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87.古代の遺跡探索①
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俺達は『瘴気の森』の間近に留まったまま、森の中へ入れずにいた。
それはなぜか?
指名手配犯であるジークを黙って匿っていたことがバレ、俺がベヒトハイム宰相から説教を受けていたからだ。
長い説教に飽きたリーファが大きく欠伸をする。
「ねーそろそろ行きましょうよ。時間がもったいないわ。それに宰相閣下、アクスが考えなしに行動するのは、今に始まったことじゃないでしょ。いい加減に閣下も慣れましょうよ」
よくわからないが、俺って軽くディスられてないか?
リーファの言葉で我に返ったベヒトハイム宰相は『瘴気の森』を見る。
「そうであった。今は古代遺跡のほうが大事だな。アクス、後ほどゆっくりと話し合うからな」
俺は何も言わずにベヒトハイム宰相から顔を背けた。
森の中へ入るとすぐにゴブリンやコボルトなどの低級魔獣が姿を現した。
ハミルトンとスイは魔獣達を剣や短剣で牽制してベヒトハイム宰相を守る。
ジークの鳥達は樹の上にいるゴブリン達を叩き落としていく。
コハルはゴブリンの首を巨大化して噛み切り、カーマインが片手剣でコボルトを牽制する。
ドルーキンは大斧でゴブリンを両断し、オーラルがゴブリンの集団へ雷魔法のイカズチを落とす。
リーファが風魔法で風の刃を飛ばし、コボルトの群れを八つ裂きにしていく。
ハッキリ言ってオーバーキルだよな。
ぼんやりとそんなことを考えていると、二体のコボルトが飛びかかってきた。
俺は素早く外套を跳ね上げ、ホルスターから拳銃を引き抜いて、コボルト達へ二連射する。
パン パン
コボルト達は体の真ん中に大穴を開けて、吹っ飛んでいった。
「いやー、危なかったな」
安堵してホルスターへ拳銃を仕舞っていると、ベヒトハイム宰相は目を見開いて俺を指差す。
「それは何だ?」
「……拳銃という新武器です……」
「あれほど新兵器を作ったら報告するように言ったではないか!」
いや……拳銃は武器であって、新兵器ではないような……
説教を始めようとするベヒトハイム宰相をオーラルが制する。
「宰相閣下、今は『瘴気の森』の中だよ。説教する場所ではないと思うんだ」
「賢者殿の言われる通りだな。私としたことが迂闊であった。アクス後で覚えていろよ」
オーラルと俺の扱いが全く違うのはどういうことだ?
凹んでいる俺の背中をリーファがポンポンと叩く。
気を取り直した俺達は森の奥へと進んでいった。
森に入って五日目、俺達はやっと目指していたジュレイ山に到着した。
そして山を登ること三時間、やっと大きな洞窟を発見した。
その中から、巨大な九尾の金狐が姿を現し、俺達に向かってジャンプする。
その姿を見て、ベヒトハイム宰相は金狐を指差して叫ぶ。
「神獣、九尾の金狐だと!」
九尾金狐は俺達の前に鼻先を下げ、愛しそうにコハルを見つめる。
コハルは嬉しそうに尻尾を振り、金狐へ走っていく。
《アクス、約束を守ってくれてありがとう》
「いいよ。ちょっと探しモノの次いでに寄っただけだから。コハルが喜ぶならそれでいい」
九尾の金狐と俺が仲良く話していると、突然、肩をわし掴みにされた。
「神獣、九尾の金狐といえば、はるか昔に一国を滅ぼしたと言われる大魔獣だぞ。アクス、お前はどうして仲良さそうに話しているんだ?」
「え? 俺のペットのコハルのお母さんだからですよ」
「お前は神獣の子供をペットにしていたのか! そんな報告は受けていないぞ!」
とうとうベヒトハイム宰相の怒りが爆発し、俺はその場で正座をして説教を受けることになった。
そんな俺とベヒトハイム宰相の姿を見て、九尾の金狐は首を傾げる。
《あの二人は何をしているのだ?》
「あー、放っといていいわ。あれはあの二人が仲良しの証拠だから」
リーファは呆れた表情で、肩を竦めて手をヒラヒラとさせる。
こんな山奥まで来て、説教は辛すぎる。誰か助けてくれよ。
その日は洞窟の前で野営をすることとなった。
九尾の金狐はコハルを抱いて静かに目を閉じている。
夜食を食べ終わった俺は、そっと金狐に近づいて、耳元で呟く。
「この辺りに古代遺跡はないかな? 年代は何でもいいだけど?」
《ん? 古代遺跡なら『瘴気の森』のもっと奥へ行けば幾らでもあるわ》
「それなら古代文明の遺跡はないかな? なるべく建物が壊れていない遺跡がいいんだけど?」
《では、コハルと会わせてくれたお礼に、明日、連れて行ってあげるわ》
俺は拳を握ってガッツポーズをする。
これでベヒトハイム宰相に怒られなくて済むぞ!
