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決戦

恥ずかしい、の上書き

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「リリアーヌ、聞いたか?街は今、凄いお祭り騒ぎで、俺とリリアーヌの肖像画が色々な物に転写されて、その品が爆売れしているそうだ」 

 事件から数日。 

 その日の政務を終えてふたりの寝室に戻ったレオンス王子が、嬉しそうにリリアーヌに報告した。 

「はい。わたくしも、聞いております」 

 既に侍女達からその話を聞いていた、のみならず、自分はティーカップを買っただの、迷ったけれど絵皿にしただの、挙句の果てには新しい肖像画シリーズも楽しみだ、などと瞳を輝かせて話すのを聞いてしまったリリアーヌは、恥ずかしさに発火しそうになったことを思い出す。 

「街でも映像が流れた、と聞いたときは、どうやって、と思ったが。まさか、上空に映し出したとはな」 

 シリル ラルミナと魔術騎士達により放映されたという件の映像は、全国の街のあちらこちらの上空に映し出されたとのことで、街の人々も、城勤めの者も、こぞって近くの映像を凝視したのだそうだ、よく考えたよな、とレオンス王子はくつくつ笑う。 

「恥ずかしい・・・」 

『頑張りました』 

『いい仕事しました』 

 などと、満足そうに語る彼等を責める気持ちは無いが、恥ずかしさは募るばかりのリリアーヌは、ぽすん、と座っていたベッドに転がって顔を埋めた。 

「そんなに恥ずかしがることは無いだろう。胸を張っていればいい」 

「レオンスさまは、とても格好良かったです」 

 そう。 

 映像のレオンス王子殿下もとても格好良かった、あの絵姿なら欲しいかも、などと思いつつも、自分の映像を思い出すとリリアーヌはまたも羞恥に苛まれる。 

「リリアーヌも可愛くて凛々しかったじゃないか。母上なんか、気に入った場面をそのまま静止画として転写しろ、なんて言っていたぞ」 

「な・・・・っ!」 

 知らなかったその事実に、リリアーヌは今度こそ完全に沈没した。 

「しかし。そんなに恥ずかしいなら、恥ずかしい、の上書きをすればいい」 

「恥ずかしい、の上書き?」 

 そう言って、リリアーヌは、自分を抱き起こしたレオンス王子を不思議そうに見る。 

「そう。もっと恥ずかしいことをすれば、今の恥ずかしさは紛れてしまうんじゃないか?例えば、こんな風に」 

「んぐっ」 

 言い終わるより先、レオンス王子の指がリリアーヌの唇を開かせ、中に潜り込んだ。 

「リリアーヌも、ほら」 

 そして、リリアーヌの手を取ると、その指を自分の口内へと導き入れる。 

「レオンスさま」 

「リリアーヌも俺の真似、して」 

 驚きつつも、自分の口内を縦横無尽に動くレオンス王子の指の動きを真似をしようとするリリアーヌだが、彼女の指を舐めしゃぶるレオンス王子の舌と唇の動きに翻弄されてままならない。 

