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89.不吉な報せ
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リンバインズ王国の北側と国境を隣接している三国が同盟を組んだ。
その内の二国、 ダメンハイン共和国、 エルスハイマ聖教国はプラ製造方法を知りたがっている。
たぶん、この同盟はリンバインズ王国へ圧力をかけるための同盟だろうな。
文官から報告を聞いたベヒトハイム宰相は机に座り、厳しい表情をしている。
文官は姿勢正しく立ったまま、報告を続ける。
「先日、ダメンハイン共和国、エルスハイマ聖教国、ハゲンドルグ王国の外務文官がリンバインズ王国に訪れました。三国の申し出は二つ。リンバインズ王国の同盟参加、プラ製造方法の開示です」
「プラ製造方法を四国で共有しようということだな」
無闇に他国へプラ製造方法を広められれば、プラ商品が市場に溢れて価格は落ちる。
そうなればプラ製造方法をに手に入れても旨味は少ない。
リンバインズ王国を同盟に入れてしまえば、四国だけでプラ製造方法を共有し秘匿できる。
同盟に入れば、リンバインズ王国はなし崩し的に、ダメンハイン共和国とエルスハイマ聖教国の駒扱いになるだろうな。
ベヒトハイム宰相は机を拳でドンと叩く。
「同盟に加入しなければ三国でリンバインズ王国を潰すと脅すつもりか」
「俺の『タンク一号』を大量生産すれば、三国を黙らせることはできますけど」
「それはできん。戦争となれば大量の人々が死ぬ。フォルステル王陛下はそのようなことを望まん。こちらが新たな兵器をだせば、向こうも新兵器を作るだろう。そうなれば憎しみの連鎖が生まれる。そのような事態を招いてはならん」
ベヒトハイム宰相は苦々しい表情で苦悩する。
俺はゲンナリした表情で、肩を竦める。
「そこまでプラ製造方法が欲しいなら、開示してもいいですよ。また新しい商品の製造方法を考えますから」
「既にそういう問題ではない。今、プラ製造方法を全ての近隣国へ広めれば、三国は同盟に参加を拒否したと見なして戦を仕掛けてくるだろう。近隣諸国からは三国の圧力に屈して、プラ製造方法を開示したと受け取られ、リンバインズ王国は侮られることになる。それはできん」
ベヒトハイム宰相は椅子から立ち上がると、棚から地図を取り出し、机の上に広げる。
そしてジッと見つめたまま動かなくなった。
俺は地図を眺めて、ふと疑問が浮かぶ。
それを口にしてみる。
「 ダメンハイン共和国とエルスハイマ聖教国はプラ製造方法を知りたい。ではハゲンドルグ王国は?」
「ハゲンドルグ王国からは何の応答もありません」
壁際で立っていた文官が答える。
ベヒトハイム宰相はフーッと長い息を吐く。
「ハゲンドルグ王国は小国だからな。ダメンハイン共和国とエルスハイマ聖教国に両側から挟まれて、止む無く同盟に参加したのだろう」
「ハゲンドルグ王国をこちら側に引き込めばどうなりますか?」
「ダメンハイン共和国とエルスハイマ聖教国は連携が取れん……そうか、同盟は自然と崩壊するな」
そこまで話し、ベヒトハイム宰相は俺の方へ顔を向けた。
「ハゲンドルグ王国の状況を知りたい」
「わかりました。ジークとスイのハゲンドルグ王国の情報を探らせます」
俺はベヒトハイム宰相へ礼をする。
そして両手をグルグル回して、カエルのようにジャンプして邸へと転移した。
執務室へ転移した俺は、すぐにスイとジークを呼び出し、三国同盟のことを説明した。
スイはハゲンドルグ王国の情報を集めるために転移して姿を消した。
ジークは窓の外にいるフクロウに命じ、鳥達はハゲンドルグ王国へ向かうため大空を飛んでいく。
ソファに座ったジークは足を組んでニヤリと笑う。
