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第二部 辺境伯に続く物語
第239話 ラーゼ防衛戦争Ⅱ 龍舞のタイロー
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絶対的な数の違いを感じなくても、タイローは緊張気味であった。
新たな王となった責任と、我らが待ち望んだ太陽の人から託された戦場の中にいる事。
色々な要因が重なってはいるが。
やはりここは、目の前に広がる三万の軍が一番の緊張感を与えてくる。
こちらの城壁の上にいるのはたったの三千の兵。
誰にだって、躊躇してしまう部分が生まれてくるのは当然だった。
現在、ラーゼの軍は三方に別れている。
東。南。西。それぞれ三千ずつ。
一万いるラーゼ軍の残りの千はというと、都市の真ん中で待機となり、予備兵としていつでもどこにでも行けるようになっている。
北の海側にもいけるような体制になっていて、真ん中で休んでいる様な形にもなっているが、実際の所全く休めない状態だ。
いつでも戦う覚悟をしての待機である。
そんな彼らに合わせて民間人も協力している。
食糧などの細かい部分や、実際に城壁に登って義勇兵としている人たちも、上に立っている。
兵士よりも民たちの義勇兵の方が多い状況。
城壁の上には一万の兵と共に義勇兵たちがいる。
◇
ラーゼ南。
敵側にいるのが、あのスカーレット。
ストレイル家は、名家である。
しかし指揮官として有名なのではなく、いち戦闘員として剣術に定評がある家柄だ。
帝国の実力上位陣と変わらない剣術を持つ。
そんな女性に対して、タイローはというと。
記録上、誰とも戦ったことがない男性であり、生まれてこの方何をしていたのかよく分かっていない男性である。
でもこの時の彼の実力は、誰にも知られていないが大陸随一の実力者であった。
父カルゼンから習った武術を駆使した武闘家であったのだ。
「タイロー! いいのですか。私どもを入れねばそちらの方たちが死にますよ」
「ええ。入れませんよ。入れてもどうせこちらを殺す気でしょう。我らラーゼは、最後まで戦い抜きます」
タイローの言葉に「そうだそうだ」と、ラーゼの民が続く。
タイローは城壁の縁の上に立った。
「大事なことをお伝えします。あなたが、こちらを脅そうとしても無駄です。我々は引きません! ラーゼはここから動きませんよ。バルナガン軍よ。あなたたちでは我々に勝てない。我らラーゼ。新たな獅子となり、あなたたちを返り討ちにしてみせましょう」
「ふっ。強がりばかりですね」
「いえいえ。そちらこそ弱気でありますね。さっきから開けろ開けろとうるさい。あなたがたはラーゼが怖いと見える・・・さあ、とっととかかってきなさい。スカーレット。腰抜けとなり果てたストレイル家のご息女!」
「た・・・タイロー・・・・バルナガン軍いきなさい! 全軍前進!」
怒り狂わなかっただけスカーレットは大人だった。
冷静に指示を出すと同時に、バルナガン軍南軍が進軍する。
破城槌を城門に近づけるために、盾を展開して守りながら進む。
それと並行して、梯子をかけて登ろうとする兵もいた。
南軍は両方の攻撃方法で門を破る気だった。
しかし、その事も計算済みのラーゼ。
タイローは三人での事前の打ち合わせで、すでに話し合っていた。
『タイローさん。メルリスさん。いいですか。相手は攻城兵器をメインにしてきます。兵の数の違いから、門を開けやすいと思っているでしょう。ですから。盾兵で破城槌を守りながら前進するでしょう。ですから・・・』
フュンの計画を実行する時が来た。
「あえて門の近くまで来てもらいます。皆さん。他の場所の兵に矢を当ててください。破城槌を守る兵には軽くでいいです」
わざと、破城槌を近寄らせることにしていた。
◇
「変です……矢が集中していない」
