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第一章 復讐の少女。
第十話 復讐の少女
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僕は予定通り、昨夜にしつけた氷牙狼達にクレインさんを襲わせた。
その力を得るために、だけど自分の手を下したくなかったから。
クレインさん程度の実力なら氷牙狼には敵わないと思っていた。最初は想像通り、クレインさんは苦戦を強いられていた。
だが途中に、持っているとは思っていなかった範囲攻撃用のアサルトスキルを使い、形勢逆転されてしまい彼女が狩ってしまった。勝ってしまった。
何で....このまま終わってくれれば、僕が行かなくてよかったのに。
僕はスキル【潜伏】を解除し、草むらから丘の上にでて、クレインさんに姿を現した。
クレインさんが僕の身をあんじてくれる。そんな彼女に僕は罪悪感で押し潰されそうだ....。
けれど....僕の心が擂り潰されようとも、僕が行う罪は消えない。
それでもやるしかないんだ。死んでいった仲間の為に、復讐を。
....ごめんなさい。
僕はクレインさん目掛けて爪を降り下ろした。
+ + +
目の前に腕が飛んでいる。それは色白で綺麗な柔らかそうな質感をもつ左腕。
俺の腕だった。
そう俺が認識した瞬間、
「ぁっ? ああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああッ!!!!」
痛いッ痛いッ痛いッ痛いッ痛いッ痛いッ痛い....ッ!!
これまでの感じたことのない激痛がやってくる。幾つもの爆竹が続けて弾ける様に痛みが引くこともなく、断続して何度も何度も弾ける。
俺の左肘から先が消えており、腕の断面から血がとめどめなく流れる。飛ばされていた腕が音をたてて落ちた。
今、いったい何が....ッ!!!!
俺は意識が飛びそうな痛みのなか、左腕を押さえ、しゃがみこみながら、必死に確認する。
何とか首を動かし、前を見るとそこには腕を血の赤で塗らしたステーデが俺のことを見下ろしていた。
千切られたのか、ステーデに俺の腕を?
何故? 彼女にはこんなことをする理由が分からない..ッ!!
ステーデが血と【血爪】の魔力で赤く染めた腕を振り上げた。
それを見て、転がり込むようにその場を離れ、痛みをこらえ、何とか立ち上がる。
「す、ステーデ!? どうしたんだッ、何でこんなことを....ッ」
ステーデと出会ってまだ三日。
信用し合うには短いかもしれないが、だからと言って恨みをかうようなことをした覚えもない。彼女がこんなことをする動機が見つからないッ!!
何がステーデの琴線に触れたのか、俺のことが気にくわなかったのか。
それとも....出会う前から、最初からこのつもりだったのか....ッ!?
「ステーデ!! なん、でだッ。答えろよッ!!」
彼女は答えようとせず、再び両腕を構え、走ってくる。
くそ、一度取り押さえて話を聞くしかないかッ。
ステーデの腕を何とか掻い潜り、彼女の背に手を伸ばし【インパクト】を発動するが、交わされる。
彼女が振り向くと同時に蹴りを受けてしまう。
彼女が蹴りを入れられてのけ反る俺に、更に続けてボディブローを入れてくるが、それを貰う前にその腕を掴んで受け流し、その勢いのまま背負い投げをして投げ飛ばす。
彼女は空中で体勢を整え、綺麗に着地する。その顔は晴れない。が、この戦いでの疲労ではないだろう。
....ヤバイな、近接戦では明らかにステーデの方に分がある。技も速さも彼女には敵わない。
なら、どうする....
「....お願いします、大人しく僕に仕留められてください。これ以上、傷つけたく無いです....」
互いに構え、牽制しあっていると、彼女が声をかけてきた。
「抵抗せずに、殺されろと? 何でだよ。殺されるのは断るけど、襲いかかられるなら理由ぐらい聞かせ..」
ステーデは俺への説得が不可能と判断、言葉を待たずに攻撃を繰り出してきた。
どうする....理由は全く分からないが、ステーデは殺す気満々だ。だからと言って俺は彼女を殺したくないし、理由も知りたい。だが、そんなことを考えて相手できる相手でもないッ。
今も彼女の攻撃を捌くだけでも精一杯、いや捌ききれてもいない。
くそ、ステーデには悪いが、それ相応の反撃をさせて貰う!!
