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第三部 小さな国の人質王子は大陸の英雄になる
第55話 小休憩
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帝国歴531年5月26日。
サナリアの箱舟がリリーガに到着した。
リリーガの主リナ・ドルフィンがフュンを迎え入れる。
「フュン様。いよいよですね」
「はい。リナ様。三日で準備をお願いしたいです。ボランティアはいますか? 僕らは、一旦ここで休息をとって戦争準備をしたいのです」
「大丈夫です。民たちも協力的なので、既に用意しています。それに微調整に役に立つ。私の切り札がこちらで働いているもので、ご安心を。必ず間に合わせます」
リナには自慢の部下がいるようだ。
フュンは、各将や、各大臣の人事の全てを掌握していない。
彼らの下に就く人事は、彼ら任せにして、自分たちが働きやすいようにしてくださいというスタンスを貫いている。
とにかく、その人がやりたいようにやらせてくれるのがフュンである。
「切り札ですか・・・まあ、ここの事はお任せしてますからね。期限までにやっておいてください」
「はい」
運び出す役割を帝都民からリリーガの民へとバトンタッチする。
それがここでの休息ポイントでの作業でもう一つ重要な確認事項があった。
「リナ様。馬は?」
「はい。それらは、ライノンが用意していますよ。後方の都市に馬が必要ないので、全ての調整をしてここに集めてくれています」
「そうですか。戦争中だというのに、ライノンもよくやってくれていますね・・・そうだ。船はどうです。輸送船は?」
「大丈夫です。それもライノンがやってくれてますよ」
「やはりライノンは優秀ですね。あちらで兵糧とかの調整もしているでしょうに、こちら側の事もやってくれているとはありがたい。助かりますね」
「はい。そうなんですよ。実はフュン様。本当の所、彼は武将じゃなくて内政の方に欲しいくらいなんですよ。彼の腕はこちらでも輝くと思います」
「ハハハ。たしかに、そうですよね。彼は優秀ですもんね。引く手あまただ」
ライノンのきめ細かいサポートは、どちらかというと内政に向いている。
しかし、戦争での補給路を考える際に、この思考が出来るのはクリスだけなので、彼の負担を減らすためには、武将の方に彼を当てた方が良い。
平時であれば内政官。戦闘時であれば武官。
ライノンは柔軟に役割を変更してもいい器用さも持っている。
だから、全体の人事に対して、彼の役割が武将の方になったのだ。
ここでもフュンの目は正確に人を見極めているのだった。
「ではリナ様。今まで運んできてくれた兵士たちとボランティアの方々をですね。たっぷり休憩ができる場所に連れて行ってあげてください。お願いします」
「わかりました。おまかせを」
◇
リナが忙しく仕事をする中、フュンは与えられた部屋で考え込んでいた。
歩きながらよりも座って考える。
一人でブツブツ呟いて頭の中を整理していた。
「そうですね。戦いはこれからです。さて、どの速度で移動できますでしょうか。湖は半日? そこから、ギリダートまではどれくらいでしょう・・・出来たら一日未満で落としたいのですよね。そうじゃないとその後の都市がきついはずだ・・・僕らよりもね」
フュンは地図を広げる。
ここからギリダートを目指すルートは一つだけ。
フーラル湖を真っ直ぐ突破していくことだけなのだ。
「僕には船の速度がわかりません。そして湖から脱出して、船をギリダートまで運ぶ速度もです・・・ここが重要なんですけども・・・今が何日でしたっけ。えっと26日ですね。それだと、そろそろ双方の情報が来てほしいな。どうなっているのでしょうかね・・・」
ハスラ。アージス。
双方の情報が欲しい。
と思っているとレヴィが隣に出現した。
「レヴィさん」
「フュン様。緊急の連絡が・・・・ハスラのジーク様から来ました」
「ジーク様が。なんでしょうか」
「川を押さえた! それと、ネアルを封じ込めることに成功した! 功労者はゼファーであると」
