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第六章 布教に行きたい
#102 コラボ配信当日
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「それにしても、すごいリツイート数だな」
土曜の昼過ぎ。自宅のリビングでパソコンをいじりながら俺はツイッターを確認していた。
コスモとクロリス、有名Vのコラボ配信にして、トレバトのエキシビションマッチ。
その告知ツイートを拡散するリツイート数は両者のフォロワーの多さもあって予想以上に伸びていた。
対戦相手にシングルス上位ランカーであるヴァンピィがいることもあって、普段Vに興味のない魔法人形プレイヤーからも注目を集めているようだった。
さらにそこには、配信の最後に重大発表あり、と書かれていた。
「重大発表ってなんでしょうね?」
同じくリビングで俺の隣に座り、ノートパソコンの画面を覗き込む光流がそんなことを呟いた。
どうやら俺達とのエキジビションマッチ以外にも何か発表があるらしいが、その内容は俺も聞かされていない。
「わからんが、あいつのことだし面白いことをやってくれるだろう」
今日はいよいよコラボ配信当日。
俺はパソコンを大型モニターに繋ぎ、最後の調整をしていたところだ。
すでにウチのチームは全員日向家に集まっている。
「でもビックリっすよね。あのコスモさんの正体が、まさかこの前ウチに遊びに来た土倉先輩だったなんて」
琥珀の言う通り、どうせ全員が土倉と顔見知りなので俺はコスモの正体をみんなに明かしていた。
そこに夜宵が話しかける。
「へー、どんな人だったの?」
「そりゃもう、宇宙みたいにビッグな人でしたよ」
「宇宙!?」
琥珀の答えに夜宵が驚き、キョロキョロと部屋の中を見回す。
「宇宙ってヒナのお家に収まりきるものなの? 玄関通る?」
「最近の宇宙は通るみたいですよ。折り畳み式も増えてますし」
「折り畳み式宇宙!?」
光流の返事を受けて再び夜宵が驚く。
「そ、そっか。私の知らない間に新しい宇宙が生まれてたんだね」
いや、どんな会話だよこれ。
「というか夜宵。土倉は俺らのクラスメイトだぞ。顔覚えてないか?」
「えっ」
俺の問いに夜宵は、鳩が豆鉄砲を喰らったような顔を見せる。
まあつい最近まで不登校だったし、クラス全員の顔を覚えてないのも無理はないかもしれない。
「も、勿論覚えてるよ。眼鏡かけてる人だよね」
「誰と勘違いしてるのか知らんが違うぞ」
「えっ、全身に眼鏡かけてる人じゃないの?」
「どういう状態!? うちのクラスにそんな恐ろしい人いるの?」
そんなやりとりをしていると、モニターに映ったツイッターのタイムラインを見ながら水零が言葉を挟んできた。
「それにしても光流ちゃんってホント絵が上手いのね。可愛いアイコンを描いてもらえて嬉しいわ」
水零の視線の先に映るのは、水姫というアカウントである。
そのアイコンに描かれているのは、真っ白なローブに身を包んだピンクのおさげ髪の魔法使い少女。光流の作品だ。
水姫、それはエキシビションマッチへの参加をきっかけに、つい最近ツイッターを始めた水零のアカウントである。
アイコンとなっているキャラは水零が愛用する水晶の魔法使いをベースにしながら、悪戯っぽく微笑むその顔つきは彼女によく似ていた。
「ありがとうございます。頑張りました」
得意気な顔で胸を張る光流。
水零だけでなくチーム全員のアイコンを描いてくれた光流には頭が上がらない。
「私のアイコンもめっちゃカッコよくて可愛いっすからね」
琥珀の言葉に応え、俺はモニターに彼女のアカウントを表示する。
そのアイコンに描かれたキャラは琥珀が使う大河忍者をベースにしていた。
黒い忍び装束に身を包み、右手には三本爪の手甲鉤を装備している。
本来の大河忍者は虎の被り物で顔を隠しているが、光流の描いたアイコンでは被り物を外して虎の頭を手に持った栗色髪のポニーテール少女となっている。
