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第六章 布教に行きたい
#125 伝説の幕開け
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――WINNER レジェンドハンターズ
テーブルに投影された立体映像にそんな文字列が浮かび上がる。
同時にコスモ達の配信画面にも同じ文字が表示された。
『しゃああああ! 勝った! 俺達の勝ちだあああああ!』
コスモが勝利の雄叫びを上げる。
続いてクロリスとランスがそれをねぎらった。
『流石です。最後にリーダーの責任を果たしましたねコスモ』
『ふん、今回ばかりはお前の偉勲を認めてやってもいいだろう』
決着を見届けたリスナー達のコメントが一気に書き込まれる。
――うおおお、凄い勝負だった!
――熱すぎる! 最後まで目が離せなかったぞ!
――俺もトレジャーハントバトル始めるかー
そんな中で、二つの名前が目に留まった。
ミルキィ:やったねコスモくん! ウチのスターライト・ワイバーンもお疲れ様!
グランパ:ほっほっほ。ワシのトリック・ジャグラーも少しは力になれたかのう。
ミルキィにグランパ!
レジェンドハンターズの残りの二人か。
彼らはVでないので配信には出てこなかったが、試合の熱気を受けてコメント欄に現れたようだ。
「負けた、か」
俺はポツリと呟く。
悔しい気持ちが全くないと言えば嘘になる。
しかしそれ以上に、全力で戦いきったことへの清々しさ、視聴者を盛り上げる最高の試合ができたことへの充実感が勝っていた。
この試合の目的はトレジャーハントバトルのハイレベルな好ゲームを見せて、このルールを布教すること。
配信の盛り上がりを見る限り、コスモの、いや俺達の目的は達せられたと言っていいだろう。
「お兄様、お疲れ様です」
「悔しいっすね! あとちょっとだったっすよ」
「ナイスファイトだったわヒナくん。ほんと、どっちが勝ってもおかしくなかった」
「ヒナ! 負けちゃったけどヒナはカッコ良かったよ」
みんな。
チームメイトの言葉に俺の胸が熱くなる。
とりわけ好きな女の子から、カッコ良かったなんて言われたのは滅茶苦茶嬉しい。
良かった。このメンバーで戦えて本当に良かった。
そこでコスモがリスナー達に言い放つ。
『The Shows Over! 俺達のバトルを観に来てくれたみんな、ありがとう!
今日の試合、楽しんでくれたか? 魂を震わせ、熱く燃え上がったか? トレジャーハントバトルの面白さが伝わったか?』
――もちろん楽しかったです!
――めっちゃ熱かった!
――俺もトレバトやりたくなった。
コメント欄には好意的な反応が返ってくる。
それを見てコスモは、ニッ、と笑い、高らかに宣言する。
『今日の試合は宇宙の歴史に刻まれる伝説となる! だがそれはこれから始まる大きな伝説の序章に過ぎない!
次の主人公はキミ達だ! この場にいるみんなが新たな伝説を作るんだ!』
その時、今までゲーム画面を映していた映像が切り替わる。
重大発表。その四文字が大きく表示された。
なんだ? 何が始まる?
そして次に画面が切り替わると、そこには日本地図とマドール達のイラストが描かれていた。
『今ここに! トレジャーハントバトルの全国大会、宝皇杯の開催を宣言する!』
宝皇杯。その三文字が日本地図の上に映し出される。
「トレジャーハントバトルの大会ですか!」
呆気にとられた様子の光流がそう呟く。
『この大会は全国八箇所の会場で予選を行い、各予選の上位二チームが全国大会への切符を手にする! そして全国の舞台で最強のチームを決めるんだ!』
日本地図に八つの点が浮かび上がり、そこに情報が表示される。
関東予選、東北予選、北海道予選、関西予選、などなど八つの予選の情報だ。
会場の場所、開催日程、そして運営陣のハンドルネーム。
そこに書かれた名前は見覚えのある人ばかりだった。
魔法人形のファンは日本中にいて、それぞれの地方にオフ会を主催する人達がいる。
そこに書かれているのは、オフ会の主催者として有名な人達ばかりだった。
「凄いな」
俺は率直な気持ちを吐き出す。
コスモはトレジャーハントバトルが好きだ。
だからマイナールールであるトレバトをもっと多くの魔法人形プレイヤーに広めたい、そう言っていた。
俺と同い年の平凡な高校生に過ぎない彼が、各地のオフ会主催者の協力を得て全国規模の大会を開くなんて、とんでもない行動力だ。
トレバトを布教したいという一心でここまでできるのか。
友人として、素直に尊敬する。
彼の言葉は続く。
『俺達レジェンドハンターズはこの大会の運営チームであると同時に、いち参加者と同じ条件で大会に参戦する!
