人質から始まった凡庸で優しい王子の英雄譚

咲良喜玖

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エピソード0 英雄の師ミランダ・ウォーカーの物語

第288話 二人でも結成

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 「勝ってやったぜ。ボケ!」

 ミランダの勝利が決定した瞬間。
 ザイオンがそばにまでやって来てくれた。

 「やったな。ミラ」
 「おう。ザイオン。サンキュ」

 ミランダは、ザイオンに手を握ってもらい立ち上がる。

 「あんたのおかげだぜ。周りの防御を考えなくてもよかったからな。常に攻撃だけ考えればよかったのさ」
 「俺は・・・二回目だぜ」
 「ん? 二回目???」
 「ああ、俺が尊敬と畏怖を覚えたのは、お前で二人目だ」
 「尊敬と畏怖か。そうか、あんた誰かを見たんだな」
 「俺は昔。戦の女神に会ったことがあるんだ。あれを見て、今のお前を見たらそう思った」
 「なんだザイオン。ヒストリアに会ったことがあるのか」

 ザイオンの話に驚くミランダは、聞き返した。

 「ん? 知り合いか。ミラ?」
 「ああ。あたしの師匠の一人だ」
 「なに!? お前が?」
 「そうなのさ・・・あ!」

 ここで会場の入り口に大量の人が押し寄せてきた。
 誰だと目を凝らすと先頭に立って指揮を取っていたのが、元気はつらつの銀髪の女性だった。
 
 「現場を押さえなさい。ウインド騎士団。ダーレー隊。ミランダちゃんのお願いよ」
 「ちょっと。シルクさん。なんで私よりも先に行っているんですか・・・。それになんで私よりも先に指示出しを・・・」

 後から入って来たエステロが慌てている。

 「シルクさんだ。なんでここに? あたしはエステロを呼べって言ったはずなのに・・・あれ?」
 
 ミランダは、彼女が来たことに驚き、彼女の方に駆け寄ろうと移動した瞬間。
 倒したと思われた敵が彼女の後ろで立ち上がった。
 夥しい出血量だから起き上がるとは誰も思わなかった。
 彼女が敵に背を向けていて、彼女の正面に立っていたザイオンだけがそれを見る形だった。
 
 「ミラ。危ない」
 「ん? なに!」

 ミランダが振り向いた時には、既に喉元にまで短刀が伸びてきていた。
 躱す術はない。
 だから頼りは彼しかいなかった。

 「ミラ、悪いな」
 「ぐあっ・・おい、なにして・・・」

 ザイオンにタックルされてミランダが吹き飛ぶ。
 地面で三回転して立ち上がると、彼女の前にいたザイオンの腹には、敵の短刀が突き刺さっていた。

 「おい、ザイオン! あたしをかばうなんて・・・馬鹿野郎。ぶっ刺さってんじゃねえか」
 「ぐっ。この程度、大したことねえ。ミラ、気にすんじゃねえ。おおおおおおお」

 負傷してもザイオンは動く。
 敵の頭に両拳を合わせた攻撃を仕掛けた。
 叩きつける攻撃は相手の脳天に直撃。
 敵を脳震盪どころか、地面にまでめり込ませる勢いで倒す。

