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57.それは初めての
しおりを挟む「ん・・・ぅ」
シライの舌に舌を絡め取られ吸いあげられた佳音は、自らも積極的に舌を絡め、その気持ち良さに酔う。
「佳音」
シライの手が佳音の背を肩を滑る度、佳音の寝衣が乱れて行く。
「シライ・・・」
やがてシライの手が佳音の寝衣の裾から入り込み、やわやわと腿を撫でれば、その意図を察したように佳音が膝立ちになった。
「ああ。本当に佳音の肌は吸い付くようだ」
うっとりとした声を出したシライの手が佳音の胸元を撫で、悪戯な指がその頂を摘まめば、佳音が甘い声で啼く。
「ん・・あぁ」
シライに触られている所、全部気持ちいい。
シライに縋るようにその逞しい首に両腕を絡め、全身の力を抜いてシライの愛撫に浸っていた佳音はその時、じゅん、と自分の後孔に未知の感覚を覚えた。
え?
なに、今の。
「佳音?どうした?その気になれないか?」
咄嗟に動きを止めた佳音の額に、シライがこつんと額を当てる。
「ちが・・なんか、おれ・・へん・・っあ」
「何がだ?ああ、潤っているな」
乱れた裾から入り込んだシライの指が佳音の後孔に触れれば、シライが嬉しそうにそう言った。
「潤う、って?なんで?」
「佳音は、オレの眷属となると同時に唯一の伴侶ともなった。故に、オレの子を孕む準備も出来たということだ」
「子を、孕む。うえええ!俺が!?」
「ん?そう言っただろう?説明したよな?」
「いやいやいやいや。伴侶になるとは聞いたけど、子を孕むとかは聞いてないぞ・・・多分」
混乱しつつも佳音が言えば、シライがむうと顔を寄せる。
「多分ならば、説明したのだろう。恐らく」
「そっちだって恐らくじゃん。あ!『人間の男だから玉を』とかって言ってたのって、そのこと!?」
話が繋がった、と佳音がぽんと手を打てばシライがどんよりとなった。
「今か。今なのか」
「だって、子を孕めるようになるとは思わなかったからさ」
「佳音は、子を孕むことに嫌悪があるか?」
あっけらかんと言う佳音に、シライが真顔で問う。
「嫌悪は無いかな。驚きはあるけど」
「驚きだけか?勝手をしたオレに怒りなどは」
「それは無い。シライの子なら産みたい」
佳音もまた真摯に答えれば、シライが破顔して佳音を抱き締めた。
「オレも、孕ませたいのは佳音だけだ」
「シライの子かあ。それはもう美しい子が・・って、俺に似たらどうしよう」
「オレは佳音に似た子がいい」
「ええ。それってどうよ」
自分とシライならば絶対にシライに似た方がいい、と言い募る佳音にシライが笑みを深くする。
「ふたりでも三人でも孕ませてやるから、どちらに似た子も産んでくれ」
「うーん。俺に似た子が可哀そうな気が」
「それは絶対に無い。それにな」
「うん?」
考え込む佳音の耳にシライが囁いた。
「暫く、そうだな。後、百年くらいはふたりだけの時を楽しもう」
「はへ?ひゃくね・・・っああ!」
聞き間違いかと鸚鵡返しに言おうとした佳音は、そのまま後孔にシライの指を突き立てられ、胸の頂に噛み付かれて、一気に情欲の海へと放り出された。
~・~・~・~・~・
今年も一年、ありがとうございました。
佳いお年をお迎えください。
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