ネットで出会った最強ゲーマーは人見知りなコミュ障で俺だけに懐いてくる美少女でした

黒足袋

文字の大きさ
上 下
105 / 125
第六章 布教に行きたい

#104 エキシビションマッチスタート!

しおりを挟む
 通話を切ったところで、俺は一息つく。

「お疲れ様ヒナくん。完全にアウェーで戦うかと思ってたけど、見事に味方を作ってくれたわね」

 ハンドルネーム呼びに切り替えている水零のねぎらいに俺は相槌を返す。

「ああ、それよりいよいよ対戦開始だ。準備しよう」

 その言葉を皮切りに、各々が持ち寄ったゲーム機、Standスタンドをテーブルにセッティングし始める。
 本来はゲーム画面が表示されるスクリーンをテーブル中央に向け、そこに立体映像を映し出した。
 テレビモード、携帯モードに続くこのゲーム機の第三の遊び方。それがこのスタンドモードだ。
 それぞれのゲーム機の距離をもっと開けることで大規模な立体映像を楽しめるが、今回はテーブルの上という小規模な範囲で映像を投影している。
 テーブルにバトルフィールドが展開され、俺達五人はそれを囲みながら作戦を再確認する。

「バトルフィールドの南端にいるのがゴールデンクイーンマドール。俺達が守るマドールだ。
 そして北端の存在するこいつがゴールデンキングマドール。敵の王将であり、こいつを倒すのが俺達の目的だな」

 トランプのキングとクイーンをモチーフにしたような二体のゴールデンマドールを指して俺はそう説明する。

「なんで、ゴールデンマドールのデザインが違うんでしょうね? サッカーもバスケもゴールの形は両チーム同じなのに」
「将棋だって王将と玉将の違いがあるからな。そういうもんだろ」
「な、なるほど」

 俺の雑な説明に光流は釈然としない様子ながら納得してみせる。
 そして作戦確認を続ける。

「ウチの先発メンバーは予定通り、俺、ヴァンピィ、水姫で行く。ひよこと虎衛門はベンチで待機だ」

 自陣のゴールデンマドールのそばには三体のマドールが待機している。
 赤い鱗と炎の翼を持つ西洋竜。俺のプロミネンス・ドラコ。
 黒マントとタキシードに身を包んだ銀髪のイケメン吸血鬼。夜宵のジャック・ザ・ヴァンパイア。
 白いローブを纏うピンク髪の魔法使いの少女。水零の水晶の魔法使いクリスタル・メイジ
 先発マドールのスタート地点は自軍のゴールデンマドールの近辺となる。
 つまり最初は味方同士が固まっているわけだ。
 そして相手の先発メンバーも確認する。
 コスモ、クロリス、グランパの三人らしい。
 俺は夜宵に言葉を向ける。

「バトルフィールドの東側三十パーセントは夜の時間になってる。夜のフィールドを得意とするジャック・ザ・ヴァンパイアにはここを通って、敵陣に攻め込んでもらう」
「おっけー、わかったよ」

 彼女はそう言って両手を握り締めた。

「俺もプロミネンス・ドラコでヴァンピィを援護する。移動速度ではジャックには及ばないが、プロミネンス・ドラコは遠距離攻撃ができるからな。
 ゴールデンキーパーの水姫はゴールデンマドールのそばに待機して、敵を迎撃してくれ」
「うん、任せて」

 水零が頷くと、PC画面の中からコスモの言葉が響く。

『じゃあそろそろ準備はできたかな? 始めるぜ』

 通話をオンにして、俺も言葉を返す。

「いつでもかかって来いよ。こっちはもう待ちくたびれてんだ」

 その答えに、コスモはニヤリと笑って見せた。

『なら行くぜ! バトルスタートだ!』
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

転校して来た美少女が前幼なじみだった件。

ながしょー
青春
 ある日のHR。担任の呼び声とともに教室に入ってきた子は、とてつもない美少女だった。この世とはかけ離れた美貌に、男子はおろか、女子すらも言葉を詰まらせ、何も声が出てこない模様。モデルでもやっていたのか?そんなことを思いながら、彼女の自己紹介などを聞いていると、担任の先生がふと、俺の方を……いや、隣の席を指差す。今朝から気になってはいたが、彼女のための席だったということに今知ったのだが……男子たちの目線が異様に悪意の籠ったものに感じるが気のせいか?とにもかくにも隣の席が学校一の美少女ということになったわけで……。  このときの俺はまだ気づいていなかった。この子を軸として俺の身の回りが修羅場と化すことに。