フュンが机を叩いた。
「なんですって・・・よくやった。ゼファー!」
フュンはゼファーの顔を思い浮かべて目一杯褒めた。
「そしてジーク様。ありがとうございます。それならば、ここでも戦える土台が出来た。あ。そうか。ジーク様。僕の作戦がプランCになるように、川を押さえこんでくれたんだ。ありがたい。レヴィさん、封じ込めは、もちろん山にですよね」
「そうみたいです。ガイナル中央南の我々が用意していた部分を敵に譲って、そこを囲っている状況らしいです」
「なるほど。ゼファーは計画を知りませんから、もしかしたらタイローさんがやってくれたかもしれない・・・そうだ。レヴィさん。アージスの方はどうなっていますか」
「まだ連絡が来ていません。もしかしたら、あちらは熾烈な戦いをしていて連絡する余裕がないのかもしれません」
「なるほど。それはありえます。あちらは山じゃない分、時間を稼ぐ戦い方が難しいですからね」
「はい。ですが、太陽の戦士と影部隊の連携で探ってはいます」
「ありがとうございます。しかし、難しい局面に入っているかもしれませんから、慎重な運用をお願いします。こちらの情報は漏らしたくない。だから偵察部隊が敵に掴まって欲しくないですからね。今の状況だと、こちらが相手を知る事よりも、相手にこちらの情報を知られたくないですね」
「わかりました。慎重に行動をします」
「はい、お願いします」
フュンの計画は着々と進んでいた。
◇
この後、フュンは医療室に向かう。
ある報告を受けていたので、二人を心配して来たのだ。
「タイム! リースレット! 大丈夫ですか・・・って大丈夫そうですね」
ベッドが隣同士の二人は、談笑していた。
リースレットは身振り手振りで何かを話していて、タイムはおやつのバナナを食べながら会話していた。
医務室の中なのに、ゆったりした空間である。
空気感が穏やかだ。
「あ、フュン様だ!」
「え。フュンさん! 来てくれたんですね」
二人が同時に振り向く。
「よかった。二人とも傷が深いと聞いていたのでね。心配しましたよ」
フュンが二人のベッドの間に座った。
「僕は、これくらい平気ですよ。ミラの修行に比べたら全然です」
「そうでしたか。なら大丈夫ですねぇ。よかったよかった」
フュンもミランダの修行の被害者なので、傷があれくらいになっていないのなら平気であると考える事が出来る。
ある意味可哀想な思考回路なのだ。
「リースレットの怪我はどうですか!」
「えっと・・・一週間くらい気絶してたら治りました!」
「いや、それは重傷ですね」
「いえいえ。身体は動かせば大丈夫ですよ。ほら・・・いたたたた!?」
ベッドの上で立ち上がって体を伸ばしたら、背中を痛がった。
「ん? ちょっとリースレット。座って下さい」
「はい」
「後ろを向いて、僕に背中を見せて」
「はい」
フュンがリースレットの背中を見て、次に触診していく。
「どれどれ。ここかな」
「ぐあっ・・・いたたた」
「なるほど。この脇腹の傷よりも、あなたは背中の肩甲骨当たりの筋肉に負担がかかりましたね・・・この影響は円回かな。ここは癖になるかもしれない。しばらく、爪はお休みですね。戦いも休憩です」
「ええええ。フュン様。それはご勘弁をぉぉ」
「駄目です。しっかり治して、その後に戦いましょう。あなたは貴重な戦力ですからね。それでも君は戦いたいでしょうから。僕が許すとしても、アイスの隣に立ってください。戦う副将はお休みです」
「そんなぁ。大丈夫ですよ」
「駄目です。だってほら」
フュンが彼女の肩を握ると、リースレットの顔が歪んだ。
「く・・・くぅ」
「ほらね。ここで無理は禁物です。このままタイムとここで体を休めてください」
「そ・・・そんなぁ。元気なのに」
「タイム! 彼女の見張りをお願いしますよ。この子は無理しそうです」
フュンは、タイムに微笑んだ。
「ええ、お任せを。僕がしっかり見ますよ。こういう子たちをたくさん見てきましたからね」
「あ! タイム君もあたしの味方じゃないのぉ」
