悪役令嬢の腰巾着で婚約者に捨てられ断罪される役柄だと聞いたのですが、覚悟していた状況と随分違います。

夏笆(なつは)

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28.婚約者とパイを『分けっこ』して食べる幸せを感じています。

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「ローズマリーは、字がとてもきれいだよね。それに、優しくて温かい感じがする」 

 パトリックさまの自室で一緒に勉強をしていると、隣から私のノートを覗き込んだパトリックさまが、しみじみとした声を出した。 

「ありがとうございます。私も、パトリックさまの字、とても好きです。堂々と力強くて凛々しくて」 

「惚れ直す?」 

「はい!」 

「っ!」 

 思うままに、パトリックさまを笑顔で見つめて力強く頷けば、瞬間、パトリックさまが固まった。 

「最強の素・・・素・・・は、素直の素・・・」 

「パトリックさま?」 

 『す』とは何のことかと私が首を傾げていると、パトリックさまが困ったように視線を彷徨わせ、さらりと前髪をかきあげた。 

 

 格好いい。 

 

 その仕草に思わず見惚れていると。 

「いや。そんなにはっきり言ってくれると思っていなくて」 

 少し照れた様子のパトリックさまに言われ、私ははっとしてその瞬間発火した。  

 

 私ってば、なんて破廉恥な! 

 

「す、すみません」 

 奥ゆかしさの欠片もなかった、と反省すると共に、今更恥ずかしくなって俯いてしまう。 

「可愛い、ローズマリー」 

 そうしていると、髪に、ちゅ、と唇が落とされて、パトリックさまがそのまま私の髪を撫でた。 

 あの騒ぎとなった外語の小テストから、数日。 

 こうしてふたりで勉強するのが日常になり、パトリックさまの部屋にふたりで居ても、とはいえもちろん、侍女や護衛は壁際に控えているのだけれど、妙な緊張をすることがなくなった。 

 それゆえに、本音が漏れてしまったのだと思う。 

「気をつけます」 

 本当に気をつけよう、と決意する私にパトリックさまがふわりと笑った。 

「気をつけたりなんかしなくていいよ。俺の前では、飾らない、ありのままの君でいて。俺も、もっと心臓を強化しておくから」 

  

 はい? 

 心臓を強化? 

 ですか? 

 なぜゆえに? 

  

「ローズマリー。今日の勉強はこれくらいにしてお茶にしようか」 

 今の会話から、どうして心臓を強化する話になったのか不思議に思った私だけれど、パトリックさまの、お茶にしようか、の言葉に、先ほどふたりで買ったパイの存在を思い出し、すっかり思考がそちらへ移ってしまう。 

「はい!楽しみです」 

 パトリックさまとよく行くようになった学園内のベーカリーで、今日はブルーベリーのパイを見つけた。 

 季節限定で、摘みたてのブルーベリーがふんだんに使われているというそれは、絶対美味しいに違いないと、私は期待に胸が膨らむ。 

「ミンスミートのも、ブルーベリーのも、俺とローズマリーで分けっこしてしまっていいんだよね?」 

「はい!もちろんです」 

 今日、パトリックさまと選んで買って来たのは、ブルーベリーのパイとミンスミートのパイ、一切れずつ。 

 それを、パトリックさまはメイドさんに持って来てもらったナイフで、自らカットして『分けっこ』つまりは、半分にしてくださる。 

「はいどうぞ、ローズマリー」 

 そして、私に差し出してくれた皿に盛られた、ブルーベリーのパイとミンスミートのパイ。 

 細長くなった三角がふたつ並ぶ姿もなんだか可愛くて、そして何より美味しそうで、私はときめきが止まらない。 

「「いただきます」」 

 声を揃えて、フォークをさくりとパイに入れる。 

「おいしい」 

 思わず声が出て、頬を片手で抑えてしまった。 

「うん、おいしいね」 

 けれど、その動作を恥ずかしいと思う前に、パトリックさまが最高の笑顔を見せてくれて、私はとても幸せな気持ちになる。 

 パトリックさまは、本当に美味しそうに食べられるし、それに。 

 

 『分けっこ』という言い方が可愛いです! 

 

 と、またも恋愛脳炸裂していると。 

「ローズマリー、どうかした?パイがおいしいだけじゃない笑顔な気がするよ?」 

 パトリックさまが、ことりと首を傾げた。 

  

 その表情も可愛いです! 

 とても! 

