3 / 10
一章:傭兵フラウと聖女様
3.地下牢獄タルタロス
しおりを挟む
レイヴ王国南東にある地下牢獄《タルタロス》。
重い罪を犯した者が処刑されるまで収監される場所で地下二階には拷問部屋もあり、今にも悲鳴が聞こえてきそうだ。
簡易的なベッドと水道とトイレ。
牢獄には、生きていく為の必要最低限の物しか置いていない。
ベッドで横になりたくても手足に魔法封じの拘束具を付けられている為、移動が思うようにできない。なので蓑虫みたいに布に包まり冷たい床でじっと過ごす。
さて、なぜ私がこんな所にいるかと申しますと。
──聖女様の婚約者達と親しくしていたら、捕まりました。
てか知らなかったのだ。あの四人が婚約者候補だったと言う事を。
知ってたらそもそも関わらなかったしね。
「はぁ……大変なことになった…」
情報整理の為に聖女様の婚約者候補をおさらいしよう。
まず一人目、アルバート=ローリンガノフ。
レイヴ王国第一騎士団の団長で、三人とは騎士養成学校時代からの付き合いでまとめ役だ。
圧倒的なカリスマ性と強さを誇り自分の「正義」を貫く冷静な男だ。身内には優しく一度懐に入れた相手には何かと甘い奴で世話焼きの一面がある。
アルバートに憧れて騎士団に入団する人も多いだとか。
だが気が抜けると非常に口調が荒くなり、偶に日々の愚痴を聞いてあげている。
ストレスって溜まると良くないよね。うん。
ちなみにレイヴ第一騎士団は、アルバートの信頼出来る人しか所属していないので少数精鋭である。
個々の力が強いので戦場にほっぽいても勝手に勝利をもぎ取ってくる為、敵国には地獄の化身と言われているらしい…。怖すぎる。
続いて二人目は、ユーゴ=イルク。
第一騎士団の副団長を務めている。
物腰が柔らかく穏やかな性格で後輩騎士達からの信頼が厚い。
三人の為なら自分は犠牲になってもいいと思っているらしいが、そこに他人がいれば容赦なくその他人を犠牲にできてしまう黒い一面がある恐ろしい男だ。
昔の怪我で左眼に眼帯をしている。
そして三人目は、ルツ=エンゲルハルト。
第一騎士団所属で、口が悪く喧嘩腰の態度で不良騎士と言われているが仲間思いの良い奴。
だけど、第一騎士団メンバー以外だとやる気の無い態度で周りを怒らせる事が多く、他の騎士団とは馴染めていないらしい。
神経質だからか枕が変わると中々寝付けないってこの前言ってたなあ。
最後の四人目は、フィガナ=シルヴァー。
コイツも第一騎士団所属で、眉目秀麗で女性に人気のある騎士だ。少々女癖が悪く、先日は二人の女性にストーカーされ修羅場になっているのを街で見かけた。
自分の顔の良さが分かっているからか甘え上手な所もあり、贈り物がよく宿舎に届く。
ルツとは幼馴染みで戦場に出ると二人の連携には目を見張るものだ。
以上、この四人が聖女様の婚約者候補、らしい。
特にこれといった情報は思いつかなかった。
あれこれ考えていても仕方がない。
明日は朝からルツとフィガナの三人での仕事があった。集合場所に私が来なければ騒ぎになるだろう。
きっとそれを聞きつけたアルバートがこの件について何とかしてくれるかも知れない。酒場での私の目撃情報もあるし。
もし無理そうだったら自力で脱出しよう。
とりあえず明日の朝まで気合いで寝ようと、そう意気込んでいた時だった。
───カチャン、ギィ……。
「……誰?」
重い罪を犯した者が処刑されるまで収監される場所で地下二階には拷問部屋もあり、今にも悲鳴が聞こえてきそうだ。
簡易的なベッドと水道とトイレ。
牢獄には、生きていく為の必要最低限の物しか置いていない。
ベッドで横になりたくても手足に魔法封じの拘束具を付けられている為、移動が思うようにできない。なので蓑虫みたいに布に包まり冷たい床でじっと過ごす。
さて、なぜ私がこんな所にいるかと申しますと。
──聖女様の婚約者達と親しくしていたら、捕まりました。
てか知らなかったのだ。あの四人が婚約者候補だったと言う事を。
知ってたらそもそも関わらなかったしね。
「はぁ……大変なことになった…」
情報整理の為に聖女様の婚約者候補をおさらいしよう。
まず一人目、アルバート=ローリンガノフ。
レイヴ王国第一騎士団の団長で、三人とは騎士養成学校時代からの付き合いでまとめ役だ。
圧倒的なカリスマ性と強さを誇り自分の「正義」を貫く冷静な男だ。身内には優しく一度懐に入れた相手には何かと甘い奴で世話焼きの一面がある。
アルバートに憧れて騎士団に入団する人も多いだとか。
だが気が抜けると非常に口調が荒くなり、偶に日々の愚痴を聞いてあげている。
ストレスって溜まると良くないよね。うん。