「ハハハ。リースレット。僕はあなたの味方でもありますよ。でも怪我は治すに限るんですよね。ここはフュンさんの言う通りにしましょう」
「んんんん」
悩んでいるリースレットを置いて、フュンとタイムが会話となる。
「それでフュンさん。あなたがここに来たという事は、狙いはギリダートですね」
「・・・ん。タイム、なぜそれを・・・デュランダル・・いや、彼にも教えていないですから、フラム大将かハルク大将に聞きましたか?」
「いいえ。僕のは予想です。あなたがここに来るのなら、あなたの狙いはただ一つになる。この都市の向かいのギリダートしかないですよ」
戦況把握を瞬時にするタイムは、今の状況からフュンの考えを読んだ。
「そうですかね。左右の戦場へいくかも。援軍かもしれませんよ」
タイムの察する能力の素晴らしさに感嘆しているフュンは冗談を言ってみた。
「ははは。冗談を。フュンさん。あなたは、僕らを心底信じてますからね。あなた抜きでも、僕らが戦えると思っているでしょ」
「あれ、バレましたか。さすがはタイム。そうです。僕は君たちを信じてます。必ず作戦を遂行してくれるとね。ですからタイムの言うとおりに、ここはギリダートを手に入れてみせますよ。ここで待っててくださいね。僕ら、サナリアの軍と、帝都にいる帝国軍が偉業を達成してみせましょう。なんてね。出来るかどうかは半分半分で不安ですが、こうやって、あなたに宣言して頑張りましょうかね」
「そうですか。僕はフュンさんなら必ずやり遂げると信じています。皆の力を合わせたら、なんだって出来るんですよ。今までと同じ。僕はいつもあなたを信じてますよ」
「ええ。ありがとう。タイム。あなたのおかげで勇気が出てきますよ。いつも助かります・・・」
フュンが立ち上がった。
「とりあえず。二人が大丈夫そうなので、安心しました。さてと、僕は三日後の準備をしますね。あなたたちはしばらくお休みです」
「はい。勝利を待ってます。フュンさん」
「は~い。フュン様、勝って来てくださいね。あたし待ってますからねぇ」
「ええ。二人の応援のおかげで頑張れそうだ。いってきます」
仲間に応援されたフュンは、未来の勝利の為に準備をする。
サナリアの箱舟がリリーガに到着した。
リリーガの主リナ・ドルフィンがフュンを迎え入れる。
「フュン様。いよいよですね」
「はい。リナ様。三日で準備をお願いしたいです。ボランティアはいますか? 僕らは、一旦ここで休息をとって戦争準備をしたいのです」
「大丈夫です。民たちも協力的なので、既に用意しています。それに微調整に役に立つ。私の切り札がこちらで働いているもので、ご安心を。必ず間に合わせます」
リナには自慢の部下がいるようだ。
フュンは、各将や、各大臣の人事の全てを掌握していない。
彼らの下に就く人事は、彼ら任せにして、自分たちが働きやすいようにしてくださいというスタンスを貫いている。
とにかく、その人がやりたいようにやらせてくれるのがフュンである。
「切り札ですか・・・まあ、ここの事はお任せしてますからね。期限までにやっておいてください」
「はい」
運び出す役割を帝都民からリリーガの民へとバトンタッチする。
それがここでの休息ポイントでの作業でもう一つ重要な確認事項があった。
「リナ様。馬は?」
「はい。それらは、ライノンが用意していますよ。後方の都市に馬が必要ないので、全ての調整をしてここに集めてくれています」
「そうですか。戦争中だというのに、ライノンもよくやってくれていますね・・・そうだ。船はどうです。輸送船は?」
「大丈夫です。それもライノンがやってくれてますよ」
「やはりライノンは優秀ですね。あちらで兵糧とかの調整もしているでしょうに、こちら側の事もやってくれているとはありがたい。助かりますね」
「はい。そうなんですよ。実はフュン様。本当の所、彼は武将じゃなくて内政の方に欲しいくらいなんですよ。彼の腕はこちらでも輝くと思います」
「ハハハ。たしかに、そうですよね。彼は優秀ですもんね。引く手あまただ」
ライノンのきめ細かいサポートは、どちらかというと内政に向いている。
