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47.発覚
しおりを挟む「玉の融合も順調のようだな」
「ああ。励んでいるからな」
「しゃあしゃあと。氷漬けにしてやろうか」
「そんなことをすれば、佳音が悲しむぞ?」
ヒスイにその手を委ね、水神の力の訓練を受けている佳音を離れた場所から見守りながら、シライとカハは酒杯を傾ける。
「ん?今、佳音は何と言ったのだ?天空神の声に邪魔されて聞こえなかった」
「邪魔なのは、貴殿の声だろう」
「「だがまあ、よく聞こえるようにすればよいか」」
そんな所だけ気の合う二柱は、その場を動かないまま佳音とヒスイの会話が難なく聞こえるように術を使った。
<凄い!カハ様のお城には、滝があるの?>
佳音の弾んだ声に、カハの顔に喜びが走りヒスイの声も弾む。
<はい。滝に川、それに大きな池もあって舟遊びも出来ますよ>
<凄いなあ。カハ様もヒスイも優美な容姿をしているから、舟遊び似合いそう>
<佳音様にだって似合います。舟は、お嫌いですか?>
<乗ったことないけど、楽しそうだと思う>
そう言い切った佳音に、カハがシライを見た。
「あとどのくらいで完全に融合する?」
「正確に言えないのは、貴殿にだって分かっているだろう。危険のないよう、念には念を入れるべきであるしな」
「我にも経験の無いことだからな。佳音の安全を最優先で頼む」
「もちろんだ」
そこはぬかることも手を抜くことも無い、と言い切るシライに、カハが信頼の目を向ける。
「完全に融合すれば、次は婚姻の儀か。して、天空神。佳音の婚姻の儀の正装は、我が贈ってよいのだよな?」
父として当然だ、と言うカハからシライが目を逸らす。
「もう用意してある」
「は?」
「佳音を迎えられると決まった時に、既に指示してあるからな。じき、完成だ」
「なっ」
「仕方ないであろう。オレとて佳音が貴殿の子だと知らなんだから」
胡乱な目で見られても、と言うシライに、カハが、ぐっと息を飲んだ。
「それは、一理あるな。では!宴の際の衣装。それは贈らせてくれ」
「既にそちらも手配済みなのだが。まあ、宴の衣装は婚姻時に限ったものではないし、幾枚あっても良いからな。譲歩してやる」
「偉そうに。だが、感謝する。そうか、完全に融合したら自由に動けるということだからな。我が城へも佳音が来られる、ということか。まずは何処を見せよう。舟遊びにも興味があるようだったからな。音曲を用いて宴を開くのもよいな。その前に、ふたりで庭を散策などして」
シライへと軽く頭を下げたカハは、楽しそうに算段を始める。
「何を愚かな。最初は天空城、そしてオレ自慢の庭に決まっている。水神の城へ行くのはそれからだ」
「何を。佳音とて、我の城へ来るのを楽しみにしているではないか」
<佳音様。我が君の城は、庭だけでなく中も見事なのです。城内にも川があって>
<お城のなかに!?>
<はい。是非、お越しください>
<行ってみたい!あ、でも俺、ここから出ちゃ駄目なんだ>
弾んだ声が一気にしぼんで、シライもカハも胸を痛めるも、次の言葉に目を見開いた。
<それに俺、生贄だからさ。ちゃんと馴染んだらシライに食べられる約束しているから無理>
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