ちなみにレイヴ第一騎士団は、アルバートの信頼出来る人しか所属していないので少数精鋭である。
個々の力が強いので戦場にほっぽいても勝手に勝利をもぎ取ってくる為、敵国には地獄の化身と言われているらしい…。怖すぎる。
続いて二人目は、ユーゴ=イルク。
第一騎士団の副団長を務めている。
物腰が柔らかく穏やかな性格で後輩騎士達からの信頼が厚い。
三人の為なら自分は犠牲になってもいいと思っているらしいが、そこに他人がいれば容赦なくその他人を犠牲にできてしまう黒い一面がある恐ろしい男だ。
昔の怪我で左眼に眼帯をしている。
そして三人目は、ルツ=エンゲルハルト。
第一騎士団所属で、口が悪く喧嘩腰の態度で不良騎士と言われているが仲間思いの良い奴。
だけど、第一騎士団メンバー以外だとやる気の無い態度で周りを怒らせる事が多く、他の騎士団とは馴染めていないらしい。
神経質だからか枕が変わると中々寝付けないってこの前言ってたなあ。
最後の四人目は、フィガナ=シルヴァー。
コイツも第一騎士団所属で、眉目秀麗で女性に人気のある騎士だ。少々女癖が悪く、先日は二人の女性にストーカーされ修羅場になっているのを街で見かけた。
自分の顔の良さが分かっているからか甘え上手な所もあり、贈り物がよく宿舎に届く。
ルツとは幼馴染みで戦場に出ると二人の連携には目を見張るものだ。
以上、この四人が聖女様の婚約者候補、らしい。
特にこれといった情報は思いつかなかった。
あれこれ考えていても仕方がない。
明日は朝からルツとフィガナの三人での仕事があった。集合場所に私が来なければ騒ぎになるだろう。
きっとそれを聞きつけたアルバートがこの件について何とかしてくれるかも知れない。酒場での私の目撃情報もあるし。
もし無理そうだったら自力で脱出しよう。
とりあえず明日の朝まで気合いで寝ようと、そう意気込んでいた時だった。
───カチャン、ギィ……。
「……誰?」
0
お気に入りに追加
35
あなたにおすすめの小説
軽い気持ちで超絶美少年(ヤンデレ)に告白したら
夕立悠理
恋愛
容姿平凡、頭脳平凡、なリノアにはひとつだけ、普通とちがうところがある。
それは極度の面食いということ。
そんなリノアは冷徹と名高い公爵子息(イケメン)に嫁ぐことに。
「初夜放置? ぜーんぜん、問題ないわ!
だって旦那さまってば顔がいいもの!!!」
朝食をたまに一緒にとるだけで、満足だ。寝室別でも、他の女の香水の香りがしてもぜーんぜん平気。……なーんて、思っていたら、旦那さまの様子がおかしい?
「他の誰でもない君が! 僕がいいっていったんだ。……そうでしょ?」
あれ、旦那さまってば、どうして手錠をお持ちなのでしょうか?
それをわたしにつける??
じょ、冗談ですよね──!?!?
ヤンデレお兄様に殺されたくないので、ブラコンやめます!(長編版)
夕立悠理
恋愛
──だって、好きでいてもしかたないもの。
ヴァイオレットは、思い出した。ここは、ロマンス小説の世界で、ヴァイオレットは義兄の恋人をいじめたあげくにヤンデレな義兄に殺される悪役令嬢だと。
って、むりむりむり。死ぬとかむりですから!
せっかく転生したんだし、魔法とか気ままに楽しみたいよね。ということで、ずっと好きだった恋心は封印し、ブラコンをやめることに。
新たな恋のお相手は、公爵令嬢なんだし、王子様とかどうかなー!?なんてうきうきわくわくしていると。
なんだかお兄様の様子がおかしい……?
※小説になろうさまでも掲載しています
※以前連載していたやつの長編版です
ヤンデレお兄様から、逃げられません!
夕立悠理
恋愛
──あなたも、私を愛していなかったくせに。
エルシーは、10歳のとき、木から落ちて前世の記憶を思い出した。どうやら、今世のエルシーは家族に全く愛されていないらしい。
それならそれで、魔法も剣もあるのだし、好きに生きよう。それなのに、エルシーが記憶を取り戻してから、義兄のクロードの様子がおかしい……?
ヤンデレな兄×少しだけ活発な妹
気づいたら異世界で、第二の人生始まりそうです
おいも
恋愛
私、橋本凛花は、昼は大学生。夜はキャバ嬢をし、母親の借金の返済をすべく、仕事一筋、恋愛もしないで、一生懸命働いていた。
帰り道、事故に遭い、目を覚ますと、まるで中世の屋敷のような場所にいて、漫画で見たような異世界へと飛ばされてしまったようだ。
加えて、突然現れた見知らぬイケメンは私の父親だという。
父親はある有名な公爵貴族であり、私はずっと前にいなくなった娘に瓜二つのようで、人違いだと言っても全く信じてもらえない、、、!
