悪役令嬢の腰巾着で婚約者に捨てられ断罪される役柄だと聞いたのですが、覚悟していた状況と随分違います。

夏笆(なつは)

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43.婚約者は《ホットビスケット》が好きなようです。

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「これが<虹色のトマト>」 

 ウィリアムの手から<虹色のトマト>を受け取った私は、小粒のトマトが枝に連なっている美しい造形品をしみじみと見つめた。 

 ひとつの虹石から造られているというそれは置物となっていて、短剣よりも長さ、というか高さがあり、どっしりと土に根を下ろしている印象に反してとても軽い。 

「これが」 

 次々チームみんなで手にして、喜びを分かち合う。 

「それにしても、どうしてトマトなのでしょうね」 

 とても美しい造形品ではあるけれど、なにゆえにトマトなのか、と私は始めからの疑問を口にしてしまった。 

「そうだな。国内でも国外でも聞かないよな。戦利品がトマトって」 
 ウィリアムもそう言って私を見る。 

「トマトを愛して止まない方が造られたのでしょうか」 

「そうかもな」 

「その人は、三食トマトだったんでしょうかね」 

「菜食主義者の方だったのかもしれません」 

 そんなことをみんなで話ししていたら。 

『ウィルトシャーのチーム。見事な勝利おめでとう』 

 どこからか、先生の声が聞こえた。 

『今から帰還の扉を開く。今度は全員一緒に帰って来ていいぞ。チームばらけてしまって構わない』 

「え?扉?」 

 ここは開けた空間で、扉がありそうな場所が見当たらない。 

「えええ!?」 

 と思っていたら、その空間の一部が四角くぱっくり開いた。 

 それは丁度、扉程の大きさだけれど、その向こうは光が強くて何も見えない。 

 見えるのは、光り輝く四角のみ。 

 

 あの空間へ入るのは、かなりの勇気が必要な気が、します。 

 

「さ、ローズマリー。戻ろう」 

 思っていると、私の隣にはいつのまにかパトリックさまが居て、当然のように私の手を引いて、恐れることなく真っ先に四角い光の空間へと足を踏み出す。 

「はい。パトリックさま」 

 

 パトリックさまと一緒なら、怖くない。 

 

 不思議と落ち着く気持ちのままに頷き、パトリックさまにしっかり握られた手を優しく引かれて歩く、その後ろから皆さんが恐る恐る歩いて来る気配がする。 

「パトリックさま、すごいです」 

 最初の一歩は誰だって不安なもの。 

 それが、このように見慣れないもの、先が見えないものなら尚のこと。 

 だからこそ、パトリックさまは率先して行動されたのだと判って、私は感激してしまった。 

  

 

 

