上 下
39 / 62

39.愛撫

しおりを挟む
 

 

 

「ん・・・」 

「寝ていていい」 

 浅いまどろみのなか、誰かが寝台にあがった気配に意識を向ければ、優しい声が佳音を包む。 

「シライ・・・?」 

「遅くなってすまない。起こすのも何だからな。今日は別に寝ようとも思ったのだが、どうにも・・佳音?」 

「シライ。シライだ。嬉しい」 

 眠りの邪魔をして申し訳ない、だが別に寝るなど出来なかった、と言おうとしたシライは佳音にぎゅうと抱き付かれて思考を止めた。 

「シライ。今日はもう帰って来ないかも、って」 

「寂しかったか?」 

「うん。すっごく寂しかった」 

 未だ覚醒しきっていないのか、素直に甘えて来る佳音をシライも抱き締め返す。 

「佳音」 

 堪らず口づければ、嫌がることなく受け入れただけでなく積極的に応え攻め込んで来て、シライは歓喜した。 

 そうして互いの口腔で舌を絡め合い、口の外でも絡め合って互いの唇を濡らしながらシライが佳音の寝衣を脱がせば、佳音もまたシライの寝衣に手を掛ける。 

「すごい筋肉」 

 自らはだけさせたシライの胸元に手を這わせ、うっとりと呟く佳音を引き上げるようにして口づけ、膝立ちにさせて後孔をやわやわと刺激すれば焦れるように腰が揺れた。 

「欲しいか?」 

「うん・・・ほしい」 

 薄暗がりのなか、あえかな笑みを浮かべる佳音は極上の色気を纏い、シライの理性を崩壊させる。 

「ならば、自分で挿れてみるか?」 

 冗談のように言ったシライが、そのまま佳音の後孔を指でほぐしていると、何かを考えたような佳音に、とん、と胸を押された。 

「佳音?・・・っ」 

 一度では倒せなかったシライに焦れたように幾度も佳音に挑まれたシライが、自ら寝台へ仰臥すると、満足そうな笑みを浮かべた佳音が、あろうことかシライへと跨る。 

「佳音っ」 

 余りのことに驚き、佳音を止めようとしたシライはしかし、その煽情的な姿に息を止めた。 

 シライの腰をしっかりつかむように膝を突き、自らの指で後孔を開いてシライの熱杭を埋めようと蠢く。 

「んっ・・・」 

 くぴ、と佳音の後孔がシライの先端を含めば、佳音が眉を寄せて違和に耐えているのが分かり、ぐぐっ、と少しずつ呑み込んでは、残りの長さを計る姿が可愛い。 

「シライぃ・・・これいじょうはいんない」 

「っ!」 

 可愛くもじれったい佳音の動きに耐えていたシライは、涙目の佳音に訴えられ、荒ぶる腰を思い切り突き上げた。 

「あああああっ」 

 突然の刺激に叫んだ佳音がぶるぶると身体を震わせ、シライの腹に両手を置いて懸命に姿勢を保つ。 

「佳音」 

「まっ・・って・・おれにやらせて」 

 その腿にシライが手を這わせれば、そう言った佳音がゆっくりと身体を上下させ、後孔を締めてシライの熱杭を扱く。 

「くっ」 

 全身を波打たせるようにして、シライを悦ばせようとする佳音の腰を支え撫であげ、佳音の嬌態を見つめるシライの瞳が、堪えようのない情欲に染まっていく。 

「ああ・・・佳音・・・最高だ」 

「んっ・・くっぅん・・・シライ・・シライ・・・」 

「佳音」 

 懸命に腰を振る佳音の、乱れた髪が汗で光る額を流れ首筋を流れる。 

「やあ・・・またおっきく・っ」 

 怒張は限りなく佳音の内部を広げ抉って、佳音を益々乱れさせシライは堪らず腰を突き上げてしまう。 

「ああっ・・んっ」 

 ずるりと落ちかけた佳音の手。 

 その刺激が起爆となって、シライは大きく腰を回し佳音を蹂躙し始めた。 

「ああっ・・・んっ・・んっ・・シライ・・・っ・・シライっ・・すきっ・・だいすきっ」 

「かのんっ」 

 突き上げられるままに揺れ、乱れる佳音が告げる言葉にシライは心からの至福を感じる。 

 互いの汗が交じり合い、絶頂しても突き上げを止めないシライに佳音は嬌声をあげ続けることしか出来なくなる。 

「あっ・・・ああっ・・・あっ・・あっ・・・」 

 まるで乗馬をしているかのように身体が揺れ、ただひたすらに快楽を追い求める。 

 今の佳音に分かるのはただひとつ。 

 この快楽を与えているのがシライだということ。 

「シライも・・きもちい・・いっ?」 

「ああ・・最高だ佳音」 

「うれし・・っ・・あっんっ」 

 蕩けた目でシライを見た佳音は、自分のなかでシライが大きく膨らむのを感じて、悦びに後孔をきつく締めた。 

「くっ」 

 きゅ、と佳音に締め上げられ、シライは大きく身震いするように佳音のなかに熱い飛沫をまき散らす。 

「んっ・・・あああ」 

 その刺激に再び達した佳音が、ゆっくりと力を失って倒れ込む。 

「佳音」 

 大きく胸が上下し、息を乱す佳音を抱き締めるシライの瞳は、未だ情欲に濡れたまま。 

「シライ・・・」 

「佳音。もう一度、いいか?」 

 背を擦り、頭を撫でて佳音の呼吸が整うのを待っていたシライが佳音の耳に囁けば、佳音が困ったようにシライを見た。 

「嫌か?」 

「ううん・・でもおれ・・もうちから・・はいんなくて・・うえのれない」 

「っ・・・佳音っ」 

 今度は自分が伸し掛かる形で佳音を組み敷いたシライは、ぐりぐりと佳音の後孔を責めながらその息を奪うように口づけ、胸の突起を摘まみ上げて佳音をこれ以上なく善がらせる。 

