自重知らずの転生貴族は、現在知識チートでどんどん商品を開発していきます!!

潮ノ海月@書籍発売中

文字の大きさ
上 下
47 / 93
第2章 グランタリア大陸東部編

46.『クライム商会』の横やり!

しおりを挟む
オルデンの店で『ロンメル商会』の商品を売り出して一週間が過ぎた。

持ってきた全ての商品は売れに売れた。

そこで僕はアグウェル、リムル、サイゾウに頼んで、何回も海を渡って王都ブリタスの店舗へ商品を取りにいってもらった。


オルデンには後発の荷が届いたと、嘘の言い訳をしているけどね。

彼は何も聞いてこないけど、薄々おかしいと気づいてるようだ。


いつかオルデンに魔族のことを早く言えたらいいなと思うけど……


特に『ブラーフ』と『パンピ』は爆発的に売れ、それは売れ行きは王都ダルトンの庶民の間で噂となって一気に広まっていった。

それと同時に『ブラーフ』にパンツ姿で呼び込みをする、レミリア、リムル、ミムルの三人も、注目を浴びるようになった。

レジでお客の対応をしているオルデンが、僕に声をかける。


「こんなに商品が売れるのなんて初めてだ。王都ブリタスの店舗でもこんな感じなのか?」

「うん、『ロンメル商会』のお店は全部こんな感じだね」


この一週間でオルデンとは随分と仲よくなり、僕は『ロンメル商会』のことを少しだけ彼に話していた。

アグウェル、リムル、サイゾウの三人が魔族ってことは隠しているし、ミムルがサイゾウが女性に化けてる姿ということは、まだ話せていないけどね。


……オルデンがミムルのことを好きそうだから、早く本当のことを言わなければと思ってるんだけど、なかなか言えていないだよね……


そんなある日、僕達が忙しく働いていると、レミリア達三人が知らない男性に呼び止められている。


「君達はここの商会の従業員かい?」

「いえ私達は『ロンメル商会』の者です。今はこちらの『オルデン商会』を協力して商品を販売しております」

「では聞くが、この『ブラーフ』と『パンピ』はどちらの商品だい?」

「これは私共『ロンメル商会』が『オルデン商会』に卸しているヒット商品です」

「なるほど、ではオルデンと『ロンメル商会』の会長を呼んでもらえるかい」


見知らむ男は、僕とオルデンに用があるらしい。

僕達二人が男の元へ駆け付けると、オルデンを見て男がニッコリと笑う。


「オルデン、商売繁盛で結構なことだね」

「クレイムさん、今日はどうしてここへ?」

「街で噂になっている『ブラーフ』と『パンピ』を売っているのは、どんな商人かと来てみたら、オルデンの店に行きついてね。新商品を卸しているという『ロンメル商会』の会長と会ってみたくなったんだ」


そう言って、クレイムさんはチラリと僕へ視線を移す。


見たところ、オルデンの知ってる人らしいけど……


僕はニコリと微笑んで会釈をして挨拶をする。


「『ロンメル商会』の会長をしているシオンと言います」

「私はクレイム、『クレイム商会』の会長を務めている者だよ」

「クレイムさんはゴールドランクの商会持ちなんだ。俺がまだかけだしの商人だった頃、色々と世話になった人だ。今でも俺の店で売っているスパイスや穀物類は、『クレイム商会』から卸してもらってるんだ」


オルデンは両手を広げて胸を張る。


どうやらオルデンがお世話になっている人みたいだな……


クレイムさんは僕に背丈に近づけるように腰を屈める。


「ちょっと相談なのだが、『クレイム商会』に『ロンメル商会』の商品を卸してほしい。この『ブラーフ』と『パンピ』はもっと売れる。香水や石鹸もだ。小さな商会で扱うような代物ではない。私の商会はゴールドランクだ。それに販路も広い。『オルデン商会』から『クレイム商会』へ乗り換えたほうが絶対に儲かる。どうだい、私と手を組まないか?」