俺達は朝早くに野営を撤収して出発した。
巨大な九尾の金狐は樹々の間をジャンプしながら、俺達を先導する。
金狐に怯えたのか、魔獣達が襲ってくることはなかった。
俺達は順調に歩みを進め、森の奥深くへと入っていく。
するとビルが崩壊したような建物群が目の前に現れた。
九尾の金狐は空地で横になり、俺達を見る。
《ここが古代文明の遺跡よ。あなた達が探索をしている間、私はここで娘と遊んでいよう》
九尾の金狐の念話を聞いて、ベヒトハイム宰相は不思議そうな表情で首を傾げる。
「なぜ九尾の金狐がアクスに遺跡の場所を教えているんだ? アスクはこの場所を知っていたのではないのか?」
「ベヒトハイム宰相、細かいことは置いておいて、目の前に遺跡があるんですから探索に行きましょう」
俺は必死に ベヒトハイム宰相の背中を押して探索へ向かう。
古代遺跡の建物はどれも朽ち果てているが、中には入れそうだ。
それにしても日本のビルに似ているな―!
遺跡の探索を始めてから二時間が経った。
俺達の目の前に地下へ通じる階段があり、下を覗いても最下層が見えない。
俺の隣でオーラルはおっとりと微笑む。
「せっかく来たんだから何か土産は欲しいよね」
「そうだな。皆が一緒だから、安全に戻って来れるだろう。行ってみようか」
さてさて、どんなお宝が見つかるか楽しみだな!
それはなぜか?
指名手配犯であるジークを黙って匿っていたことがバレ、俺がベヒトハイム宰相から説教を受けていたからだ。
長い説教に飽きたリーファが大きく欠伸をする。
「ねーそろそろ行きましょうよ。時間がもったいないわ。それに宰相閣下、アクスが考えなしに行動するのは、今に始まったことじゃないでしょ。いい加減に閣下も慣れましょうよ」
よくわからないが、俺って軽くディスられてないか?
リーファの言葉で我に返ったベヒトハイム宰相は『瘴気の森』を見る。
「そうであった。今は古代遺跡のほうが大事だな。アクス、後ほどゆっくりと話し合うからな」
俺は何も言わずにベヒトハイム宰相から顔を背けた。
森の中へ入るとすぐにゴブリンやコボルトなどの低級魔獣が姿を現した。
ハミルトンとスイは魔獣達を剣や短剣で牽制してベヒトハイム宰相を守る。
ジークの鳥達は樹の上にいるゴブリン達を叩き落としていく。
コハルはゴブリンの首を巨大化して噛み切り、カーマインが片手剣でコボルトを牽制する。
ドルーキンは大斧でゴブリンを両断し、オーラルがゴブリンの集団へ雷魔法のイカズチを落とす。
リーファが風魔法で風の刃を飛ばし、コボルトの群れを八つ裂きにしていく。
ハッキリ言ってオーバーキルだよな。
ぼんやりとそんなことを考えていると、二体のコボルトが飛びかかってきた。
俺は素早く外套を跳ね上げ、ホルスターから拳銃を引き抜いて、コボルト達へ二連射する。
パン パン
コボルト達は体の真ん中に大穴を開けて、吹っ飛んでいった。
「いやー、危なかったな」
安堵してホルスターへ拳銃を仕舞っていると、ベヒトハイム宰相は目を見開いて俺を指差す。
「それは何だ?」
「……拳銃という新武器です……」
「あれほど新兵器を作ったら報告するように言ったではないか!」
いや……拳銃は武器であって、新兵器ではないような……
説教を始めようとするベヒトハイム宰相をオーラルが制する。
「宰相閣下、今は『瘴気の森』の中だよ。説教する場所ではないと思うんだ」
「賢者殿の言われる通りだな。私としたことが迂闊であった。アクス後で覚えていろよ」
オーラルと俺の扱いが全く違うのはどういうことだ?