俺は左右から迫り来る紅い爪を掻い潜り、しゃがみこんだまま背負う片手剣を抜刀、同時に切りかかる。
降り下ろし、即座に切り上げ、横払い。だが俺の攻撃は全て交わされる。
「うおぉぉぉぉぉぉ!!」
腕はまだ再生されていない。俺がパッシブスキル【肉体超再生】の発動を押さえているからだ。
痛い、けどまだだ。
彼女にはのスキルを教えられていないから、優位に立てていると思っている筈だ。
俺は剣をつき出すが、それを彼女が交わし、大きな隙ができた俺に反撃しようと腕を引く。
この時、ステーデは防御を捨てた、隙だらけだ。
【肉体超再生】を発動、左腕が再生する。
いつもならかすり傷でもそこそこ時間を掛けて再生する。だがこの時は再生を押さえ続けていたぶん断面に魔力が溜まり続けたおかげでか、はたまた戦闘中ということもあってそれに合わせたのか、大きな傷を負ったのは初めてで分からないが即座に元に戻った。
このスキルも強力だな、と改めて考えながら再生した左腕をステーデのがら空きになった体に触れる。
「《衝撃よ、放たれろ》!! 【インパクト】ッ!!」
直撃するッ、と思ったのは一瞬。彼女は尻尾を大きく振るい、無理やり体勢を崩して【インパクト】を躱わした。
「くそッ」
毒づきながら、倒れたステーデに剣を降り下ろす。
勿論斬るつもりは全く無い、寸止めして押さえるつもりだったが、彼女は【血爪】で紅く染まる手で降りおろされる剣を掴みかかった。
肉を斬るような感触は無く、替わりに金属に叩きつけたような衝撃と共に剣の動きは止まった。
彼女の手は傷つくことなく剣を受けてめていたのだ。
これが彼女のスキル【血爪】!! 未完成でこれなのか、まるで鉄で出来た鎧のようだ。
何とかその場を離れようとするが、彼女は剣を放さない。
彼女が起き上がると同時に放った蹴りを腹にまともに受けてしまう。
おもわず背を曲げてしまう俺の頬に彼女の拳を受けてしまい、俺は吹き飛ばされ丘の下へ転がり落ちる。
「肉体再生スキルですか....。厄介なスキルですね....諦めて、じっとしていてください。すぐに終わらせますから」
「嫌、だね。もう死ぬような真似はしたくないんでね」
俺が何とか立ち上がりながら答えると、ステーデは悲しそうな顔をし、再び構える。
「なら、なんとか痛み無く終わらせれるよう努力するだけですね」
「なんでそうなるんだよッ」
くそったれが、本ッ当にくそったれッ!!
心の中でもいくら毒づこうが状況は変わらない。
俺は【宙蹴り】を使い、空を二回蹴り、背後の空中に飛ぶ。
ステーデと少しだけ距離が開くがすぐに彼女は距離を詰めようと近づいてくる。
「《清らかな水よ、命の源の恩恵の力を、我が障害を防ぐ壁と成れ》、【水壁】!!」
俺と俺に飛びかかっって来る彼女の間に分厚い水の壁が現れ、ステーデの進行を妨げる。
彼女が【血爪】を振りかぶるのが見えた。あれだけの力の攻撃だ、一瞬とは言わなくても直ぐに破壊されるだろう。
だが、時間稼ぎは数秒でいい。動きを止めている間に次のスキル詠唱を!!
「《暴風よ、我が魔力にて集い、敵を吹き飛ばせ》、【ウインドブラスト】!!」
ステーデが【ウォーターウォール】を破壊すると同時に放つ。
防ぎきれず、風の塊の直撃を受けたステーデは地面に向かって吹き飛ぶ。
アサルトスキルをまともに受けたのだ。流石のステーデだってただじゃすんでないはずだ。
そう思い、俺も着地してステーデの元に歩きよる。
ステーデが力無く横たわっていた。だから油断していた。だから....彼女がスキル詠唱をすることにきづかなかった。
「....《我が影、我が分身....我が名はステーデ=フェンリル、その分身の名もステーデ=フェンリル....》」
気づいたときには遅かった。彼女の影が俺の足下を覆う様に広がる。
危険を感じ【宙蹴り】で空へ避難しようとして....
