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第二部 辺境伯に続く物語
第228話 責任の所在
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「では、サブロウ!」
「おうぞ」
フュンは、サブロウに白紙の文書を渡した。
「これにですね。今から僕が言った事を書いておいて下さい。帝国の書簡の筆跡を真似て、偽の文書を作るのです。一応こういう時の為にね。陛下からもらっていたんですよね。これ、凄くないですか。文書の紙は本物! 本物の偽造文書ですよ。職権乱用ですかね。ハハハハ!」
一人で笑っているフュン。
心からの笑顔であるのだが、周りの皆は笑えない。
本物の偽造文書って作れるものなのでしょうかと苦笑いしていた。
「まあ、そこはいいとして、サブロウ。ここに明日ラーゼ王に謁見すると書いておいてください。明日の朝には到着すると思うのでとか、何とかそこらへんの説明は大体でいいです。緊急の書簡だからと書けばいいでしょう。それと急ぎだからと言って兵か誰かに手渡してください。でもサブロウ、その際は変装してですよ。いいですね」
「了解ぞ。今からやるぞ」
「ええ。お願いします」
指令をもらったサブロウは下に降りていった。
「次、僕とレヴィさんは別なことをするとして、タイローさん。あなたにやってもらいたいことがあります」
「え? 私にですか」
「はい。お仲間さんに指令を出してほしい。タイローさんが集めた仲間で、カルゼンさんを深夜に連れ出してください。連れ出す先は……そうですね。秘密の場所とかありますか?」
「あります。ガイナル山脈にあります。港と海。そしてラーゼが見える位置の地下道の向こう側の入り口付近にあります」
「そこが良さそうですね。そこにカルゼンさんをお連れしてください」
「わかりました。ですが、父がいなくなったと気付かれたら・・・」
「大丈夫。奴らは僕の対応でどうしたらいいかを考えると思います。カルゼンさんまで手が回らないはずです。だから深夜に連れ出して欲しいんです。今のサブロウの文書で慌てるのは夕方からなので」
「なるほど……たしかに遅い方がいいのか……」
フュンは、自分が囮になる気満々なのだ。
敵の目が、意識が、フュンだけに集中するとなると、地下にいるカルゼンなんかを気にしない。
しかも彼は目が良くないし、そもそも一人で逃げられるような状態じゃない。
あそこが鉄壁である分、敵に油断が生じるのは確実だ。
いなくなったことにも気付かないかもしれない。
「それで、敵を一掃したら、僕とタイローさんでラーゼを盛り上げます。兵を鼓舞して、立ち上がらせます。ここには軍船がありますか?」
「ないです。属領なので、商船しか許可が・・・」
「んんん。それはおかしい。シンドラには商船以外もあります」
「え?」
「シンドラは大型船二つ所有しています」
「え? あそこのメインは川ですよね?」
「はい。ですが、ササラと連携しているシンドラは、ササラ港に船を持っています」
「そうだったんですね。しらなかった・・・」
シンドラは、あの時の詫びとして、ダーレー家と船を共同開発した経緯があるのだ。
軍船の所有権を互いに持つとしたのである。
「ですから、軍船を持てないのはおかしいです。帝国は理由があれば許可します。おそらく、軍船を持っていないのはナボルのせいでしょう。あなたたちには出来るだけ戦力を持ってほしくないんですね。それとあそこにいる王国が大砲を持っていると厄介ですが、サブロウがいますからね。小舟さえあれば、何とか出来る可能性がありますね。いや、もっと他にもいい手があるかも」
フュンはナボルを倒した先も見ていた。
どうせナボルは全滅。
何が何でも全滅。
だが、それらとは関係なく、目の前にある王国の軍船が危険。
一刻も早くあれらを始末しなければ、色々面倒が起こりそうである。
「ラーゼを守らねば、それを考えないと。こっち側だと外だから、中の様子から見たいな」
窓の外を見ると、都市の外。
中の様子が見られない位置では計画も難しい。
「それなら、フュンさん」
「ん? なんでしょう」
「最新の地図と、要所を書きましょう。ナボルが潜んでいる場所もです」
「お!? いいですね。お願いします」
「はい。少々お待ちを」
タイローは、自室の机の中にある地図を取った。
大きめの地図は、ラーゼ全体の拡大地図である。
「ラーゼにいるナボルは基本。城と父がいる地下室です。その他は要所のみ。一般人はナボルになっていません」
「要所のみ?」
「ええ。まず。港。ここは漁港管理人と、組合の長です。この二人がナボル。あとは、大工の頭領とその片腕で二人。それと研究所の特別室にいる人間五人。あとは、東の門に一人います」
ラーゼにいるナボルはこれが全て。
タイローはいつか倒せるかもしれないと、調べ上げていたのだ。
ナボルの基本は任務で繋がる事。
だから横の繋がりがない。
縦の繋がりしかないために、下っ端同士だと誰がナボルなのかもわからない。
だから敵を知るには、自分で調べ上げないといけないのもあるが、逆に横の繋がりが少ないから、調べるのに楽でもあった。
「なるほど。それで計十人ですね。この東の門の人は・・・バルナガンとの連携のためでしょうかね」
「おそらく・・・」
「わかりました。これらを捕えることが出来ますか?」
「私どもでですか?」
「ええ。城の中は厳しいかもしれませんが、これくらいの小規模なら、なんとかしてタイローさんのお仲間さんたちでいけませんかね」
「大丈夫だと思います。外にいるナボルは戦闘向きじゃないので数十名で囲んでしまえば行けると思います」
「よし。ではそちらをお任せしたい。たぶん、僕の方にその人たちの意識も来るはずですから、油断さえしなければ全員捕獲できるでしょう」
「はい。やってみます」
「明日の朝に合わせてください。なので、今は昼過ぎか・・・いいでしょう。仮眠しましょう。夜から準備をしていきますからね。あと、タイローさん。おそらくですが、あなたも僕が呼ばれる時にそこにいると思いますので、動かないでください。僕を信じてその場に立っていてくれると嬉しいです」
「え? どういうことでしょう?」
「大丈夫。動かないでくれると助かります。巻き添えにならずに済みますから」
「わ、わかりました。そうします」
「ええ。では、僕とレヴィさんもここから離れます。あなたは、皆さんに連絡した後。ナボルの言う通りに動いてください」
「わかりました」
「では、のちほど!」
フュンとレヴィは塔の窓から降りていった。
◇
その後。タイローは、サブロウの偽の知らせに慌てた城の関係者(ナボル)によって、呼び出されて緊急の会議に参加した。
タイローは、城のナボルたちの中に、まさか王自体も入っていたとは思っていなかった。
今までの会議で王がいたことがなかったから気付かなかったし、王が成り代わっていることも気づかなかった。
自分が知る王は、すでに物心ついた時から別人なのか。
それとも、自分の知らない間に途中で入れ替わったのか。
どちらにしてもよく分からない。
でもフュンが言うには別人だろうということ。
彼がそう言うんだから、そうなんだろう。
タイローは、王がいない会議に参加しながらそんなことを考えていた。
飛び交う議論は水掛け論。
ここに来て、まさかのフュン自らがラーゼにやって来るとは思わず。
彼の訪問の目的が、帝国からの援軍とか言う理由らしく、敵が来ている情報がすでにそちらにあるのも謎であるとナボルらは騒いでいた。
なぜならラーゼ自体は、帝国にこの知らせを送っていないのだ。
だから、ナボルが大混乱しているので、ここがチャンスだとしたタイローは港に用事があるとして会議中でも外に出られた。
