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本編
二十一歳⑲
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その夜、私達は近くの町で宿を取り、明朝の帝都への出立に備えて、一階にある食堂で英気を養っていた。
ガーディアの代表的な料理が所狭しと並んだテーブルを囲み、景気づけにお酒も頼んで、怒涛の旅路の締めくくりとする。
「ごめんね、一日しか滞在出来なくて」
そう詫びるフラムアークに私は首を振った。
「いいえ、その一日を工面してくれたことがありがたいです。まさかこうして故郷へ立ち寄ることが出来るとは思っていませんでしたから……本当に感謝しているんですよ」
その気持ちが伝わるように、私は彼の瞳を見つめて言葉を紡いだ。
「今日は私にとって、特別でかけがえのない一日でした。今こうしてガーディアにいて、こうやってみんなでお酒を酌み交わしていること自体、何だか不思議で、夢みたいです。こんなこと、少し前は想像も出来ませんでしたから。この顔ぶれで今ここにこうしていられることが、私には言葉に出来ないくらい幸せなことなんです。しかも、こんなにたくさんの懐かしい料理の数々に囲まれて―――もう、本当に最高なんですよ!」
拳を握りしめてそう力説した私は、それを示すように揚げたてのガーディアクラブという蟹の唐揚げを頬張ってみせた。
「ん~、懐かしい味……とっても美味しいです!」
この辺りの沢に生息する、脱皮したての甲羅まで柔らかい小振りな蟹を丸ごと揚げたその料理は、表面はカリッと、噛みしめるとジューシーな蟹肉の旨味が口いっぱいに広がって、たまらない香ばしさが鼻に抜ける。ほっぺたが落ちてしまいそうな表情で至福に浸る私を見て、フラムアークは整った顔をほころばせた。
「それは良かった、心ゆくまで食べてね。エレオラも遠慮しないでたくさん食べて。今夜は君の歓迎会も兼ねているんだからね。頑張らないとユーファに全部食べ尽くされちゃうよ」
「ありがとうございます、いただいています。ガーディアの郷土料理は初めてですが、どれもとても美味しいですね」
ふふ、と小さく肩を揺らすエレオラはさすが元貴族の令嬢だけあって、食べ方がとても上品だ。
彼女の所作に感心しながら、私は軽口を叩くフラムアークに頬を膨らませた。
「もう、フ―――いえ、アーク様ったら。いくら何でもそんなことしませんよ」
さすがにフラムアークという名前を大っぴらには出せないので、私達はアークという貴族の子息とその従者という体でこの宿に泊まっていた。
これまでは町の宿屋に泊まることはあっても、バルトロ達のような帯同者が一緒というのが常で、こんなふうに身内だけで泊まるということがなかったから、いかにもお忍びというこの状況は、年甲斐もなく私の心をワクワクさせた。
明日には帝都へ戻るんだもの、気を引き締めなければならないのは分かっているんだけど、湧き上がる高揚感を抑えるのがなかなかに難しい。
フラムアークも心なし上機嫌で、そんな彼の様子と身内の気兼ねのない空気に会話も気分もお酒も弾み、ついつい浮足立ってしまいそうになる。そんな私達の手綱を締めるのは、やっぱりしっかり者のスレンツェの役目だった。
「おい、くれぐれも開放的になり過ぎるなよ。アーク、お前はもうアルコールは打ち止めだ」
「ええ、まだみんな飲んでいるのにオレだけ!? そんな殺生な」
「オレは自分で制御できるし、ユーファはザルだ。エレオラもかなり強い部類に入るそうだぞ」
「えっ、そうなの?」
血色の良くなったフラムアークの視線を受けたエレオラが、彼とは実に対照的な見た目でにこやかに応じた。
「貴族時代は夜会で、以降は組織で鍛えられました。おかげさまでアルコールで不覚を取ったことはありません」
「ええ……それって鍛えてどうにかなるものなの? 明らかに体質の問題じゃない?」
胡乱な眼差しになるフラムアークを、スレンツェが溜め息混じりに諭す。
「人によっては鍛えられる余地もあるのかもしれんが、根本的には体質の問題だろうな。だからお前はもう水にしておけ」
そう言われてしまったフラムアークは、憮然とした面持ちになった。
「くそぉ、どうしてオレだけ……」
ぼやきながら、釈然としない様子で顔色ひとつ変わらない私達を見渡し、自身の頭を抱え込むようにしてこう嘆く。
「あ~~~もう、何でオレの周りはこうも酒豪ばかりなんだ! 決してオレが弱過ぎるわけじゃない、オレの周りが強過ぎるんだ~!」
「それは否定しないがな。従者が強いのは主にとっても強みだろうが」
「それは否定しない……否定しないけど、でも、どの分野でも出来れば一番強くありたいって願望は、男としてはあるじゃん……それが仲間内でぶっちぎりで弱いってのがさぁ、もう何とも……」
口を尖らせてやさぐれるフラムアークを見ていたエレオラが私にこっそり囁いた。
「こんな言い方は失礼ですが……何だかちょっと可愛いですね。お気の毒ではあるんですけれども」
その意見に私は激しく同意した。
そうなのよ! 色々出来る人なのに、取るに足らないようなことでちょっと拗ねたり落ち込んだり、こういうところ、何だか可愛いわよね。
「フラムアーク様、身内の前ではこんな感じなんですね。普段とのギャップがあって少々驚きました。スレンツェ様は何だか甲斐甲斐しいというか……まるで弟君を慮るお兄様のような」
そうなのよ! 口調はぶっきらぼうだけど、面倒見が良くて本当によく気にかけてくれているのよね! 何だかんだ優しいんだから。
こんなことを分かち合える相手が今までいなかった私は、エレオラが仲間になってくれた喜びをこういうところで改めて噛みしめることが出来て、嬉しくてたまらなくなった。
これこれ、こういうのが今までなかったのよ!