俺達と戦いたいという熱い闘志を持つ者達よ! 宝皇杯で会おう!』
――うおおおおお! 燃えてきた!
――コスモやクロリスちゃんにリアルで会えるってマジっすか?
――コスモ倒すコスモ倒す! そしてサインを貰う!
配信を見てるリスナー達の盛り上がりも最高潮に達している。
『そして最後に、ライオンハート!』
と、奴は俺達の名を呼んだ。
『お前達は今日から俺のライバルだ! もう一度俺達と戦う舞台に上がって来い!』
えっ、ちょ!
俺達大会に出るなんて言ってないが!
大会の存在自体今知ったばかりなのに、そんな即決できるわけないだろ。
――ライオンハートも来るなら大会出るわ。
――神絵師のひよこちゃんに会いたいでござる。
――面白そうじゃねえか。俺はヴァンピィと戦いたいぜ。
なんか、もう出る流れにされてるし!
「あらあら、大変なことになっちゃったわね」
他人事のように水零が笑う。
「上等っすよ! 永遠のライバル、レジェンドハンターズ! 首を洗って待ってるっす!」
琥珀ちゃん、ライバルって言葉に反応して暴走しないで。
「オフ会、知らない人いっぱい。
ねえヒナ。私が死んだら、棺桶には美少女アニメの円盤入れてね」
夜宵が悲壮な顔で死を覚悟してるー!
コミュ障克服はまだ遠いようだ。
こうして、記念すべきコラボ配信は大盛況の内に幕を閉じた。
テーブルに投影された立体映像にそんな文字列が浮かび上がる。
同時にコスモ達の配信画面にも同じ文字が表示された。
『しゃああああ! 勝った! 俺達の勝ちだあああああ!』
コスモが勝利の雄叫びを上げる。
続いてクロリスとランスがそれをねぎらった。
『流石です。最後にリーダーの責任を果たしましたねコスモ』
『ふん、今回ばかりはお前の偉勲を認めてやってもいいだろう』
決着を見届けたリスナー達のコメントが一気に書き込まれる。
――うおおお、凄い勝負だった!
――熱すぎる! 最後まで目が離せなかったぞ!
――俺もトレジャーハントバトル始めるかー
そんな中で、二つの名前が目に留まった。
ミルキィ:やったねコスモくん! ウチのスターライト・ワイバーンもお疲れ様!
グランパ:ほっほっほ。ワシのトリック・ジャグラーも少しは力になれたかのう。
ミルキィにグランパ!
レジェンドハンターズの残りの二人か。
彼らはVでないので配信には出てこなかったが、試合の熱気を受けてコメント欄に現れたようだ。
「負けた、か」
俺はポツリと呟く。
悔しい気持ちが全くないと言えば嘘になる。
しかしそれ以上に、全力で戦いきったことへの清々しさ、視聴者を盛り上げる最高の試合ができたことへの充実感が勝っていた。
この試合の目的はトレジャーハントバトルのハイレベルな好ゲームを見せて、このルールを布教すること。
配信の盛り上がりを見る限り、コスモの、いや俺達の目的は達せられたと言っていいだろう。
「お兄様、お疲れ様です」
「悔しいっすね! あとちょっとだったっすよ」
「ナイスファイトだったわヒナくん。ほんと、どっちが勝ってもおかしくなかった」
「ヒナ! 負けちゃったけどヒナはカッコ良かったよ」
みんな。
チームメイトの言葉に俺の胸が熱くなる。
とりわけ好きな女の子から、カッコ良かったなんて言われたのは滅茶苦茶嬉しい。
良かった。このメンバーで戦えて本当に良かった。
そこでコスモがリスナー達に言い放つ。
『The Shows Over! 俺達のバトルを観に来てくれたみんな、ありがとう!