「《半身よ....、その闇の身体を今一度....幾本もの凶器と化し、敵を刺し貫け》ッ、【影針殺圏】!!」
足下を覆っていた影から幾つもの漆黒の針が現れ、身体を貫き、俺の動きを封じた。
その力を得るために、だけど自分の手を下したくなかったから。
クレインさん程度の実力なら氷牙狼には敵わないと思っていた。最初は想像通り、クレインさんは苦戦を強いられていた。
だが途中に、持っているとは思っていなかった範囲攻撃用のアサルトスキルを使い、形勢逆転されてしまい彼女が狩ってしまった。勝ってしまった。
何で....このまま終わってくれれば、僕が行かなくてよかったのに。
僕はスキル【潜伏】を解除し、草むらから丘の上にでて、クレインさんに姿を現した。
クレインさんが僕の身をあんじてくれる。そんな彼女に僕は罪悪感で押し潰されそうだ....。
けれど....僕の心が擂り潰されようとも、僕が行う罪は消えない。
それでもやるしかないんだ。死んでいった仲間の為に、復讐を。
....ごめんなさい。
僕はクレインさん目掛けて爪を降り下ろした。
+ + +
目の前に腕が飛んでいる。それは色白で綺麗な柔らかそうな質感をもつ左腕。
俺の腕だった。
そう俺が認識した瞬間、
「ぁっ? ああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああッ!!!!」
痛いッ痛いッ痛いッ痛いッ痛いッ痛いッ痛い....ッ!!
これまでの感じたことのない激痛がやってくる。幾つもの爆竹が続けて弾ける様に痛みが引くこともなく、断続して何度も何度も弾ける。
俺の左肘から先が消えており、腕の断面から血がとめどめなく流れる。飛ばされていた腕が音をたてて落ちた。
今、いったい何が....ッ!!!!
俺は意識が飛びそうな痛みのなか、左腕を押さえ、しゃがみこみながら、必死に確認する。
何とか首を動かし、前を見るとそこには腕を血の赤で塗らしたステーデが俺のことを見下ろしていた。
千切られたのか、ステーデに俺の腕を?
何故? 彼女にはこんなことをする理由が分からない..ッ!!
ステーデが血と【血爪】の魔力で赤く染めた腕を振り上げた。
それを見て、転がり込むようにその場を離れ、痛みをこらえ、何とか立ち上がる。
「す、ステーデ!? どうしたんだッ、何でこんなことを....ッ」
ステーデと出会ってまだ三日。
信用し合うには短いかもしれないが、だからと言って恨みをかうようなことをした覚えもない。彼女がこんなことをする動機が見つからないッ!!
何がステーデの琴線に触れたのか、俺のことが気にくわなかったのか。
それとも....出会う前から、最初からこのつもりだったのか....ッ!?
「ステーデ!! なん、でだッ。答えろよッ!!」
彼女は答えようとせず、再び両腕を構え、走ってくる。
くそ、一度取り押さえて話を聞くしかないかッ。
ステーデの腕を何とか掻い潜り、彼女の背に手を伸ばし【インパクト】を発動するが、交わされる。
彼女が振り向くと同時に蹴りを受けてしまう。
彼女が蹴りを入れられてのけ反る俺に、更に続けてボディブローを入れてくるが、それを貰う前にその腕を掴んで受け流し、その勢いのまま背負い投げをして投げ飛ばす。
彼女は空中で体勢を整え、綺麗に着地する。その顔は晴れない。が、この戦いでの疲労ではないだろう。
....ヤバイな、近接戦では明らかにステーデの方に分がある。技も速さも彼女には敵わない。
なら、どうする....
「....お願いします、大人しく僕に仕留められてください。これ以上、傷つけたく無いです....」
互いに構え、牽制しあっていると、彼女が声をかけてきた。
「抵抗せずに、殺されろと? 何でだよ。殺されるのは断るけど、襲いかかられるなら理由ぐらい聞かせ..」
ステーデは俺への説得が不可能と判断、言葉を待たずに攻撃を繰り出してきた。
どうする....理由は全く分からないが、ステーデは殺す気満々だ。だからと言って俺は彼女を殺したくないし、理由も知りたい。だが、そんなことを考えて相手できる相手でもないッ。
今も彼女の攻撃を捌くだけでも精一杯、いや捌ききれてもいない。
くそ、ステーデには悪いが、それ相応の反撃をさせて貰う!!