 

更には、その仕草も可愛い、とひとり悶絶し、これではいけないと私は何とか姿勢を正す。 

「いえ、パトリックさまの『分けっこ』という言い方が堪らなく可愛く・・・と、ではなくて、パトリックさまのその、ことり、と首を傾げられる仕草も大変可愛い・・・でもなく。ええと、あの。パトリックさまに対してもですが、テストに対しての、この間の激烈桃色さんの発言には驚きましたよね。あれも、物語、を知っているからこそのことだったのでしょうか?それにしては、結果として不正疑惑になってしまいましたけれど」 

 パトリックさまは、可愛い、と言われることを余り好まれない。 

 そう思い出しての話題変換だったけれど、かなり強引だったらしい。 

「『分けっこ』という言い方は君由来だし、俺を可愛い、と言うローズマリーこそが可愛い、と俺は思っているけどね。まあ、あのとき、激烈桃色迷惑女が知っている物語では、俺が彼女を全面的に守るんだろうな、と理解はしたよ。物凄く不愉快だけど」 

 パトリックさまは、くすりと笑って言ってから、言葉通り不快な表情になった。 

 

 『分けっこ』という言い方が私由来? 

  

 それはどういう意味かと思ったけれど、今はそれよりも、と前半は甘い声と顔で、後半はやけに冷たい顔で言ったパトリックさまに、私はあの日のことを思い出す。 

「私、激烈桃色さんは、あの日の小テストのみ、名前だけ書いて提出したのだと思っていたのですが」 

 そう。 

 あの日私は、激烈桃色さんが名前だけで小テストを提出したのはあの日だけだと思っていた。 

 それは、私だけではなく、他のクラスの方々も全員。 

 なんだか、声に出して言わなかっただけで、アーサーさまとパトリックさまは違ったらしいけれど。 

 しかしその後、先生の話により激烈桃色さんがAクラスに移動してからの小テストすべてを名前だけ、もしくは回答があっても誤答のみで提出していたことが判明した。 

『個人情報だからな。秘密にすべきかもしれないが、君たちにも迷惑の及んだことだから。もちろん、本人の了承済だ』 

 わざわざ、私たちのクラスへ足を運んで、そう説明してくださったのは、何と学園長先生だった。 

『マークル嬢は、クラス分けテストの結果が優秀だったがためにAクラスに編入となったと聞きました。その際、Fクラスでの小テストの成績は問題にならなかったのですか?』 

 クラスを代表しての学級長ウィリアムの言葉に、学園長は困ったように眉を寄せ。 

『実は、Fクラスはまだ様子見の段階で、他のクラスとは授業内容も大きく異なる。故に当然小テストもまだ行ってはいないのだ。それだからこそ、実力ある者がFクラスにいては不都合が生じるだろう、と今回の特別編入となった。元々マークル君がFクラスに転入したのは、彼女の育ちから予想された実力故だったからな』 

 学園長の言葉に、激烈桃色さんがクラス分けテストのみでAクラスに編入した理由は判った、と頷いたのだけれど。 

『それでは。Aクラスに編入してからの彼女の動向、授業態度、小テストの結果などから、今回の編入が誤りだったと思われるようなことはなかったのですか?』 

 凛としたご様子で追及されたアーサーさまに、学園長も困ったように頷かれた。 

『クラス分けテストは、彼女の強い希望で行ったものだったのだが、結果、彼女が言う通りAクラスに相応しい出来だった。故に、即刻Aクラスとしたのだが。Aクラスに移ってから頻繁にある小テストでは、どの課目も点数を取ることが出来ておらず、白紙提出も多い。もしやわざと白紙提出しているのかと疑いも持ち、授業態度などで経過を見たがそうとも思えない。しかし、クラス分けテストの結果は見事、というわけで、我々も混乱しておるのが事実なのだ』 

 学園長は、戸惑ったようにそこで一旦言葉を切ってクラス全体を見渡し。 

『だがしかし、クラス分けテストに不正など無かった。問題流出の形跡など微塵も無かった。それは、絶対だ』 

 そう、力強く言い切られた。 

 それに対し、クラスの誰も反論しなかったけれど。 

『そんなの当たり前よ!知ってただけなんだから!』 

 後方から叫んだ激烈桃色さんの言葉により、だからそれはどういう意味だ?という疑惑はより強く蔓延ることとなった。 

「物語、か」 

 小さく呟いたパトリックさまを向かいのソファから見つめ、私はちょん、とパイにたっぷり盛りつけられているブルベリーをフォークで軽くつつく。 

「リリーさまが、物語のことをアーサーさまにも話される、とおっしゃっていました。まだ少し、お時間が欲しいとのことでしたが」 

 ずっと、物語のことをアーサーさまに話すのを躊躇われていたリリーさまだけれど、空色の宝石の指輪をアーサーさまから贈られたのをきっかけに、すべてを話す勇気が出たとおっしゃっていた。 