「んんっ・・・」 

 口内をレオンス王子の指に、指をレオンス王子の舌と唇に占拠され、リリアーヌがくぐもった声を出す。 

「可愛いよ・・・リリアーヌ」 

 リリアーヌの指をねっとりと舐め上げ、レオンス王子は片方の手をそっとリリアーヌの寝衣の裾から忍び込ませた。 

「ふあっ・・・」 

「濡れている・・・。そうだ。リリアーヌの上の口の液と混ぜてみようか」 

「なに・・を・・っ!」 

 一体何を言っているのか、とリリアーヌがレオンス王子に問うより早く、レオンス王子は、リリアーヌの口から引き抜いた指をリリアーヌの秘所へと触れさせる。 

「んあっ」 

「ああ・・・リリアーヌ・・・」 

 指を舐めしゃぶられ、秘所を指でなぞられてリリアーヌが甘い声をあげ、その声に煽られたように、レオンス王子がその瞳に情欲の炎を灯した。 

「折角だから、俺の唾液も混ぜようか」 

 言うが早いか、レオンス王子はリリアーヌを仰臥させると、その秘所へと自分の顔を埋め、言葉の通りそこを舌で舐め始める。 

「ほら、混ざる」 

 ぴちゃぴちゃと立てられる音。 

 それが、リリアーヌの羞恥を煽る。 

「んあっ・・・だめっ・・・そんなっ・・・へんたい・・・っ」 

「んん・・・甘い・・・」 

「やめっ・・・そんなところ・・・っ・・・なめるのだめっ・・・っ」 

 悲鳴のような声をあげ、リリアーヌが手でレオンス王子の頭をどかせようと藻掻くも、舐めていた舌を突然、隘路に差し込まれてその髪を掴むだけになったうえ、差し込まれた舌の動きに、更に悶えることになってしまう。 

「あっ・・あっ・・やっ・・・」 

「だって、舐めるのは駄目だ、って言うから」 

 言いつつ、レオンス王子は舌でリリアーヌを存分に善がらせながら、その肉芽を指で摘まんだ。 

「あああぁっ・・・ああっ・・・」 

「リリアーヌ」 

 仰け反り、悶えるリリアーヌの秘所から顔をあげたレオンス王子は、ぴくぴくと身体を震わせるリリアーヌに口づけようとして、リリアーヌが顔を背けるのを面白そうに見た。 

「嫌なの?」 

「だって・・・っ・・」 

「そうだね。混ぜるのは、下の口だけにしようか」 

 そう言って自分の口に洗浄をかけたレオンス王子は、リリアーヌの口内深くに舌を侵入させ、絡めて吸いあげながら、しっとりとしたリリアーヌの素肌に手を滑らせる。 

「あっ・・・んくっ・・・」 

 そうしながら怒張をリリアーヌの秘所に擦り付けるも、挿れることはしない。 

「リリアーヌ・・・凄い・・・溢れて来るよ」 

「あっ・・・んんっ・・・いじわる・・しないで・・・っ・・ああっ・・」 

 そのもどかしさにリリアーヌは、知らず腰を蠢かせてレオンス王子を誘うも、微妙な愛撫を施されるばかりで、決定的な快楽は与えられず、リリアーヌは悶えることしか出来ない。 

「意地悪・・・?どうしたら、意地悪じゃなくなるの?」 

 全身で自分を誘うリリアーヌの痴態に堪えながら、レオンス王子はリリアーヌの髪を梳いた。 

「い・・いれて・・・ほし・・っ」 

「挿れるの?指を?ああ、舌かな。そんなに気に入った?」 

 そして更に焦らすように言えば、リリアーヌが潤んだ瞳をレオンス王子へと真っ直ぐ向ける。 

「ちがっ・・・れおんすさまの・・・っ・・・熱いくさびをっ・・・い・・挿れて・・・たくさんこすって・・・ついてほし・・・ああああああっ」 

「リリアーヌっ!」 

 リリアーヌの口から発せられたその言葉に、レオンス王子は一気に怒張を突き入れ、腰を大きく回して内部を擦りあげると、そのまま深く貫いた。 

「あっ・・・あっ・・・あああっ・・・」 

 リリアーヌが啼く、その声にも煽られてレオンス王子は動きを止めることが出来ない。 

「リリアーヌ・・・リリアーヌ・・・っ」 

 その身を串刺しにするように、益々怒張する楔を深く突き入れ、引き抜く間際まで腰を引き、そうしてまた強く深く貫く。 

「ああっ・・・あっ・・・れおんす・・さまっ・・あああっ・・」 

 がくがくと揺さぶられるまま、レオンス王子に身を委ねたリリアーヌは、その白い肌に幾つもの紅の印を刻まれ、幾度も熱い飛沫を内部へと注がれ。 

「れおんす・・・さま・・・っ」 

 しがみ付いたその背に、幾筋もの赤い筋を残しながら、果てない絶頂に髪を乱し続けた。 

 

 

 
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