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番外編 第五皇子側用人は見た!
bittersweet5①
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宮廷薬師ティーナと外出する際、第五皇子エドゥアルトからついでの使いを頼まれた狼犬族の女剣士ラウルは、街で彼が所望する品を購入し、宮廷への帰途についていた。
頼まれたのはチーズをまぶした塩気のある生地を薄く伸ばしたものをスティック状にし、香ばしくカリカリに焼き上げたもので、二年前にたまたまラウルが買ってきたこの一品を口にして以来、彼女の主はこれがいたく気に入った様子で、折に触れて所望するようになっていた。近頃は葡萄酒と共にたしなむことが彼の中で定番らしい。
下戸のラウルはそういう味わい方が出来ないので、もっぱらお茶の時間におやつとして純粋に楽しんでいる。それを知っているエドゥアルトはいつも多めに注文してくれるので、この後宮廷に戻ってからのお茶の時間がラウルは楽しみだった。
「私もご相伴に預かろうかしら。ケーキを食べたばかりだけど、これ美味しいのよね。甘い物を食べた後って塩気のあるものが欲しくなるし」
そう言いながらラウルの抱える包みを見やるティーナにラウルは笑顔を返した。
「うん、そうしなよ! ハンスは食が細いからどうせあんまり食べないし、大勢で食べた方が楽しいし美味しいもん」
「そうね。このままお邪魔しちゃおうっと」
普段調剤室にいることの多いティーナはラウル達と一緒にお茶の時間を過ごすことがあまりないので、ラウルはますますお茶の時間が楽しみになった。
「それにしても今日はチーズスティックのお店、やたらと混んでいたね。何でかな? 買えるまでけっこう並んで待ったし、売り切れたらどうしようってちょっとヒヤヒヤした」
そんなことにならなくて良かったぁ……と安堵の息をつくラウルに、ティーナは軽く小首を傾げてみせた。
「ラウル、知らないの? 今、そのチーズスティックを使ったちょっとしたお遊びが若い子達の間で流行ってて、それもあってスゴく人気なのよ」
「えっ、そうなの?」
「うん。主にお酒を伴った席で行われることが多いんだけど、最近は若い貴族が集まったお茶会なんかでも場を盛り上げる為に行われたりするみたい」
「へえ、そうなんだ。それってどんなの?」
軽い気持ちで尋ねたラウルにそれを答えかけたティーナは、何を思ったのか、開きかけていた口をつぐんでしまった。
「ティーナ?」
「んー、多分エドゥアルト様もハンスも知らないだろうから、みんなでお茶を飲んでいる時に話そうかな。その方が説明するのいっぺんですむし」
「えー? 面倒臭がりだなぁ。まぁいいけど」
顔をしかめはしたものの、ラウルはさして疑問に思うこともなく、その話題はそこで終わりとなったのだ。
第五皇子の執務室へティーナと共に戻ったラウルは、エドゥアルトに釣り銭を手渡しがてら、チーズスティックの店の繁盛ぶりや品物が売り切れてしまうのではないかとヒヤヒヤしたことなどを賑やかに報告した。
書類に目を落としたままそれに相槌だけを返すエドゥアルトに文句を言うでもなく、ラウルの陽気な声は続く。そんな見慣れた光景を尻目に、黙々とお茶の準備を始めるハンスをティーナが手伝いに立っていた。
「相変わらずねぇ、あの二人は」
「そうだね」
「あれから何か面白いことは起こっていないの?」
「君が期待しているようなことは何も」
「あら、残念」
小声でそんな会話を交わしながら、二人は手際よく準備を進めていく。
そしてお茶の準備が整い皆が集まったところで、さっそくチーズスティックにかじりついたラウルが「そういえば」とティーナに切り出した。
「さっき言ってた最近若い子達の間で流行ってる遊びって何? このチーズスティックを使うって言ってたやつ」