俺は左右から迫り来る紅い爪を掻い潜り、しゃがみこんだまま背負う片手剣を抜刀、同時に切りかかる。
降り下ろし、即座に切り上げ、横払い。だが俺の攻撃は全て交わされる。
「うおぉぉぉぉぉぉ!!」
腕はまだ再生されていない。俺がパッシブスキル【肉体超再生】の発動を押さえているからだ。
痛い、けどまだだ。
彼女にはのスキルを教えられていないから、優位に立てていると思っている筈だ。
俺は剣をつき出すが、それを彼女が交わし、大きな隙ができた俺に反撃しようと腕を引く。
この時、ステーデは防御を捨てた、隙だらけだ。
【肉体超再生】を発動、左腕が再生する。
いつもならかすり傷でもそこそこ時間を掛けて再生する。だがこの時は再生を押さえ続けていたぶん断面に魔力が溜まり続けたおかげでか、はたまた戦闘中ということもあってそれに合わせたのか、大きな傷を負ったのは初めてで分からないが即座に元に戻った。
このスキルも強力だな、と改めて考えながら再生した左腕をステーデのがら空きになった体に触れる。
「《衝撃よ、放たれろ》!! 【インパクト】ッ!!」
直撃するッ、と思ったのは一瞬。彼女は尻尾を大きく振るい、無理やり体勢を崩して【インパクト】を躱わした。
「くそッ」
毒づきながら、倒れたステーデに剣を降り下ろす。
勿論斬るつもりは全く無い、寸止めして押さえるつもりだったが、彼女は【血爪】で紅く染まる手で降りおろされる剣を掴みかかった。
肉を斬るような感触は無く、替わりに金属に叩きつけたような衝撃と共に剣の動きは止まった。
彼女の手は傷つくことなく剣を受けてめていたのだ。
これが彼女のスキル【血爪】!! 未完成でこれなのか、まるで鉄で出来た鎧のようだ。
何とかその場を離れようとするが、彼女は剣を放さない。
彼女が起き上がると同時に放った蹴りを腹にまともに受けてしまう。
おもわず背を曲げてしまう俺の頬に彼女の拳を受けてしまい、俺は吹き飛ばされ丘の下へ転がり落ちる。
「肉体再生スキルですか....。厄介なスキルですね....諦めて、じっとしていてください。すぐに終わらせますから」
「嫌、だね。もう死ぬような真似はしたくないんでね」
俺が何とか立ち上がりながら答えると、ステーデは悲しそうな顔をし、再び構える。
「なら、なんとか痛み無く終わらせれるよう努力するだけですね」
「なんでそうなるんだよッ」
くそったれが、本ッ当にくそったれッ!!
心の中でもいくら毒づこうが状況は変わらない。
俺は【宙蹴り】を使い、空を二回蹴り、背後の空中に飛ぶ。
ステーデと少しだけ距離が開くがすぐに彼女は距離を詰めようと近づいてくる。
「《清らかな水よ、命の源の恩恵の力を、我が障害を防ぐ壁と成れ》、【水壁】!!」
俺と俺に飛びかかっって来る彼女の間に分厚い水の壁が現れ、ステーデの進行を妨げる。
彼女が【血爪】を振りかぶるのが見えた。あれだけの力の攻撃だ、一瞬とは言わなくても直ぐに破壊されるだろう。
だが、時間稼ぎは数秒でいい。動きを止めている間に次のスキル詠唱を!!
「《暴風よ、我が魔力にて集い、敵を吹き飛ばせ》、【ウインドブラスト】!!」
ステーデが【ウォーターウォール】を破壊すると同時に放つ。
防ぎきれず、風の塊の直撃を受けたステーデは地面に向かって吹き飛ぶ。
アサルトスキルをまともに受けたのだ。流石のステーデだってただじゃすんでないはずだ。
そう思い、俺も着地してステーデの元に歩きよる。
ステーデが力無く横たわっていた。だから油断していた。だから....彼女がスキル詠唱をすることにきづかなかった。
「....《我が影、我が分身....我が名はステーデ=フェンリル、その分身の名もステーデ=フェンリル....》」
気づいたときには遅かった。彼女の影が俺の足下を覆う様に広がる。
危険を感じ【宙蹴り】で空へ避難しようとして....
「《半身よ....、その闇の身体を今一度....幾本もの凶器と化し、敵を刺し貫け》ッ、【影針殺圏】!!」
足下を覆っていた影から幾つもの漆黒の針が現れ、身体を貫き、俺の動きを封じた。
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