 「どうだ! このよく分からん敵! ミラの勝ちは勝ちなんだよ。大人しく眠れ」

 ザイオンは、彼女の勝利の邪魔をした事に腹を立てていた。

 「馬鹿。ザイオン。お前の腹に短刀が刺さってんじゃねえかよ。無理すんじゃねえ。あんま動くな」

 ミランダが心配で駆けよる。

 「大丈夫だ。これを見ろ」

 ザイオンは意外にも元気だった。

 「は?」
 「ほれ」

 ザイオンが上着を脱ぐと、剣の先だけが腹に刺さっていた。
 
 「どうだ。筋肉で取ってやったぞ。俺の筋肉凄くないか。鍛えたかいがあったぜ」

 ザイオンの腹筋は鉄の板のようだった。
 軽く叩けば、コンコンとノック音がするだろう。

 「は? どれ、あ・・・マジですげえな。ほとんど血が出てねえじゃんか」
 「おう。絡めとってやったわ。ガハハハ」

 豪快に笑うザイオンは、かすり傷程度の負傷で済んだ。

 「ミランダ。大丈夫ですか」
 「ああ、大丈夫だよ。エステロ。あたしはザイオンに助けられたんだ」
 「ザイオン?」

 エステロはミランダを見つけてからすぐに救援に向かっていた。
 心配そうに見つめていた彼は、ザイオンと呼ばれる男を探す。

 「俺がザイオンだ。あんたはたしか。一度会ったことがある」
 「・・・・」

 エステロは大柄の男性ザイオンを見た。
 会ったことがあると言われてから、自分の頭の中の引き出しを全開に開けて、誰だろうと探した。

 「ああ、ナーサリ掃討作戦の時の・・・青年ですね。お名前までは知りませんでしたからね」
 「名乗ってなかったのに、覚えていたのか」
 「ええ。ザイオン君ですね。分かりました。ありがとうございます。ミランダを救ってくれてね。あの態勢であれば、ミランダは確実に死んでいましたからね」
 「い。いえ。俺は大したことはしてません。ただこいつが勝つところを見ていただけで、戦ってもいなくて」
 「いえいえ。あなたのおかげですよ。ねえ、ミランダ」

 エステロはザイオンの事を覚えていた。
 一瞬しか会っていなくても、エステロは人物の顔を忘れる事はない。
 ある意味特殊能力とも言えるくらいの記憶力を持っているのだ。

 「ああ。マジで助かった。ザイオン。ありがとよ」
 「は、お前みたいのに感謝されると照れるな」
 「なんだよ。せっかくありがとって言ったのによ。ニシシシ」

 ミランダとザイオンは笑いあっていた。
 良き仲間。
 その言葉がよく似合う関係に見えるとエステロも微笑む。

 「ミランダちゃん。無事なの。大丈夫なの。突然連絡を寄こすから、心配で。心配で。お母さんは心配です」
 「ぐおっ」

 ものすごい勢いで飛びついてきたシルクに、抱き着かれたというよりもタックルに近い一撃を全身に浴びる。
 ミランダは戦った時よりもダメージを負った。

 「強ええ。シルクさん」
 「あなた、ここに怪我をしているじゃない。お家に帰るわよ。一旦治療よ。いいわね」
 「いいわね・・・って、何もあたしの拒否権ないじゃん」

 そうすでにミランダは担ぎ上げられていた。
 米俵のようにして、シルクの肩に納まる。

 「あなたがミランダちゃんを助けてくれたのね。あなたも来て」 
 「え? お、俺もですか。でも俺は・・・」

 自分はあなたたちのような高貴な貴族のそばに居られるような身分じゃない。
 遠慮をしようとするザイオンは断りを入れようとしたのだが。
 
 「ザイオン。来てくれ。聞いてほしい話があるんだ・・・あたしと一緒にシルクさんの所に・・・」

 意外にシルクの力が強くて苦しそうなミランダが誘ってくれた。 
 だからザイオンはミランダについて行くことにした。

 「わかった。俺もだな・・・それじゃあ、シルクさん。よろしくお願いします」
 「ええ。来てちょうだいね。それでは、エステロ。この現場は押さえたわよね。全部、牢屋にぶち込むわよ」
 「はい。シルクさん。そうするように調整しますので、三分下さい。部下に指示を出します」
 「わかったわ」

 こうして終わったのが、帝国の人身売買事件。
 裏に潜んでいた貴族の名を取って、イーシル事件と呼ばれるものだった。
 帝国の貴族たちの不正が露わになり、ダーレーの実績となった事件。
 このことで認められた反面もあるが、一部の貴族たちからは恨みを買う事件でもあった。
 ダーレーが法律違反の不正を暴かなければ、まだ自分たちは観賞用の者共を手に入れられたのにと・・・。
 