 それから、クラス全員で<虹色のトマト>の鑑賞をした。 

 きらきらと輝く<虹色のトマト>は、本当に見事な細工で美しさも抜群。 

 いつまでも見ていたい、と思っていたら勝利チームには小さなレプリカが配られた。 

 そこには、記念日となった今日の日付と、私たちのチーム全員の名が刻まれている。 

『俺の魔法で刻んだんだ。勝利が決まってすぐにやったとはいえ、仕事が早いだろ?頑張ったんだから感謝しろよ。そんでもって、俺が刻んだ、っていうのも記念だからな』 

 そう念を押す先生の言葉には笑ってしまったけれど、確かにこのことも思い出になるのだろう、と感慨深い思いがした。 

「ああ。ローズマリーとお揃いの<虹色のトマト>欲しかった」 

 学園を出て、寮へと歩きながらパトリックさまがしみじみと言うのに、私も深く頷く。 

「はい。ご一緒できなかったのが、本当に残念です」 

 本音を言えば、パトリックさまが薄く微笑んだ。 

「改めておめでとう、ローズマリー」 

「ありがとうございます。あの、お怪我はないのですよね?」 

 見た目に傷は無いし、どこも痛そうではないけれど、パトリックさまは地面を転がったりもしたので私は心配せずにはいられない。 

「大丈夫だよ。何ともない。ローズマリーも平気だよね?」 

「はい。私は何ともありません。パトリックさまは、地面を転がったりもされたのに、凄いです」 

 言えば、パトリックさまが苦く笑った。 

「みっともない所を見せちゃったよな。忘れてくれると嬉しい」 

「みっともなくなんてありませんでした!むしろ、凄く格好良かったです。パトリックさまは体術も凄いのだと感激しました」 

 最後まで諦めず闘うあの姿は本当に素敵だった、と私は思い出してうっとりしてしまう。 

「そう言ってもらえると安心する。ローズマリーの魔法も凄かったよ。防御、凄く手強かった」 

「パトリックさまの方こそ、です。威力や精度、本当に見事でした。それに、持続力も」 

 それから。 

 内緒だけれど、戦闘中にも我知らず見惚れるほど素敵でした、と思い返していると。 

「闘っているローズマリーも凄く綺麗で。それが、ウィルトシャー級長を護るためだと思うと、酷くむかついた」 

 何やら不穏な声と言葉が聞こえた。 

「む、むか・・・?」 

「うん、むかついた。ウィルトシャーのクイーン、っていう言い方も気に入らなかったし」 

 言いながら、何だが素敵な笑顔を浮かべるパトリックさま。 

「だからね、ローズマリー。俺と風魔法を取得しよう」 

 それは、だから、で繋がるものなのかと思いながらも、私は哀しく否定した。 

「風魔法を、ですか?残念ながら、私に風魔法は使えません」 

 本当に残念な思いで告げれば、パトリックさまが頷く。 

「うん。今、使えないことは知っているよ。でも、風魔法に憧れているでしょう?」 

 にこにこと続けるパトリックさま。 

 その笑顔は、さきほど『むかついた』と言ったときに見せた”素敵な笑顔”とは全く違って邪気が無い。 

「はい。そうですけれど。どうしてそれを?」 

 私が風魔法に憧れていることは事実だけれど、それをパトリックさまに言ったことは無いはず、と不思議な思いでパトリックさまを見れば。 

「知ってるよ。羨ましそうに風魔法を見ていた。子どものこっ・・・と、入学してからもそうだし、さっきの闘いのときもそうだった」 

 何故か、途中から焦った様子でそう言った。 

「そんなに分かり易いですか?」 

 どうしてパトリックさまが焦り気味なのかは不明だけれど、私はそれほど分かり易いのか、と恥ずかしく思う気持ちが上回る。 

「うん。ばればれ」 

 パトリックさまは、そう言って笑い、私の髪を撫でた。 

「だから、俺と取得しよう」 

 輝くような笑顔で言うパトリックさまの言葉は嬉しい。 

 けれど、その意味が私には理解できない。 

「あの。魔法を使えるかどうかは、生まれつき決まっていますよね?」 

 持って生まれたものしか使えない。 

 そう言われている魔法を、後から取得なんて出来るものなのか、と私は不思議で仕方がない。 

「大抵はそうなんだけど、稀に他者から受け取れることがあるんだ。魔法核を持っていることが大前提で、それ以外にももちろん、相性が良いこととか双方共に魔力量が多いとか、各人の魔法精度の高さとか必要になるけど、ローズマリーは当然魔法核を持っているし、俺とローズマリーなら、相性は言うに及ばず、実力的にも問題ないから」 

  

 ??? 
 