「『オルデン商会』に『ブラーフ』と『パンピ』を卸すのを止めて、『クレイム商会』へ卸せということですか?」

「その通りだ。『オルデン商会』には『クレイム商会』から大量の穀物類とスパイスを卸している。それだけで『ロンメル商会』が商品を卸さずとも、そこそこの商売ができるだろう。シルバーに成りたての商会など、それぐらいが丁度いいのだよ」


クレイムさんは笑顔を消し、無表情でオルデンを見る。

そのオルデンは悔しくそうに表情を歪ませた。


「それはないよ、クレイムさん、『ロンメル商会』と繋がりを持っているのは『オルデン商会』だ。横から出てきて、卸し元を横取りしようなんて商人としてルール違反だろ。俺は『ロンメル商会』との付き合いを止めるつもりはないからな」

「私に反対をするというなら、当面、『クレイム商会』から卸しているスパイスと穀物類の提供をストップしよう。『ロンメル商会』が『クレイム商会』へ商品を卸してくれるというなら、商品を卸してやる」

「そんな卑怯な……」

「以前に教えただろ。金の為ならどんな手でも使えと。正攻法ばかりしていても、大きな金儲けにはつながらないとな」


もしクレイムさんの申し出を僕が断ったら、『クレイム商会』から卸している商品をストップして、オルデンを苦しめるつもりだな……これでは僕は『クレイム商会』との取引に応じるしかないじゃないか……


「わかりました。『クレイム商会』へも商品を卸します。しかし、『オルデン商会』にも商品を卸します。『クレイム商会』にも商品を卸すのですから、それでいいですよね」

「ダメだ。お前達は全然わかってない。売れる時に売る。独占できる時に独占する。これが金儲けの鉄則だ。『オルデン商会』へ回す分の商品もこちらへ卸せ。さもないとわかっているな」


これがゴールドのランクを持つ商会の商人のやり口か。


オルデンのことを考えると、ここは承諾するしかない……でも、すごく悔しい……。


僕が黙っていると、いきなり隣にリムルがやってきて、にっこりと微笑む。


「シオン様もちょっと時間が欲しいと思うから、考える時間をちょうだい」

「わかった。今日のところは引こう。また来るからな」


素直にリムルの話を聞いて去っていくクレイムさんの後ろ姿を見て、オルデンは驚きに目を見開く。


……リムル、もしかして魅了の魔法――チャームを使ったりしてないよね?
しおりを挟む
感想 77

あなたにおすすめの小説

転生チートは家族のために~ユニークスキルで、快適な異世界生活を送りたい!~

りーさん
ファンタジー
 ある日、異世界に転生したルイ。  前世では、両親が共働きの鍵っ子だったため、寂しい思いをしていたが、今世は優しい家族に囲まれた。  そんな家族と異世界でも楽しく過ごすために、ユニークスキルをいろいろと便利に使っていたら、様々なトラブルに巻き込まれていく。 「家族といたいからほっといてよ!」 ※スキルを本格的に使い出すのは二章からです。

辺境領主は大貴族に成り上がる! チート知識でのびのび領地経営します

潮ノ海月@書籍発売中
ファンタジー
旧題:転生貴族の領地経営~チート知識を活用して、辺境領主は成り上がる! トールデント帝国と国境を接していたフレンハイム子爵領の領主バルトハイドは、突如、侵攻を開始した帝国軍から領地を守るためにルッセン砦で迎撃に向かうが、守り切れず戦死してしまう。 領主バルトハイドが戦争で死亡した事で、唯一の後継者であったアクスが跡目を継ぐことになってしまう。 アクスの前世は日本人であり、争いごとが極端に苦手であったが、領民を守るために立ち上がることを決意する。 だが、兵士の証言からしてラッセル砦を陥落させた帝国軍の数は10倍以上であることが明らかになってしまう 完全に手詰まりの中で、アクスは日本人として暮らしてきた知識を活用し、さらには領都から避難してきた獣人や亜人を仲間に引き入れ秘策を練る。 果たしてアクスは帝国軍に勝利できるのか!? これは転生貴族アクスが領地経営に奮闘し、大貴族へ成りあがる物語。

