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四、俺と初恋幼馴染の過去 2

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『おかえりなさい、ランディ。留学はどうだった?』 

 俺の帰国を祝う席で、より美しさを増したミリアムにそう声を掛けられた時、その瞳の煌めきに俺はどうしようも無いほどに囚われた。 

 

 ミリアム。 

  

 俺を変わらずランディと呼び、留学中の話を楽しそうに聞くミリアムを見て、俺は、ミリアムを諦めることを諦めた。 

 どうしたって俺は、ミリアムが好きだ。 

 だが、絶対にミリアムに迷惑はかけない。 

 そう決意した俺は、ミリアムの参謀の位置を狙うことに決めた。 

 やがて妃となって王城で政に参画するミリアムの、懐刀のような存在になる。 

 そして同時に、最強の護衛となると。 

 その際には、ミリアムの夫となる愚王子クリフも漏れなく付いて来てしまうが、致し方ない。 

 ミリアムの為に全力を尽くす。 

 例え、愚王子クリフがミリアムを可愛がる様をつぶさに見せつけられることになっても。 

 それほどの決意を込めて臨んだ学院入学。 

 しかしそこで、愚王子クリフは、エイダ・ベーコン男爵令嬢と恋に落ちた。 

 曰く。 

『ミリアムは、賢過ぎる。政務などどうせ側近が行うのに、勉強などして何になる。もっと俺に構うことこそ重要で賢さなど要らぬのに』 

 それを初めて聞いた時、俺は怒りで目の前が赤く染まるのを感じた。 

 愚王子クリフは、王子教育が遅々として進まず、いつまでたっても立太子出来ない。 

 対してミリアムの優秀さは、鳴り響いている。 

 そんな事は貴族であれば、否、噂として平民にだってその情報は届いている。 

 そのような愚王子が王太子となって次代の王となることが決まれば、どうなるのか。 

 未来には、絶望しかないと人々は囁く。 

『ミリアム。ひとりで苦労しているのではないか?』 

 帰国して、変わらず家同士の付き合いがあるなか、そう聞いた俺に、けれどミリアムは、にっこりと笑った。 

『大丈夫よ。王家や国家の機密については、未だ学ばない約束なの。でもその他の、外国の言葉や領主としての経営学、それに外交はとても面白いわ』 

 王家や国家の機密には触れない。 

 つまりそれは、ミリアムが愚王子クリフと必ずしも共に沈む危険はないということ。 

 

 もしもの時は、必ず俺が力になろう。 

 

 そう決意して、俺は学院での時を過ごした。 

 


~・~・~・~・~・~・ 

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