「ああ、それねー。エドゥアルト様とハンスは知ってます? 若い貴族達の間で最近お茶会なんかでも行われている余興なんですけど」
「いや? 知っているか、ハンス?」
「いえ、存じません」
二人の回答を聞いたティーナはにっこり微笑んだ。
「ある意味、度胸試しのような、一種の勝負性のある遊戯なんですよ」
「勝負?」
そのワードにラウルの目がキラリと光った。一方のエドゥアルトはあからさまに胡散臭げな面持ちになってチーズスティックを眺めやる。
「勝負? これを使ってか?」
「ええ、そうです。このスティックの端と端を口にくわえて、対戦相手の目を見据えながら互いに限界ギリギリまで食べ進めるんですよ。先に耐え切れなくなってスティックを折ってしまったり、口を離してしまったりした方が負けという、いわゆるチキンゲームですね」
それを聞いたエドゥアルトは興味なさげに吐き捨てた。
「くだらないな」
「ところが、やってみると案外色んな戦略が必要なんですよ。目線や表情での駆け引き、洞察力に度胸と運。様々な要素が入り混じってなかなかに奥深いし、何より場が盛り上がるんです」
「ティーナはやったことあるの? それ」
興味津々のラウルにティーナは奥ゆかしい物言いをした。
「ふふ、何度かね。色んな方と交流するのは私のたしなみのひとつでもあるから」
「はー。でもそれ、失敗したら最悪相手と口がくっついちゃうじゃん。その辺はどうなの?」
「そこは相手を見極めて臨機応変に、ね。生理的に無理な方だったら早目にスティックを折るなりしてリタイアしちゃえばいいし、同性の場合は失敗しちゃっても場を盛り上げる余興になるし。意中の人が相手なら、ゲームを口実に甘いひと時を夢見られるわけだしね」
「なるほど」
その辺りが人気の源なんだろうな、と納得するラウルの前で、ティーナが隣のハンスを仰ぎ見た。
「何ならどんなものか、試しにハンスとやってみましょうか? 今」
急に矛先を向けられてしまったハンスはあやうく飲みかけの紅茶を吹きそうになった。
「ごほっ! ティーナ、何を……」
「いいからいいから」
ティーナは戸惑うハンスに有無を言わせず彼をその場に立たせると、自らも立ち上がってチーズスティックを一本口にくわえ、彼の首に両腕を回して自身の上体を逸らせる姿勢を取った。
チーズスティック一本分の距離を置いて二人は密着するような格好になり、グラマラスなティーナに真正面から見据えられる形になったハンスは挙動不審に目を泳がせた。
薬師の証である白の長衣を少し着崩した彼女の胸元はやや大きめに開いており、緩く巻いた褐色の長い髪とこちらを見つめる少し目尻の下がったエメラルドの瞳とがひどく艶やかだった。
それに彼女からは男なら誰もが惑わされずにはいられないような、華やかないい香りがする。
何やらティーナの良からぬ企みに巻き込まれてしまったようだと理解しつつ、主君であるエドゥアルトの手前あまり騒ぎ立てるのも憚られ、ハンスは懊悩しながら、美麗な同僚を苦々しく見やった。
こちらが困惑し動揺していることなど分かり切っているだろうに、それを意に介する様子なく、ほら、と言わんばかりに口にくわえたスティックを振って催促する女。
苦り切りながらハンスが差し出されたもう片端を口にすると、それを合図にするようにティーナがスティックを食べ始めた。
ハンスも反対側からかじり始めるが、思った以上に早く相手の顔が近付いてくる。
小動物が小枝をかじるような音を立てて近付いてくる魅惑的な赤い唇にハンスは少々気後れしながら、余裕たっぷりなティーナに少し意趣返ししてやりたい気持ちもあって、自分の方からは絶対にスティックを折らない決意を固めていた。
これに懲りて、ティーナも少し反省すればいい。そして思いつきで自分を妙な陰謀に巻き込もうとするのをやめてくれたらいいのだ。
だが、ティーナの勢いは止まらない。長い睫毛に縁取られた蠱惑的な瞳もハンスの瞳を捉えたまま、逸らされる気配がない。
決意に反してハンスはあせった。
―――ちょっ……このままでは本当にぶつかっ……!