しかし、戦争での補給路を考える際に、この思考が出来るのはクリスだけなので、彼の負担を減らすためには、武将の方に彼を当てた方が良い。
平時であれば内政官。戦闘時であれば武官。
ライノンは柔軟に役割を変更してもいい器用さも持っている。
だから、全体の人事に対して、彼の役割が武将の方になったのだ。
ここでもフュンの目は正確に人を見極めているのだった。
「ではリナ様。今まで運んできてくれた兵士たちとボランティアの方々をですね。たっぷり休憩ができる場所に連れて行ってあげてください。お願いします」
「わかりました。おまかせを」
◇
リナが忙しく仕事をする中、フュンは与えられた部屋で考え込んでいた。
歩きながらよりも座って考える。
一人でブツブツ呟いて頭の中を整理していた。
「そうですね。戦いはこれからです。さて、どの速度で移動できますでしょうか。湖は半日? そこから、ギリダートまではどれくらいでしょう・・・出来たら一日未満で落としたいのですよね。そうじゃないとその後の都市がきついはずだ・・・僕らよりもね」
フュンは地図を広げる。
ここからギリダートを目指すルートは一つだけ。
フーラル湖を真っ直ぐ突破していくことだけなのだ。
「僕には船の速度がわかりません。そして湖から脱出して、船をギリダートまで運ぶ速度もです・・・ここが重要なんですけども・・・今が何日でしたっけ。えっと26日ですね。それだと、そろそろ双方の情報が来てほしいな。どうなっているのでしょうかね・・・」
ハスラ。アージス。
双方の情報が欲しい。
と思っているとレヴィが隣に出現した。
「レヴィさん」
「フュン様。緊急の連絡が・・・・ハスラのジーク様から来ました」
「ジーク様が。なんでしょうか」
「川を押さえた! それと、ネアルを封じ込めることに成功した! 功労者はゼファーであると」
フュンが机を叩いた。
「なんですって・・・よくやった。ゼファー!」
フュンはゼファーの顔を思い浮かべて目一杯褒めた。
「そしてジーク様。ありがとうございます。それならば、ここでも戦える土台が出来た。あ。そうか。ジーク様。僕の作戦がプランCになるように、川を押さえこんでくれたんだ。ありがたい。レヴィさん、封じ込めは、もちろん山にですよね」
「そうみたいです。ガイナル中央南の我々が用意していた部分を敵に譲って、そこを囲っている状況らしいです」
「なるほど。ゼファーは計画を知りませんから、もしかしたらタイローさんがやってくれたかもしれない・・・そうだ。レヴィさん。アージスの方はどうなっていますか」
「まだ連絡が来ていません。もしかしたら、あちらは熾烈な戦いをしていて連絡する余裕がないのかもしれません」
「なるほど。それはありえます。あちらは山じゃない分、時間を稼ぐ戦い方が難しいですからね」
「はい。ですが、太陽の戦士と影部隊の連携で探ってはいます」
「ありがとうございます。しかし、難しい局面に入っているかもしれませんから、慎重な運用をお願いします。こちらの情報は漏らしたくない。だから偵察部隊が敵に掴まって欲しくないですからね。今の状況だと、こちらが相手を知る事よりも、相手にこちらの情報を知られたくないですね」
「わかりました。慎重に行動をします」
「はい、お願いします」
フュンの計画は着々と進んでいた。
◇
この後、フュンは医療室に向かう。
ある報告を受けていたので、二人を心配して来たのだ。
「タイム! リースレット! 大丈夫ですか・・・って大丈夫そうですね」
ベッドが隣同士の二人は、談笑していた。
リースレットは身振り手振りで何かを話していて、タイムはおやつのバナナを食べながら会話していた。
医務室の中なのに、ゆったりした空間である。
空気感が穏やかだ。
「あ、フュン様だ!」
「え。フュンさん! 来てくれたんですね」
二人が同時に振り向く。
「よかった。二人とも傷が深いと聞いていたのでね。心配しましたよ」
フュンが二人のベッドの間に座った。
「僕は、これくらい平気ですよ。ミラの修行に比べたら全然です」
「そうでしたか。なら大丈夫ですねぇ。よかったよかった」
