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喜多川くんとのお出掛けをしょっぱなから満喫しつつ、ご機嫌で電車に乗り込んだ後は、二人で並んで座席に掛けながら、これから向かうおじいちゃんちのことやそれにまつわるエピソード、それにノラオのことなんかで盛り上がった。
『―――おーいヒマリ、お前、今日の目標忘れてねぇ? オレのことなんか話してねぇで、レントのこと色々聞くべきなんじゃねぇの?』
溜め息混じりにノラオからそう突っ込まれたあたしはハッと我に返った。
ヤバ、楽し過ぎてすっかり忘れていた! 普通にトークを楽しんでしまっていた~!
っていうか楽しくてあたしが一方的に喋っちゃってた。あー、何か分かったかも。これだからいつも喜多川くん情報が入ってこないんだな~、反省。
「ごめん、何かあたしばっか喋っちゃって。あたし放っとくとずっと喋ってるからさー、口挟むヒマないよね。喜多川くんも何か話したいことあったらどんどん来て!」
「いや、オレは話し上手じゃないし……岩本さんの話を聞いているの楽しいから」
あたしの話、楽しいって言ってくれてる!
嬉しい! 好きー!
でも、喜多川くんの話も色々聞きたい~!
「えー? 話し下手なイメージないけど。あたし、喜多川くんの話を聞くの好きだよ。楽しいし」
何気ない返しにキュンキュンしながらそう言うと、喜多川くんは照れくさそうに視線を逸らした。
「それは、岩本さんが聞き上手で話し上手だから。どんなトークでも繋げて広げてくれるし……」
「あっは、褒め過ぎ! 紬に言わせるとあっちこち飛び過ぎらしいよー。すぐ脱線するって」
「そうなの? オレ的には心地好いよ。岩本さんが楽しそうに喋ってくれるから、こっちも気負わずに自然体でいられるし……。会話が途切れて、間が持たなくて、気まずくなったらどうしよう……って構えずにいられるから」
そうなんだー? そんなふうに言われると俄然調子に乗っちゃいますけど!
「じゃあ、あたしから喜多川くんに色々聞いてみてもいい? この間ふと、あたしって自分のこと喋ってばっかりで、喜多川くんのことほとんど何も知らないなーって気付いちゃったところなんだよね」
「え? ああ……言われてみたら、そうかもしれないね。オレ、自分のことってほとんど話してないかも」
「うん。だからさ、この機会に喜多川くんのこともっと知りたいなーと思って。もちろん話したくないことや答えにくいことは言わなくていいからさ。あたしもほら、喜多川くんに話せてないことあるし、そこはお互い様ってことで」
図書館での一件を持ち出して気負わずに軽い感じで話せるように持っていくと、喜多川くんも納得したように頷いてくれて、あたしは知りたかった喜多川くん情報を色々ゲットすることが出来たのだった。やったー!
リサーチによると喜多川くんは12月15日生まれの射手座で血液型はA型、趣味は読書や映画鑑賞で、ゲームをするのも好きなんだそう。好きな異性のタイプはちょっと聞きづらかったから、好きな女性芸能人を聞いてみたら、有名な清楚系の若い俳優さんを挙げていた。
あたしとは正反対なタイプの俳優さんだけど、あたしだって好きな男性芸能人は喜多川くんとはまるでタイプが違う俳優さんだし、これはあくまで理想像というか、好みの系統のひとつと考えておこう、うん。
清楚系というところで、見た目がそうな阿久里さんのことが思い浮かんで、かなり気になったしモヤッとしたけど、そこは聞けなかった。
阿久里さんとはどういう関係なのとか、先週二人でどこへ何しに出掛けていたのとか、そのお出掛けは楽しかったのかなぁとか……スゴく、スゴーく気にはなったんだけど、さすがにね。
でも、それ以上に気になっていた情報を聞くことが出来たから、良し!
―――喜多川くんに今、彼女はいない!
っっっ、あ―――! 良かったあぁぁぁぁ!
それが確認出来た時は、その場でガッツポーズして飛び跳ねたくなるくらい嬉しくって、もう、表情に出さないようにするのが大変だった。
もしこれに頷かれちゃったらどうしようって、かなりドキドキしながらした質問だったけど、本っっ当~に本っっ当に彼女がいなくて良かった!
『どんだけ嬉しいんだよ……』
ノラオに引かれちゃうくらい心の中で喜びを爆発させちゃったけど、本当にそのくらい嬉しかったんだから仕方がない。
喜多川くんがフリーだったことを心から喜びながら、あたしは彼に色んな質問をする過程でちょいちょい自分の情報もねじ込んで(例えば「喜多川くんはA型なんだ~あたしはО型!」といった具合)ちゃっかり彼にも自分のあれこれを知らしめた。
これで喜多川くんにも色々あたしのことを知ってもらえたと思うし、勝手にまた距離が縮まったような気がして嬉しくなってしまう。
『完全に独りよがりの自己満足ってヤツだなー』
うるさい。ちょっと黙ってなさい、ノラオ。
あたしは読書はあんまりしないけど、映画を見るのは好きだしゲームも嫌いじゃないから、映画デートとかおうちでまったりゲームデートなんかもいいなぁ。それで、そこからまた色々楽しいことを共有して広げていけたら、スゴくスゴくいいなぁと思う。
ラーメンが好きだって言っていたから学校帰りに一緒にラーメン屋さんに寄ったり、休みの日に待ち合わせて二人で美味しいラーメン食べに行ったりもしてみたい。
あー、夢がふくらむ……!
そんな希望と楽しい妄想に満ちた電車での移動時間はあっという間で、降りた駅からバスに乗り換えて最寄りのバス停で降車したあたし達は、閑静な住宅街の一角にあるおじいちゃんの家へとたどり着いたのだった。
『―――おーいヒマリ、お前、今日の目標忘れてねぇ? オレのことなんか話してねぇで、レントのこと色々聞くべきなんじゃねぇの?』
溜め息混じりにノラオからそう突っ込まれたあたしはハッと我に返った。
ヤバ、楽し過ぎてすっかり忘れていた! 普通にトークを楽しんでしまっていた~!
っていうか楽しくてあたしが一方的に喋っちゃってた。あー、何か分かったかも。これだからいつも喜多川くん情報が入ってこないんだな~、反省。
「ごめん、何かあたしばっか喋っちゃって。あたし放っとくとずっと喋ってるからさー、口挟むヒマないよね。喜多川くんも何か話したいことあったらどんどん来て!」
「いや、オレは話し上手じゃないし……岩本さんの話を聞いているの楽しいから」
あたしの話、楽しいって言ってくれてる!
嬉しい! 好きー!
でも、喜多川くんの話も色々聞きたい~!
「えー? 話し下手なイメージないけど。あたし、喜多川くんの話を聞くの好きだよ。楽しいし」
何気ない返しにキュンキュンしながらそう言うと、喜多川くんは照れくさそうに視線を逸らした。
「それは、岩本さんが聞き上手で話し上手だから。どんなトークでも繋げて広げてくれるし……」
「あっは、褒め過ぎ! 紬に言わせるとあっちこち飛び過ぎらしいよー。すぐ脱線するって」
「そうなの? オレ的には心地好いよ。岩本さんが楽しそうに喋ってくれるから、こっちも気負わずに自然体でいられるし……。会話が途切れて、間が持たなくて、気まずくなったらどうしよう……って構えずにいられるから」
そうなんだー? そんなふうに言われると俄然調子に乗っちゃいますけど!
「じゃあ、あたしから喜多川くんに色々聞いてみてもいい? この間ふと、あたしって自分のこと喋ってばっかりで、喜多川くんのことほとんど何も知らないなーって気付いちゃったところなんだよね」
「え? ああ……言われてみたら、そうかもしれないね。オレ、自分のことってほとんど話してないかも」
「うん。だからさ、この機会に喜多川くんのこともっと知りたいなーと思って。もちろん話したくないことや答えにくいことは言わなくていいからさ。あたしもほら、喜多川くんに話せてないことあるし、そこはお互い様ってことで」
図書館での一件を持ち出して気負わずに軽い感じで話せるように持っていくと、喜多川くんも納得したように頷いてくれて、あたしは知りたかった喜多川くん情報を色々ゲットすることが出来たのだった。やったー!
リサーチによると喜多川くんは12月15日生まれの射手座で血液型はA型、趣味は読書や映画鑑賞で、ゲームをするのも好きなんだそう。好きな異性のタイプはちょっと聞きづらかったから、好きな女性芸能人を聞いてみたら、有名な清楚系の若い俳優さんを挙げていた。
あたしとは正反対なタイプの俳優さんだけど、あたしだって好きな男性芸能人は喜多川くんとはまるでタイプが違う俳優さんだし、これはあくまで理想像というか、好みの系統のひとつと考えておこう、うん。
清楚系というところで、見た目がそうな阿久里さんのことが思い浮かんで、かなり気になったしモヤッとしたけど、そこは聞けなかった。
阿久里さんとはどういう関係なのとか、先週二人でどこへ何しに出掛けていたのとか、そのお出掛けは楽しかったのかなぁとか……スゴく、スゴーく気にはなったんだけど、さすがにね。
でも、それ以上に気になっていた情報を聞くことが出来たから、良し!
―――喜多川くんに今、彼女はいない!
っっっ、あ―――! 良かったあぁぁぁぁ!
それが確認出来た時は、その場でガッツポーズして飛び跳ねたくなるくらい嬉しくって、もう、表情に出さないようにするのが大変だった。
もしこれに頷かれちゃったらどうしようって、かなりドキドキしながらした質問だったけど、本っっ当~に本っっ当に彼女がいなくて良かった!
『どんだけ嬉しいんだよ……』
ノラオに引かれちゃうくらい心の中で喜びを爆発させちゃったけど、本当にそのくらい嬉しかったんだから仕方がない。
喜多川くんがフリーだったことを心から喜びながら、あたしは彼に色んな質問をする過程でちょいちょい自分の情報もねじ込んで(例えば「喜多川くんはA型なんだ~あたしはО型!」といった具合)ちゃっかり彼にも自分のあれこれを知らしめた。
これで喜多川くんにも色々あたしのことを知ってもらえたと思うし、勝手にまた距離が縮まったような気がして嬉しくなってしまう。
『完全に独りよがりの自己満足ってヤツだなー』
うるさい。ちょっと黙ってなさい、ノラオ。
あたしは読書はあんまりしないけど、映画を見るのは好きだしゲームも嫌いじゃないから、映画デートとかおうちでまったりゲームデートなんかもいいなぁ。それで、そこからまた色々楽しいことを共有して広げていけたら、スゴくスゴくいいなぁと思う。
ラーメンが好きだって言っていたから学校帰りに一緒にラーメン屋さんに寄ったり、休みの日に待ち合わせて二人で美味しいラーメン食べに行ったりもしてみたい。
あー、夢がふくらむ……!
そんな希望と楽しい妄想に満ちた電車での移動時間はあっという間で、降りた駅からバスに乗り換えて最寄りのバス停で降車したあたし達は、閑静な住宅街の一角にあるおじいちゃんの家へとたどり着いたのだった。
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