「以前の情報だが、ハゲンドルグ王国は王太子とその弟の仲が悪くてな。跡目争いをしているって話しさ。王太子は武闘派で、弟のほうは性格も大人しく、邸にこもったままって噂だ」
「その辺りの事情も詳しく調べてくれ」
「了解」
軽く片手をあげ、ソファから立ち上がると、ジークは部屋を去っていった。
俺は執務室を出て、倉庫へ行き、カーマイン、ドルーキン、オーラルへ声をかける。
「プラの製造方法を公開するのはどう思う」
「そんなことをしたら、この領の好景気も終わっちまうぞ。下手をすればリンバインズ王国の好景気も終わっちまう」
カーマインは目を見開いて両手を広げる。
カーマインの言葉を聞いて、俺はポツリと呟く。
「別にこの領地が以前の景気に戻るだけなら、公開してもいいんだけどな」
「何があったんだい? 僕達で良ければ相談に乗るよ」
「そうだ、ワシ等は仲間だからのう」
オルトビーンとドルーキンはうんうんと大きく頷いた。
俺は三人へ向けて、三国同盟のことを説明する。
その話しを聞いて、カーマインは難しい表情をした。
「リンバインズ王国は同盟に参加を強要されてるわけか。 ダメンハイン共和国、エルスハイマ聖教国の目的はプラの製造方法だよな。だからアスクはリンバインズ王国内外へ公開を考えたわけか。そうなれば誰でもプラ商品を作ることができるからな」
オーラルはおっとりと微笑んで小さく手をあげる。
「プラの製造方法から目を逸らせればいいんじゃないかな?三国へ公開してもいい便利道具を作って、その製作方法を三国だけに公開すればいいかもね」
「強欲な国だと、その便利道具の製作方法、プラの製造法、どちらも寄こせと言われんかのう」
ドルーキンの言っていることも理解できる。
ダメンハイン共和国、 エルスハイマ聖教国なら、そういうだろうな。
教えるか教えないかは別として、作らない手はないよな。
俺はあるアイデアを皆に話す。
するとドルーキンは笑い出した。
「なるほどのう。それならすぐにでも作れるぞい」
「それならプラでなくても木材でも応用できるかもね」
「さっそく試作品を作ってみようか」
三人は倉庫を飛び出して、材料を探しにいった。
その内の二国、 ダメンハイン共和国、 エルスハイマ聖教国はプラ製造方法を知りたがっている。
たぶん、この同盟はリンバインズ王国へ圧力をかけるための同盟だろうな。
文官から報告を聞いたベヒトハイム宰相は机に座り、厳しい表情をしている。
文官は姿勢正しく立ったまま、報告を続ける。
「先日、ダメンハイン共和国、エルスハイマ聖教国、ハゲンドルグ王国の外務文官がリンバインズ王国に訪れました。三国の申し出は二つ。リンバインズ王国の同盟参加、プラ製造方法の開示です」
「プラ製造方法を四国で共有しようということだな」
無闇に他国へプラ製造方法を広められれば、プラ商品が市場に溢れて価格は落ちる。
そうなればプラ製造方法をに手に入れても旨味は少ない。
リンバインズ王国を同盟に入れてしまえば、四国だけでプラ製造方法を共有し秘匿できる。
同盟に入れば、リンバインズ王国はなし崩し的に、ダメンハイン共和国とエルスハイマ聖教国の駒扱いになるだろうな。
ベヒトハイム宰相は机を拳でドンと叩く。
「同盟に加入しなければ三国でリンバインズ王国を潰すと脅すつもりか」
「俺の『タンク一号』を大量生産すれば、三国を黙らせることはできますけど」
「それはできん。戦争となれば大量の人々が死ぬ。フォルステル王陛下はそのようなことを望まん。こちらが新たな兵器をだせば、向こうも新兵器を作るだろう。そうなれば憎しみの連鎖が生まれる。そのような事態を招いてはならん」
ベヒトハイム宰相は苦々しい表情で苦悩する。
俺はゲンナリした表情で、肩を竦める。
「そこまでプラ製造方法が欲しいなら、開示してもいいですよ。また新しい商品の製造方法を考えますから」