最後の最後、追い詰められたハンスが首を思い切り横に捻り、二人の唇が重なるのはすんでのところで回避された。
「はい、私の勝ち~」
高らかなティーナの勝利宣言に、ハンスは顔を覆って膝から崩れ落ちたくなった。
頼まれたのはチーズをまぶした塩気のある生地を薄く伸ばしたものをスティック状にし、香ばしくカリカリに焼き上げたもので、二年前にたまたまラウルが買ってきたこの一品を口にして以来、彼女の主はこれがいたく気に入った様子で、折に触れて所望するようになっていた。近頃は葡萄酒と共にたしなむことが彼の中で定番らしい。
下戸のラウルはそういう味わい方が出来ないので、もっぱらお茶の時間におやつとして純粋に楽しんでいる。それを知っているエドゥアルトはいつも多めに注文してくれるので、この後宮廷に戻ってからのお茶の時間がラウルは楽しみだった。
「私もご相伴に預かろうかしら。ケーキを食べたばかりだけど、これ美味しいのよね。甘い物を食べた後って塩気のあるものが欲しくなるし」
そう言いながらラウルの抱える包みを見やるティーナにラウルは笑顔を返した。
「うん、そうしなよ! ハンスは食が細いからどうせあんまり食べないし、大勢で食べた方が楽しいし美味しいもん」
「そうね。このままお邪魔しちゃおうっと」
普段調剤室にいることの多いティーナはラウル達と一緒にお茶の時間を過ごすことがあまりないので、ラウルはますますお茶の時間が楽しみになった。
「それにしても今日はチーズスティックのお店、やたらと混んでいたね。何でかな? 買えるまでけっこう並んで待ったし、売り切れたらどうしようってちょっとヒヤヒヤした」
そんなことにならなくて良かったぁ……と安堵の息をつくラウルに、ティーナは軽く小首を傾げてみせた。
「ラウル、知らないの? 今、そのチーズスティックを使ったちょっとしたお遊びが若い子達の間で流行ってて、それもあってスゴく人気なのよ」
「えっ、そうなの?」
「うん。主にお酒を伴った席で行われることが多いんだけど、最近は若い貴族が集まったお茶会なんかでも場を盛り上げる為に行われたりするみたい」
「へえ、そうなんだ。それってどんなの?」
軽い気持ちで尋ねたラウルにそれを答えかけたティーナは、何を思ったのか、開きかけていた口をつぐんでしまった。
「ティーナ?」
「んー、多分エドゥアルト様もハンスも知らないだろうから、みんなでお茶を飲んでいる時に話そうかな。その方が説明するのいっぺんですむし」
「えー? 面倒臭がりだなぁ。まぁいいけど」
顔をしかめはしたものの、ラウルはさして疑問に思うこともなく、その話題はそこで終わりとなったのだ。
第五皇子の執務室へティーナと共に戻ったラウルは、エドゥアルトに釣り銭を手渡しがてら、チーズスティックの店の繁盛ぶりや品物が売り切れてしまうのではないかとヒヤヒヤしたことなどを賑やかに報告した。
書類に目を落としたままそれに相槌だけを返すエドゥアルトに文句を言うでもなく、ラウルの陽気な声は続く。そんな見慣れた光景を尻目に、黙々とお茶の準備を始めるハンスをティーナが手伝いに立っていた。
「相変わらずねぇ、あの二人は」
「そうだね」
「あれから何か面白いことは起こっていないの?」
「君が期待しているようなことは何も」
「あら、残念」
小声でそんな会話を交わしながら、二人は手際よく準備を進めていく。
そしてお茶の準備が整い皆が集まったところで、さっそくチーズスティックにかじりついたラウルが「そういえば」とティーナに切り出した。
「さっき言ってた最近若い子達の間で流行ってる遊びって何? このチーズスティックを使うって言ってたやつ」
「ああ、それねー。エドゥアルト様とハンスは知ってます? 若い貴族達の間で最近お茶会なんかでも行われている余興なんですけど」
「いや? 知っているか、ハンス?」
「いえ、存じません」
二人の回答を聞いたティーナはにっこり微笑んだ。
「ある意味、度胸試しのような、一種の勝負性のある遊戯なんですよ」
