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序章

ぐすん(第4話)

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この世界のことについて少し分かってきた。
まずこの世界は大小様々な国に別れているが、そのほぼ全てが何処かの連邦に属しており、現在はそのほぼ全てが友好的な関係にある事。
ここはまさにファンタジーの世界で、魔術などの概念がある事。
そして何よりなのがこの世界には、戦力値というものがあるという事。
戦力値とはその人の様々な状況での戦闘能力を計算して、専用の機器が表すもので、一般的な男性だと100から200、女性となると50から150当たりとなる。
で、僕の戦力値はって?
10000
もう1回言うよ
10000
1万だよ、1万。
チート、チート。
なんて考えてると、
「アティス、怪我の方はどう?」
そう言って入ってきたのはアリシア母様(かかさま)。  
銀の長髪が特徴的な自慢の美人な母様。
「うん、大丈夫!」
「そう、良かった」
少し、母様が微笑む。ホントに良い母様だな~
前世の母さんはほんとにクソで、毎日パチスロ三昧。
家庭のことなんぞ知ったことか、が口癖だったからな~。
ほんと今の母様は最高だよ。
優しいし、美人だし、それに何より家族のことをよく見てくれてる。
相手にもされなかった者としては、とっても嬉しい。
「そうそう、怪我が大丈夫そうだったら、教会に行かない?いい気晴らしになるわよ?」
........最高かよ、母様。
丁度、何処か、外に出たかったところなんだよね。
読心術でも持ってるのかな?
まぁ、外に出れるし良いか。
などと、母様と手を繋ぎながら考える。
恥ずかしい.......。
イシスには微笑ましい感じで見られたし.......。
ぐすん。
中身は中学生なんだよって言っても、何言ってるの?って言われるだけだしなぁ。
「アグリス、帝都教会まで、お願いね」
御者にそう言いながら、僕を持ち上げて馬車に乗せる。
こうやってされると、本当に3歳なんだなって実感する。
こんな高さも登れないとは、くっ、我不甲斐なし。
ゴトゴト揺られて三千里までとは行かないまでもとっても長い気がする。
何故かって?
母様のあれが頭に当たってるからさ。(ぐすん)
馬車って結構揺れるから、母様が膝に乗せてくれたまでは良かったんだよ。
母様結構でかいから、僕でも膝に乗せられると当たるんだよね。
ほんとに恥ずかしい。
中身は思春期真っ盛りの中学生なんだよ。母様。
なんて考えても仕方ないか........。

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