 パトリックさまの言葉に、私は首を傾げる。 

「魔法核?」 

 聞いたことの無い言葉に私が戸惑っていると、パトリックさまが頷いた。 

「言葉の通り、魔法を使うための核だよ。因みに、ローズマリーの魔法核は、極上」 

「極上」 

 鸚鵡返しに言うと、パトリックさまが嬉しそうに笑う。 

「そうだよ、極上。その君の魔法核に、俺の風魔法の魔力を流すんだ。そうしたら、君も風魔法を使えるようになるよ」 

「使えるようになれたら嬉しいですが、なんだか難しそうです。でもそれで、魔力量や魔法精度の高さが必要になるのですね」 

 詳しくは判らないながらも、私の”魔法核”にパトリックさまの風魔法の魔力を流すと、私にも風魔法が使えるようになる、ということだけは理解できた。 

 確かに、他者へ魔力を流すなんていう技、かなりの実力者でないと無理だと思う。 

 そもそも、そんなことを出来るひとがいる、なんて聞いたことも無い。 

「魔力量も精度も、パトリックさまは問題ないと思いますが、私はどうでしょう?それに、パトリックさまと私の相性も分かりませんし」 

 連携するときなど、互いに相性の良さを感じることはあると言うけれど、正直、私にはまだよく分からない。 

「ローズマリーも問題ないよ。それに、俺と君の相性はこれ以上ないくらい、いい」 

 断言するパトリックさまに、私は疑問の瞳を向けた。 

「相性も、言い切れるのですか?」 

 実力については、パトリックさまくらい実力のある人が、他者の実力も判る、というのは理解できる。 

 けれど相性はどうなのだろう、と私はパトリックさまに疑問の目を向けてしまった。 

「言い切れるよ。相性がいいほど相手の魔力そのものや魔法に惹かれて見惚れるものなんだ。ローズマリーが俺に見惚れてくれて、凄く嬉しかったよ」 

「っ!」 

 けれど、蕩けるような表情で言われた内容に、私は息を呑んだ。 

 

 見ていたのですか!? 

 気が付いていたのですか!? 

 

 驚く私に肯定するよう、ばちん、と音がするほどのウィンクをしたパトリックさま。 

 その瞬間、私は発火した。 

 

 ばれていたなんて! 

 恥ずかし過ぎて、穴を掘ってでも入りたいです! 

 

「大丈夫。俺しか気づいていないから。魔法や魔力に惹かれるっていうのは、相手にしか判らないものなんだよ」 

 パトリックさまはそう言ってくれるけれど、本人にばれている時点で駄目なのではないかと思う。 

「うう。お恥ずかしい、です」 

「ほんとに大丈夫だよ・・・お互い様だから」 

 大丈夫、大丈夫、と私の髪を撫でるパトリックさまが、小さく何かを付け足すように呟いた。 

「パトリックさま?今、何と?」 

「というわけで、取得は、次の休みでいいかな?」 

 けれど、パトリックさまは私の問いに答えることなく、話を元に戻してしまう。 

「はい。よろしくお願いします」 

「それで。その日、そのまま、湖で釣り、しない?」 

 私が頭をさげると、パトリックさまがそう言って私の目を覗き込んだ。 

「釣り、ですか?」 

「そう、釣り。俺、好きなんだよね」 

 少し照れたように言うパトリックさまが可愛い。 

「私はできませんが、それでよろ・・・よければ」 

 もしかしたら、釣りをしているパトリックさまの姿のなかには、初見の可愛いパトリックさまもいらっしゃるかも、と内心ときめく気持ちが表にでないよう、私は気を引き締めつつ言った。 

「よろ・・・で、また堪えた。うん、もちろん、構わないよ。っていうか、君の方が退屈しちゃうかもしれないけど、良かったら釣りも教えるし、景色が凄くいいところだから、それは期待して」 

 『よろしければ』と言うと、かなりの確率で加算されてしまうことを学習したため、なんとか踏みとどまった私に悪戯っぽく笑いかけ、パトリックさまがそう説明してくれる。 

「はい。楽しみです」 

 パトリックさまと出かけられるなら、どこでも楽しい。 

 絶対に行きます、と意気込んで言い切ってから、私にひとつの懸念が浮かびあがった。 

「あの。服装は、どうしたらいいですか?」 

「服装?なんでもいいよ。取得するにも、特に縛りはないし。まあ、豪華なドレスだとローズマリーが動き難いだろうけど」 

 私の問いに、パトリックさまが可笑しそうに笑う。  

「その湖には、平民の方もいらっしゃいますか?」 

「うん、いると思うよ。みんなに解放している場所だから」 

 パトリックさまの言葉に、私はひとつの決意を伝える。 

「パトリックさま。私、この間の街歩きで思ったのです。あのワンピースは、平民の方のなかでは浮いていました。でも、パトリックさまは全く違和感がなくて。私も、もっとパトリックさまのように馴染みたいのです。パトリックさまのように、お話がうまくできなくても、せめて見目から努力したいのです」 