フュンもミランダの修行の被害者なので、傷があれくらいになっていないのなら平気であると考える事が出来る。
ある意味可哀想な思考回路なのだ。
「リースレットの怪我はどうですか!」
「えっと・・・一週間くらい気絶してたら治りました!」
「いや、それは重傷ですね」
「いえいえ。身体は動かせば大丈夫ですよ。ほら・・・いたたたた!?」
ベッドの上で立ち上がって体を伸ばしたら、背中を痛がった。
「ん? ちょっとリースレット。座って下さい」
「はい」
「後ろを向いて、僕に背中を見せて」
「はい」
フュンがリースレットの背中を見て、次に触診していく。
「どれどれ。ここかな」
「ぐあっ・・・いたたた」
「なるほど。この脇腹の傷よりも、あなたは背中の肩甲骨当たりの筋肉に負担がかかりましたね・・・この影響は円回かな。ここは癖になるかもしれない。しばらく、爪はお休みですね。戦いも休憩です」
「ええええ。フュン様。それはご勘弁をぉぉ」
「駄目です。しっかり治して、その後に戦いましょう。あなたは貴重な戦力ですからね。それでも君は戦いたいでしょうから。僕が許すとしても、アイスの隣に立ってください。戦う副将はお休みです」
「そんなぁ。大丈夫ですよ」
「駄目です。だってほら」
フュンが彼女の肩を握ると、リースレットの顔が歪んだ。
「く・・・くぅ」
「ほらね。ここで無理は禁物です。このままタイムとここで体を休めてください」
「そ・・・そんなぁ。元気なのに」
「タイム! 彼女の見張りをお願いしますよ。この子は無理しそうです」
フュンは、タイムに微笑んだ。
「ええ、お任せを。僕がしっかり見ますよ。こういう子たちをたくさん見てきましたからね」
「あ! タイム君もあたしの味方じゃないのぉ」
「ハハハ。リースレット。僕はあなたの味方でもありますよ。でも怪我は治すに限るんですよね。ここはフュンさんの言う通りにしましょう」
「んんんん」
悩んでいるリースレットを置いて、フュンとタイムが会話となる。
「それでフュンさん。あなたがここに来たという事は、狙いはギリダートですね」
「・・・ん。タイム、なぜそれを・・・デュランダル・・いや、彼にも教えていないですから、フラム大将かハルク大将に聞きましたか?」
「いいえ。僕のは予想です。あなたがここに来るのなら、あなたの狙いはただ一つになる。この都市の向かいのギリダートしかないですよ」
戦況把握を瞬時にするタイムは、今の状況からフュンの考えを読んだ。
「そうですかね。左右の戦場へいくかも。援軍かもしれませんよ」
タイムの察する能力の素晴らしさに感嘆しているフュンは冗談を言ってみた。
「ははは。冗談を。フュンさん。あなたは、僕らを心底信じてますからね。あなた抜きでも、僕らが戦えると思っているでしょ」
「あれ、バレましたか。さすがはタイム。そうです。僕は君たちを信じてます。必ず作戦を遂行してくれるとね。ですからタイムの言うとおりに、ここはギリダートを手に入れてみせますよ。ここで待っててくださいね。僕ら、サナリアの軍と、帝都にいる帝国軍が偉業を達成してみせましょう。なんてね。出来るかどうかは半分半分で不安ですが、こうやって、あなたに宣言して頑張りましょうかね」
「そうですか。僕はフュンさんなら必ずやり遂げると信じています。皆の力を合わせたら、なんだって出来るんですよ。今までと同じ。僕はいつもあなたを信じてますよ」
「ええ。ありがとう。タイム。あなたのおかげで勇気が出てきますよ。いつも助かります・・・」
フュンが立ち上がった。
「とりあえず。二人が大丈夫そうなので、安心しました。さてと、僕は三日後の準備をしますね。あなたたちはしばらくお休みです」
「はい。勝利を待ってます。フュンさん」
「は~い。フュン様、勝って来てくださいね。あたし待ってますからねぇ」
「ええ。二人の応援のおかげで頑張れそうだ。いってきます」
仲間に応援されたフュンは、未来の勝利の為に準備をする。
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