今日の試合、楽しんでくれたか? 魂を震わせ、熱く燃え上がったか? トレジャーハントバトルの面白さが伝わったか?』
――もちろん楽しかったです!
――めっちゃ熱かった!
――俺もトレバトやりたくなった。
コメント欄には好意的な反応が返ってくる。
それを見てコスモは、ニッ、と笑い、高らかに宣言する。
『今日の試合は宇宙の歴史に刻まれる伝説となる! だがそれはこれから始まる大きな伝説の序章に過ぎない!
次の主人公はキミ達だ! この場にいるみんなが新たな伝説を作るんだ!』
その時、今までゲーム画面を映していた映像が切り替わる。
重大発表。その四文字が大きく表示された。
なんだ? 何が始まる?
そして次に画面が切り替わると、そこには日本地図とマドール達のイラストが描かれていた。
『今ここに! トレジャーハントバトルの全国大会、宝皇杯の開催を宣言する!』
宝皇杯。その三文字が日本地図の上に映し出される。
「トレジャーハントバトルの大会ですか!」
呆気にとられた様子の光流がそう呟く。
『この大会は全国八箇所の会場で予選を行い、各予選の上位二チームが全国大会への切符を手にする! そして全国の舞台で最強のチームを決めるんだ!』
日本地図に八つの点が浮かび上がり、そこに情報が表示される。
関東予選、東北予選、北海道予選、関西予選、などなど八つの予選の情報だ。
会場の場所、開催日程、そして運営陣のハンドルネーム。
そこに書かれた名前は見覚えのある人ばかりだった。
魔法人形のファンは日本中にいて、それぞれの地方にオフ会を主催する人達がいる。
そこに書かれているのは、オフ会の主催者として有名な人達ばかりだった。
「凄いな」
俺は率直な気持ちを吐き出す。
コスモはトレジャーハントバトルが好きだ。
だからマイナールールであるトレバトをもっと多くの魔法人形プレイヤーに広めたい、そう言っていた。
俺と同い年の平凡な高校生に過ぎない彼が、各地のオフ会主催者の協力を得て全国規模の大会を開くなんて、とんでもない行動力だ。
トレバトを布教したいという一心でここまでできるのか。
友人として、素直に尊敬する。
彼の言葉は続く。
『俺達レジェンドハンターズはこの大会の運営チームであると同時に、いち参加者と同じ条件で大会に参戦する!
俺達と戦いたいという熱い闘志を持つ者達よ! 宝皇杯で会おう!』
――うおおおおお! 燃えてきた!
――コスモやクロリスちゃんにリアルで会えるってマジっすか?
――コスモ倒すコスモ倒す! そしてサインを貰う!
配信を見てるリスナー達の盛り上がりも最高潮に達している。
『そして最後に、ライオンハート!』
と、奴は俺達の名を呼んだ。
『お前達は今日から俺のライバルだ! もう一度俺達と戦う舞台に上がって来い!』
えっ、ちょ!
俺達大会に出るなんて言ってないが!
大会の存在自体今知ったばかりなのに、そんな即決できるわけないだろ。
――ライオンハートも来るなら大会出るわ。
――神絵師のひよこちゃんに会いたいでござる。
――面白そうじゃねえか。俺はヴァンピィと戦いたいぜ。
なんか、もう出る流れにされてるし!
「あらあら、大変なことになっちゃったわね」
他人事のように水零が笑う。
「上等っすよ! 永遠のライバル、レジェンドハンターズ! 首を洗って待ってるっす!」
琥珀ちゃん、ライバルって言葉に反応して暴走しないで。
「オフ会、知らない人いっぱい。
ねえヒナ。私が死んだら、棺桶には美少女アニメの円盤入れてね」
夜宵が悲壮な顔で死を覚悟してるー!
コミュ障克服はまだ遠いようだ。
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