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第一章 ラバネス半島編
24.ゲアハルト国王陛下への説得!
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森でオークの群れに襲われていたロナウド王太子とカムシン第二王子を、リムルが助けて二人に魅了の魔法チャームをかけることができた。
その効果により、すっかりリムルのことを幼馴染と思い込んだ二人の王子は、王宮にかけあって『ボーン食器』の製造法については、王宮に諦めさせると約束してくれた。
目的を果たした僕、アグウェル、リムルの三人が帰ろうとすると、ロナウド王太子に止められた。
「久しぶりにあったんだ。城へ来てくれ。用事が終わった後、一緒に飯でも食べようぜ」
「うーん、困っちゃったな。どうしようかな?」
リムルは背中の後ろで両手を組んで、体を揺すりながら僕とチラチラと見る。
このまま商品の製造法は王子二人に任せて王都ブリタスに戻ってもいいんだけど、ここまで来たんだから、王宮の様子をちょって見たいかも。
僕はリムルの手を握って小さな声で「食事ぐらいならいいんじゃないか」と伝えた。
僕の意を受けたリムルは、王子達に向かってニッコリと微笑む。
「じゃあ、久しぶりにお邪魔しようかな」
こうして僕、アグウェル、リムルの三人は、二人の王子と一緒に王都トラントへと行くことになった。
歩いて森を抜けると、王子達と一緒に森に来ていた兵士達が待っていた。
リムルとアグウェルは兵士から馬を借りて、王都トラントにある王城へ向かう。
馬に乗れない僕は、リムルと一緒に馬に乗ったんだけどね。
王都トラントの城は四角形の堅固な外壁に守られていて、四隅に尖塔が立った立派な城だった。
王子の二人は僕達三人を連れて堂々を廊下を歩いていく。
すれ違う使用人や貴族達が、僕達を見て不思議な表情をしていた。
そして謁見の間の扉を開けて、僕達五人は広間へと歩いていく。
隣を歩くアグウェルが「玉座に座っているのがゲアハルト国王陛下です」とそっと教えてくれる。
玉座の目の前に立ったロナウド王太子がいきなりゲアハルト国王陛下へ質問をぶつけた。
「父上、王宮で何やら不穏な動きがあることを知ってるか。王宮の命でブリタニス王国の王宮に、ある商品の製造方法を開示しろと迫っていると聞いたが、まさか父上が承諾したことなのか?」
「うむ、ブリタニス王国の商会の件か。なんでもブリタニス王国内で『ボーン食器』という白磁の陶器に似た商品が安価で出回って爆発的人気と聞いてな。その商品をブリタニス王国の王宮が我が王国へ売りつけてきたのだ。だから製造方法を聞き出せと命じたまでのこと」
「それで俺達二人の大事な友人が困ってるんだぞ」
「どういうことだ? 詳しく説明してみろ」
腑に落ちない表情でゲアハルト国王陛下が玉座からロナウド王太子を見下ろす。
するとロナウド王太子の隣にカムシン第二王子が立って論じ始めた。
「商会にとって商品とは大事な大事な収入源です。製造方法を開示しろというのは、その収入源を渡せと言っているに等しい。そんなことをすれば商会が潰れる可能性があることは父上もおわかりのはず?」
「別に他国の商会が潰れたところで余の関知するところではない」
「それで商会が潰れれば、務めている使用人達が解雇されて、路頭に迷うことにもなるんですよ。そのようなことをしていれば、いずれはブリタニス王国との関係ももっと悪化していくことになります」
「ブリタニス王国と我が王国は既に対立してるのだから問題あるまい」
カムシン第二王子をゲアハルト国王陛下は簡単にはねのける。
しかし、カムシン第二王子の論は止まらない。
さすが知性派といわれるだけのことはあるよね。
「ではお聞きします。最近になってブリタニス王国はナブラスト王国と同盟を組んでいます。ブリタニス王国を刺激して、もし二国を敵に回して戦になったらどうされますか?」
「気にし過ぎだ 。まさか商会一つを潰した程度で戦とはならん」
「なぜ断言できるのですか? ブリタニス王国がその商会の商品を交渉材料に持ってくるぐらいですよ。その商会はブリタニス王国の王宮から、王宮御用達の証をもらっていると聞いています。その商会を潰そうとすることは、ブリタニス王国の顔を潰すと同義ではありませんか」
確かにカムシン第二王子の言っていることは理に適ってるんだけど……
王宮御用達だからといって、『ロンメル商会』が潰れてもブリタニス王国の王宮は動かないと思うんだけど……でも
……セレーネ王妃がフィーネが怒ったら、王宮が動くかもしれないな……
カムシン第二王子の説得を聞いて、ゲアハルト国王陛下は大きくため息をつく。
「二人がそこまで言うなら再検討してみるか。しかし、どうしてお前達はそれほどまでに、その商会を擁護するのだ?」
「それは俺達の大事な幼馴染のリムルが困ってるからに決まってるじゃないか」
「彼女を苦しめる者は許せませんね」
さっき、森で魅了の魔力の凄さを見たけど、ちょっと効果ありすぎないかな?
その効果により、すっかりリムルのことを幼馴染と思い込んだ二人の王子は、王宮にかけあって『ボーン食器』の製造法については、王宮に諦めさせると約束してくれた。
目的を果たした僕、アグウェル、リムルの三人が帰ろうとすると、ロナウド王太子に止められた。
「久しぶりにあったんだ。城へ来てくれ。用事が終わった後、一緒に飯でも食べようぜ」
「うーん、困っちゃったな。どうしようかな?」
リムルは背中の後ろで両手を組んで、体を揺すりながら僕とチラチラと見る。
このまま商品の製造法は王子二人に任せて王都ブリタスに戻ってもいいんだけど、ここまで来たんだから、王宮の様子をちょって見たいかも。
僕はリムルの手を握って小さな声で「食事ぐらいならいいんじゃないか」と伝えた。
僕の意を受けたリムルは、王子達に向かってニッコリと微笑む。
「じゃあ、久しぶりにお邪魔しようかな」
こうして僕、アグウェル、リムルの三人は、二人の王子と一緒に王都トラントへと行くことになった。
歩いて森を抜けると、王子達と一緒に森に来ていた兵士達が待っていた。
リムルとアグウェルは兵士から馬を借りて、王都トラントにある王城へ向かう。
馬に乗れない僕は、リムルと一緒に馬に乗ったんだけどね。
王都トラントの城は四角形の堅固な外壁に守られていて、四隅に尖塔が立った立派な城だった。
王子の二人は僕達三人を連れて堂々を廊下を歩いていく。
すれ違う使用人や貴族達が、僕達を見て不思議な表情をしていた。
そして謁見の間の扉を開けて、僕達五人は広間へと歩いていく。
隣を歩くアグウェルが「玉座に座っているのがゲアハルト国王陛下です」とそっと教えてくれる。
玉座の目の前に立ったロナウド王太子がいきなりゲアハルト国王陛下へ質問をぶつけた。
「父上、王宮で何やら不穏な動きがあることを知ってるか。王宮の命でブリタニス王国の王宮に、ある商品の製造方法を開示しろと迫っていると聞いたが、まさか父上が承諾したことなのか?」
「うむ、ブリタニス王国の商会の件か。なんでもブリタニス王国内で『ボーン食器』という白磁の陶器に似た商品が安価で出回って爆発的人気と聞いてな。その商品をブリタニス王国の王宮が我が王国へ売りつけてきたのだ。だから製造方法を聞き出せと命じたまでのこと」
「それで俺達二人の大事な友人が困ってるんだぞ」
「どういうことだ? 詳しく説明してみろ」
腑に落ちない表情でゲアハルト国王陛下が玉座からロナウド王太子を見下ろす。
するとロナウド王太子の隣にカムシン第二王子が立って論じ始めた。
「商会にとって商品とは大事な大事な収入源です。製造方法を開示しろというのは、その収入源を渡せと言っているに等しい。そんなことをすれば商会が潰れる可能性があることは父上もおわかりのはず?」
「別に他国の商会が潰れたところで余の関知するところではない」
「それで商会が潰れれば、務めている使用人達が解雇されて、路頭に迷うことにもなるんですよ。そのようなことをしていれば、いずれはブリタニス王国との関係ももっと悪化していくことになります」
「ブリタニス王国と我が王国は既に対立してるのだから問題あるまい」
カムシン第二王子をゲアハルト国王陛下は簡単にはねのける。
しかし、カムシン第二王子の論は止まらない。
さすが知性派といわれるだけのことはあるよね。
「ではお聞きします。最近になってブリタニス王国はナブラスト王国と同盟を組んでいます。ブリタニス王国を刺激して、もし二国を敵に回して戦になったらどうされますか?」
「気にし過ぎだ 。まさか商会一つを潰した程度で戦とはならん」
「なぜ断言できるのですか? ブリタニス王国がその商会の商品を交渉材料に持ってくるぐらいですよ。その商会はブリタニス王国の王宮から、王宮御用達の証をもらっていると聞いています。その商会を潰そうとすることは、ブリタニス王国の顔を潰すと同義ではありませんか」
確かにカムシン第二王子の言っていることは理に適ってるんだけど……
王宮御用達だからといって、『ロンメル商会』が潰れてもブリタニス王国の王宮は動かないと思うんだけど……でも
……セレーネ王妃がフィーネが怒ったら、王宮が動くかもしれないな……
カムシン第二王子の説得を聞いて、ゲアハルト国王陛下は大きくため息をつく。
「二人がそこまで言うなら再検討してみるか。しかし、どうしてお前達はそれほどまでに、その商会を擁護するのだ?」
「それは俺達の大事な幼馴染のリムルが困ってるからに決まってるじゃないか」
「彼女を苦しめる者は許せませんね」
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