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おまけ ランジェリー 後*

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 大切に味わうと言ったように、リュカはきちんとバスローブを脱いで全裸になり、そっと俺を抱き締めてくれた。優しい温もりに包まれると、それだけで心地良くて吐息が漏れる。身体も緩んでいく。

 舌を絡めた濃厚な口付けを交わし、甘く痺れる舌先の余韻に浸っていると、零れていた唾液を拭われた。そして名残惜しげに軽く唇にキスされたあとには、首筋、鎖骨、胸元へと、唇が下りていく。ブラの隙間にも。

「ふふ。ザガンの可愛い乳首、レースに囲まれているからか、いつもよりエッチに見えるよ。すごく美味しそう。さっそく、いただくね?」
「ん……。……ぁん、ん……」

 頷くと、リュカは柔らかく微笑み、ちゅっと乳首にキスしてきた。ちゅ、ちゅ、と柔らかく触れられるだけで、突起がジンジンしてくるし、ツンッと勃っていくような気がする。しかも恥ずかしくて身体をくねらせたら、咎めるように強く吸われた。

「ふぁ、ん、……あ、ぁん……ん」

 反射的に胸を仰け反らせてしまい、より乳首を差し出したせいか、さらに吸われてしまう。それにたくさん舐められた。コロコロと突起を舌で転がされたり、軽く食まれたり。

 乳首を弄られるの、とても気持ち良い。ただ可能であれば、もう片方も弄ってほしい。そちらもジンジンしているのに、指ですら触れてくれないので、もどかしくなってくる。

 どうにか弄ってもらえないかとリュカの腕に触れると、彼は顔を上げ、唾液で濡れた突起を観察してきた。

「ザガンのぷっくり乳首、エッチな下着と相俟って、すごく可愛いよ。ふふ、女の子みたい」
「ぁん……リュカ……、はう……う」

 そうしてまた唇を寄せてきた。先程と同じく、唾液まみれのぷっくりした方を。弄られすぎた乳首を労るように、ちゅ、ちゅ、と優しくキスしてくれる。
 それは嬉しい。それは嬉しいが、片方ばかり愛撫されるのは、弄られていない方がつらい。

 どうにか触れてもらえないだろうかと、もう片方の乳首を主張するように、身体を横向きに変える。残念ながら腰を抱いている腕に阻止されたが、リュカが顔を上げたので、弄られていた乳首を手で隠すことには成功した。

 するとリュカは、蕩けたままの双眸で、顔を覗いてくる。

「どうしたの? ザガン。乳首、弄られるのは嫌?」
「う……嫌じゃ、ない。だが……出来れば、もう片方も……」
「こっちの乳首も可愛くしてほしくて、隠したの?」

 きゅっと摘ままれた乳首に、コクコク頷く。そう、そのまま弄ってほしい。

「ふふ、もうおめめがトロトロになって、ハートが浮かんでる。可愛いなぁ」

 指は離れてしまったけれど、その代わり、こちらの乳首にもキスしてくれた。そのままじっくり舐められる。ようやく与えられた愛撫に、身体が震えた。気持ち良い、乳首を弄られるの、とても気持ち良い。

「ふぁ……あん、ん……ん……♡」

 いっぱい吸われるし、食まれて引っ張られたあと、たくさん舐められる。

 そうして時間をかけてじっくり愛撫され、舌が離れていった時には、どうしようもなく感じて乳首がヒクヒク震えていた。気持ち良さに涙も滲んでしまっていたし、ふー、ふー、と熱い吐息が漏れていく。

 ようやく満足したようで、乳首から顔を上げたリュカは、恍惚とした表情で俺を見下ろしてきた。

「どっちの乳首もぷっくりしてレースで飾られてるの、ホント可愛い。すごく興奮する。それに……おちんちんも。ふふ、もうトロトロになって震えてるね。ザガンの可愛いおちんちん、早く苛めてって主張してきてるよ。はぁ、こっちもすごくエッチな光景だ」

 乳首の愛撫でとっくに勃起していたペニスは、リュカの言うようにトロトロ先走りを零して、ショーツを少し濡らしてしまっていた。それにレースの間からペニスが飛び出ている光景は、エッチと言われても仕方無いと、自分でも思ってしまうくらいには卑猥だ。

 リュカの頭が、股下へと移動していく。羞恥を堪えて大人しく待っていると、ちゅっと、ペニスの先端にキスされた。そのまま軽く吸われただけで、ぴゅくっと精液が漏れてしまう。ふぁ、気持ち良い。

 ゆっくり咥内に含まれていき、また吸われた。だが乳首のように長くは嬲られず、零れていた蜜を舐められた程度で、唇が離れていく。

「ん、綺麗になったよ。ふふ、ぷるぷる震えてて可愛い。このままエッチなお尻も舐めたいから、足を抱えてもらえる?」

 今日も、前からなのか。ここ数日、前からばかりな気がする。リュカとしては、俺の顔を見たままアナルを舐めたいようだが、俺としては羞恥が勝ってしまうので、なるべく後ろからが良い。……頼んでみたら、譲歩してくれるだろうか?

「リュカ……今日は、こちらからが、良い」

 足を抱えるのではなく、仰向けからうつ伏せになった。クッションを抱いて顔を埋めて、尻を高くする。これだけでは足りないかもしれないと思い、よりアナルが見えるように尻を突き出して、少し振ってみた。しかしリュカからの言葉は返ってこない。駄目か?

 恐る恐る背後を確認してみると、彼は口を覆いながらもアナルをガン見していた。顔が真っ赤になっている。良かった、ちゃんと煽れていたらしい。
 視線が合うと、リュカは頬を赤らめたまま聞いてくる。

「ええと、ザガン? 後ろから舐めてほしいの?」
「ん。後ろから、舐めてほしい」
「そ……そっかぁ。はぁ、俺のザガンが、ホント可愛い」

 ショーツで少しだけ隠れている尻を掴まれると、ちゅっとアナルにキスされた。柔らかな刺激に、ん、と小さく声が漏れる。もう一度キスされたあと、尻を撫でられ、くぱっと左右に広げられた。そしてヒクヒクしているアナルを、じっくり観察される。視線が感じられて、恥ずかしい。

「うん、やっぱりお尻もすごく可愛いし、エッチだよ。ショーツも似合ってる」

 褒められると悪い気はしないが、こういう下着が似合っていると言われるのは、かなり複雑だ。だがリュカが興奮しているのなら、それで良い。

 再び顔を埋められ、ニオイを嗅がれる。だいぶ慣れたものの、やはり羞恥が込み上げてきてしまう。でも今回は顔を隠していられるので、そこまで恥ずかしくない、と思う。

 ちゅ、ちゅ、とキスされたあと、舌で触れてきた。縁を舐められ、ゆっくり唾液を滲ませられていく。ヒクヒクしてしまうアナル。気持ち良い。

「ぁ、あん……、リュカ、ふぁ……あ」

 唾液を馴染まされて緩むと、舌を捩じ込まれて、中まで舐められた。ちゅくちゅく混ぜられる刺激も、リュカの魔力に反応して濡れていく腸液を吸われる刺激も、気持ち良くて酔いしれてしまう。恥ずかしいが、リュカに胎内まで味わってもらえるのは、とても嬉しい。リュカが好きだから。

 震えながら受け入れていたら、つぽんと舌が抜かれ、代わりに熱いものが触れてきた。ペニスだ。いつものように勃起している。俺の痴態を見て、興奮してくれている。

 熱いペニスがアナルの縁にくぽっと嵌ってきて、それだけで小さく震えた。先端から漏れている蜜が、胎内に侵食してくる。光の魔力が心地良い。そうして胎内は柔く収縮しながら、埋まってくるのを今か今かと待ち侘びる。早くいつものように、奥まで入ってきてほしい。

「ん……リュカ、……はぅ、ん……」
「はぁ、ザガンの可愛いお尻、すごくヒクついてるよ。一生懸命飲み込もうとして、ちゅっ、ちゅって吸い付いてきてる。すごくエッチで堪らない」

 尻を優しく撫でられた。熱いペニスも、くぽくぽと縁部分を離れたりくっ付いたりしている。けれど中には入ってこない。もどかしくて少し尻を押し付けると、ぐぅと変な音がリュカから聞こえてきた。

「ああもう、今日はいつにも増して可愛いね? エッチな下着を付けているせいで、ザガンもエッチな気分になっているのかな?」
「……ん。そうかも、しれない……。こんな俺は、嫌か?」

