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第二部 辺境伯に続く物語
第276話 新たな帝国には、この者たちが必要 ④
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「おい。こいつら、今までと全然違うぞ。デュランダル。守りが堅い」
「こっちもだ、攻撃が通用しねえ」
荒々しい男たちが愚痴を言う。
しかしそんなことは彼らが言うよりも前に気付いていた。
「わかってる! 睨み合いに入ってもいいから、こちらも守りを固めてくれ」
デュランダルは考えをまとめる時間が僅かでもいいから欲しかった。
相手の対応が今までの比じゃない。
ソロ活動以外に、集まっている部隊はいくつかあったが、ここまで統率が取れた行動を起こしている部隊がこの戦場にはいなかった。
こちらの行動に対して臨機応変に動く。
この部隊は明らかに戦術が与えられた動きをしていた。
「ここで見抜く。部隊にだって癖があるはずだ」
相手の得意分野と不得意分野を戦いながら見抜く気であった。
◇
「む。違います。この部隊だけ、規律性が違いますね」
「アイスさん。右が崩れかけてます。動きが悪く」
「ん」
仲間の指摘にすぐさまアイスが反応。
自分の部隊の右翼を見る。
崩れるまではいかずとも明らかに押されていた。
だからそこをケアするような指示を出すと。
「後列でカバーです。矢で押し返して」
模擬戦闘でも弓を使ってもよかった。
この戦闘において基本のルールが設けられていない。
なんでもよい。これがフュンの課したルールである。
「ん!? しまった。そういうことですか」
後列にいた弓部隊が右翼に傾いたことで、敵の意図に気付いたアイスは、今度は左翼を見た。
◇
「おっしゃ。引っ掛かったぜ。今、あそこから崩す。右翼部隊に厚みを出していく。俺自身も突進だ」
デュランダルは自分を先頭にして相手の左翼を叩こうとした。
彼は戦っても強い。
一般人なので師匠がいない。
だから、独学で強くなり、下から這い上がって来たからこその泥臭い戦い方も出来る。
「もうすぐ隊列に穴が開くぞ。ここを押すぞ」
勝負所を作るのも上手い上に、勝負勘も良い。
非常にバランスの取れた将なのがデュランダルである。
しかし、ここで彼の想定外が起きた。
「うっわーーーん。強い人、発見! サナさんとリティ様と同じ匂いがする。だから! ここでアピールできるよん」
「な、なんだ!?」
デュランダルの前に現れたのは、ぴょんぴょんとその場で跳ねている女性。
三つ編みにした茶色の髪が幼さを演出しているが、その動きは明らかに子供ではない。
機敏さに加えて、柔軟な動きをしていた。
「ここ!! ここだよね。勝負所はここ! あなたが一番強いもんね!!」
興奮気味の女性は強者を前にしてワクワクである。
「な。なんだ・・・しかし、お嬢さんが、この中で一番強いな」
「んんん。どうだろ。アイス様の方が強いかもね。でもあたしは成長中だから、これから強くなるよ」
「元気一杯のお嬢さんだな・・・よし。お前らはあの子に触れるな。俺が戦う。他を押さえてくれ」
戦いは、デュランダルとリースレットの一騎打ちのような形となった。
◇
リースレットの武器は、鉤爪。
動物的な野生の勘に加えて、独創的な動き方をするために、通常武器よりも変則的な武器の方がよりいいだろうと、リエスタとサナが彼女の方向性を決めていた。
二人は、ただのメイドであったリースレットの戦う才能に気付いていたのだ。
明らかにメイドよりも兵士適性があるのに、彼女を兵士にしなかったのはメイドでありながらリエスタの護衛をさせて、もし敵が襲ってきても彼女が最初の盾と矛になるためだったわけだが。
この度、フュンが行った試験の噂を聞いた彼女がやってみたいと言って来たので、主であるリエスタが。
行きたいか! そうか。わかった!
行きたいならその試験で立ち塞がる者全てを倒して来い。
その結果、別に将にならずとも良い。
リースレット。
私が貴様を鍛えておいてだ。
貴様が戦いで負ける事は許さん。
それに、私の元からそちらに行きたいという事は、強さだけはアピールして来ないといけないのだぞ。
ターク家を代表せねばならんのだ。
私が軽く見られる。それは嫌だ。私は軽い女ではない!
そして、私は弱き者を中央に送り出す気はない!
私のそばには、強者だけが存在していいのだ。
弱きはいらんのだ!
いいな。負けるでないぞ!
ここから叱咤激励という名のスパルタ指導が始まったのだった。
「くっ。強いぜ。でも軌道は読んだ」
対するデュランダルは二刀流。
フュンは長さの違う刀での二刀流だが、彼は同じ長さの剣での二刀流だ。
武芸も独学なので、剣の動き的には常識にとらわれていない。
流れる動きというよりかは、相手の攻撃を剣で押し込むという形である。
「んんん。あたしの攻撃が通用しない!?」
互いに一撃が入らない。
そんな相手は中々いないと、互いが微笑んだ。
ライバル。
その一言が脳裏に浮かぶと、劣勢な状況になったのはデュランダルの部隊である。
「くっ。指揮する奴とメインの奴が違うのか。難しいぜ。ニッタ。ミリー。大回りして、中央を押せと指示を出してくれ。あそこにも弓がないから、力押しできる」
「「了解」」
戦いながら指揮を取れるのがデュランダルの良き点だった。
しかし、ここでもう一つ想定外が起きる。
「あ!? なに」
押され始める場所から空色の髪の女性が現れた。
「壊滅させます。大将の場所が崩れればこの部隊も終わりです」
レイピアを携える女性アイスが先頭に立つ。
彼女もただの指揮官なわけがない。
ターク家の人間に戦えぬ者は存在しないのだ。
サナに匹敵する武芸を持つのがアイスである。
「あなたがこの部隊の大将。打ち取ればここでこの部隊を倒せます」
戦ってみてアイスは彼こそがこの部隊の強さを維持しているのだと分かった。
だから彼を倒せばあとはもう自分たちの勝利は確実だと思っている。
「クソ。あれが指揮官か・・いいぜ。ここは俺が相手だ。皆、邪魔すんなよ」
デュランダルは、自分の部隊のために強者二人を引き付けて戦った。
右の剣でアイスのレイピアを弾くと、左の剣でリースレットの鉤爪と鍔迫り合い。
器用な戦い方に驚くのは、彼と対戦している二人であった。
「あたしの攻撃がやっぱり通用しない。この人強い」
「私の攻撃も防ぐのですか・・・あちらの攻撃を受け止めているというのに、なんたる男。器用な戦い方だ」
デュランダルは二人を見て笑う。
「おう。お嬢さん方はじゃじゃ馬みたいだな。良い感じに戦闘狂だぜ」
「あなたもでしょう。やりますね。お名前は?」
「デュランダル・ギミナーだ! お嬢さんは」
「私はアイス・ジミックです」
レイピアを前に立てて、お辞儀をする彼女。
騎士流の挨拶に、丁寧な印象を受ける。
「はいは~い。あたしは、あたしは」
それに対して元気一杯に自分をアピールする女性は天真爛漫で子供みたいだった。
「なに? まあ、そうだな。聞かないのも失礼か。それじゃあ、そちらのお嬢さんは」
「あたしはね。リースレット!」
「そうか。じゃあ、いくぜ。お嬢さん方。今度はこっちから行く」
デュランダルが旋回。大きく回り込む動きでアイスの横を取る。
その行動の速さに目が追い付かなかった彼女は、更にデュランダルの攻撃にも体が追い付かなかった。
首筋に向かって剣が伸びてくるのだけが理解できた。
「し、しまった。間に合わない」
アイスが目を瞑ると。
「ま~だだよ~~~」
デュランダルの剣と、アイスの首の前に、地面に突き刺すかのような勢いで鉤爪が伸びてきた。
彼の攻撃を完璧に防ぐ。
「俺の奇襲を見抜くのか! リースレットお嬢さん」
「うん! 見抜いた」
リースレットのカバーが無ければ確実に負けていた。
「すみません。あなたに助けられるとは」
「アイス様。この人強いよ。遠慮したら駄目だよ」
「はい。そうですね。共闘しますよ。いいですか」
「うん。やりましょう」
アイスとリースレットが協力してデュランダルを攻める。
その激しい攻防は、周りがついていけないほどで、部隊ごとに動いていた彼らが援護に向かえなかった。
長らく戦い。
疲れが出始めた三人は最後の一撃に賭ける。
「いや、ここまで倒せんとはな。普通のお嬢さん方じゃないか」
「あなたも素晴らしい方ですね。その強さ、ハルク様にも匹敵するのでは・・・」
「サナさんよりも強いもんね」
三人の会話が止まってから、三秒後。
彼らの足が動く。
「「「いざ。尋常に勝負」」」
三人がそれぞれに向かって突進すると。
デュランダルの前に優しい男が現れる。
穏やかな風と共に登場した。
「はいはい。駄目ですよ。あなた方は素晴らしいのでね。こんなところで大怪我でもされたら、こちらが困るので終了です」
「だ、誰だ・・・なに、この人は!?」
すでに走りだした攻撃は自分では止められない。
猛烈な勢いの二対の剣が、二対の刀によってピタリと止められた。
目の前の男性に驚いて、時が止まったデュランダルである。
「おわりですよ」
唖然としたデュランダル。
目に映るニッコリと笑った男性に見覚えがあるに決まっていた。
「はあああああああああ」
「いきます」
叫んで突進していたリースレットと、突進の構えからレイピアを前に向けていたアイスの前にオレンジ髪の女性が現れた。
彼女は、リースレットの腕を蹴り上げて攻撃を止めて、アイスの腕を掴んで攻撃を止めた。
「おう。活きのいいのがいるのさ。こいつら、面白いのさ」
「オレンジ・・・ということは、あ。あなたは・・・もしや・・・・」
「あれ? あたしの攻撃が・・・万歳になってる!?・・・それに、だれ!?」
彼女の正体に気付くアイスと、自分の攻撃が完璧に防がれたことに驚くリースレットであった。
「いい感じだな。鍛えがいがあるのさ」
オレンジの女性はニヤリと笑っていた。
◇
試験はここで終わりを迎えた。
「クリス! 終了の合図を出しなさい。三次試験は終了です」
「はっ。只今、合図を出します」
デュランダルを止めた男は、監督官であるクリスに指令を出したのであった。
「こっちもだ、攻撃が通用しねえ」
荒々しい男たちが愚痴を言う。
しかしそんなことは彼らが言うよりも前に気付いていた。
「わかってる! 睨み合いに入ってもいいから、こちらも守りを固めてくれ」
デュランダルは考えをまとめる時間が僅かでもいいから欲しかった。
相手の対応が今までの比じゃない。
ソロ活動以外に、集まっている部隊はいくつかあったが、ここまで統率が取れた行動を起こしている部隊がこの戦場にはいなかった。
こちらの行動に対して臨機応変に動く。
この部隊は明らかに戦術が与えられた動きをしていた。
「ここで見抜く。部隊にだって癖があるはずだ」
相手の得意分野と不得意分野を戦いながら見抜く気であった。
◇
「む。違います。この部隊だけ、規律性が違いますね」
「アイスさん。右が崩れかけてます。動きが悪く」
「ん」
仲間の指摘にすぐさまアイスが反応。
自分の部隊の右翼を見る。
崩れるまではいかずとも明らかに押されていた。
だからそこをケアするような指示を出すと。
「後列でカバーです。矢で押し返して」
模擬戦闘でも弓を使ってもよかった。
この戦闘において基本のルールが設けられていない。
なんでもよい。これがフュンの課したルールである。
「ん!? しまった。そういうことですか」
後列にいた弓部隊が右翼に傾いたことで、敵の意図に気付いたアイスは、今度は左翼を見た。
◇
「おっしゃ。引っ掛かったぜ。今、あそこから崩す。右翼部隊に厚みを出していく。俺自身も突進だ」
デュランダルは自分を先頭にして相手の左翼を叩こうとした。
彼は戦っても強い。
一般人なので師匠がいない。
だから、独学で強くなり、下から這い上がって来たからこその泥臭い戦い方も出来る。
「もうすぐ隊列に穴が開くぞ。ここを押すぞ」
勝負所を作るのも上手い上に、勝負勘も良い。
非常にバランスの取れた将なのがデュランダルである。
しかし、ここで彼の想定外が起きた。
「うっわーーーん。強い人、発見! サナさんとリティ様と同じ匂いがする。だから! ここでアピールできるよん」
「な、なんだ!?」
デュランダルの前に現れたのは、ぴょんぴょんとその場で跳ねている女性。
三つ編みにした茶色の髪が幼さを演出しているが、その動きは明らかに子供ではない。
機敏さに加えて、柔軟な動きをしていた。
「ここ!! ここだよね。勝負所はここ! あなたが一番強いもんね!!」
興奮気味の女性は強者を前にしてワクワクである。
「な。なんだ・・・しかし、お嬢さんが、この中で一番強いな」
「んんん。どうだろ。アイス様の方が強いかもね。でもあたしは成長中だから、これから強くなるよ」
「元気一杯のお嬢さんだな・・・よし。お前らはあの子に触れるな。俺が戦う。他を押さえてくれ」
戦いは、デュランダルとリースレットの一騎打ちのような形となった。
◇
リースレットの武器は、鉤爪。
動物的な野生の勘に加えて、独創的な動き方をするために、通常武器よりも変則的な武器の方がよりいいだろうと、リエスタとサナが彼女の方向性を決めていた。
二人は、ただのメイドであったリースレットの戦う才能に気付いていたのだ。
明らかにメイドよりも兵士適性があるのに、彼女を兵士にしなかったのはメイドでありながらリエスタの護衛をさせて、もし敵が襲ってきても彼女が最初の盾と矛になるためだったわけだが。
この度、フュンが行った試験の噂を聞いた彼女がやってみたいと言って来たので、主であるリエスタが。
行きたいか! そうか。わかった!
行きたいならその試験で立ち塞がる者全てを倒して来い。
その結果、別に将にならずとも良い。
リースレット。
私が貴様を鍛えておいてだ。
貴様が戦いで負ける事は許さん。
それに、私の元からそちらに行きたいという事は、強さだけはアピールして来ないといけないのだぞ。
ターク家を代表せねばならんのだ。
私が軽く見られる。それは嫌だ。私は軽い女ではない!
そして、私は弱き者を中央に送り出す気はない!
私のそばには、強者だけが存在していいのだ。
弱きはいらんのだ!
いいな。負けるでないぞ!
ここから叱咤激励という名のスパルタ指導が始まったのだった。
「くっ。強いぜ。でも軌道は読んだ」
対するデュランダルは二刀流。
フュンは長さの違う刀での二刀流だが、彼は同じ長さの剣での二刀流だ。
武芸も独学なので、剣の動き的には常識にとらわれていない。
流れる動きというよりかは、相手の攻撃を剣で押し込むという形である。
「んんん。あたしの攻撃が通用しない!?」
互いに一撃が入らない。
そんな相手は中々いないと、互いが微笑んだ。
ライバル。
その一言が脳裏に浮かぶと、劣勢な状況になったのはデュランダルの部隊である。
「くっ。指揮する奴とメインの奴が違うのか。難しいぜ。ニッタ。ミリー。大回りして、中央を押せと指示を出してくれ。あそこにも弓がないから、力押しできる」
「「了解」」
戦いながら指揮を取れるのがデュランダルの良き点だった。
しかし、ここでもう一つ想定外が起きる。
「あ!? なに」
押され始める場所から空色の髪の女性が現れた。
「壊滅させます。大将の場所が崩れればこの部隊も終わりです」
レイピアを携える女性アイスが先頭に立つ。
彼女もただの指揮官なわけがない。
ターク家の人間に戦えぬ者は存在しないのだ。
サナに匹敵する武芸を持つのがアイスである。
「あなたがこの部隊の大将。打ち取ればここでこの部隊を倒せます」
戦ってみてアイスは彼こそがこの部隊の強さを維持しているのだと分かった。
だから彼を倒せばあとはもう自分たちの勝利は確実だと思っている。
「クソ。あれが指揮官か・・いいぜ。ここは俺が相手だ。皆、邪魔すんなよ」
デュランダルは、自分の部隊のために強者二人を引き付けて戦った。
右の剣でアイスのレイピアを弾くと、左の剣でリースレットの鉤爪と鍔迫り合い。
器用な戦い方に驚くのは、彼と対戦している二人であった。
「あたしの攻撃がやっぱり通用しない。この人強い」
「私の攻撃も防ぐのですか・・・あちらの攻撃を受け止めているというのに、なんたる男。器用な戦い方だ」
デュランダルは二人を見て笑う。
「おう。お嬢さん方はじゃじゃ馬みたいだな。良い感じに戦闘狂だぜ」
「あなたもでしょう。やりますね。お名前は?」
「デュランダル・ギミナーだ! お嬢さんは」
「私はアイス・ジミックです」
レイピアを前に立てて、お辞儀をする彼女。
騎士流の挨拶に、丁寧な印象を受ける。
「はいは~い。あたしは、あたしは」
それに対して元気一杯に自分をアピールする女性は天真爛漫で子供みたいだった。
「なに? まあ、そうだな。聞かないのも失礼か。それじゃあ、そちらのお嬢さんは」
「あたしはね。リースレット!」
「そうか。じゃあ、いくぜ。お嬢さん方。今度はこっちから行く」
デュランダルが旋回。大きく回り込む動きでアイスの横を取る。
その行動の速さに目が追い付かなかった彼女は、更にデュランダルの攻撃にも体が追い付かなかった。
首筋に向かって剣が伸びてくるのだけが理解できた。
「し、しまった。間に合わない」
アイスが目を瞑ると。
「ま~だだよ~~~」
デュランダルの剣と、アイスの首の前に、地面に突き刺すかのような勢いで鉤爪が伸びてきた。
彼の攻撃を完璧に防ぐ。
「俺の奇襲を見抜くのか! リースレットお嬢さん」
「うん! 見抜いた」
リースレットのカバーが無ければ確実に負けていた。
「すみません。あなたに助けられるとは」
「アイス様。この人強いよ。遠慮したら駄目だよ」
「はい。そうですね。共闘しますよ。いいですか」
「うん。やりましょう」
アイスとリースレットが協力してデュランダルを攻める。
その激しい攻防は、周りがついていけないほどで、部隊ごとに動いていた彼らが援護に向かえなかった。
長らく戦い。
疲れが出始めた三人は最後の一撃に賭ける。
「いや、ここまで倒せんとはな。普通のお嬢さん方じゃないか」
「あなたも素晴らしい方ですね。その強さ、ハルク様にも匹敵するのでは・・・」
「サナさんよりも強いもんね」
三人の会話が止まってから、三秒後。
彼らの足が動く。
「「「いざ。尋常に勝負」」」
三人がそれぞれに向かって突進すると。
デュランダルの前に優しい男が現れる。
穏やかな風と共に登場した。
「はいはい。駄目ですよ。あなた方は素晴らしいのでね。こんなところで大怪我でもされたら、こちらが困るので終了です」
「だ、誰だ・・・なに、この人は!?」
すでに走りだした攻撃は自分では止められない。
猛烈な勢いの二対の剣が、二対の刀によってピタリと止められた。
目の前の男性に驚いて、時が止まったデュランダルである。
「おわりですよ」
唖然としたデュランダル。
目に映るニッコリと笑った男性に見覚えがあるに決まっていた。
「はあああああああああ」
「いきます」
叫んで突進していたリースレットと、突進の構えからレイピアを前に向けていたアイスの前にオレンジ髪の女性が現れた。
彼女は、リースレットの腕を蹴り上げて攻撃を止めて、アイスの腕を掴んで攻撃を止めた。
「おう。活きのいいのがいるのさ。こいつら、面白いのさ」
「オレンジ・・・ということは、あ。あなたは・・・もしや・・・・」
「あれ? あたしの攻撃が・・・万歳になってる!?・・・それに、だれ!?」
彼女の正体に気付くアイスと、自分の攻撃が完璧に防がれたことに驚くリースレットであった。
「いい感じだな。鍛えがいがあるのさ」
オレンジの女性はニヤリと笑っていた。
◇
試験はここで終わりを迎えた。
「クリス! 終了の合図を出しなさい。三次試験は終了です」
「はっ。只今、合図を出します」
デュランダルを止めた男は、監督官であるクリスに指令を出したのであった。
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