 今は、話すタイミングをはかっていらっしゃるご様子で、私まで何だかはらはらしてしまう。 

「そうか。なら、これからはアーサーとも予め相談できるな。大丈夫。不用意にアーサーに俺から話ししたりしないから安心して。ところで。ね、ローズマリー」 

 そして、切り替えるように私を呼んだパトリックさまの瞳が、きらりと輝いて私を見る。 

 悪戯っぽいような、何かを期待するようなその瞳の意味が判らず、私は不思議なような不安なような気持ちでパトリックさまを見つめ返す。  

「はい。なんでしょ・・・なんですか?」 

「うん。留まったね、偉い。ええとね。あのとき、ローズマリーはどう思った?もし俺が、あの激烈桃色迷惑女の言う通りのことをしたらどうした?」 

 あのとき。 

 激烈桃色さんは、パトリックさまが激烈桃色さんに寄りそい、彼女と共に同じクラスであるために行動するのだと言っていた。 

 激烈桃色さんを大好きな、故に。 

 もし、本当にそうなっていたら。 

 そうしたら、今この部屋でパトリックさまと親しく分け合ってパイを食べ、お茶をしているのも私ではなく激烈桃色さん、ということになるのだろう。 

「それは、寂しい、です」 

 パトリックさまが私に冷たい瞳を向け、激烈桃色さんを優しくその腕に抱く。 

 それは、想像するだけで私の心を悲しみでいっぱいに満たした。 

  

 想像だけでこんな気持ちになるのに、それが真実になったら、私、は・・・。 

 

 思うだけで、涙がじわりと浮かびそうになる。 

「ああ。ごめんローズマリー。そんな顔をしないで」 

 言いながら、焦った様子で私の隣に移動したパトリックさまが、そのまま私を抱きあげてその膝に私を座らせ、幼子にするように抱き締めてくる。 

「俺が悪かった。君が妬いてくれたら嬉しいとか、安易に思っただけなんだ。忘れて。ローズマリー、本当にごめん」 

 私の肩を大きな手でやわらかく包み、髪や頭に優しいキスを落とすパトリックさま。 

 その温かさに、私は自分の心が落ち着きを取り戻していくのを感じた。 

 

 パトリックさまの腕のなかは、安心で幸せ。 

 

「頭へのキスは、初めてです。髪とはまた、受ける印象が違うのですね」 

 優しいキスが嬉しくて、私はつい、うっとりとそんなことを言ってしまった。 

「え?あ、うん、ごめん。嫌だったかな?」 

 それなのに、いつもの余裕がどこかへ行ってしまったかのようなパトリックさまは、複雑な顔をして、そんなことを言う。 

 

 嫌なんて。 

 パトリックさまなら、絶対無いのに。 

 

 浮かぶ思いと、珍しく動揺した様子のパトリックさまの可愛さに湧いた悪戯心。 

「パトリックさま。これは減算しなくてもいいです。パトリックさまが権利を行使される訳ではありませんから」 

「え?」 

 

 きょとんとしたパトリックさまも可愛い。 

 

 思いつつ。 

 

『ローズマリーが何を言っているのか判らない』 

 

 そう如実に物語るパトリックさまの瞳を見つめ、その両肩に手を置いて、私はゆっくりと自分の唇を寄せた。 

「え!?ローズマリー!?」 

 そして、焦るパトリックさまの前髪に触れるか触れないかのキスをしようとして、その髪の美しさに動きを止める。 

 

 すっごく綺麗。 

 きらきらでさらさらで、近くで見ると、ちょっと赤味が濃いような気がする。 

 ああでも、陽の光の関係なのかしら? 

 

「ああ・・・近い・・・ローズマリー。この体勢は、その。少々、苦しい、というか辛い、のだけど」 

 暫く呆けたようにパトリックさまの美しい髪を見つめていた私は、パトリックさまの絞り出すかの如く苦し気な声に、はっと我に返った。 

「すっ、すみません!苦しかったですか!?」 

 私が近づきすぎたせいで、何処か何かが圧迫され、呼吸困難にでもなってしまったかと焦るけれど。 

「いや、大丈夫。君が思っているような理由で苦しかったわけじゃないし、辛かったわけでもない。どちらかといえば大歓迎なんだけど、大歓迎すぎて俺が大変なことになるというか」 

 パトリックさまは、歯を食いしばるようにして眉を顰めたまま何かを言い募り、決して私を見ようとしない。 

「あの。はしたなかったから辛くて苦しい、ということですか?」 

 淑女らしくない、見苦しい、と思われたのかと、私はしょんもりとパトリックさまの目を追う。 

「そんなことはない!大歓迎なんだ。本当に大歓迎なんだよ。ただ、怖がらせたり嫌がられたりしたくないだけで。だから、やめようとか思わなくていい。俺が、もっと色々鍛えておくから」 

 パトリックさまが嫌なら。 

 それなら、もう二度としない、と言った私にぎょっとしたように向き直り、両手で肩を掴んで焦った様子で言うパトリックさまの迫力に、私は訳も判らないままこくこくと頷き続けた。 

 

 心臓を強化とか、色々鍛えるとか。 

 何か深い意味があるような気がするのだけれど、私にも何かお手伝いできることはないのかな、と思いつつ。 

 

  

 
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