そこからは、なんだかんだ丸め込まれ公爵令嬢リリーとして過ごすこととなった。
不思議なことに、私は10歳の時に一度行方不明になったことがあり、加えて、公爵令嬢であったリリーも10歳の誕生日を迎えた朝、屋敷から忽然といなくなったという。
しかも異世界に来てから、度々何かの記憶が頭の中に流れる。それは、まるでリリーの記憶のようで、私とリリーにはどのようなの関係があるのか。
そして、信じられないことに父によると私には婚約者がいるそうで、大混乱。仕事として男性と喋ることはあっても、恋愛をしたことのない私に突然婚約者だなんて絶対無理!
でも、父は婚約者に合わせる気がなく、理由も、「あいつはリリーに会ったら絶対に暴走する。危険だから絶対に会わせない。」と言っていて、意味はわからないが、会わないならそれはそれでラッキー!
しかも、この世界は一妻多夫制であり、リリーはその容貌から多くの人に求婚されていたそう!というか、一妻多夫なんて、前の世界でも聞いたことないですが?!
そこから多くのハプニングに巻き込まれ、その都度魅力的なイケメン達に出会い、この世界で第二の人生を送ることとなる。
私の第二の人生、どうなるの????
長女は悪役、三女はヒロイン、次女の私はただのモブ
藤白
恋愛
前世は吉原美琴。普通の女子大生で日本人。
そんな私が転生したのは三人姉妹の侯爵家次女…なんと『Cage~あなたの腕の中で~』って言うヤンデレ系乙女ゲームの世界でした!
どうにかしてこの目で乙女ゲームを見届け…って、このゲーム確か悪役令嬢とヒロインは異母姉妹で…私のお姉様と妹では!?
えっ、ちょっと待った!それって、私が死んだ確執から姉妹仲が悪くなるんだよね…?
死にたくない!けど乙女ゲームは見たい!
どうしよう!
◯閑話はちょいちょい挟みます
◯書きながらストーリーを考えているのでおかしいところがあれば教えてください!
◯11/20 名前の表記を少し変更
◯11/24 [13] 罵りの言葉を少し変更
6年間姿を消していたら、ヤンデレ幼馴染達からの愛情が限界突破していたようです~聖女は監禁・心中ルートを回避したい~
皇 翼
恋愛
グレシュタット王国の第一王女にして、この世界の聖女に選定されたロザリア=テンペラスト。昔から魔法とも魔術とも異なる不思議な力を持っていた彼女は初潮を迎えた12歳のある日、とある未来を視る。
それは、彼女の18歳の誕生日を祝う夜会にて。襲撃を受け、そのまま死亡する。そしてその『死』が原因でグレシュタットとガリレアン、コルレア3国間で争いの火種が生まれ、戦争に発展する――という恐ろしいものだった。
それらを視たロザリアは幼い身で決意することになる。自分の未来の死を回避するため、そしてついでに3国で勃発する戦争を阻止するため、行動することを。
「お父様、私は明日死にます!」
「ロザリア!!?」
しかしその選択は別の意味で地獄を産み出していた。ヤンデレ地獄を作り出していたのだ。後々後悔するとも知らず、彼女は自分の道を歩み続ける。
執着系逆ハー乙女ゲームに転生したみたいだけど強ヒロインなら問題ない、よね?
陽海
恋愛
乙女ゲームのヒロインに転生したと気が付いたローズ・アメリア。
この乙女ゲームは攻略対象たちの執着がすごい逆ハーレムものの乙女ゲームだったはず。だけど肝心の執着の度合いが分からない。
執着逆ハーから身を守るために剣術や魔法を学ぶことにしたローズだったが、乙女ゲーム開始前からどんどん攻略対象たちに会ってしまう。最初こそ普通だけど少しずつ執着の兆しが見え始め......
剣術や魔法も最強、筋トレもする、そんな強ヒロインなら逆ハーにはならないと思っているローズは自分の行動がシナリオを変えてますます執着の度合いを釣り上げていることに気がつかない。
本編完結。マルチエンディング、おまけ話更新中です。
小説家になろう様でも掲載中です。
Wヒロインの乙女ゲームの元ライバルキャラに転生したけれど、ヤンデレにタゲられました。
舘野寧依
恋愛
ヤンデレさんにストーカーされていた女子高生の月穂はある日トラックにひかれてしまう。
そんな前世の記憶を思い出したのは、十七歳、女神選定試験が開始されるまさにその時だった。
そこでは月穂は大貴族のお嬢様、クリスティアナ・ド・セレスティアと呼ばれていた。
それは月穂がよくプレイしていた乙女ゲーのライバルキャラ(デフォルト)の名だった。
なぜか魔術師様との親密度と愛情度がグラフで視界に現れるし、どうやらここは『女神育成~魔術師様とご一緒に~』の世界らしい。
まあそれはいいとして、最悪なことにあのヤンデレさんが一緒に転生していて告白されました。
そしてまた、新たに別のヤンデレさんが誕生して見事にタゲられてしまい……。
そんな過剰な愛はいらないので、お願いですから普通に恋愛させてください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる