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第六章 布教に行きたい
#118 忍び寄るカウントダウン
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『キングを倒す、ですか』
配信画面に映るクロリスは、無感情に琥珀の言葉を反芻する。
『ブラック・アリスの石化の呪いによって私達のゴールデンキングマドールは鉄壁の防御力を得ています。この守りを打ち崩す作戦でもあるんですか?』
「もちろんっすよ。魔女の呪いなんかに負けない変幻自在の忍法を見せてやるっす」
自信満々に胸を張る琥珀。
そんな彼女に対して、クロリスは視線を鋭くした。
ブラック・アリスがハープを逆手に持ち、弓のように構える。
そして弦の一本が矢へと姿を変え、彼女は矢羽を引く。
『右腕特性、ハープアロー』
言葉と共に黒き魔女のハープは連続で三本の矢を放つ。
当たったものを石化させる呪いの矢。
琥珀も即座に臨戦対戦をとった。
「右腕特性、葬送爪牙』
忍者は右手についた鋭い三本爪の手甲鉤を構える。
その爪を一振りして、正面に飛んできた矢を全て叩き落とす。
そして地面を蹴り、虎忍者はブラック・アリスへと飛びかかった。
『速い!』
クロリスが口元を歪める。
脚部特性・怪踏乱打によりスピードの上がった忍者は走りながら跳躍し、黒き魔女の頭上を飛び越えた。
そのまま相手のゴールデンマドールの前に着地すると琥珀はニヤリと笑う。
「頭部特性、魔鬼火死!」
虎忍者が口を開くと、そこから光線が放たれ、ゴールデンマドールの周囲の地面を照らす。
そしてキングを中心とした一帯に透明なガラス製の撒菱がバラ撒かれた。
そこで琥珀は得意気な笑みを浮かべる。
「ふっふっふ、これでキングの周りを完全に包囲したっす!
一歩でも動けば魔鬼火死の餌食っすよ」
対照的に画面の中のクロリスは怪訝そうに眉を顰めた。
『設置系のトラップ戦法ですか。
しかしゴールデンマドールはプレイヤーが操作することはできず、能動的な移動もしません。
一歩も動かないのだから、トラップなんて踏む筈ありませんよ』
「おっとお、それはこいつの効果を忘れてるっすよ」
行け琥珀! 俺達の切り札を見せてやれ!
「アイテム発動、レッドカード!」
琥珀がコントローラーを操作すると、虎忍者の左手に真っ赤なカードな現れ、それを投げつけた。
カードは真っ直ぐに飛び、敵のキングマドールの胸にぶつかる。
「さあ、レッドカードの効果でその場所から退場してもらうっすよ!」
次の瞬間、ゴールデンキングマドールは直立不動のまま後方へ飛び、一歩、二歩、三歩と移動する。
三回目の着地でようやく勢いを失い、キングはその場に立ち止まった。
しかしその間に地面にバラ撒かれた撒菱を三度踏み抜いている。
キングマドールの装甲ゲージが僅かに減少した。
それを見てクロリスは冷静に言葉を吐き出す。
『撒菱を踏んだことでダメージが発生しましたか。しかしそんな微々たるダメージでキングは倒せません!』
「いーや、ダメージなんてオマケっすよ。魔鬼火死の真の恐ろしさはここからっす!」
琥珀がそう言い放つと、ゴールデンマドールの隣に青白く燃える人魂が浮かび上がった。
そしてその炎の中には、7、という数字が刻まれている。
「魔鬼火死を踏んだマドールには死のカウントダウンが始まるっす!
今回は三回踏んだから、カウントがあと二つ進むっすよ!」
人魂に刻まれた数字が減少し、5、という数を示す。
「そしてこのカウントダウンがゼロになった時、ゴールデンキングマドールは機能停止するっす! これなら防御力がどれだけ高くても関係ないっすよ!」
威勢よく宣言する琥珀を見て、ウチのチームメイトも沸き立つ。
「出た! 虎衛門ちゃんの必殺技、死のカウントダウン!」
夜宵が拳を握り締め。
「流石は虎ちゃん、卑怯なトラップ戦法に関しては右に出る者はいませんね」
光流が微笑む。
そんな中でもクロリスは冷静さを崩さず、言葉を吐き出す。
『なるほど、少々驚きました。私の石化の呪いをそんな方法ですり抜けるなんて。
しかしレッドカードは使い切りのアイテムです。同じ手はもう使えません!』
「いいや、それは違うっす。オプションパーツ、採掘鎖鎌発動!」
大河忍者の手に鎖鎌が現れ、忍者はそれを振り回す。
そして鎌を地面に向けて投げると、その刃が赤いカードを貫き、カードは忍者の手へと回収されていく。
「採掘鎖鎌はパワーゲージを三十パーセント払うことで、使ったアイテムを再利用できるっす。そしてレッドカードを再発動!」
パワーゲージは試合中にコマンド操作をすることで少しづつ貯まっていく。
連射コントローラーを使う琥珀は特に貯まりやすく、こういったパワーゲージを要求するオプションパーツと相性がいい。
そして忍者は再び赤いカードを投げる。
カードは手裏剣のように回転しながら飛び、ゴールデンマドールの額にぶつかった。
するとキングの足が地面から浮き、先程の再現のように三歩後ろへ下がる。
「これでまた三回、魔鬼火死を踏んだっすね! 死のカウントダウンは三つ進むっす!」
キングの隣に浮かぶ人魂の数字が五から二へと減少する。
それを見て、クロリスは息を呑んだ。
『馬鹿な。ここまで追い詰められるなんて!』
