編入試験をパスしたか知りませんが、私はあなたのことを、まだサイフォン魔法学院の生徒と認めていません」
「やめておけグレース、彼はラバネス半島から出て来たばかりだ。自分の状況も私達が何者かも、まだよく知らないのだからな」
クラウスは見下すような視線を僕に向けた後に、グレースと一緒に後ろの席へと歩いていった。
たぶんラバネス半島の出身だから田舎者と言いたいのだろうな……
昼の休憩時間が終わり、午後の授業はつつがなく進んでいった。
夕暮れ前に授業が終わり、クラウスとグレースは一緒に教室を出ていた。
そろそろ僕も帰ろうと鞄に教材を詰め込んでいると、エレミアが声をかけてきた。
「私の馬車で一緒に帰りましょ」
「それは遠慮しようかな、僕の家は街中にあるから」
「あら? 家をわざわざ買ったの? 学院には寮もあるのに? ここの寮って下級貴族の邸よりも設備が整っているのよね」
「そうだったんだ……まったく知らなかったよ」
嘘です。知っていました……ここに寮があることはリンメイさんから説明を受けていたからね……でもレミリアとリムルから一人で寮で暮らすのは反対と言われたし……それに帝都内で商売をするのに、僕が寮に入っていると色々と面倒ごとが増えそうだから残念したんだよね……
エレミアと二人で話していると、カイロスが歩いてきて僕達二人の間に割り込んできた。
「エレミアに馴れ馴れしくすんな。お前ちょっとツラ貸せ」
……もしかして、カイロスってエレミアのことが気になってるの?……気づかなかったごめんなさいと言っても許してくれそうにないよね……
1,317
お気に入りに追加
4,124
あなたにおすすめの小説
外れスキル?だが最強だ ~不人気な土属性でも地球の知識で無双する~
海道一人
ファンタジー
俺は地球という異世界に転移し、六年後に元の世界へと戻ってきた。
地球は魔法が使えないかわりに科学という知識が発展していた。
俺が元の世界に戻ってきた時に身につけた特殊スキルはよりにもよって一番不人気の土属性だった。
だけど悔しくはない。
何故なら地球にいた六年間の間に身につけた知識がある。
そしてあらゆる物質を操れる土属性こそが最強だと知っているからだ。
ひょんなことから小さな村を襲ってきた山賊を土属性の力と地球の知識で討伐した俺はフィルド王国の調査隊長をしているアマーリアという女騎士と知り合うことになった。
アマーリアの協力もあってフィルド王国の首都ゴルドで暮らせるようになった俺は王国の陰で蠢く陰謀に巻き込まれていく。
フィルド王国を守るための俺の戦いが始まろうとしていた。
※この小説は小説家になろうとカクヨムにも投稿しています
【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます
まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。
貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。
そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。
☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。
☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。
異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します
桂崇
ファンタジー
小さな町で酒場の手伝いをする母親と2人で住む少年イールスに転生覚醒する、チートする方法も無く、母親の死により、実の父親の家に引き取られる。イールスは、冒険者になろうと目指すが、周囲はその才能を惜しんでいる
転生したら貴族の息子の友人A(庶民)になりました。
襲
ファンタジー
〈あらすじ〉
信号無視で突っ込んできたトラックに轢かれそうになった子どもを助けて代わりに轢かれた俺。
目が覚めると、そこは異世界!?
あぁ、よくあるやつか。
食堂兼居酒屋を営む両親の元に転生した俺は、庶民なのに、領主の息子、つまりは貴族の坊ちゃんと関わることに……
面倒ごとは御免なんだが。
魔力量“だけ”チートな主人公が、店を手伝いながら、学校で学びながら、冒険もしながら、領主の息子をからかいつつ(オイ)、のんびり(できたらいいな)ライフを満喫するお話。
誤字脱字の訂正、感想、などなど、お待ちしております。
やんわり決まってるけど、大体行き当たりばったりです。
辺境領主は大貴族に成り上がる! チート知識でのびのび領地経営します
潮ノ海月@書籍発売中
ファンタジー
旧題:転生貴族の領地経営~チート知識を活用して、辺境領主は成り上がる!
トールデント帝国と国境を接していたフレンハイム子爵領の領主バルトハイドは、突如、侵攻を開始した帝国軍から領地を守るためにルッセン砦で迎撃に向かうが、守り切れず戦死してしまう。
領主バルトハイドが戦争で死亡した事で、唯一の後継者であったアクスが跡目を継ぐことになってしまう。
アクスの前世は日本人であり、争いごとが極端に苦手であったが、領民を守るために立ち上がることを決意する。
だが、兵士の証言からしてラッセル砦を陥落させた帝国軍の数は10倍以上であることが明らかになってしまう
完全に手詰まりの中で、アクスは日本人として暮らしてきた知識を活用し、さらには領都から避難してきた獣人や亜人を仲間に引き入れ秘策を練る。
果たしてアクスは帝国軍に勝利できるのか!?
これは転生貴族アクスが領地経営に奮闘し、大貴族へ成りあがる物語。
解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る
早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」
解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。
そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。
彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。
(1話2500字程度、1章まで完結保証です)
子爵家の長男ですが魔法適性が皆無だったので孤児院に預けられました。変化魔法があれば魔法適性なんて無くても無問題!
八神
ファンタジー
主人公『リデック・ゼルハイト』は子爵家の長男として産まれたが、検査によって『魔法適性が一切無い』と判明したため父親である当主の判断で孤児院に預けられた。
『魔法適性』とは読んで字のごとく魔法を扱う適性である。
魔力を持つ人間には差はあれど基本的にみんな生まれつき様々な属性の魔法適性が備わっている。
しかし例外というのはどの世界にも存在し、魔力を持つ人間の中にもごく稀に魔法適性が全くない状態で産まれてくる人も…
そんな主人公、リデックが5歳になったある日…ふと前世の記憶を思い出し、魔法適性に関係の無い変化魔法に目をつける。
しかしその魔法は『魔物に変身する』というもので人々からはあまり好意的に思われていない魔法だった。
…はたして主人公の運命やいかに…
間違い転生!!〜神様の加護をたくさん貰っても それでものんびり自由に生きたい〜
舞桜
ファンタジー
「初めまして!私の名前は 沙樹崎 咲子 35歳 自営業 独身です‼︎よろしくお願いします‼︎」
突然 神様の手違いにより死亡扱いになってしまったオタクアラサー女子、
手違いのお詫びにと色々な加護とチートスキルを貰って異世界に転生することに、
だが転生した先でまたもや神様の手違いが‼︎
神々から貰った加護とスキルで“転生チート無双“
瞳は希少なオッドアイで顔は超絶美人、でも性格は・・・
転生したオタクアラサー女子は意外と物知りで有能?
だが、死亡する原因には不可解な点が…
数々の事件が巻き起こる中、神様に貰った加護と前世での知識で乗り越えて、
神々と家族からの溺愛され前世での心の傷を癒していくハートフルなストーリー?
様々な思惑と神様達のやらかしで異世界ライフを楽しく過ごす主人公、
目指すは“のんびり自由な冒険者ライフ‼︎“
そんな主人公は無自覚に色々やらかすお茶目さん♪
*神様達は間違いをちょいちょいやらかします。これから咲子はどうなるのか?のんびりできるといいね!(希望的観測っw)
*投稿周期は基本的には不定期です、3日に1度を目安にやりたいと思いますので生暖かく見守って下さい
*この作品は“小説家になろう“にも掲載しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる