人質から始まった凡庸で優しい王子の英雄譚

咲良喜玖

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第二部 辺境伯に続く物語

第257話 秘密の話

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 王家会議の後。
 三人でお屋敷に戻り、シルヴィアを外して、フュンとジークはお茶をすることになった。
 
 「ん!? アイネさん。お久しぶりですね。お元気でしたか」

 ダーレー家のお屋敷に戻って世話をしてくれるのがアイネである。

 「もちろん。元気ですよ。王子ももうちょっとこちらにも来てくださいよ。私、会えなくてとても寂しいですよ」 
 「ええ。出来るだけお会いしたいですがね。こればかりは忙しくてね・・・ん? あれ? ミルファさん?」

 物陰に隠れるようにして、部屋の入り口の半分ほどの所にミルファが立っていた。

 「ええ。ミルファもいるんですよ。この間からこちらに滞在してます。メイド見習いを連れてくる研修の調整に来たのです」
 「へぇ。ああ。サナリアの子をですね。そうかそうか。お仕事のね」
 「はい。ミルファ! そんなところにいないでこっちに」

 ミルファもフュンを見に来ていた。
 サナリアでの仕事が多忙なために、彼女でもフュンとは滅多に会えないので、ここに来ているのを楽しみにしていたらしいが、急に遠慮する気持ちが出てコソコソと隠れていた。
 
 「フュン様。申し訳ありません。こちらのダーレー家の方に無理を言ってまして・・・ジーク様にもお願いをしていたのですよ」
 「なるほど。そうだったんですか。ジーク様。見習いの件も良かったのですか?」
  
 サナリアの事はサナリアに任せているフュン。
 事細かくは領地についての運営方法を言わないようにしているので、細かい部分は部下任せだ。
 フュンは、大きな指針だけを自分が決めて、あとは部下たちの裁量に任せている形を取り、責任だけは自分が背負うスタイルを貫いている。
 だから下の者がのびのびと自由に色んなことを考えて実行が出来るので、サナリアが急速に発展できたというのもある。
 フュンの為に働くことに加えて、個々の自由な発想力が働いているのだ。

 「ああ。いいよ。ダーレーも結構大きくなってきたからね。メイドも少し増やそうかと思ってるしさ。それで、サナリアの子たちは基礎知識があるからさ。教えるのも楽らしいんだよ。な!マーリン」
 
 ジークの方の面倒をみているのがマーリンだった。
 お茶を入れる所で話しかけられた。
 
 「ええ。そうですよ。この間の子も、とても素直で、こちらに欲しいくらいでした。そちらのミルファさんの指導が良いのでしょう。アイネよりも優秀かもしれませんよ」
 「ああ。マーリンさん。ひどい。ちょっと私を信用してくださいよ」
 「うふふふ。冗談ですよ。アイネもとても良い仕事をしてますよ。お昼寝以外はね」
 「あ!? バレてた・・・・」
 
 アイネは眠り姫である。
 よくお昼寝をするメイドなのだ。

 「あら、アイネさん。また寝てたんですね。ほら、いっつも寝てるから。口開けてね!」
 「あぁ、王子ぃ。王子も意地悪ですね」
 「ハハハハ。大丈夫。そんなアイネさんだからいいんですよ」
 「そうですかぁ」

 フュンのフォローもフォローじゃないような気がする周りの人間たちであった。

 
 ◇

 暫しの談笑を挟み。
 フュンとジークだけになった部屋で、会話が始まる。

 「ジーク様。この後はどうするつもりですか」
 「うん。俺的には、君に乗っかろうと思う」
 「え?」
 「これ以上。俺が計略をするのも意味がない。それよりも、君の案に乗ろう。俺が君の補助をした方がシルヴィが皇帝の座に近づく気がする。ま、俺の勘だけどね」
 「そうですか。いいんですね」
 「ああ。いいよ」

 ジークを裏切ってはいないが、裏でコソコソしていた自分を最終的に信じてくれたことが、フュンは嬉しかった。
 お茶を飲むのをやめて、もう一度話す。

 「それでだ。君に伝えておこうと思うことがある」
 「はい?」
 「俺が亡くなった場合などに備えて、知っておいて欲しいことがある。この秘密、君だけに留めてくれ」
 「な、なんでしょう」

 ジークがやけに真剣な表情をしていた。
 自分が死ぬ時に備えるなんてよほどの事だとフュンは緊張した。

 「その前にだ。えっと、君が隠していたことは、あれらだろ。太陽の事とナボルの事。それとリナとヌロの事だろ。生きてるんだもんな」
 「そうです。お二人のことは、僕が保護しています。それと僕の秘密は誰にも言えなかったので。ジーク様、ごめんなさい」
 「ああ。それはいいや。それでさ。こっちも隠していることがある・・・でもこれは、俺も確信がない。誰も話してくれないしな。たぶん、ミラと皇帝。この二人だけが知る真実だ」
 「え? その二人が? 組み合わせが謎ですね」
 「そうなんだ。俺も、母上の日記の一文にしか書かれてない事だからさ。それが真実だとする確証がないんだよ。でも俺はそう思っている。それがこれだ・・・・」

 ジークが秘密の話をすると、フュンの目が縦に揺れた。
 
 「え? 本当ですか!?」
 「たぶんな。でも確たる証拠を掴めないんだ。陛下かミラ。この二人しか知らないんだよ。もしかしたら、ジュリアンさんも、知ってるかもしれないな」
 「そうですか。それは秘密になります。しかし隠す理由は・・・そうか。ナボルか。不確定要素からの危険を取り払うためにしたのですね・・・そういうことか」
 
 フュンは落ち着かせるために、お茶を飲む。

 「ああ、そうか。だから、ジーク様がダーレーの当主じゃないのですね。隠れ蓑にするために……それにお嬢と呼ばれるわけもそれなんですね」
 「んんん。それはどうかな。呼び名までは分からないね。それにまあ俺は自由が好きだからさ。別にシルヴィアが当主でもいいし、俺は当主ってガラじゃないよ」
 「いえいえ。本来ならば、ジーク様がダーレーの当主で間違いないです」
 「ふっ。君という奴はね。俺を買い被りすぎだよ」
 「いいえ。僕の理想はあなただから。僕は常にあなたを尊敬していますよ」
 「俺が理想!?」

 まさか自分がと、ジークは驚いた。

 「ええ。出会った頃にも言っていますが、あなたの心構えが僕の理想です。善と悪を知り、両方の心を保ったまま光を目指す。これがジーク様の歩んでいる道です。そして、それが僕の理想の道であります」
 「そうか。それじゃあ、君の師でもあるかな。俺は」
 「ええ。もちろん。僕の人生の師はたくさんいますからね。ゼクス様。ジーク様。ミラ先生。シルヴィア。ルイス様。ピカナさん。たくさんいますよ。僕を強くしてくれたのは、色々な出来事と、素晴らしい人たちでありますからね。感謝してます。皆、大切な人たちです」
 「そうか・・・そうだね。君はそういう子だ」

 ジークは嬉しそうに微笑んだ。
 自分が信じた男がここまで大きくなるとは、思いもよらないこともあるのだと。

 「それじゃあ、俺たちは皇帝の座を取りに行かないとな」
 「そうです。今までの経験を活かして、彼女を皇帝に・・・それが僕たちの今後の目標ですね」
 「ああ。そうしようか。それに必要な事を俺がやろう。なんでも言ってくれ」
 「あ、そうでした。今ので思い出しました。最初からこちらが用事でした。ハハハ」

 暢気なフュンが取り出したのは分厚い資料。
 ジークの前に丁寧に置いた。

 「それで第一弾でやりたいことがありまして、これを内緒にしてほしいのです。これが計画書で、ジーク様とあと数人だけでこれをやってもらえると嬉しいです。これが切り札であります」
 「・・・どれどれ」

 フュンの資料をもらったジークも速読で読み切る。

 「ほう。面白い。こんな事。誰が考えるんだ。君しか思いつかないだろうな」
 「そうですかね」
 「ああ。そうだよ。君にしか出来ないよ」
 「いえいえ。考えても出来るかどうかはわかりません。それに、これはジーク様の協力がないと完成しません。だからお願いします」
 「いいよ。わかった。俺がやろう。まかせてくれ」
 「はい。お願いします」

 暗躍を続けるフュンは、これまた暗躍の得意な男との協力関係を築いた。

 「では帝国と王国を狙う邪魔者を排除しましょう。そこからシルヴィアを皇帝にしますよ。やりましょうか。ジーク様」
 「ああ。任せておけ。義弟よ」

 ジークハイド・ダーレー。
 ダーレー家の本来の当主は、フュン・メイダルフィアの暗躍を担当する男。
 裏側に潜むのが得意な人物である。
 フュンの部下の中で、これらのような細かいことが出来るのはクリスくらいで、ここで柔軟に動くことが出来るジークと、とある事件の共犯者になるのは大きな事だった。

 フュンの計画は徐々に進んでいる。


 ◇

 とある場所。
 席が歯抜けとなった状態でいる闇の組織。
 上座にいるセロが話す。

 「ウナ。セイス。この二人がどこにいったか。わかるか。シエテ」
 「知りません。どこかで囚われになっているのでしょう」
 「そんなことは分かってる。奴らの居場所を教えろと言っているんだ。殺すにしても、救うにしてもな。場所を知らねば」
 「だから知りませんよ。私に怒っても知りません」

 セロとシエテの言い合いの最中。
 隣同士での会話はもうひとつ。
 ドスとトレスである

 「どうすべきか……帝国を牛耳るはずだったのだが」
 「ドス。俺のマークが苦しい。感付かれているのかも」 
 「マークだと?」
 「ああ。影が張り付いている。サブロウとか言う奴の影かもしれん」
 「サブロウ? ああ、奴らの影だな」
 「そうだ。俺が疑われているのは確実だな。これじゃ、何も出来んぞ」
 「そうか。ならば無理をするな。私にも近づくな。私が仕事をする」
 「わかった。通常業務だけやっておく」

 バラバラな話をしている四人に対して、眠そうにしているシンコがテーブルに顔をつけた。

 「眠い・・・・んで、なんでクアトロまでいなくなったんだよ。ウナ。セイスは分かる。ラーゼの失敗で消えたんだ。ただ、クアトロがいねえのは、なぜだ? おい!」

 この言葉で全員が黙った。
 沈黙の後にシエテが答える。

 「サナリアでの行動で消息を絶ちました」
 「・・・サナリアだと!?」
 「ええ。太陽の後継者を暗殺しに行ったのです」
 「・・・誰の計略だ。そいつは。俺の策じゃねえな」

 シンコが怒り気味であった。
 クアトロの行動が、自分の策略にはない行動であったらしい。
 
 「私だ」
 
 トレスが答えた。

 「てめえ・・・俺の策に不満があったのか」
 「そうじゃない。お前の策で確実に消すつもりだったから、太陽の残りもついでに消そうと思っただけだ」
 「だったら・・・俺に言えよ・・・勝手にやったから、クアトロまでいなくなってんじゃねえか」
 「・・それは、面目ない」
 「ああ。俺の策は完璧だった。お前らが大したことねえから、こんな大失敗になってんじゃねえか。余計な事をしてるから負けんだよ」
 「「「「・・・・・」」」」

 シンコの強烈な言葉に全員が黙った。

 「太陽はすげえぞ。彼の力を甘く見ているから、お前らは負けんだよ。直接見た俺はわかる。あれは化け物だ。思考も能力もだ。だから気を引き締めろや」
 「・・・そうだな、お前の言う通りだ」

 シエテとの話を中断してセロが、シンコの意見に頷いた。

 「これで俺はお前らに忠告はしたぞ。そんで急ぎでやらないといけないことがあるから、俺はここで去る」
 「ん? 何かあるのか」
 「やることがある。王国での仕事だ。仕上げにも近い」

 シンコが立ち上がり、皆に言う。

 「じゃあな。お前ら。ああ、それと、まともに考えろよ。カッコなんかつけていると、お前ら負けることになるぞ。甘く見るなよ。太陽の光は、強烈な光になりつつある。このままだと、この大陸を照らす光になるな。闇は消え、光が登る……まあ、それもいいのかもな。こんな腑抜けた組織よりもな。太陽の元で一つになった方がいいのかもしれんぞ。この大陸の為かもな」

 シンコは言いたい放題言って去っていった。

 「そうだな。シンコの言う通りだ。ここからは奴を殺すために動かねばな」
 「でも慎重にならざるを得ないですよ。今の状況。我々は下手に手を出せない。失敗すれば、地盤を失いかねない」

 セロの後にシエテが言ったが、彼女の意見の通り。
 下手に動けば、ナボルの足場は消え去る。
 そう感じる残りのメンバーは黙るしかなかった。

 「隙を窺うしかない。私がやろう。私だけがチャンスをものにできる」
 
 ドスが言った。

 「ドス。それは・・・」
 「ああ。やるしかない。トレスと協力してやる。だから一旦、お前たちは大人しくしていろ。セロ。シエテ」
 「「わかった」」
 
 二人が同意して、この会議は終わった。
 ナボルも生存を賭けた戦いを仕掛けていこうとしていた。
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