「んあっ・・あっ・・・んっ」 

 佳音の手がシライの髪に触れ、結び紐をほどけば空色の髪が佳音の上にも降り注ぐ。 

「シライ・・・シライ・・・っ」 

 その髪に指を絡ませ、喉を反らせて、佳音はいつ果てるともなく啼き続けた。 

 

 

  
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

残業リーマンの異世界休暇

はちのす
BL
【完結】 残業疲れが祟り、不慮の事故(ドジともいう)に遭ってしまった幸薄主人公。 彼の細やかな願いが叶い、15歳まで若返り異世界トリップ?! そこは誰もが一度は憧れる魔法の世界。 しかし主人公は魔力0、魔法にも掛からない体質だった。 ◯普通の人間の主人公(鈍感)が、魔法学校で奇人変人個性強めな登場人物を無自覚にたらしこみます。 【attention】 ・Tueee系ではないです ・主人公総攻め(?) ・勘違い要素多分にあり ・R15保険で入れてます。ただ動物をモフッてるだけです。 ★初投稿作品

涙は流さないで

水場奨
BL
仕事をしようとドアを開けたら、婚約者が俺の天敵とイタしておるのですが……! もう俺のことは要らないんだよな?と思っていたのに、なんで追いかけてくるんですか!

身体検査

RIKUTO
BL
次世代優生保護法。この世界の日本は、最適な遺伝子を残し、日本民族の優秀さを維持するとの目的で、 選ばれた青少年たちの体を徹底的に検査する。厳正な検査だというが、異常なほどに性器と排泄器の検査をするのである。それに選ばれたとある少年の全記録。

男とラブホに入ろうとしてるのがわんこ属性の親友に見つかった件

水瀬かずか
BL
一夜限りの相手とホテルに入ろうとしていたら、後からきた男女がケンカを始め、その場でその男はふられた。 殴られてこっち向いた男と、うっかりそれをじっと見ていた俺の目が合った。 それは、ずっと好きだけど、忘れなきゃと思っていた親友だった。 俺は親友に、ゲイだと、バレてしまった。 イラストは、すぎちよさまからいただきました。

ひとりぼっちの180日

あこ
BL
付き合いだしたのは高校の時。 何かと不便な場所にあった、全寮制男子高校時代だ。 篠原茜は、その学園の想像を遥かに超えた風習に驚いたものの、順調な滑り出しで学園生活を始めた。 二年目からは学園生活を楽しみ始め、その矢先、田村ツトムから猛アピールを受け始める。 いつの間にか絆されて、二年次夏休みを前に二人は付き合い始めた。 ▷ よくある?王道全寮制男子校を卒業したキャラクターばっかり。 ▷ 綺麗系な受けは学園時代保健室の天使なんて言われてた。 ▷ 攻めはスポーツマン。 ▶︎ タグがネタバレ状態かもしれません。 ▶︎ 作品や章タイトルの頭に『★』があるものは、個人サイトでリクエストしていただいたものです。こちらではリクエスト内容やお礼などの後書きを省略させていただいています。

そばかす糸目はのんびりしたい

楢山幕府
BL
由緒ある名家の末っ子として生まれたユージン。 母親が後妻で、眉目秀麗な直系の遺伝を受け継がなかったことから、一族からは空気として扱われていた。 ただ一人、溺愛してくる老いた父親を除いて。 ユージンは、のんびりするのが好きだった。 いつでも、のんびりしたいと思っている。 でも何故か忙しい。 ひとたび出張へ出れば、冒険者に囲まれる始末。 いつになったら、のんびりできるのか。もう開き直って、のんびりしていいのか。 果たして、そばかす糸目はのんびりできるのか。 懐かれ体質が好きな方向けです。今のところ主人公は、のんびり重視の恋愛未満です。 全17話、約6万文字。

初恋はおしまい

佐治尚実
BL
高校生の朝好にとって卒業までの二年間は奇跡に満ちていた。クラスで目立たず、一人の時間を大事にする日々。そんな朝好に、クラスの頂点に君臨する修司の視線が絡んでくるのが不思議でならなかった。人気者の彼の一方的で執拗な気配に朝好の気持ちは高ぶり、ついには卒業式の日に修司を呼び止める所までいく。それも修司に無神経な言葉をぶつけられてショックを受ける。彼への思いを知った朝好は成人式で修司との再会を望んだ。 高校時代の初恋をこじらせた二人が、成人式で再会する話です。珍しく攻めがツンツンしています。 ※以前投稿した『初恋はおしまい』を大幅に加筆修正して再投稿しました。現在非公開の『初恋はおしまい』にお気に入りや♡をくださりありがとうございました!こちらを読んでいただけると幸いです。 今作は個人サイト、各投稿サイトにて掲載しています。

後輩に本命の相手が居るらしいから、セフレをやめようと思う

ななな
BL
「佐野って付き合ってるやつ居るらしいよ。知ってた?」 ある日、椎名は後輩の佐野に付き合ってる相手が居ることを聞いた。 佐野は一番仲が良い後輩で、セフレ関係でもある。 ただ、恋人が出来たなんて聞いてない…。 ワンコ気質な二人のベタ?なすれ違い話です。 あまり悲壮感はないです。 椎名(受)面倒見が良い。人見知りしない。逃げ足が早い。 佐野(攻)年下ワンコ。美形。ヤンデレ気味。 ※途中でR-18シーンが入ります。「※」マークをつけます。

処理中です...