 そして、この事件を直接解決したのが、ミランダとザイオンである。
 しかし、この事件を解決に導いたと表向きに公表されたのは、シルクとウインド騎士団となった。
 この方が、ある意味、表向き上でも裏向き上でも、都合が良かった。
 ダーレー家にとっての隠し玉のような存在のミランダを、今はまだ世間に広く知らせるわけにはいかなかったのだ。
 彼女はとっておきの武器である。



 ◇

 ダーレー家のお屋敷。
 シルクは話し出す前から興奮していた。

 「ミランダちゃんの可愛い顔に傷がついてたらどうするの。お医者様が治ると言っているから良かったけど、顔は大事よ。いいミランダちゃん。あんな奴らは私が消し炭にしておくわ」
 「え? あ、うん。まあね」

 可愛いミランダの体に傷がついた。
 シルクの怒りは相当なもので、敵を八つ裂きにしなければ気が済まないと、興奮状態である。

 「シルクさん、落ち着いて。ミランダが冷静なのに、あなたが興奮してどうするのですか」
 「黙りなさい。エステロ。ミランダちゃんの顔よ。顔。あなたも自慢の顔に傷がついたらどうするんですか」
 「私は別に顔が自慢では・・・」
 「なによ。嫌味ですかそれは!」
 「何で私に怒ってるんですか?」

 シルクの怒りが収まらない間に、ミランダとザイオンはコソコソ話す。

 「ミラ。この人が、お前の母か?」
 「あ。ああ。そうだよ。血が繋がらないけどな」
 「そうか。良い人だな」
 「まあな。ちょっと変わってんだけどな」
 「なに、それはお前もだろ」
 「たしかに。そいつはそうなのさ。ナハハハ」

 気が合う二人の方は笑顔である。

 ◇

 しばらくして、ダーレーの庭にて。

 「ミランダちゃん、もう一回旅するんじゃなかったっけ?」
 「うん。そうだよ。帝都の外に行こうとしたら、たまたまザイオンに会って、困った事になったのさ」
 「すみませんでした。俺があなたのお子さんに迷惑をかけてしまい。俺のせいです。彼女の顔の傷もです」

 ザイオンが悪いわけではないのに、責任を取ろうとして彼女に頭を下げる。

 「ミランダちゃん、この子。誰だっけ?」

 シルクは、大事なミランダの顔に傷がついたことで、頭に血がのぼってしまい。
 前後の記憶が少し失われていた。

 「ザイオンだよ」
 「お友達?」
 「まあ、そうかな。そんな感じだね」
 「ほんと。あらまあ、お友達なら、おもてなししないと。ほら、エステロ。用意しなさい」
 「え? 私がですか。なぜです」
 「いいからこっちに来なさい。私の荷物を持って頂戴」
 「は、はい」

 エステロはシルクに連れて行かれて、お屋敷の中に入った。
 
 「おい。ミランダ。俺は彼女に許されたのか」
 「知らね」
 「え?」

 許されたいのにと思うザイオンはがっくりしていた。

 「ザイオン。たぶんさ。許すも許さねえもよ。お前が悪くねえからさ。シルクさん、気にしてねえんじゃねえの」
 「なんだと。お前の傷。俺のせいだろ。お前を巻き込んじまったんだ」
 「ザイオン、あれはあたしが首突っ込んだのさ。気にすんな」
 「でもな、お前の顔、結構切れてるぞ」
 「大丈夫だ。こんなもの唾つけとけば治るわ」
 「そ、そうか」
 「ああ、そんなもんだ・・・・っておいおいおい! シルクさん、なにそれ!?」