こういう他愛もない話が出来るってすごく楽しいし、共感してもらえるって新鮮で、とってもいいわ!
「ふふ。何だか貴重なものを見せてもらった気分です。皆さんの一員になれた気がして、嬉しいですね」
控え目に微笑むエレオラに、私はぎゅっと抱きつきたくなるのを堪えながら言った。
「何言ってるのエレオラ、なれた気がするんじゃなくて、あなたもう私達の一員なのよ」
それを聞いたエレオラは、青味を帯びた黒い瞳を軽く瞠った後、同性の私でも惚れ惚れとしてしまうような表情になって、長い睫毛を伏せた。
「……はい。光栄です」
「私の方こそ光栄だわ。あなたが私達の一員になってくれて、私はスゴくスゴく嬉しいの」
私は彼女の手を握りしめ、心からの言葉を贈った。彼女はそんな私を見やり、少しはにかみながらこう返してくれた。
「そう言っていただけて、私もとても嬉しいです」
そんな私達を、男性陣がなごやかな眼差しで見やっている。
ここからもっともっと、エレオラと仲を深めていけたらいいな。
たくさん言葉を交わして、様々なことを分かち合いながら、時々こんなふうに他愛もない話をして、笑い合える関係になっていきたい。
心から、そう思った。
ガーディアの代表的な料理が所狭しと並んだテーブルを囲み、景気づけにお酒も頼んで、怒涛の旅路の締めくくりとする。
「ごめんね、一日しか滞在出来なくて」
そう詫びるフラムアークに私は首を振った。
「いいえ、その一日を工面してくれたことがありがたいです。まさかこうして故郷へ立ち寄ることが出来るとは思っていませんでしたから……本当に感謝しているんですよ」
その気持ちが伝わるように、私は彼の瞳を見つめて言葉を紡いだ。
「今日は私にとって、特別でかけがえのない一日でした。今こうしてガーディアにいて、こうやってみんなでお酒を酌み交わしていること自体、何だか不思議で、夢みたいです。こんなこと、少し前は想像も出来ませんでしたから。この顔ぶれで今ここにこうしていられることが、私には言葉に出来ないくらい幸せなことなんです。しかも、こんなにたくさんの懐かしい料理の数々に囲まれて―――もう、本当に最高なんですよ!」
拳を握りしめてそう力説した私は、それを示すように揚げたてのガーディアクラブという蟹の唐揚げを頬張ってみせた。
「ん~、懐かしい味……とっても美味しいです!」
この辺りの沢に生息する、脱皮したての甲羅まで柔らかい小振りな蟹を丸ごと揚げたその料理は、表面はカリッと、噛みしめるとジューシーな蟹肉の旨味が口いっぱいに広がって、たまらない香ばしさが鼻に抜ける。ほっぺたが落ちてしまいそうな表情で至福に浸る私を見て、フラムアークは整った顔をほころばせた。
「それは良かった、心ゆくまで食べてね。エレオラも遠慮しないでたくさん食べて。今夜は君の歓迎会も兼ねているんだからね。頑張らないとユーファに全部食べ尽くされちゃうよ」
「ありがとうございます、いただいています。ガーディアの郷土料理は初めてですが、どれもとても美味しいですね」
ふふ、と小さく肩を揺らすエレオラはさすが元貴族の令嬢だけあって、食べ方がとても上品だ。
彼女の所作に感心しながら、私は軽口を叩くフラムアークに頬を膨らませた。
「もう、フ―――いえ、アーク様ったら。いくら何でもそんなことしませんよ」
さすがにフラムアークという名前を大っぴらには出せないので、私達はアークという貴族の子息とその従者という体でこの宿に泊まっていた。
これまでは町の宿屋に泊まることはあっても、バルトロ達のような帯同者が一緒というのが常で、こんなふうに身内だけで泊まるということがなかったから、いかにもお忍びというこの状況は、年甲斐もなく私の心をワクワクさせた。
明日には帝都へ戻るんだもの、気を引き締めなければならないのは分かっているんだけど、湧き上がる高揚感を抑えるのがなかなかに難しい。