凹んでいる俺の背中をリーファがポンポンと叩く。
気を取り直した俺達は森の奥へと進んでいった。
森に入って五日目、俺達はやっと目指していたジュレイ山に到着した。
そして山を登ること三時間、やっと大きな洞窟を発見した。
その中から、巨大な九尾の金狐が姿を現し、俺達に向かってジャンプする。
その姿を見て、ベヒトハイム宰相は金狐を指差して叫ぶ。
「神獣、九尾の金狐だと!」
九尾金狐は俺達の前に鼻先を下げ、愛しそうにコハルを見つめる。
コハルは嬉しそうに尻尾を振り、金狐へ走っていく。
《アクス、約束を守ってくれてありがとう》
「いいよ。ちょっと探しモノの次いでに寄っただけだから。コハルが喜ぶならそれでいい」
九尾の金狐と俺が仲良く話していると、突然、肩をわし掴みにされた。
「神獣、九尾の金狐といえば、はるか昔に一国を滅ぼしたと言われる大魔獣だぞ。アクス、お前はどうして仲良さそうに話しているんだ?」
「え? 俺のペットのコハルのお母さんだからですよ」
「お前は神獣の子供をペットにしていたのか! そんな報告は受けていないぞ!」
とうとうベヒトハイム宰相の怒りが爆発し、俺はその場で正座をして説教を受けることになった。
そんな俺とベヒトハイム宰相の姿を見て、九尾の金狐は首を傾げる。
《あの二人は何をしているのだ?》
「あー、放っといていいわ。あれはあの二人が仲良しの証拠だから」
リーファは呆れた表情で、肩を竦めて手をヒラヒラとさせる。
こんな山奥まで来て、説教は辛すぎる。誰か助けてくれよ。
その日は洞窟の前で野営をすることとなった。
九尾の金狐はコハルを抱いて静かに目を閉じている。
夜食を食べ終わった俺は、そっと金狐に近づいて、耳元で呟く。
「この辺りに古代遺跡はないかな? 年代は何でもいいだけど?」
《ん? 古代遺跡なら『瘴気の森』のもっと奥へ行けば幾らでもあるわ》
「それなら古代文明の遺跡はないかな? なるべく建物が壊れていない遺跡がいいんだけど?」
《では、コハルと会わせてくれたお礼に、明日、連れて行ってあげるわ》
俺は拳を握ってガッツポーズをする。
これでベヒトハイム宰相に怒られなくて済むぞ!
俺達は朝早くに野営を撤収して出発した。
巨大な九尾の金狐は樹々の間をジャンプしながら、俺達を先導する。
金狐に怯えたのか、魔獣達が襲ってくることはなかった。
俺達は順調に歩みを進め、森の奥深くへと入っていく。
するとビルが崩壊したような建物群が目の前に現れた。
九尾の金狐は空地で横になり、俺達を見る。
《ここが古代文明の遺跡よ。あなた達が探索をしている間、私はここで娘と遊んでいよう》
九尾の金狐の念話を聞いて、ベヒトハイム宰相は不思議そうな表情で首を傾げる。
「なぜ九尾の金狐がアクスに遺跡の場所を教えているんだ? アスクはこの場所を知っていたのではないのか?」
「ベヒトハイム宰相、細かいことは置いておいて、目の前に遺跡があるんですから探索に行きましょう」
俺は必死に ベヒトハイム宰相の背中を押して探索へ向かう。
古代遺跡の建物はどれも朽ち果てているが、中には入れそうだ。
それにしても日本のビルに似ているな―!
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