スカーレットは、順調に破城槌が移動出来ているのに不満であった。
矢の数が明らかに少ない。
普通ならば、門に近寄らせない方がいいのに、どんどん進んでも良いぞという感じに見受けられる。
他の場所には降り注いでいるのに、極端に少ない気がしているのだ。
「停止させますか……極端に言えば、あそこだけ雨が降らないみたいですよね? それに火矢を使っているわけでもないですし……しかし、三千如きの兵数で……あれを破壊するまでの力関係には至らないはずですから……」
「閣下。単純に怖いだけではないですか」
「怖い?」
「人間が登ってくる方が怖いという事ですよ」
スカーレットの脇にいるのが、副官ジョーである。
ヴァーザック時代からの将で、ナボルではない。
表向きのちゃんとした将軍である。
有能であるから、今回の戦争に連れてきた人物だ。
「人間が怖いとは?」
「閣下。我々と敵では数が違います。破城槌で門を破壊するには時間がかかります。それは兵の差があっても同じ。ですが、城壁に登ってしまえば、数の違いを感じるのは当然でしょう。こちらが十倍ですぞ。数の圧倒的違いに苦しむのは間違いない」
「ああ。なるほど。そういうことですか。ですから、破城槌を怖がらずに、矢が少ないと」
「そういうことです。壊すまで時間が掛かりますから」
「いいでしょう。前進はやめません」
速度が落ちていた破城槌が再び進みだした。
◇
「到着するまでは、火矢は駄目ですよ。矢は人に! お願いします」
タイローの指示が飛んでいた。
初陣であろうが、ここは指示を出す場面。
タイローも指揮官として立派な男性であった。
事前にフュンが色々教えていたとはいえ、ここで力を発揮できるのは稀有な才を持つ人物である。
「来ました! いきますよ。火矢をお願いします」
城壁に破城槌が到着。
振り子の力で奥に引っ張った瞬間。タイローが城壁の縁に立ち、火炎瓶を破城槌付近に数個投げつけた。
「今です!」
タイローの指示で、次々と火矢が撃ち込まれて、破城槌に矢が当たると真っ赤に燃え上がる。
爆発のような形で燃え上がるものだから、バルナガン軍の兵士たちは火消しの作業が出来ずに退避する。
その光景を見たタイローは自らがやった行為だが、サブロウ丸スペシャル改の火力に驚いた。
『これを投げつけて、テキトーに火矢が入れば、あとはぼうぼうと燃えるだけです。とりあえずひきつけを行い。攻城兵器だけは全滅させます。どの城壁もそれさえ出来れば、何とか持ちこたえることが出来るはずです。お願いしますね。初日。ここが大切です』
フュンの指示は完璧に実行された。そして完遂したのだ。
初戦。
相手の出鼻を挫いて、簡単にはこの都市を落とさせない。
その気概とその実力を相手に見せないと、数の差を克服できない。
そういう風な意味合いでフュンが言った事だと、タイローもメルリスも気づいていた。
だから彼女の方もフュンの言うとおりに大砲を砕き。
タイローも破城槌を破壊したのである。
二人の方にある攻城兵器を破壊出来ただけでも、初日はラーゼの完全勝利であった。
しかし、ここからは肉弾戦が待っている。
結局数の違いを克服したわけではないからだ。
「ここから、梯子です。気を付けてください。端は破壊で。中央はわざと残して!」
タイローの指示の元。兵士らが動く。
義勇兵は、盾を基準にして行動を開始。
城壁の左右に移動して、端の方で梯子をかけてくる敵に対して、船の破損部分などのごみを上から叩きつけるようにして、落としていった。
物の落下する勢いが凄まじく登って来ようとする兵が梯子から落ちていく。
この左右の戦いを任せても大丈夫な義勇兵たち。
彼らの盾と放り投げ攻撃。
それに加えて勇ましい女性方の熱湯攻撃などで、両端から四つ目までの梯子は機能しなかった。
だが、中央寄りの四つの梯子からは、兵士たちが登ってきていた。