移動中、父の施設にいる人間たちも確認すると、そこにいる警備の数がいつもの三分の一に減少していた。
ナボルは要警戒態勢を城の方に敷いていた。
フュンが来るとの知らせによる効果である。
秘密の場所に仲間を集めて、今までの説明をしたタイローは、それぞれの配置を設定。
ナボルを倒すために、計画を綿密にして、狙うタイミングを入念にチェックした。
仲間たちと決意を固めて別れた後、怪しまれないように早めに帰ってきたタイローが、会議室に、もう一度入ると、何も変わらずであった。
同じ議論を延々としていた。
フュンを殺すか。それとも捕えるか。
または港にいる王国軍に殺させるかで悩んでいた。
戦死の方が後々いいのではないかとの議論が最有力であった。
たしかに、戦死の方が処理が楽である。
ただ、戦死をどのようにして演出するのかが難しい。
一番は街の者たちに見せる事だが、今の現状で向こうと戦争すれば、街の者たちが見る前に街の者たちが死ぬ確率が高いのである。
延々と話して深夜あたりで出した結論は、ひとまずの話し合いの流れで動こうとしたのだ。
フュンを殺すにしても、捕らえるにしても、幹部が来るまで待つとの結論が出たのだ。
幹部の決定がなければ、戦争しようにもできないし、このままの待機の状態を続ければいいのか分からない。
タイローはこの時ナボルの命令に上がいることを知る。
今のラーゼの状態を詳しく知る者がこの中にいない。
それはラーゼの国王になったナボルも知らないのだろう。
幹部とは誰か。
タイローはそこを詳しく知りたかったのだが、聞くわけにもいかずにその会議を終えた。
自分の塔に戻り、夜が明けるのを待つ。
そして・・・。
夜が明けて太陽を見るタイロー。
今日という日に感謝して、明日という日を迎えられるのか。
その大事な決戦が、待っているのだと、ラーゼの海を眺めた。
明日の朝を見ることが出来るのは、自分か。
それともナボルか。
それは、彼によって決する。
太陽の人。
フュン・ロベルト・トゥーリーズ。
彼の計略次第となる。
「おうぞ」
フュンは、サブロウに白紙の文書を渡した。
「これにですね。今から僕が言った事を書いておいて下さい。帝国の書簡の筆跡を真似て、偽の文書を作るのです。一応こういう時の為にね。陛下からもらっていたんですよね。これ、凄くないですか。文書の紙は本物! 本物の偽造文書ですよ。職権乱用ですかね。ハハハハ!」
一人で笑っているフュン。
心からの笑顔であるのだが、周りの皆は笑えない。
本物の偽造文書って作れるものなのでしょうかと苦笑いしていた。
「まあ、そこはいいとして、サブロウ。ここに明日ラーゼ王に謁見すると書いておいてください。明日の朝には到着すると思うのでとか、何とかそこらへんの説明は大体でいいです。緊急の書簡だからと書けばいいでしょう。それと急ぎだからと言って兵か誰かに手渡してください。でもサブロウ、その際は変装してですよ。いいですね」
「了解ぞ。今からやるぞ」
「ええ。お願いします」
指令をもらったサブロウは下に降りていった。
「次、僕とレヴィさんは別なことをするとして、タイローさん。あなたにやってもらいたいことがあります」
「え? 私にですか」
「はい。お仲間さんに指令を出してほしい。タイローさんが集めた仲間で、カルゼンさんを深夜に連れ出してください。連れ出す先は……そうですね。秘密の場所とかありますか?」
「あります。ガイナル山脈にあります。港と海。そしてラーゼが見える位置の地下道の向こう側の入り口付近にあります」
「そこが良さそうですね。そこにカルゼンさんをお連れしてください」
「わかりました。ですが、父がいなくなったと気付かれたら・・・」
「大丈夫。奴らは僕の対応でどうしたらいいかを考えると思います。カルゼンさんまで手が回らないはずです。だから深夜に連れ出して欲しいんです。今のサブロウの文書で慌てるのは夕方からなので」
「なるほど……たしかに遅い方がいいのか……」
フュンは、自分が囮になる気満々なのだ。
敵の目が、意識が、フュンだけに集中するとなると、地下にいるカルゼンなんかを気にしない。
しかも彼は目が良くないし、そもそも一人で逃げられるような状態じゃない。
あそこが鉄壁である分、敵に油断が生じるのは確実だ。
いなくなったことにも気付かないかもしれない。
「それで、敵を一掃したら、僕とタイローさんでラーゼを盛り上げます。兵を鼓舞して、立ち上がらせます。ここには軍船がありますか?」
「ないです。属領なので、商船しか許可が・・・」
「んんん。それはおかしい。シンドラには商船以外もあります」
「え?」
「シンドラは大型船二つ所有しています」
「え? あそこのメインは川ですよね?」
「はい。ですが、ササラと連携しているシンドラは、ササラ港に船を持っています」
「そうだったんですね。しらなかった・・・」
シンドラは、あの時の詫びとして、ダーレー家と船を共同開発した経緯があるのだ。
軍船の所有権を互いに持つとしたのである。
「ですから、軍船を持てないのはおかしいです。帝国は理由があれば許可します。おそらく、軍船を持っていないのはナボルのせいでしょう。あなたたちには出来るだけ戦力を持ってほしくないんですね。それとあそこにいる王国が大砲を持っていると厄介ですが、サブロウがいますからね。小舟さえあれば、何とか出来る可能性がありますね。いや、もっと他にもいい手があるかも」
フュンはナボルを倒した先も見ていた。
どうせナボルは全滅。
何が何でも全滅。
だが、それらとは関係なく、目の前にある王国の軍船が危険。
一刻も早くあれらを始末しなければ、色々面倒が起こりそうである。
「ラーゼを守らねば、それを考えないと。こっち側だと外だから、中の様子から見たいな」
窓の外を見ると、都市の外。
中の様子が見られない位置では計画も難しい。
「それなら、フュンさん」
「ん? なんでしょう」
「最新の地図と、要所を書きましょう。ナボルが潜んでいる場所もです」
「お!? いいですね。お願いします」
「はい。少々お待ちを」
タイローは、自室の机の中にある地図を取った。
大きめの地図は、ラーゼ全体の拡大地図である。
「ラーゼにいるナボルは基本。城と父がいる地下室です。その他は要所のみ。一般人はナボルになっていません」
「要所のみ?」
「ええ。まず。港。ここは漁港管理人と、組合の長です。この二人がナボル。あとは、大工の頭領とその片腕で二人。それと研究所の特別室にいる人間五人。あとは、東の門に一人います」
ラーゼにいるナボルはこれが全て。
タイローはいつか倒せるかもしれないと、調べ上げていたのだ。
ナボルの基本は任務で繋がる事。
だから横の繋がりがない。
縦の繋がりしかないために、下っ端同士だと誰がナボルなのかもわからない。
だから敵を知るには、自分で調べ上げないといけないのもあるが、逆に横の繋がりが少ないから、調べるのに楽でもあった。
「なるほど。それで計十人ですね。この東の門の人は・・・バルナガンとの連携のためでしょうかね」
「おそらく・・・」
「わかりました。これらを捕えることが出来ますか?」
「私どもでですか?」
「ええ。城の中は厳しいかもしれませんが、これくらいの小規模なら、なんとかしてタイローさんのお仲間さんたちでいけませんかね」
「大丈夫だと思います。外にいるナボルは戦闘向きじゃないので数十名で囲んでしまえば行けると思います」
「よし。ではそちらをお任せしたい。たぶん、僕の方にその人たちの意識も来るはずですから、油断さえしなければ全員捕獲できるでしょう」
「はい。やってみます」
「明日の朝に合わせてください。なので、今は昼過ぎか・・・いいでしょう。仮眠しましょう。夜から準備をしていきますからね。あと、タイローさん。おそらくですが、あなたも僕が呼ばれる時にそこにいると思いますので、動かないでください。僕を信じてその場に立っていてくれると嬉しいです」
「え? どういうことでしょう?」
「大丈夫。動かないでくれると助かります。巻き添えにならずに済みますから」
「わ、わかりました。そうします」
「ええ。では、僕とレヴィさんもここから離れます。あなたは、皆さんに連絡した後。ナボルの言う通りに動いてください」
「わかりました」
「では、のちほど!」
フュンとレヴィは塔の窓から降りていった。
◇
その後。タイローは、サブロウの偽の知らせに慌てた城の関係者(ナボル)によって、呼び出されて緊急の会議に参加した。
タイローは、城のナボルたちの中に、まさか王自体も入っていたとは思っていなかった。
今までの会議で王がいたことがなかったから気付かなかったし、王が成り代わっていることも気づかなかった。
自分が知る王は、すでに物心ついた時から別人なのか。
それとも、自分の知らない間に途中で入れ替わったのか。
どちらにしてもよく分からない。
でもフュンが言うには別人だろうということ。
彼がそう言うんだから、そうなんだろう。
タイローは、王がいない会議に参加しながらそんなことを考えていた。
飛び交う議論は水掛け論。
ここに来て、まさかのフュン自らがラーゼにやって来るとは思わず。
彼の訪問の目的が、帝国からの援軍とか言う理由らしく、敵が来ている情報がすでにそちらにあるのも謎であるとナボルらは騒いでいた。
なぜならラーゼ自体は、帝国にこの知らせを送っていないのだ。
だから、ナボルが大混乱しているので、ここがチャンスだとしたタイローは港に用事があるとして会議中でも外に出られた。
移動中、父の施設にいる人間たちも確認すると、そこにいる警備の数がいつもの三分の一に減少していた。
ナボルは要警戒態勢を城の方に敷いていた。
フュンが来るとの知らせによる効果である。
秘密の場所に仲間を集めて、今までの説明をしたタイローは、それぞれの配置を設定。
ナボルを倒すために、計画を綿密にして、狙うタイミングを入念にチェックした。
仲間たちと決意を固めて別れた後、怪しまれないように早めに帰ってきたタイローが、会議室に、もう一度入ると、何も変わらずであった。
同じ議論を延々としていた。
フュンを殺すか。それとも捕えるか。
または港にいる王国軍に殺させるかで悩んでいた。
戦死の方が後々いいのではないかとの議論が最有力であった。
たしかに、戦死の方が処理が楽である。
ただ、戦死をどのようにして演出するのかが難しい。
一番は街の者たちに見せる事だが、今の現状で向こうと戦争すれば、街の者たちが見る前に街の者たちが死ぬ確率が高いのである。
延々と話して深夜あたりで出した結論は、ひとまずの話し合いの流れで動こうとしたのだ。
フュンを殺すにしても、捕らえるにしても、幹部が来るまで待つとの結論が出たのだ。
幹部の決定がなければ、戦争しようにもできないし、このままの待機の状態を続ければいいのか分からない。
タイローはこの時ナボルの命令に上がいることを知る。
今のラーゼの状態を詳しく知る者がこの中にいない。
それはラーゼの国王になったナボルも知らないのだろう。
幹部とは誰か。
タイローはそこを詳しく知りたかったのだが、聞くわけにもいかずにその会議を終えた。
自分の塔に戻り、夜が明けるのを待つ。
そして・・・。
夜が明けて太陽を見るタイロー。
今日という日に感謝して、明日という日を迎えられるのか。
その大事な決戦が、待っているのだと、ラーゼの海を眺めた。
明日の朝を見ることが出来るのは、自分か。
それともナボルか。
それは、彼によって決する。
太陽の人。
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