「くっくっく、あと一回。あと一回レッドカードを使えば、死のカウントダウンはゼロとなり、私達の勝ちっす!」
配信画面に映るクロリスは、無感情に琥珀の言葉を反芻する。
『ブラック・アリスの石化の呪いによって私達のゴールデンキングマドールは鉄壁の防御力を得ています。この守りを打ち崩す作戦でもあるんですか?』
「もちろんっすよ。魔女の呪いなんかに負けない変幻自在の忍法を見せてやるっす」
自信満々に胸を張る琥珀。
そんな彼女に対して、クロリスは視線を鋭くした。
ブラック・アリスがハープを逆手に持ち、弓のように構える。
そして弦の一本が矢へと姿を変え、彼女は矢羽を引く。
『右腕特性、ハープアロー』
言葉と共に黒き魔女のハープは連続で三本の矢を放つ。
当たったものを石化させる呪いの矢。
琥珀も即座に臨戦対戦をとった。
「右腕特性、葬送爪牙』
忍者は右手についた鋭い三本爪の手甲鉤を構える。
その爪を一振りして、正面に飛んできた矢を全て叩き落とす。
そして地面を蹴り、虎忍者はブラック・アリスへと飛びかかった。
『速い!』
クロリスが口元を歪める。
脚部特性・怪踏乱打によりスピードの上がった忍者は走りながら跳躍し、黒き魔女の頭上を飛び越えた。
そのまま相手のゴールデンマドールの前に着地すると琥珀はニヤリと笑う。
「頭部特性、魔鬼火死!」
虎忍者が口を開くと、そこから光線が放たれ、ゴールデンマドールの周囲の地面を照らす。
そしてキングを中心とした一帯に透明なガラス製の撒菱がバラ撒かれた。
そこで琥珀は得意気な笑みを浮かべる。
「ふっふっふ、これでキングの周りを完全に包囲したっす!
一歩でも動けば魔鬼火死の餌食っすよ」
対照的に画面の中のクロリスは怪訝そうに眉を顰めた。
『設置系のトラップ戦法ですか。
しかしゴールデンマドールはプレイヤーが操作することはできず、能動的な移動もしません。
一歩も動かないのだから、トラップなんて踏む筈ありませんよ』
「おっとお、それはこいつの効果を忘れてるっすよ」
行け琥珀! 俺達の切り札を見せてやれ!
「アイテム発動、レッドカード!」
琥珀がコントローラーを操作すると、虎忍者の左手に真っ赤なカードな現れ、それを投げつけた。
カードは真っ直ぐに飛び、敵のキングマドールの胸にぶつかる。
「さあ、レッドカードの効果でその場所から退場してもらうっすよ!」
次の瞬間、ゴールデンキングマドールは直立不動のまま後方へ飛び、一歩、二歩、三歩と移動する。
三回目の着地でようやく勢いを失い、キングはその場に立ち止まった。
しかしその間に地面にバラ撒かれた撒菱を三度踏み抜いている。
キングマドールの装甲ゲージが僅かに減少した。
それを見てクロリスは冷静に言葉を吐き出す。
『撒菱を踏んだことでダメージが発生しましたか。しかしそんな微々たるダメージでキングは倒せません!』
「いーや、ダメージなんてオマケっすよ。魔鬼火死の真の恐ろしさはここからっす!」
琥珀がそう言い放つと、ゴールデンマドールの隣に青白く燃える人魂が浮かび上がった。
そしてその炎の中には、7、という数字が刻まれている。
「魔鬼火死を踏んだマドールには死のカウントダウンが始まるっす!
今回は三回踏んだから、カウントがあと二つ進むっすよ!」
人魂に刻まれた数字が減少し、5、という数を示す。
「そしてこのカウントダウンがゼロになった時、ゴールデンキングマドールは機能停止するっす! これなら防御力がどれだけ高くても関係ないっすよ!」
威勢よく宣言する琥珀を見て、ウチのチームメイトも沸き立つ。
「出た! 虎衛門ちゃんの必殺技、死のカウントダウン!」
夜宵が拳を握り締め。
「流石は虎ちゃん、卑怯なトラップ戦法に関しては右に出る者はいませんね」
光流が微笑む。
そんな中でもクロリスは冷静さを崩さず、言葉を吐き出す。
『なるほど、少々驚きました。私の石化の呪いをそんな方法ですり抜けるなんて。
しかしレッドカードは使い切りのアイテムです。同じ手はもう使えません!』
「いいや、それは違うっす。オプションパーツ、採掘鎖鎌発動!」
大河忍者の手に鎖鎌が現れ、忍者はそれを振り回す。
そして鎌を地面に向けて投げると、その刃が赤いカードを貫き、カードは忍者の手へと回収されていく。
「採掘鎖鎌はパワーゲージを三十パーセント払うことで、使ったアイテムを再利用できるっす。そしてレッドカードを再発動!」
パワーゲージは試合中にコマンド操作をすることで少しづつ貯まっていく。
連射コントローラーを使う琥珀は特に貯まりやすく、こういったパワーゲージを要求するオプションパーツと相性がいい。
そして忍者は再び赤いカードを投げる。
カードは手裏剣のように回転しながら飛び、ゴールデンマドールの額にぶつかった。
するとキングの足が地面から浮き、先程の再現のように三歩後ろへ下がる。
「これでまた三回、魔鬼火死を踏んだっすね! 死のカウントダウンは三つ進むっす!」
キングの隣に浮かぶ人魂の数字が五から二へと減少する。
それを見て、クロリスは息を呑んだ。
『馬鹿な。ここまで追い詰められるなんて!』
「くっくっく、あと一回。あと一回レッドカードを使えば、死のカウントダウンはゼロとなり、私達の勝ちっす!」
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