 もし素直に受け入れるよりも、嫌がられた方が興奮するというのなら、そうなれるよう努力するのもやぶさかではない。だがどうすれば、リュカが好きそうなツンになるのだろう? 俺はツンデレではないので、わからないぞ。

 なんて考えていたら、ズプズプゥと、ペニスが埋まってきた。

「あ、ぁんんっ……あ、あんっ、ん――……ッ♡」

 いきなり奥の奥まで埋まってきた。熱くて硬いペニスで、直腸をいっぱいに満たされる。少し締め付けただけで、ブワッと大きな快楽が、全身へと駆け巡っていく。ガクガク震えながらイって、けれど射精はしていない。あ、あ、ドライオーガズムだ。とてつもなく気持ち良い。

「っ……はぁ、すご……搾り取られそう。ふふ、入れただけでイっちゃうくらいに、俺が欲しかったんだね。ホント可愛い」
「んぁ……♡ リュカ、ぁん、――……♡」
「もちろん、エッチなザガンも大好きだからね。ザガンから俺を求めてくれるだけで、泣きそうになるくらい嬉しい」

 背中から抱き締められ、リュカの埋まっている下腹部を、優しく撫でられた。あたたかな温もりに包まれて、じんわり胸が熱くなる。リュカが嬉しいのなら、俺もとても嬉しい。

 軽くイきながらもリュカの方を見ると、優しく微笑まれ、ちゅっと頬にキスされた。優しい口付けに、きゅううと胸が甘く締め付けられる。

「ん……リュカ、好き、好きだ。……大好き」
「ありがとうザガン。俺もザガンが大好きだよ。君を愛してる」

 ビクビク震えながらも愛を告げると、リュカもたくさん返してくれた。喜びからか、きゅっとペニスを締めてしまう。もっとリュカを感じたくて、どうしても自分から腰を振ってしまう。すると奥を軽くつつかれるから、ふぁっと声が漏れてしまうし、腰が跳ねた。気持ち良くて涙が滲む。

「ザガン、動くからね。今日もいっぱい感じて、一緒に気持ち良くなろうね」

 甘く優しい囁きにコクコク頷くと、うなじにキスされた。そして背中から抱き締められたまま、いつものように優しく、一定のテンポでくちゅんくちゅんと穿たれる。

 奥まで大きなペニスが埋まってくるたび、身体は震えるし、嬌声が漏れた。前立腺を擦られるのも気持ち良くて、きゅうきゅうと断絶的に締め付けてしまう。するとリュカの声も、少しずつ乱れていく。

「ふぁ、あ、あん……、ん……んぁ、あ、……あ」
「ん、ザガン……、……ん」

 ふと、動きが緩やかになった。ゆっくり奥まで埋まってきて、腰を押し付けたまま奥を混ぜたあと、ゆっくり出ていく。そうしながら、ブラを付けている乳首を摘まれた。クリクリされて、そこからも快楽が湧き上がってきて、身悶えてしまう。

「ふぁ……リュカ、……乳首、触ったら……あん、ん」
「うん。ザガンはゆっくり動かれながら、乳首を苛められるの、好きだものね」
「ん、ん……すき、……あ、あ、ぁん」

 イけそうでイけないもどかしさでペニスを締め付けて、そんな中をリュカの魔力を感じながらゆっくり擦られると、全身がふわふわするような快感に飲まれていくのだ。それがとても気持ち良い。
 ペニスを摘まれたまま、奥をじっくり掻き混ぜられるのも好きだ。とてつもなく感じるから。

「あ、あんっ……あ、あ、あ」

 次第に大きくなっていく快楽に、ポロポロ涙が零れる。イきたくなってくる。
 するとリュカは、再び激しく動き出した。腰を掴まれて、グチュン、ヌチュッと奥を何度も抉られる。括約筋も腸壁もたくさん擦られて、どんどん快楽が蓄積されていく。気持ち良い、気持ち良い。

「ふぁ、あ……あ、リュカ……好き、好き……あ、んん」
「っ、は……ザガン、ザガン……ッ」
「んあ、あ、んっ……リュカ、イく、イって、あ、……あっ!」

 イくと言葉にした直後。奥の奥までペニスを埋め込まれ、ドプドプドプッと射精された。胎内をリュカの精液でドロドロにされて、光の魔力が駆け巡っていく。

 この瞬間が、堪らなく好きだ。身体も心も、完全に満たされるから。俺の身体でリュカが気持ち良くなり、イってくれた証拠でもある。

「――……♡。――……あ、ん……♡」
「……ふ、はぁ……っ。は……ぁ」

 耳元で、甘く擦れた呼吸を繰り返されている。これを聞くのも好きだ。艶やかな吐息に、耳から脳までを侵されるから。
 汗ばんだ身体で抱き締められ、下腹部を優しく撫でられるのも好き。涙に濡れた眦に、ちゅっとキスされるのも。

 しかしいつもと違い、リュカはすぐさま身体を起こすと、ぬぽんっとペニスを抜いてしまった。いきなり閉じた括約筋に、腰が跳ねてしまう。アナルがひくひく収縮する。

「ぁん……♡、ん……リュカ……?」

 どうしたのだろう? いつもはしばらく密着したまま、胎内でリュカのペニスが再び硬くなるのを待つのに。その間の、キスしたり撫でられたり、まったり話をしながら緩やかに過ごす時間が、とてつもなく好きだ。きちんと言葉にしたことはないけれど、魔力から伝わっているはず。

 不思議に思ったものの、まだ終わらせるつもりがないというのは、わかった。俺の尻を撫でながら、うっとりとした表情で見下ろしてきているから。

「ザガンのぽっかりしたお口、エッチなショーツのおかげで、さらにエッチになってるよ。ホント可愛い。ああもちろん、物足りなさそうにヒクヒクしてるのも、エッチな糸引きまくってトロトロになってる様子も、可愛いからね。ふふ、俺に見られるの、恥ずかしくて嬉しいね? 言葉にしたとたん、さらに蠕動しだした。ザガンってば、本当に堪んない」

 なんてことを言ってくるものだから、どうにか括約筋が閉じないかと、アナルに力を入れてしまった。結果として中出しされた精液を押し出してしまうし、なのにアナルは左右にくぽぉと広げられて閉じられないから、漏れそうになってしまう。

「ん……リュカ、駄目だ。精液が漏れてしまう……」
「うんうん。エッチで可愛いお尻から、俺の精液を漏らしてショーツを穢しちゃう光景、ぜひとも見せてほしいな」

 それはあまりにも、恥ずかしいだろう。だいたい。

「これはもう、俺のだから……」

 せっかく貰ったリュカの魔力を、どうして出さなければならないのか。このまま全部吸収して俺の魔力に変換するに決まっている。
 なので尾骶骨あたりから尻尾のように触手を出し、ぽっかり空いているらしいアナルを隠した。これで漏れないし、たぶん見られることもない。安心だ。

 ただ何故か、リュカは手で目を覆い、天井を仰いでいるが。

「ヤバい、ザガンが可愛すぎて死にそう」
「死なれたら困る」
「も、もちろん死なないからね。絶対にザガンを置いていかないから」

 リュカは俺の横に寝転がると、腰を引き寄せ、背中から抱き締めてきた。リュカの温もりに包まれると、ほっとする。

「ごめんねザガン。まだ1回しか出してないのに、酷いこと言っちゃったね。もっといっぱい種付けして、お腹がぽっこり膨れるくらいに満たしてから、溢れる様子をじっくり観察させてもらうから安心して。ショーツどころか、ザガンのおちんちんの先っぽまで俺の子種が伝っていくくらい、たくさん中出ししてあげるから」

 いや、それは激しく遠慮したいぞ。しかし再び勃起したペニスを触手に擦り付けられるから、物足りなさに尻がもぞもぞしてしまう。アナルがぱくぱく収縮する。奥までリュカが欲しい。

 そう思ったら、触手を消していた。するとすぐさまペニスが縁に引っかかり、くぷぷぷぷぅと奥まで埋まってくる。あ、あ、奥、奥いっぱい。大きい、熱い。

「はぁ、ふわふわトロトロであったかいのに、きゅううって一生懸命搾ってくる。ザガンのエッチなお尻に包まれるの、本当に気持ち良いよ」
「――……っ♡、――……♡」
「ふふ、もうトんじゃってるね。可愛い」

 気持ち良い、気持ち良い。リュカでいっぱいで、気持ち良い。好き、好きだリュカ、大好き。

「ちっちゃいハートもいっぱい出てるね。下着も真っ黒だからよくマッチしていて、さらに可愛くなってる。ふふ、俺の為にこんな下着を買ってくれるなんて、すごく嬉しいなぁ。ありがとうザガン。今夜はまだまだ時間あるから、いっぱいエッチしようね」

 頭がふわふわしていてボンヤリして、何を言われているのか、よくわからなかった。けれど頬やうなじに、ちゅっ、ちゅっ、と優しくキスしてくれるから、コクコク頷く。

 そうしてリュカが宣言していたように大量に中出しされたし、なんとなく、精液の溢れる様子をじっくり観察された気がした。







 翌朝。早くに目が覚めたので、まだ眠っているリュカを放置して寝室から出ると、ベネットだけがリビングにいた。今朝は朝食を作る必要が無いのに、相変わらず早起きだ。習慣として身に付いているらしい。

「あ。お、おはようございます、ザガンさん」
「おはようベネット」

 俺を見つけると、彼女はすぐにコーヒーを入れてくれたので、ソファに座っていただく。俺好みのブラックコーヒーだ。ん、美味い。
 ベネットは向かいに座ると、俺をじっと見てきた。どうしたのか不思議に思い、首を傾げて見返すと、彼女は慌てたように視線を彷徨わせる。

「その、今日もザガンさんから2つの魔力を感じるので、幸せだなぁと。……こ、こんなふうに幸せを感じるなんて、変ですよね。すみません」
「いや。友が俺達の関係を受け入れてくれることは、とても心強い。感謝する」

 礼を述べると、嬉しそうにはにかむベネット。少し涙が滲んでいるのが、彼女らしい。

「ところでベネット。昨日買った下着が汚れてしまったので、次の都市に着いたら洗剤を貸してくれないか」

 下着屋の店員が言っていた。生活魔法で身体を綺麗するついでに汚れを落とそうとすると、レースはすぐに痛むと。丁寧に手揉み洗いするのが良いと。
 今朝確認したら酷いあり様だったので、洗濯必須である。

「あ、それなら僕が洗いましょうか?」
「いや、リュカに洗わせるから良い。アイツが汚したのだから、アイツに責任を取らせる」

 そもそもあんな精液まみれのショーツを、他者に洗わせるわけにはいかない。あまりにも恥ずかしい。ベネットだって、あれを見たらドン引きだろう。ブラはブラで、唾液まみれだ。いろいろ酷い。

 俺が変な表情をしていたからか、ベネットはクスッと笑みを零した。
 そんな彼女に見守られながら、コーヒーを飲み終えた、直後。

「ザガン! もう、なんで先に起きちゃうかな? 目が覚めた時にザガンが腕の中にいないなんて、すごく寂しいよ」

 勢いよくドアが開き、リュカが隣に座ってきた。ぎゅうぎゅう抱き締められて、少々苦しい。
 いつもなら、すぐに抱き返すのだが。

「えっ、ザガン? なんでそんなにツンツンしてるの?」

 身体ごとそっぽを向いて、ついでに触手でキス出来無いようにガードしたら、リュカは悲しそうな声を出した。触れているところからも、悲しいという感情も伝わってくる。
 ただし俺がリュカの感情を知れるのだから、もちろんリュカも俺の感情を知れるわけで。

「あ……ご、ごめんねザガン。すごく恥ずかしかったよね。ザガンがあまりにも可愛いから、もっともっと可愛い姿を見たくなっちゃったんだ。調子に乗っちゃって、本当にごめん。反省するから許してほしいな」

 甘く囁くような声に、耳を擽られる。なのでチラリとリュカを見てみれば、じっと見つめられた。捨てられた子犬のような目に、絆されそうになってしまう。というか、まぁ……うむ。

「…………仕方無いから、許してやる」

 触手を消したら、リュカはパアッと明るい笑顔に戻り、頭や頬にたくさんキスしてきた。思わず溜息が漏れる。
 そんな俺達を、ベネットはとても幸せそうに見つめてくるから、どうにも居た堪れなかった。

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