でもそれはわざとだ。
登って来れる敵を限定的にして誘寄せていた。
ここが初日の山場、城壁の上の戦いである。
◇
「いきますよ! 私が教えたとおりに戦えば、必ず勝てます。皆さん! ここが正念場です!!!」
タイローと、その仲間四百が登ってくる兵士と戦う。
中央左の一番目にタイローは布陣して、戦闘となった。
彼は武器を持たない。
素手で戦うのが基本。
なぜなら、彼は拳法家なのだ。父譲りの技を持つ。
「はぁああああああ!!! あたっ」
左拳を前に出す構えが基本のタイロー。
右のストレートを敵の顔面に当てる。
移動の足が見えない。相対した敵兵は、彼の姿を目で追えなかった。
たったの一撃で、バルナガン兵が気絶する。
体の芯に攻撃を通す彼の独特の打撃は、拳法家としての超一流の証である。
「ダッチさん!」
「おう。大丈夫だ。処理が出来てる」
タイローの仲間たちもこの技が使えていた。
彼が幼い頃から、彼らに指導して学ばせてきた技なのだ。
数年の修行で技のコツを掴んでいる。
「これが太陽の人の『龍舞』だ。バルナガンの兵よ。私たちに喧嘩を売ったことを後悔するといい」
タイローの扱う『龍舞』
これはソルヴァンスの時代からあったものとされている。
ワルベント大陸にある技で剣術。格闘術。隠密術の三つの内。
剣術と格闘術の二つの力に、この龍舞が含まれている。
ちなみに、レヴィたちの太陽の戦士も、龍舞の動きを基本にして戦うのだが、龍舞はどちらかというと戦闘というよりも舞踊に近い。
戦闘舞踊である。
フュンの辺境伯就任パーティーの時に、マイアらの踊りの基礎もこの龍舞が関連している。
彼らの華麗な技を参考にして作られた踊りが、彼女たちが踊っていた踊りなのだ。
帝国の踊り子たちは、その事を知らないわけだが、帝国の人々が大切にしていたことが分かる出来事でもある。
「まだまだ、上に来た者を狩っていきます。死力を尽くせ! ラーゼの兵よ」
「「「おおおおおおおおおおおおおお」」」
南の戦いは、タイローを中心にして戦う。
城壁の上は、ラーゼ軍の方が優勢であった。
新たな王となった責任と、我らが待ち望んだ太陽の人から託された戦場の中にいる事。
色々な要因が重なってはいるが。
やはりここは、目の前に広がる三万の軍が一番の緊張感を与えてくる。
こちらの城壁の上にいるのはたったの三千の兵。
誰にだって、躊躇してしまう部分が生まれてくるのは当然だった。
現在、ラーゼの軍は三方に別れている。
東。南。西。それぞれ三千ずつ。
一万いるラーゼ軍の残りの千はというと、都市の真ん中で待機となり、予備兵としていつでもどこにでも行けるようになっている。
北の海側にもいけるような体制になっていて、真ん中で休んでいる様な形にもなっているが、実際の所全く休めない状態だ。
いつでも戦う覚悟をしての待機である。
そんな彼らに合わせて民間人も協力している。
食糧などの細かい部分や、実際に城壁に登って義勇兵としている人たちも、上に立っている。
兵士よりも民たちの義勇兵の方が多い状況。
城壁の上には一万の兵と共に義勇兵たちがいる。
◇
ラーゼ南。
敵側にいるのが、あのスカーレット。
ストレイル家は、名家である。
しかし指揮官として有名なのではなく、いち戦闘員として剣術に定評がある家柄だ。
帝国の実力上位陣と変わらない剣術を持つ。
そんな女性に対して、タイローはというと。
記録上、誰とも戦ったことがない男性であり、生まれてこの方何をしていたのかよく分かっていない男性である。
でもこの時の彼の実力は、誰にも知られていないが大陸随一の実力者であった。
父カルゼンから習った武術を駆使した武闘家であったのだ。
「タイロー! いいのですか。私どもを入れねばそちらの方たちが死にますよ」
「ええ。入れませんよ。入れてもどうせこちらを殺す気でしょう。我らラーゼは、最後まで戦い抜きます」
タイローの言葉に「そうだそうだ」と、ラーゼの民が続く。
タイローは城壁の縁の上に立った。
「大事なことをお伝えします。あなたが、こちらを脅そうとしても無駄です。我々は引きません! ラーゼはここから動きませんよ。バルナガン軍よ。あなたたちでは我々に勝てない。我らラーゼ。新たな獅子となり、あなたたちを返り討ちにしてみせましょう」
「ふっ。強がりばかりですね」
「いえいえ。そちらこそ弱気でありますね。さっきから開けろ開けろとうるさい。あなたがたはラーゼが怖いと見える・・・さあ、とっととかかってきなさい。スカーレット。腰抜けとなり果てたストレイル家のご息女!」
「た・・・タイロー・・・・バルナガン軍いきなさい! 全軍前進!」
怒り狂わなかっただけスカーレットは大人だった。
冷静に指示を出すと同時に、バルナガン軍南軍が進軍する。
破城槌を城門に近づけるために、盾を展開して守りながら進む。
それと並行して、梯子をかけて登ろうとする兵もいた。
南軍は両方の攻撃方法で門を破る気だった。
しかし、その事も計算済みのラーゼ。
タイローは三人での事前の打ち合わせで、すでに話し合っていた。
『タイローさん。メルリスさん。いいですか。相手は攻城兵器をメインにしてきます。兵の数の違いから、門を開けやすいと思っているでしょう。ですから。盾兵で破城槌を守りながら前進するでしょう。ですから・・・』
フュンの計画を実行する時が来た。
「あえて門の近くまで来てもらいます。皆さん。他の場所の兵に矢を当ててください。破城槌を守る兵には軽くでいいです」
わざと、破城槌を近寄らせることにしていた。
◇
「変です……矢が集中していない」
スカーレットは、順調に破城槌が移動出来ているのに不満であった。
矢の数が明らかに少ない。
普通ならば、門に近寄らせない方がいいのに、どんどん進んでも良いぞという感じに見受けられる。
他の場所には降り注いでいるのに、極端に少ない気がしているのだ。
「停止させますか……極端に言えば、あそこだけ雨が降らないみたいですよね? それに火矢を使っているわけでもないですし……しかし、三千如きの兵数で……あれを破壊するまでの力関係には至らないはずですから……」
「閣下。単純に怖いだけではないですか」
「怖い?」
「人間が登ってくる方が怖いという事ですよ」
スカーレットの脇にいるのが、副官ジョーである。
ヴァーザック時代からの将で、ナボルではない。
表向きのちゃんとした将軍である。
有能であるから、今回の戦争に連れてきた人物だ。
「人間が怖いとは?」
「閣下。我々と敵では数が違います。破城槌で門を破壊するには時間がかかります。それは兵の差があっても同じ。ですが、城壁に登ってしまえば、数の違いを感じるのは当然でしょう。こちらが十倍ですぞ。数の圧倒的違いに苦しむのは間違いない」
「ああ。なるほど。そういうことですか。ですから、破城槌を怖がらずに、矢が少ないと」
「そういうことです。壊すまで時間が掛かりますから」
「いいでしょう。前進はやめません」
速度が落ちていた破城槌が再び進みだした。
◇
「到着するまでは、火矢は駄目ですよ。矢は人に! お願いします」
タイローの指示が飛んでいた。
初陣であろうが、ここは指示を出す場面。
タイローも指揮官として立派な男性であった。
事前にフュンが色々教えていたとはいえ、ここで力を発揮できるのは稀有な才を持つ人物である。
「来ました! いきますよ。火矢をお願いします」
城壁に破城槌が到着。
振り子の力で奥に引っ張った瞬間。タイローが城壁の縁に立ち、火炎瓶を破城槌付近に数個投げつけた。
「今です!」
タイローの指示で、次々と火矢が撃ち込まれて、破城槌に矢が当たると真っ赤に燃え上がる。
爆発のような形で燃え上がるものだから、バルナガン軍の兵士たちは火消しの作業が出来ずに退避する。
その光景を見たタイローは自らがやった行為だが、サブロウ丸スペシャル改の火力に驚いた。
『これを投げつけて、テキトーに火矢が入れば、あとはぼうぼうと燃えるだけです。とりあえずひきつけを行い。攻城兵器だけは全滅させます。どの城壁もそれさえ出来れば、何とか持ちこたえることが出来るはずです。お願いしますね。初日。ここが大切です』
フュンの指示は完璧に実行された。そして完遂したのだ。
初戦。
相手の出鼻を挫いて、簡単にはこの都市を落とさせない。
その気概とその実力を相手に見せないと、数の差を克服できない。
そういう風な意味合いでフュンが言った事だと、タイローもメルリスも気づいていた。
だから彼女の方もフュンの言うとおりに大砲を砕き。
タイローも破城槌を破壊したのである。
二人の方にある攻城兵器を破壊出来ただけでも、初日はラーゼの完全勝利であった。
しかし、ここからは肉弾戦が待っている。
結局数の違いを克服したわけではないからだ。
「ここから、梯子です。気を付けてください。端は破壊で。中央はわざと残して!」
タイローの指示の元。兵士らが動く。
義勇兵は、盾を基準にして行動を開始。
城壁の左右に移動して、端の方で梯子をかけてくる敵に対して、船の破損部分などのごみを上から叩きつけるようにして、落としていった。
物の落下する勢いが凄まじく登って来ようとする兵が梯子から落ちていく。
この左右の戦いを任せても大丈夫な義勇兵たち。
彼らの盾と放り投げ攻撃。
それに加えて勇ましい女性方の熱湯攻撃などで、両端から四つ目までの梯子は機能しなかった。
だが、中央寄りの四つの梯子からは、兵士たちが登ってきていた。
でもそれはわざとだ。
登って来れる敵を限定的にして誘寄せていた。
ここが初日の山場、城壁の上の戦いである。
◇
「いきますよ! 私が教えたとおりに戦えば、必ず勝てます。皆さん! ここが正念場です!!!」
タイローと、その仲間四百が登ってくる兵士と戦う。
中央左の一番目にタイローは布陣して、戦闘となった。
彼は武器を持たない。
素手で戦うのが基本。
なぜなら、彼は拳法家なのだ。父譲りの技を持つ。
「はぁああああああ!!! あたっ」
左拳を前に出す構えが基本のタイロー。
右のストレートを敵の顔面に当てる。
移動の足が見えない。相対した敵兵は、彼の姿を目で追えなかった。
たったの一撃で、バルナガン兵が気絶する。
体の芯に攻撃を通す彼の独特の打撃は、拳法家としての超一流の証である。
「ダッチさん!」
「おう。大丈夫だ。処理が出来てる」
タイローの仲間たちもこの技が使えていた。
彼が幼い頃から、彼らに指導して学ばせてきた技なのだ。
数年の修行で技のコツを掴んでいる。
「これが太陽の人の『龍舞』だ。バルナガンの兵よ。私たちに喧嘩を売ったことを後悔するといい」
タイローの扱う『龍舞』
これはソルヴァンスの時代からあったものとされている。
ワルベント大陸にある技で剣術。格闘術。隠密術の三つの内。
剣術と格闘術の二つの力に、この龍舞が含まれている。
ちなみに、レヴィたちの太陽の戦士も、龍舞の動きを基本にして戦うのだが、龍舞はどちらかというと戦闘というよりも舞踊に近い。
戦闘舞踊である。
フュンの辺境伯就任パーティーの時に、マイアらの踊りの基礎もこの龍舞が関連している。
彼らの華麗な技を参考にして作られた踊りが、彼女たちが踊っていた踊りなのだ。
帝国の踊り子たちは、その事を知らないわけだが、帝国の人々が大切にしていたことが分かる出来事でもある。
「まだまだ、上に来た者を狩っていきます。死力を尽くせ! ラーゼの兵よ」
「「「おおおおおおおおおおおおおお」」」
南の戦いは、タイローを中心にして戦う。
城壁の上は、ラーゼ軍の方が優勢であった。
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