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第一章 ラバネス半島編
8.お風呂で石鹸を試そう!
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香水ができたので、次に石鹸を作ることにした。
石鹸の作り方は、前世の日本の動画で見た記憶がある。
石鹸に必要な素材は……獣脂、苛性ソーダ、精製水、精油。
獣脂は動物や魔獣の肉から取れる油で代用できるよね。
苛性ソーダは食塩を電気分解するとできるけど、このエクストリア世界に電気はないから、苛性ソーダを作ることはできない。
しかし、僕の『創造魔法陣』のスキルがあれば簡単に作ることができるはずだ。
香水を作った翌日、レミリアとジョルドの二人に頼んで、魔獣の肉と岩塩を手配してもらった。
苛性ソーダと精製水を僕が作っている間に、レミリアに頼んで、魔獣の肉から獣肥を取り出してもらっている。
まずは床に敷いた羊皮紙にペンで『電気分解』の魔法陣を描く。
完成した魔法陣の上に、岩塩を混ぜた食塩水の樽を置いて魔力を流すと、樽の中で食塩水が電気分解されてモクモクといらない要素が煙となって蒸発していく。
そして樽の中に残った液体が苛性ソーダなのだ。
次に精製水を作らないとね。
精製水とは普通の水から不純物を取り除いた水のことをいう。
布などを使ってこしただけでは、すごく小さなクズを取り除くことはできなんだよね。
そこで僕の『創造魔法陣』の出番だ。
床に置いた羊皮紙に『浄化』の魔法陣を描いて、魔力を流せば、あっという間に樽の中の水が精製水のできあがりと。
レミリアが作ってくれた獣肥と、僕が作った苛性ソーダの液と精製水を徐々に注いでいき、キラーパンサーの精油を数滴だけ加えていく。
そして石鹸の型に流し込み、丸一日放置して固形になれば石鹸のできあがりだ。
これで体を思う存分洗うことができるぞ!
それから二日後、完成した石鹸を試してみようと、僕は浴場へと向かった。
このエクストリア世界ではお風呂は高価なものとされ、一般庶民は布を水に浸して体の汚れを拭うだけで、お風呂に入るという習慣はない。
この時ばかりは貴族に転生できて、女神様にありがとうと言いたい。
脱衣所で衣服を脱いで、かけ湯をしてからお風呂に浸かる。
お風呂はやはり日本人の心だよね。
「ふーー生き返るー!」
「何をおじさん臭いことを言っておられるのですか。まだ九歳児なんですから、もっと子供らしくしてください」
いきなり後ろから声をかけられて振り向くと、そこにはレミリアが、一糸まとわぬ全裸の姿で立っていた。
大きくたわわに実った二つの果実、そしてキュッと引き締まった腰……
あわわわわ……これ以上、子供は見てはいけません。
強制的に目をつむった僕を気にする様子もなく、何食わぬ顔をしてレミリアが湯船に入ってくる。
「ふー、やっぱりお風呂はいいですね」
「レミリア、何を考えてるんだよ。僕は男の子なんだから、早く風呂場から出ていってよ」
「シオン様の体なら、赤ちゃんの頃から隅々まで知っています」
「僕のことじゃなくて、レミリアが裸だからマズイって言ってるの」
「私ですか……シオン様には身も心も捧げておりますので、別に気にしませんが」
「僕が気にするよ」
ガバッと立ち上がった僕は、早く逃げようと湯舟から出る。
しかし、その腕を捉まれ、逆に湯舟の中へ。
そしてギュッとレミリアに後ろから抱きしめられてしまった。
あ……背中にプニュプニュとした弾力のある二つの大きな双丘が当たってる……
「今日は試作品の石鹸を使うのでしょう。このまま逃げたら実験になりませんよ。私がシオン様のお背中を洗って差し上げます」
「わかったから、僕から離れてー!」
僕は大声を叫んで、洗い場へ逃げ込んだ。
するとレミリアがすぐに飛んできて、僕から石鹸を取り上げる。
「一人で先に体を洗うのはナシです。私がお体を洗うと言っているではありませんか」
「よ……よろしくお願いします」
これは何を言ってもレシリアを説得するのは無理だと感じた僕は、素直に体を洗われることにした。
僕が持ってきた試作品の石鹸は、薔薇から香り成分を抽出した精油を調合した石鹸だ。
レミリアが石鹸を泡立てると、ほのかにローズの香りが一面に漂ってくる。
「なんて泡なんでしょう。フワフワしていますよ」
「そんなことはいいから、早く洗ってよ」
「焦らない、焦らない。フフフ」
レミリアにいいように弄ばれ、全身を洗われてしまった。
脱衣所で布で体を拭いて下着をつけていると、レミリアが風魔法を使って髪を乾かしてくれた。
レミリアはハーフエルフなので、風の精霊の加護を受けていて、風魔法がとても上手いのだ。
すっかり衣服を着終え、僕とレミリアの二人は浴場を後にする。
そして廊下を歩いて私室へ戻っていく途中、ジョルドとすれ違った。
「あれ? シオン様からフローラルな良い香りがしますね」
「今、この石鹸を使って体を洗ってきたからね。すごく汚れが落ちるから、ジョルドも使ってみる?」
「この石鹸を使えば酒場の女性達もイチコロですよ」
そう言って、レミリアは試作品の石鹸をジョルドに手渡す。
最近、夜になるとちょいちょいジョルドが邸を抜け出しているのは知っていたけど、酒場へ行っていたのか。
それにしても、なぜレミリアがそのことを知ってるの?