「既にそういう問題ではない。今、プラ製造方法を全ての近隣国へ広めれば、三国は同盟に参加を拒否したと見なして戦を仕掛けてくるだろう。近隣諸国からは三国の圧力に屈して、プラ製造方法を開示したと受け取られ、リンバインズ王国は侮られることになる。それはできん」
ベヒトハイム宰相は椅子から立ち上がると、棚から地図を取り出し、机の上に広げる。
そしてジッと見つめたまま動かなくなった。
俺は地図を眺めて、ふと疑問が浮かぶ。
それを口にしてみる。
「 ダメンハイン共和国とエルスハイマ聖教国はプラ製造方法を知りたい。ではハゲンドルグ王国は?」
「ハゲンドルグ王国からは何の応答もありません」
壁際で立っていた文官が答える。
ベヒトハイム宰相はフーッと長い息を吐く。
「ハゲンドルグ王国は小国だからな。ダメンハイン共和国とエルスハイマ聖教国に両側から挟まれて、止む無く同盟に参加したのだろう」
「ハゲンドルグ王国をこちら側に引き込めばどうなりますか?」
「ダメンハイン共和国とエルスハイマ聖教国は連携が取れん……そうか、同盟は自然と崩壊するな」
そこまで話し、ベヒトハイム宰相は俺の方へ顔を向けた。
「ハゲンドルグ王国の状況を知りたい」
「わかりました。ジークとスイのハゲンドルグ王国の情報を探らせます」
俺はベヒトハイム宰相へ礼をする。
そして両手をグルグル回して、カエルのようにジャンプして邸へと転移した。
執務室へ転移した俺は、すぐにスイとジークを呼び出し、三国同盟のことを説明した。
スイはハゲンドルグ王国の情報を集めるために転移して姿を消した。
ジークは窓の外にいるフクロウに命じ、鳥達はハゲンドルグ王国へ向かうため大空を飛んでいく。
ソファに座ったジークは足を組んでニヤリと笑う。
「以前の情報だが、ハゲンドルグ王国は王太子とその弟の仲が悪くてな。跡目争いをしているって話しさ。王太子は武闘派で、弟のほうは性格も大人しく、邸にこもったままって噂だ」
「その辺りの事情も詳しく調べてくれ」
「了解」
軽く片手をあげ、ソファから立ち上がると、ジークは部屋を去っていった。
俺は執務室を出て、倉庫へ行き、カーマイン、ドルーキン、オーラルへ声をかける。
「プラの製造方法を公開するのはどう思う」
「そんなことをしたら、この領の好景気も終わっちまうぞ。下手をすればリンバインズ王国の好景気も終わっちまう」
カーマインは目を見開いて両手を広げる。
カーマインの言葉を聞いて、俺はポツリと呟く。
「別にこの領地が以前の景気に戻るだけなら、公開してもいいんだけどな」
「何があったんだい? 僕達で良ければ相談に乗るよ」
「そうだ、ワシ等は仲間だからのう」
オルトビーンとドルーキンはうんうんと大きく頷いた。
俺は三人へ向けて、三国同盟のことを説明する。
その話しを聞いて、カーマインは難しい表情をした。
「リンバインズ王国は同盟に参加を強要されてるわけか。 ダメンハイン共和国、エルスハイマ聖教国の目的はプラの製造方法だよな。だからアスクはリンバインズ王国内外へ公開を考えたわけか。そうなれば誰でもプラ商品を作ることができるからな」
オーラルはおっとりと微笑んで小さく手をあげる。
「プラの製造方法から目を逸らせればいいんじゃないかな?三国へ公開してもいい便利道具を作って、その製作方法を三国だけに公開すればいいかもね」
「強欲な国だと、その便利道具の製作方法、プラの製造法、どちらも寄こせと言われんかのう」
ドルーキンの言っていることも理解できる。
ダメンハイン共和国、 エルスハイマ聖教国なら、そういうだろうな。
教えるか教えないかは別として、作らない手はないよな。
俺はあるアイデアを皆に話す。
するとドルーキンは笑い出した。
「なるほどのう。それならすぐにでも作れるぞい」
「それならプラでなくても木材でも応用できるかもね」
「さっそく試作品を作ってみようか」
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