 シルクとエステロが戻って来た。
 一緒に、どでかいホールケーキが複数もやって来た。

 「これはケーキよ。お友達が出来たお祝いよ。ミランダちゃんにやっとできたんだからね。ザイオンちゃん。ほらこっち座って」
 「は、はい」
 「さぁ! どんとお食べ。おかわり自由よ」
 「は、はい」
 「体が大きいからね。まずは一個よ」

 ザイオンの前に置かれたケーキは一切れじゃない。
 アップルパイのホールである。
 
 「あ、あの・・・そちらは皆さんでじゃないんですか?」

 ザイオンが指差したのは、運んできた別のホールケーキ。

 「ん? これ? これもザイオンちゃんの分よ」

 シルクはまだまだザイオンにケーキを食べさせる気であった。
 
 「い、いや・・・さすがに・・・」
 「大丈夫よ。ザイオンちゃん、体大きいもの。食べられるわ!」
 「ま、まあ。そうだといいですけど・・・」
 「大丈夫。あなた、男らしいから食べられるわよ」
 「は、はい」

 ザイオンはこの日、一生分のケーキを食べたのであった。
 最後の方は彼が泣いていたのをミランダはよく覚えている。
 デカい男なのに、ケーキに敗北していたのだ。
 もう二度とケーキは食べないと言っていたのも覚えている。
 彼との思い出は全てが楽しいものだった。

 ◇

 ケーキだけで腹が膨れているザイオンが庭のベンチに横になっている間。
 
 「それでミランダちゃん。どうするの。旅に出るの?」
 「うん。出ようとは思う。でもさ、あたし、こいつを仲間にしたい」
 「ザイオンちゃんを?」
 「ああ。こいつ。おもしれえよ。仲間になったら助かる。ダーレーを守る。ウォーカー隊になって欲しいんだ」
 「ウォーカー隊? なにそれ?」
 「あたし。この旅で、傭兵団を作りたいんだ。あたしが隊長をやってさ。ダーレーを守る軍を作りたい」
 「ダーレーを?」
 「うん。このまま内戦が本格的になると。たぶん王族が出張らないといけないと思うんだ。そこん所、どうなんだろ。エステロなら分かるか?」

 ミランダはエステロに聞く。

 「ええ。あなたの予想通りでしょう。だからタークもその準備はしています。スクナロを将にしようと動いていますよ。彼には訓練をしてもらっていますね」
 「スクナロって、あのでっかいゴリラみたいな奴か」
 「ちょっと。私の弟に失礼ですよ。ミランダ」
 「だって、あれデカいでしょ。あいつ、顔もデカいし、背もデカいし、手もデカいぞ」
 「たしかに。大きいですね。ヌロは普通なんですけどね」
 「あれ、誰に似たの? 皇帝でもないじゃん。エステロのお母さんとも似てないし」
 「スクナロはお爺様に似ていますね」
 「へ~。でっかいんだ」
 「そうです。体が大きいです。声も」
 「そうなんだ。じゃあ、エステロは誰に似てんの?」
 「私はどちらかと言うと母に似ていますね」
 「・・・ああ、なるほどね。たしかに美人だもんな。あの人・・・」
 「私の母に会ったことがあるんですか?」
 「一回見たことがある」
 「なるほど」

 と話が脱線したので。

 「ちょっと二人とも、私の話の疑問に答えてちょうだい。ミランダちゃん」

 シルクが軌道修正した。

 「ああ。ごめんね。えっとダーレーを守る軍だったね。それでさ、内戦も末期になれば、もっと荒れると思うんだよね。だからさ。その時に力が欲しい。それはタークやドルフィンは良いと思う。ブライトやビクトニーもさ。戦力じゃない部分で皆に貢献しているから大丈夫だろうしさ。でもさ、ダーレーは何もないじゃん。後ろ盾がない。元々はそんなに強い家じゃないんでしょ」
 「そうね。皇帝に見初められただけで、私と兄さんの家は元々は弱いわね。弱小貴族に近いかも」