「勝負?」
そのワードにラウルの目がキラリと光った。一方のエドゥアルトはあからさまに胡散臭げな面持ちになってチーズスティックを眺めやる。
「勝負? これを使ってか?」
「ええ、そうです。このスティックの端と端を口にくわえて、対戦相手の目を見据えながら互いに限界ギリギリまで食べ進めるんですよ。先に耐え切れなくなってスティックを折ってしまったり、口を離してしまったりした方が負けという、いわゆるチキンゲームですね」
それを聞いたエドゥアルトは興味なさげに吐き捨てた。
「くだらないな」
「ところが、やってみると案外色んな戦略が必要なんですよ。目線や表情での駆け引き、洞察力に度胸と運。様々な要素が入り混じってなかなかに奥深いし、何より場が盛り上がるんです」
「ティーナはやったことあるの? それ」
興味津々のラウルにティーナは奥ゆかしい物言いをした。
「ふふ、何度かね。色んな方と交流するのは私のたしなみのひとつでもあるから」
「はー。でもそれ、失敗したら最悪相手と口がくっついちゃうじゃん。その辺はどうなの?」
「そこは相手を見極めて臨機応変に、ね。生理的に無理な方だったら早目にスティックを折るなりしてリタイアしちゃえばいいし、同性の場合は失敗しちゃっても場を盛り上げる余興になるし。意中の人が相手なら、ゲームを口実に甘いひと時を夢見られるわけだしね」
「なるほど」
その辺りが人気の源なんだろうな、と納得するラウルの前で、ティーナが隣のハンスを仰ぎ見た。
「何ならどんなものか、試しにハンスとやってみましょうか? 今」
急に矛先を向けられてしまったハンスはあやうく飲みかけの紅茶を吹きそうになった。
「ごほっ! ティーナ、何を……」
「いいからいいから」
ティーナは戸惑うハンスに有無を言わせず彼をその場に立たせると、自らも立ち上がってチーズスティックを一本口にくわえ、彼の首に両腕を回して自身の上体を逸らせる姿勢を取った。
チーズスティック一本分の距離を置いて二人は密着するような格好になり、グラマラスなティーナに真正面から見据えられる形になったハンスは挙動不審に目を泳がせた。
薬師の証である白の長衣を少し着崩した彼女の胸元はやや大きめに開いており、緩く巻いた褐色の長い髪とこちらを見つめる少し目尻の下がったエメラルドの瞳とがひどく艶やかだった。
それに彼女からは男なら誰もが惑わされずにはいられないような、華やかないい香りがする。
何やらティーナの良からぬ企みに巻き込まれてしまったようだと理解しつつ、主君であるエドゥアルトの手前あまり騒ぎ立てるのも憚られ、ハンスは懊悩しながら、美麗な同僚を苦々しく見やった。
こちらが困惑し動揺していることなど分かり切っているだろうに、それを意に介する様子なく、ほら、と言わんばかりに口にくわえたスティックを振って催促する女。
苦り切りながらハンスが差し出されたもう片端を口にすると、それを合図にするようにティーナがスティックを食べ始めた。
ハンスも反対側からかじり始めるが、思った以上に早く相手の顔が近付いてくる。
小動物が小枝をかじるような音を立てて近付いてくる魅惑的な赤い唇にハンスは少々気後れしながら、余裕たっぷりなティーナに少し意趣返ししてやりたい気持ちもあって、自分の方からは絶対にスティックを折らない決意を固めていた。
これに懲りて、ティーナも少し反省すればいい。そして思いつきで自分を妙な陰謀に巻き込もうとするのをやめてくれたらいいのだ。
だが、ティーナの勢いは止まらない。長い睫毛に縁取られた蠱惑的な瞳もハンスの瞳を捉えたまま、逸らされる気配がない。
決意に反してハンスはあせった。
―――ちょっ……このままでは本当にぶつかっ……!
最後の最後、追い詰められたハンスが首を思い切り横に捻り、二人の唇が重なるのはすんでのところで回避された。
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