 必死に言い募ると、パトリックさまが目を丸くして私を見ていて、とても恥ずかしくなった。 

「このあいだのワンピースだって良かったよ。そりゃあ、平民のなかの平民、には見えなかったけど、いいとこのお嬢さん、っていう感じだった。魚屋の親父さんだって、ローズマリーのこと”嬢ちゃん”って言っていただろう?初めてなのに上出来だと思ったよ。もちろん、育ちの良さは隠せないけど、ローズマリーはひとを見下したり、貴族だってだけで変に威張り散らしたりしないから」 

「それは、当たり前ではないですか?」 

 不思議に思い首を傾げると、パトリックさまが嬉しそうに笑う。 

「うん、俺もそう思う。でも、そうじゃない貴族も多いから」 

 苦く言う表情から、何となく言いたいことを理解する。 

 確かに、貴族であることを誇張したがるひとたちもいる。 

 街に視察に行くというパトリックさまは、これまで色々あったのだろう、とその苦労が伺えた。 

「今度は、コットンシフォンの生地・・・いえ、コットンにしてみます」 

 街や市で見かけた女性たちを思い出し、私は頭のなかでシミュレーションする。 

「無理はしなくていいけど、コットン生地なら、ピクニックしたり、水遊びしたりするにもいいかも知れない」 

 パトリックさまの言葉に力を得て、私は連鎖的に考えた。 

  

 でも私、コットン生地のワンピースって持っていないのよね。 

 作るとしても、次の休みまで間に合うか分からないし。 

 でも、街にはきっと既製品が売っている、わよね。 

 私が行く、のは難しいでしょうから、頼んで買って来て貰えばいい、かしら。 

 

「それでね、ローズマリー。その日は、軽食を持って行って、湖のほとりで一緒に食べたら楽しいだろう、と思うんだ」 

 考えていると、パトリックさまが何故か言い辛そうに音にした。 

「軽食ですか?それなら、サンドイッチか何か用意しましょうか?だとすると敷物も必要でしょうか。釣りとピクニック。とても楽しそうです」 

 本当に楽しそうだと私が想像していると、パトリックさまが決意したように私を見る。 

「俺、ホットビスケットが食べたい。ローズマリーが作ったやつ」 

「ホットビスケットですか?」 

「うん。駄目、かな?」 

 パトリックさまの、仔犬のような瞳が可愛い。 

「いいえ。大丈夫です」 

 ホットビスケットは、私が初めてひとりで作れるようになったお菓子で、思い出の品でもある。 

 けれど、これほど決意込め、嘆願するように言われるほどのものではない、と私はくすりと笑ってしまった。 

「いいの?」 

「はい。もちろんです」 

 頷く私に、パトリックさまが大げさと思えるほどの笑みを浮かべる。 

「ありがとう!ああ。夢がまたひとつ叶う」 

 そう言うパトリックさまは、本当に嬉しそうで。 

「あの。私が作れるのは、普通のホットビスケットですよ?」 

 その喜びように、私はなんだか心配になってしまう。 

「うん、それでいいんだよ。ローズマリーのホットビスケット、が、俺は食べたいんだ」 

 きっぱり嬉しそうに言うパトリックさまに、絶対に失敗はできないし、ジャムもクリームもきちんと保冷して用意しなくては、と私は気合を入れた。 

 とはいえ。 

 

 今度のお休み、凄く楽しみ。 

 

 憧れ続けた風魔法が使えるようになるかも知れない日。 

 パトリックさまと釣りとピクニックに行く日。 

 そして、ふたりで。 

 初めてふたりだけで出かける日。 

 

 きっと、最高の一日になるに違いない、と私は胸をときめかせた。 

 

 

 
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