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します

桂崇
ファンタジー
小さな町で酒場の手伝いをする母親と2人で住む少年イールスに転生覚醒する、チートする方法も無く、母親の死により、実の父親の家に引き取られる。イールスは、冒険者になろうと目指すが、周囲はその才能を惜しんでいる

転生幼女のチートな悠々自適生活〜伝統魔法を使い続けていたら気づけば賢者になっていた〜

犬社護
ファンタジー
ユミル(4歳)は気がついたら、崖下にある森の中にいた。 馬車が崖下に落下した影響で、前世の記憶を思い出す。周囲には散乱した荷物だけでなく、さっきまで会話していた家族が横たわっており、自分だけ助かっていることにショックを受ける。 大雨の中を泣き叫んでいる時、1体の小さな精霊カーバンクルが現れる。前世もふもふ好きだったユミルは、もふもふ精霊と会話することで悲しみも和らぎ、互いに打ち解けることに成功する。 精霊カーバンクルと仲良くなったことで、彼女は日本古来の伝統に関わる魔法を習得するのだが、チート魔法のせいで色々やらかしていく。まわりの精霊や街に住む平民や貴族達もそれに振り回されるものの、愛くるしく天真爛漫な彼女を見ることで、皆がほっこり心を癒されていく。 人々や精霊に愛されていくユミルは、伝統魔法で仲間たちと悠々自適な生活を目指します。

今さら言われても・・・私は趣味に生きてますので

sherry
ファンタジー
ある日森に置き去りにされた少女はひょんな事から自分が前世の記憶を持ち、この世界に生まれ変わったことを思い出す。 早々に今世の家族に見切りをつけた少女は色んな出会いもあり、周りに呆れられながらも成長していく。 なのに・・・今更そんなこと言われても・・・出来ればそのまま放置しといてくれません?私は私で気楽にやってますので。 ※魔法と剣の世界です。 ※所々ご都合設定かもしれません。初ジャンルなので、暖かく見守っていただけたら幸いです。

5歳で前世の記憶が混入してきた  --スキルや知識を手に入れましたが、なんで中身入ってるんですか?--

ばふぉりん
ファンタジー
 「啞"?!@#&〆々☆¥$€%????」   〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜  五歳の誕生日を迎えた男の子は家族から捨てられた。理由は 「お前は我が家の恥だ!占星の儀で訳の分からないスキルを貰って、しかも使い方がわからない?これ以上お前を育てる義務も義理もないわ!」    この世界では五歳の誕生日に教会で『占星の儀』というスキルを授かることができ、そのスキルによってその後の人生が決まるといっても過言では無い。  剣聖 聖女 影朧といった上位スキルから、剣士 闘士 弓手といった一般的なスキル、そして家事 農耕 牧畜といったもうそれスキルじゃないよね?といったものまで。  そんな中、この五歳児が得たスキルは  □□□□  もはや文字ですら無かった ~~~~~~~~~~~~~~~~~  本文中に顔文字を使用しますので、できれば横読み推奨します。  本作中のいかなる個人・団体名は実在するものとは一切関係ありません。  

フリーター転生。公爵家に転生したけど継承権が低い件。精霊の加護(チート)を得たので、努力と知識と根性で公爵家当主へと成り上がる 

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
400倍の魔力ってマジ!?魔力が多すぎて範囲攻撃魔法だけとか縛りでしょ 25歳子供部屋在住。彼女なし=年齢のフリーター・バンドマンはある日理不尽にも、バンドリーダでボーカルからクビを宣告され、反論を述べる間もなくガッチャ切りされそんな失意のか、理不尽に言い渡された残業中に急死してしまう。  目が覚めると俺は広大な領地を有するノーフォーク公爵家の長男の息子ユーサー・フォン・ハワードに転生していた。 ユーサーは一度目の人生の漠然とした目標であった『有名になりたい』他人から好かれ、知られる何者かになりたかった。と言う目標を再認識し、二度目の生を悔いの無いように、全力で生きる事を誓うのであった。 しかし、俺が公爵になるためには父の兄弟である次男、三男の息子。つまり従妹達と争う事になってしまい。 ユーサーは富国強兵を掲げ、先ずは小さな事から始めるのであった。 そんな主人公のゆったり成長期!!

処理中です...