さすが元冒険者というか……ちょっと怖いと思うのは僕だけかな……
石鹸の作り方は、前世の日本の動画で見た記憶がある。
石鹸に必要な素材は……獣脂、苛性ソーダ、精製水、精油。
獣脂は動物や魔獣の肉から取れる油で代用できるよね。
苛性ソーダは食塩を電気分解するとできるけど、このエクストリア世界に電気はないから、苛性ソーダを作ることはできない。
しかし、僕の『創造魔法陣』のスキルがあれば簡単に作ることができるはずだ。
香水を作った翌日、レミリアとジョルドの二人に頼んで、魔獣の肉と岩塩を手配してもらった。
苛性ソーダと精製水を僕が作っている間に、レミリアに頼んで、魔獣の肉から獣肥を取り出してもらっている。
まずは床に敷いた羊皮紙にペンで『電気分解』の魔法陣を描く。
完成した魔法陣の上に、岩塩を混ぜた食塩水の樽を置いて魔力を流すと、樽の中で食塩水が電気分解されてモクモクといらない要素が煙となって蒸発していく。
そして樽の中に残った液体が苛性ソーダなのだ。
次に精製水を作らないとね。
精製水とは普通の水から不純物を取り除いた水のことをいう。
布などを使ってこしただけでは、すごく小さなクズを取り除くことはできなんだよね。
そこで僕の『創造魔法陣』の出番だ。
床に置いた羊皮紙に『浄化』の魔法陣を描いて、魔力を流せば、あっという間に樽の中の水が精製水のできあがりと。
レミリアが作ってくれた獣肥と、僕が作った苛性ソーダの液と精製水を徐々に注いでいき、キラーパンサーの精油を数滴だけ加えていく。
そして石鹸の型に流し込み、丸一日放置して固形になれば石鹸のできあがりだ。
これで体を思う存分洗うことができるぞ!
それから二日後、完成した石鹸を試してみようと、僕は浴場へと向かった。
このエクストリア世界ではお風呂は高価なものとされ、一般庶民は布を水に浸して体の汚れを拭うだけで、お風呂に入るという習慣はない。
この時ばかりは貴族に転生できて、女神様にありがとうと言いたい。
脱衣所で衣服を脱いで、かけ湯をしてからお風呂に浸かる。
お風呂はやはり日本人の心だよね。
「ふーー生き返るー!」
「何をおじさん臭いことを言っておられるのですか。まだ九歳児なんですから、もっと子供らしくしてください」
いきなり後ろから声をかけられて振り向くと、そこにはレミリアが、一糸まとわぬ全裸の姿で立っていた。
大きくたわわに実った二つの果実、そしてキュッと引き締まった腰……
あわわわわ……これ以上、子供は見てはいけません。
強制的に目をつむった僕を気にする様子もなく、何食わぬ顔をしてレミリアが湯船に入ってくる。
「ふー、やっぱりお風呂はいいですね」
「レミリア、何を考えてるんだよ。僕は男の子なんだから、早く風呂場から出ていってよ」
「シオン様の体なら、赤ちゃんの頃から隅々まで知っています」
「僕のことじゃなくて、レミリアが裸だからマズイって言ってるの」
「私ですか……シオン様には身も心も捧げておりますので、別に気にしませんが」
「僕が気にするよ」
ガバッと立ち上がった僕は、早く逃げようと湯舟から出る。
しかし、その腕を捉まれ、逆に湯舟の中へ。
そしてギュッとレミリアに後ろから抱きしめられてしまった。
あ……背中にプニュプニュとした弾力のある二つの大きな双丘が当たってる……
「今日は試作品の石鹸を使うのでしょう。このまま逃げたら実験になりませんよ。私がシオン様のお背中を洗って差し上げます」
「わかったから、僕から離れてー!」
僕は大声を叫んで、洗い場へ逃げ込んだ。
するとレミリアがすぐに飛んできて、僕から石鹸を取り上げる。
「一人で先に体を洗うのはナシです。私がお体を洗うと言っているではありませんか」
「よ……よろしくお願いします」
これは何を言ってもレシリアを説得するのは無理だと感じた僕は、素直に体を洗われることにした。
僕が持ってきた試作品の石鹸は、薔薇から香り成分を抽出した精油を調合した石鹸だ。
レミリアが石鹸を泡立てると、ほのかにローズの香りが一面に漂ってくる。
「なんて泡なんでしょう。フワフワしていますよ」
「そんなことはいいから、早く洗ってよ」
「焦らない、焦らない。フフフ」
レミリアにいいように弄ばれ、全身を洗われてしまった。
脱衣所で布で体を拭いて下着をつけていると、レミリアが風魔法を使って髪を乾かしてくれた。
レミリアはハーフエルフなので、風の精霊の加護を受けていて、風魔法がとても上手いのだ。
すっかり衣服を着終え、僕とレミリアの二人は浴場を後にする。
そして廊下を歩いて私室へ戻っていく途中、ジョルドとすれ違った。
「あれ? シオン様からフローラルな良い香りがしますね」
「今、この石鹸を使って体を洗ってきたからね。すごく汚れが落ちるから、ジョルドも使ってみる?」
「この石鹸を使えば酒場の女性達もイチコロですよ」
そう言って、レミリアは試作品の石鹸をジョルドに手渡す。
最近、夜になるとちょいちょいジョルドが邸を抜け出しているのは知っていたけど、酒場へ行っていたのか。
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