 ダーレー家が皇帝に見初められただけの存在である。
 という認識が世の中の認識。
 だが、皇帝の考えは、誰にも縛られない家であるのが、ダーレーであったから、この家と婚姻をしたという理由もあったのだ。
 それとシルクの人柄も良かったし、その兄の実力も素晴らしかった。

 ウインド家は、帝国全体に最も影響力のある家。
 ターク家は武力の要の家。
 ドルフィン家は内政の要の家。
 ブライト家は経営の上手さがある家。
 ビクトニー家は古くからの知り合いであり、鍛冶を担う家。

 それぞれの家は、他の貴族らとは違い、裏切りや打算の無い家だと思ったから、エイナルフは婚姻を結んだ。
 結果として、彼の選択は間違いではなく、王貴戦争の大荒れを防いでいた。
 彼らが王族じゃなく貴族であれば、内戦はもっとぐちゃぐちゃな状態となり、皇族であるエイナルフ自身がそのまま軍を持って各地で戦わないといけなかったであろう。
 今の状態は、皇帝と婚姻した家が上手くまとめているから、まだそんなに荒れた内戦にはなっていないだけである。

 「だからさ。最強の軍が欲しいんだ。あたしがいればダーレーの知の部分は大丈夫。必ずこの家が生き残るように仕向ける。シルクさんだけじゃない。あたしはジークもお嬢も守ってみせる」

 ミランダの決意は固い。

 「でも、武は一人じゃ無理なんだ。軍としての力が欲しい。そこで、あたしはとにかく兵力を手に入れたい。それも各々が強い兵がさ・・・だから旅に出るんだ。見つけるんだよ。ダーレーを守ってくれそうな人たちをさ。それは身分などどうでもいい軍でありたい。あたしだってもう貴族じゃない。平民だ。だから自由な身分で、自由に戦う軍。それがあたしのウォーカー隊だ」
 「・・・ミランダちゃん。良いのよ、無理しないでもいいの。私が頑張って、兄さんも頑張れば・・」
 「シルクさん駄目だ。ユーさんはウインド騎士団だ。いざという時。ユーさんが外に出ていたら、ダーレーを救えないんだ。だから、あたしはダーレーを守る盾になる軍が欲しい。それはいつでも、どんな場所でも戦える傭兵団でありたいのさ」
 
 ミランダはシルクの意見を真っ向から否定。
 あなたを守るために命を賭けてもこの隊を作る。
 ミランダの意志は、ダーレーを守るである。

 「それ・・・夢じゃないんだな。実現するんだな」

 ベンチで横になっていたザイオンが起き上がった。

 「ん? 大丈夫か。ザイオン。青ざめてるぞ」
 「ああ。大丈夫だ・・・って俺はどうでもいい。さっきの話。本当の話か」
 「ああ。やりきる。あたしはウォーカー隊を作って、ダーレーを守るんだ」
 「そこもだけど。その身分の話だ。誰でもいいのか。誰が仲間でも」
 「いや、あたしはあたしが気に入った奴じゃないと嫌なのさ」
 「俺は駄目か。俺も戦いたい。彼女らに近づきたいんだ」
 「・・・ヒストリアか」
 「ああ。強さの頂点を目指したいんだ。俺は彼女が強さの頂点だと思っている」
 「・・・お前、あたしと一緒にウォーカー隊をやる気か?」
 「ああ。お前とならいいチームになるだろ。ミラ」
 「・・・いいぜ。ザイオン。あたしの最初の仲間だ。ウォーカー隊の隊長を任せよう」 
 「隊長だと。お前は?」
 「あたしは総隊長だ!」
 「はっ。そういうことかよ。いいぜ。俺が隊長をやってやろう! よろしくミラ」
 「こっちこそな。ザイオン!」
 
 ウォーカー隊は、ザイオンを仲間にして始まった。
 表向き上は傭兵団、でも裏の目的はダーレーを守る秘密の軍隊。
 ミランダが選抜した最強の軍隊なのである。

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