幼馴染と話し合って恋人になってみた→夫婦になってみた

久野真一
青春
 最近の俺はちょっとした悩みを抱えている。クラスメート曰く、  幼馴染である百合(ゆり)と仲が良すぎるせいで付き合ってるか気になるらしい。  堀川百合(ほりかわゆり)。美人で成績優秀、運動完璧だけど朝が弱くてゲーム好きな天才肌の女の子。  猫みたいに気まぐれだけど優しい一面もあるそんな女の子。  百合とはゲームや面白いことが好きなところが馬が合って仲の良い関係を続けている。    そんな百合は今年は隣のクラス。俺と付き合ってるのかよく勘ぐられるらしい。  男女が仲良くしてるからすぐ付き合ってるだの何だの勘ぐってくるのは困る。  とはいえ。百合は異性としても魅力的なわけで付き合ってみたいという気持ちもある。  そんなことを悩んでいたある日の下校途中。百合から 「修二は私と恋人になりたい?」  なんて聞かれた。考えた末の言葉らしい。  百合としても満更じゃないのなら恋人になるのを躊躇する理由もない。 「なれたらいいと思ってる」    少し曖昧な返事とともに恋人になった俺たち。  食べさせあいをしたり、キスやその先もしてみたり。  恋人になった後は今までよりもっと楽しい毎日。  そんな俺達は大学に入る時に籍を入れて学生夫婦としての生活も開始。  夜一緒に寝たり、一緒に大学の講義を受けたり、新婚旅行に行ったりと  新婚生活も満喫中。  これは俺と百合が恋人としてイチャイチャしたり、  新婚生活を楽しんだりする、甘くてほのぼのとする日常のお話。

恐喝されている女の子を助けたら学校で有名な学園三大姫の一人でした

恋狸
青春
 特殊な家系にある俺、こと狭山渚《さやまなぎさ》はある日、黒服の男に恐喝されていた白海花《しらみはな》を助ける。 しかし、白海は学園三大姫と呼ばれる有名美少女だった!?  さらには他の学園三大姫とも仲良くなり……?  主人公とヒロイン達が織り成すラブコメディ!  小説家になろう、カクヨムでも投稿しています。  カクヨムにて、月間3位

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

キャバ嬢(ハイスペック)との同棲が、僕の高校生活を色々と変えていく。

たかなしポン太
青春
   僕のアパートの前で、巨乳美人のお姉さんが倒れていた。  助けたそのお姉さんは一流大卒だが内定取り消しとなり、就職浪人中のキャバ嬢だった。  でもまさかそのお姉さんと、同棲することになるとは…。 「今日のパンツってどんなんだっけ? ああ、これか。」 「ちょっと、確認しなくていいですから!」 「これ、可愛いでしょ? 色違いでピンクもあるんだけどね。綿なんだけど生地がサラサラで、この上の部分のリボンが」 「もういいです! いいですから、パンツの説明は!」    天然高学歴キャバ嬢と、心優しいDT高校生。  異色の2人が繰り広げる、水色パンツから始まる日常系ラブコメディー! ※小説家になろうとカクヨムにも同時掲載中です。 ※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。

俺の高校生活がラブコメ的な状況になっている件

ながしょー
青春
高校入学を前に両親は長期海外出張。 一人暮らしになるかと思いきや、出発当日の朝、父からとんでもないことを言われた。 それは…… 同い年の子と同居?!しかも女の子! ただえさえ、俺は中学の頃はぼっちで人と話す事も苦手なのだが。 とにかく、同居することになった子はとてつもなく美少女だった。 これから俺はどうなる?この先の生活は?ラブコメ的な展開とかあるのか?!   「俺の家には学校一の美少女がいる!」の改稿版です。 主人公の名前やもしかしたら今後いろんなところが変わってくるかもしれません。 話もだいぶ変わると思います。

幼馴染が家出したので、僕と同居生活することになったのだが。

四乃森ゆいな
青春
とある事情で一人暮らしをしている僕──和泉湊はある日、幼馴染でクラスメイト、更には『女神様』と崇められている美少女、真城美桜を拾うことに……? どうやら何か事情があるらしく、頑なに喋ろうとしない美桜。普段は無愛想で、人との距離感が異常に遠い彼女だが、何故か僕にだけは世話焼きになり……挙句には、 「私と同棲してください!」 「要求が増えてますよ!」 意味のわからない同棲宣言をされてしまう。 とりあえず同居するという形で、居候することになった美桜は、家事から僕の宿題を見たりと、高校生らしい生活をしていくこととなる。 中学生の頃から疎遠気味だったために、空いていた互いの時間が徐々に埋まっていき、お互いに知らない自分を曝け出していく中──女神様は何でもない『日常』を、僕の隣で歩んでいく。 無愛想だけど僕にだけ本性をみせる女神様 × ワケあり陰キャぼっちの幼馴染が送る、半同棲な同居生活ラブコメ。

大好きな幼なじみが超イケメンの彼女になったので諦めたって話

家紋武範
青春
大好きな幼なじみの奈都(なつ)。 高校に入ったら告白してラブラブカップルになる予定だったのに、超イケメンのサッカー部の柊斗(シュート)の彼女になっちまった。 全く勝ち目がないこの恋。 潔く諦めることにした。

処理中です...