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第2章 グランタリア大陸東部編
44.商品が完売する勢いで!
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女人化したサイゾウが道行く人々へ声をかける。
サイゾウの下着姿を見て、男性たちが足を止めて、ジッとサイゾウを見ていく。
その男性たちへオルデンが声をかける。
「ご婦人へのプレゼントにどうですか? この下着を着れば、どんな女性の人手も体のラインが美しくなるよ。奥さんにも恋人にも喜ばれること間違いなしの大ヒット商品! ブリタニス王国では売り切れ続出! 今ならまだ在庫はあるよ。見ていってくれ」
「ちょっとモノを見せてくれ」
一人の男性がオルデンの言葉に誘われるように店の中へ入っていく。
その姿を見て、躊躇していた男性達が店のほうへ歩いてきた。
……王都ブリタスの店舗では、お客さんのほとんごは女性だったけど……女性用の下着なのに、なぜ男性の客が買っていくの?
もしかすると、これってサイゾウが宣伝していた効果なのかな?
……まさか自分で付けるとか?……そんなことはないよね……
思わず色々と思案していると、隣にきたレミリアがそっと教えてくれる。
「男性でも、奥様や恋人、自分の身近な人がキレイになると思えば、プレゼントの一つぐらい買って帰りたくなるものです。あれはオルデンさんの誘導が上手いのです」
なるほど……さすがはオルデン、やり手の商人だね。
徐々に店の中に入ってくるお客さんの数が多くなり、僕、アグウェル、レイミア、オルデンの四人は接客に追われた。
太陽が沈み、そろそろ店を閉めようという頃には僕達が持ってきた品の半分は売れてしまった。
このままでは明日にでも、全ての品を完売しそうな勢いだ。
そうなれば、もう僕達の売るモノがなくなるよ。
ちょっと困ったことになったなと首を捻っていると、アグウェルが耳元で囁く。
「私とサイゾウが夜、空を飛んで、商品を取って参りましょう。その時にリムルも連れてきます。オルデン殿にはリムルが後発として、商品を運んできたことにすれば誤魔化せるでしょう」
なるほど……それならアグウェル達が魔族だってバレないよね。
「もし正体がバレそうであれば、そのまま話しても良いかもしれません。オルデン殿ならきちんと理解してくれるでしょう」
「そうだね。オルデンは人が良いからね」
アグウェルの言葉に僕はニコリと微笑む。
段々と辺りは暗くなり、空に星が瞬く頃、オルデンは店じまいをして、僕達と一緒に食事に出かけることになった。
オルデンおすすめの店は激辛専門店で、スパイスの効いた料理がテーブルに並ぶ。
それを女人化したままのサイゾウがパクパクと、手あたり次第に口の中へ放り込んでいく。
「その料理はスパイスの効いたタンドリーチキンだ。美味しいかい?」
「どの料理もほどよくピリッと辛くて美味しいでござる。いくらでも食べられるでござるよ」
「ドンドン食べてくれ。君のおかげで、店は大繁盛だったからね。幾らでも料理を頼んでもいいよ」
サイゾウの食べている姿を見て、オルデンはニコニコと上機嫌だ。
隣に座っているレミリアが、僕の脇腹を肘でツンツンと突く。
「どうやらオルデンは、サイゾウのことが気に入ったらしいですね」
「シー今はサイゾウじゃなくてミムルだからね。サイゾウって言っちゃうとオルデンにバレちゃうよ」
僕が小声で応えると、レミリアは不思議そうに首を傾ける。
「ではミムルが男だとオルデンに教えないのですか?」
「世の中には知らないほうが幸せってこともあるよね」
僕はニッコリと微笑む。
すると僕達の様子を察知したアグウェルの言葉は無言のまま大きく頷いた。
お腹いっぱいになるまでご馳走になった僕達はオルデンと分かれて宿へと帰った。
その後に、アグウェルはサイゾウを連れて、ブリタニス王国の空を目指してと飛び去っていった。
……サイゾウも空を飛翔できるなんて……魔族って全員、空を飛べるのかな……ちょっと羨ましいかも……
そして翌日の朝、僕とレミリアが目覚めると、顔を青ざめたサイゾウが、グッタリと壁にもたれて眠っていた。
荷物が気になり、宿を出てオルデンの店舗に向かうと、アグウェルとリムルが元気に馬車一台分ぐらいありそうな荷物を三つ整理していた。
……魔族三人とはいえ、あんな大荷物をどうやって持ってきたんだろう……魔族って色々な意味ですごよね……
「シオン様、私を置いていくなんてヒドイ―」
「リムルは王都トラントの店があったんだから仕方ないじゃないか」
「私はシオン様と一緒がやっぱりいいよー」
そう言ってリムルがギュッと抱きしめてくる。
すると横から手が伸びてきて、リムルを引き剥がした。
「こんな路上ではしたないですよ」
「うー、レミリアのいじわるー」
リムルはレミリアをジッと見て口を尖らせた。
性格は全く違うけど、二人は最近はすごく仲がいいよね。
僕達三人が和やかに話をしていると、アグウェルは「サイゾウを起こしてきます」と言って宿へと歩いていく。
その後ろ姿に僕は思わず合掌した。
……サイゾウは疲れてるみたいだから、お手柔らかにしてあげてね……
サイゾウの下着姿を見て、男性たちが足を止めて、ジッとサイゾウを見ていく。
その男性たちへオルデンが声をかける。
「ご婦人へのプレゼントにどうですか? この下着を着れば、どんな女性の人手も体のラインが美しくなるよ。奥さんにも恋人にも喜ばれること間違いなしの大ヒット商品! ブリタニス王国では売り切れ続出! 今ならまだ在庫はあるよ。見ていってくれ」
「ちょっとモノを見せてくれ」
一人の男性がオルデンの言葉に誘われるように店の中へ入っていく。
その姿を見て、躊躇していた男性達が店のほうへ歩いてきた。
……王都ブリタスの店舗では、お客さんのほとんごは女性だったけど……女性用の下着なのに、なぜ男性の客が買っていくの?