フラムアークも心なし上機嫌で、そんな彼の様子と身内の気兼ねのない空気に会話も気分もお酒も弾み、ついつい浮足立ってしまいそうになる。そんな私達の手綱を締めるのは、やっぱりしっかり者のスレンツェの役目だった。
「おい、くれぐれも開放的になり過ぎるなよ。アーク、お前はもうアルコールは打ち止めだ」
「ええ、まだみんな飲んでいるのにオレだけ!? そんな殺生な」
「オレは自分で制御できるし、ユーファはザルだ。エレオラもかなり強い部類に入るそうだぞ」
「えっ、そうなの?」
血色の良くなったフラムアークの視線を受けたエレオラが、彼とは実に対照的な見た目でにこやかに応じた。
「貴族時代は夜会で、以降は組織で鍛えられました。おかげさまでアルコールで不覚を取ったことはありません」
「ええ……それって鍛えてどうにかなるものなの? 明らかに体質の問題じゃない?」
胡乱な眼差しになるフラムアークを、スレンツェが溜め息混じりに諭す。
「人によっては鍛えられる余地もあるのかもしれんが、根本的には体質の問題だろうな。だからお前はもう水にしておけ」
そう言われてしまったフラムアークは、憮然とした面持ちになった。
「くそぉ、どうしてオレだけ……」
ぼやきながら、釈然としない様子で顔色ひとつ変わらない私達を見渡し、自身の頭を抱え込むようにしてこう嘆く。
「あ~~~もう、何でオレの周りはこうも酒豪ばかりなんだ! 決してオレが弱過ぎるわけじゃない、オレの周りが強過ぎるんだ~!」
「それは否定しないがな。従者が強いのは主にとっても強みだろうが」
「それは否定しない……否定しないけど、でも、どの分野でも出来れば一番強くありたいって願望は、男としてはあるじゃん……それが仲間内でぶっちぎりで弱いってのがさぁ、もう何とも……」
口を尖らせてやさぐれるフラムアークを見ていたエレオラが私にこっそり囁いた。
「こんな言い方は失礼ですが……何だかちょっと可愛いですね。お気の毒ではあるんですけれども」
その意見に私は激しく同意した。
そうなのよ! 色々出来る人なのに、取るに足らないようなことでちょっと拗ねたり落ち込んだり、こういうところ、何だか可愛いわよね。
「フラムアーク様、身内の前ではこんな感じなんですね。普段とのギャップがあって少々驚きました。スレンツェ様は何だか甲斐甲斐しいというか……まるで弟君を慮るお兄様のような」
そうなのよ! 口調はぶっきらぼうだけど、面倒見が良くて本当によく気にかけてくれているのよね! 何だかんだ優しいんだから。
こんなことを分かち合える相手が今までいなかった私は、エレオラが仲間になってくれた喜びをこういうところで改めて噛みしめることが出来て、嬉しくてたまらなくなった。
これこれ、こういうのが今までなかったのよ!
こういう他愛もない話が出来るってすごく楽しいし、共感してもらえるって新鮮で、とってもいいわ!
「ふふ。何だか貴重なものを見せてもらった気分です。皆さんの一員になれた気がして、嬉しいですね」
控え目に微笑むエレオラに、私はぎゅっと抱きつきたくなるのを堪えながら言った。
「何言ってるのエレオラ、なれた気がするんじゃなくて、あなたもう私達の一員なのよ」
それを聞いたエレオラは、青味を帯びた黒い瞳を軽く瞠った後、同性の私でも惚れ惚れとしてしまうような表情になって、長い睫毛を伏せた。
「……はい。光栄です」
「私の方こそ光栄だわ。あなたが私達の一員になってくれて、私はスゴくスゴく嬉しいの」
私は彼女の手を握りしめ、心からの言葉を贈った。彼女はそんな私を見やり、少しはにかみながらこう返してくれた。
「そう言っていただけて、私もとても嬉しいです」
そんな私達を、男性陣がなごやかな眼差しで見やっている。
ここからもっともっと、エレオラと仲を深めていけたらいいな。
たくさん言葉を交わして、様々なことを分かち合いながら、時々こんなふうに他愛もない話をして、笑い合える関係になっていきたい。
心から、そう思った。
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