トルサニサ

夏笆(なつは)

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序章

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 ゆらゆらと、水を通して届く光。 

 見上げれば色とりどりの魚が自由な旋回を見せ、美しい水と光が、今この時限りの模様を作り出している。 

 海底国家、トルサニサ。 

 人々が自在に行き交い、植物が人工の風に揺れる。 

 特殊ドームに覆われたそこは、かつて大陸国家のひとつとして、海上に栄えた国だった。 

 突出した科学力と、豊かな自然に支えられた軍事国家。 

 けれど、それはもう昔のこと。 

  

 その年、トルサニサ歴7339年。 

  それは、狭間の時。 

 
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