もしかすると、これってサイゾウが宣伝していた効果なのかな?
……まさか自分で付けるとか?……そんなことはないよね……
思わず色々と思案していると、隣にきたレミリアがそっと教えてくれる。
「男性でも、奥様や恋人、自分の身近な人がキレイになると思えば、プレゼントの一つぐらい買って帰りたくなるものです。あれはオルデンさんの誘導が上手いのです」
なるほど……さすがはオルデン、やり手の商人だね。
徐々に店の中に入ってくるお客さんの数が多くなり、僕、アグウェル、レイミア、オルデンの四人は接客に追われた。
太陽が沈み、そろそろ店を閉めようという頃には僕達が持ってきた品の半分は売れてしまった。
このままでは明日にでも、全ての品を完売しそうな勢いだ。
そうなれば、もう僕達の売るモノがなくなるよ。
ちょっと困ったことになったなと首を捻っていると、アグウェルが耳元で囁く。
「私とサイゾウが夜、空を飛んで、商品を取って参りましょう。その時にリムルも連れてきます。オルデン殿にはリムルが後発として、商品を運んできたことにすれば誤魔化せるでしょう」
なるほど……それならアグウェル達が魔族だってバレないよね。
「もし正体がバレそうであれば、そのまま話しても良いかもしれません。オルデン殿ならきちんと理解してくれるでしょう」
「そうだね。オルデンは人が良いからね」
アグウェルの言葉に僕はニコリと微笑む。
段々と辺りは暗くなり、空に星が瞬く頃、オルデンは店じまいをして、僕達と一緒に食事に出かけることになった。
オルデンおすすめの店は激辛専門店で、スパイスの効いた料理がテーブルに並ぶ。
それを女人化したままのサイゾウがパクパクと、手あたり次第に口の中へ放り込んでいく。
「その料理はスパイスの効いたタンドリーチキンだ。美味しいかい?」
「どの料理もほどよくピリッと辛くて美味しいでござる。いくらでも食べられるでござるよ」
「ドンドン食べてくれ。君のおかげで、店は大繁盛だったからね。幾らでも料理を頼んでもいいよ」
サイゾウの食べている姿を見て、オルデンはニコニコと上機嫌だ。
隣に座っているレミリアが、僕の脇腹を肘でツンツンと突く。
「どうやらオルデンは、サイゾウのことが気に入ったらしいですね」
「シー今はサイゾウじゃなくてミムルだからね。サイゾウって言っちゃうとオルデンにバレちゃうよ」
僕が小声で応えると、レミリアは不思議そうに首を傾ける。
「ではミムルが男だとオルデンに教えないのですか?」
「世の中には知らないほうが幸せってこともあるよね」
僕はニッコリと微笑む。
すると僕達の様子を察知したアグウェルの言葉は無言のまま大きく頷いた。
お腹いっぱいになるまでご馳走になった僕達はオルデンと分かれて宿へと帰った。
その後に、アグウェルはサイゾウを連れて、ブリタニス王国の空を目指してと飛び去っていった。
……サイゾウも空を飛翔できるなんて……魔族って全員、空を飛べるのかな……ちょっと羨ましいかも……
そして翌日の朝、僕とレミリアが目覚めると、顔を青ざめたサイゾウが、グッタリと壁にもたれて眠っていた。
荷物が気になり、宿を出てオルデンの店舗に向かうと、アグウェルとリムルが元気に馬車一台分ぐらいありそうな荷物を三つ整理していた。
……魔族三人とはいえ、あんな大荷物をどうやって持ってきたんだろう……魔族って色々な意味ですごよね……
「シオン様、私を置いていくなんてヒドイ―」
「リムルは王都トラントの店があったんだから仕方ないじゃないか」
「私はシオン様と一緒がやっぱりいいよー」
そう言ってリムルがギュッと抱きしめてくる。
すると横から手が伸びてきて、リムルを引き剥がした。
「こんな路上ではしたないですよ」
「うー、レミリアのいじわるー」
リムルはレミリアをジッと見て口を尖らせた。
性格は全く違うけど、二人は最近はすごく仲がいいよね。
僕達三人が和やかに話をしていると、アグウェルは「サイゾウを起こしてきます」と言って宿へと歩いていく。
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