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6.妖精の加護

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妖精たちはもう一緒に暮らすつもりなのか、話し合いが盛り上がりお祭り状態だ。フェリーチェを囲みはしゃぐ姿はとても愛らしい。
一方、タイタニアを見るとニヒルに笑っていた。

(絶対何か企んでるじゃん、怖…)

思わず目を逸らしてしまう。
悪戯でも思いついたか、ニコニコとご機嫌なタイタニア。こういう時は大体よからぬ事を考えている。フェリーチェは幼い頃からよくこの顔つきのタイタニアの悪戯に付き合わされていた。

「…フェリーチェ~?どうするか…決まりましたか?」

「ヒッ…!き、決まりましたーよー?」

そして、力の強い妖精は眼で人の心を読めるという。
口に出さなくても心を見れば相手の考えていることが分かるのだ。
だからフェリーチェの答えも先程覗いた時に理解しただろう。

「此処で暮らすのは凄く魅力的だけど、私はやらないといけない事があるから森を出るよ。いつも気にかけてくれてありがとう」

フェリーチェは、タイタニアと妖精たちからの提案にやんわりと断りを入れた。

「まぁ、そうですよね」

「うん。準備が出来次第、すぐに出発しようと思う」

やはりタイタニアは分かっていたみたいでフェリーチェの答えに驚いてはいなかった。妖精たちはブーブー言ってはいるが。

「ギルドに、帰るの?」

「ううん、行かないよ。しばらくは身を潜めて国を巡りながら今後どうするか考えるつもり。魔力もないし。髪の毛の色と顔でも変えれば、もし知り合いと会っても私だと気付かないでしょ」

「わたしの予想だけど…あなた絶対バレるし面倒なことになるわ、必ずね。

「いやいや大丈夫。本当に大丈夫!」

「どこからその自信が湧いて出てくるのかしら。フェリーチェ、喜びなさい。妖精の加護を授けましょう」

フェリーチェは腕を掴まれるが、もがいて逃げようとする。笑顔のままこちらを見てくるタイタニアに冷や汗が止まらない。
意外と剛腕なタイタニアに必死に抵抗し、フェリーチェは隙をついて転がるように逃げた。

「遠慮しとくよ!!今までありがとう!バイバイッ!!」

「もう遅いわっ───、!!!」

詠唱をすっ飛ばしタイタニアが妖精の言葉で呪文を唱える。
すると、辺りが淡い光で満ち溢れた。

「ぎゃあーーー!!??……、ッ!」


──そのまま、フェリーチェは暖かな光に身を委ね目を閉じた。









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