「私のも可愛いよね! ジャックの格好した私の似顔絵だよね」
夜宵がそう言ったので今度は彼女のアカウント映す。
黒いタキシードとマントを身に纏った吸血鬼スタイルの少女の絵だ。
頭の左側の髪を黄色いシュシュで結わえてワンサイドアップにした髪型は夜宵によく似せられていた。
それぞれが自分の使うマドールのコスプレをした似顔絵となっている。
称賛を受け光流は嬉しそうに言葉を返す。
「どれも皆さんの特徴をばっちり掴んで描かせていただきました。自画自賛ですが、私のアイコンもお気に入りです」
ふむ、俺は光流のアカウントを表示し、改めて彼女のアイコンを見る。
ガンマンの格好をして両手に拳銃を持った亜麻色髪の少女が描かれていた。
頭にはうさ耳カチューシャが装着されており、光流の愛用するウサギガンマンことラビット・バレットのコスプレ衣装なのだろう。
しかしここまで四人が人型に近いマドールを使っているのに対し、俺だけドラゴンである。
俺は自分のアカウントをモニターに映す。
「俺のは、どちらかというと擬人化って言う方が近いな」
赤を基調とした服装と背中に生えた炎の翼、そして炎を模したような髪型の少年が俺のアイコンだ。
赤とオレンジで色分けした逆立ち髪、漫画の世界にしか存在しないような髪型であるが、顔の方は俺の特徴を捉えたものとなっており、似顔絵としての上手さとイラスト的なデフォルメ力の両方が発揮されていた。
「お兄様を漫画キャラにしたら、こんな感じだと思います」
「そいつはありがとうな。俺もこのアイコンは気に入ってるよ」
その時だった。
『ヒナ、そろそろ始まるぞ』
ボイスチャットツールから土倉の声が響いてくる。
いよいよ配信が始まるらしい。
俺はコスモとクロリスの配信画面をモニターに映す。
まだ待機中になっており、主役達は登場していないようだが、チャット欄のコメントは賑わっていた。
まもなく画面が切り替わり、黒いドレスを纏った金髪ツーサイドアップの少女と、星空パーカーに身を包みフードを目深に被った白い髪の青年が姿を現した。
土曜の昼過ぎ。自宅のリビングでパソコンをいじりながら俺はツイッターを確認していた。
コスモとクロリス、有名Vのコラボ配信にして、トレバトのエキシビションマッチ。
その告知ツイートを拡散するリツイート数は両者のフォロワーの多さもあって予想以上に伸びていた。
対戦相手にシングルス上位ランカーであるヴァンピィがいることもあって、普段Vに興味のない魔法人形プレイヤーからも注目を集めているようだった。
さらにそこには、配信の最後に重大発表あり、と書かれていた。
「重大発表ってなんでしょうね?」
同じくリビングで俺の隣に座り、ノートパソコンの画面を覗き込む光流がそんなことを呟いた。
どうやら俺達とのエキジビションマッチ以外にも何か発表があるらしいが、その内容は俺も聞かされていない。
「わからんが、あいつのことだし面白いことをやってくれるだろう」
今日はいよいよコラボ配信当日。
俺はパソコンを大型モニターに繋ぎ、最後の調整をしていたところだ。
すでにウチのチームは全員日向家に集まっている。
「でもビックリっすよね。あのコスモさんの正体が、まさかこの前ウチに遊びに来た土倉先輩だったなんて」
琥珀の言う通り、どうせ全員が土倉と顔見知りなので俺はコスモの正体をみんなに明かしていた。
そこに夜宵が話しかける。
「へー、どんな人だったの?」
「そりゃもう、宇宙みたいにビッグな人でしたよ」
「宇宙!?」
琥珀の答えに夜宵が驚き、キョロキョロと部屋の中を見回す。
「宇宙ってヒナのお家に収まりきるものなの? 玄関通る?」
「最近の宇宙は通るみたいですよ。折り畳み式も増えてますし」
「折り畳み式宇宙!?」
光流の返事を受けて再び夜宵が驚く。
「そ、そっか。私の知らない間に新しい宇宙が生まれてたんだね」
いや、どんな会話だよこれ。
「というか夜宵。土倉は俺らのクラスメイトだぞ。顔覚えてないか?」
「えっ」
俺の問いに夜宵は、鳩が豆鉄砲を喰らったような顔を見せる。
まあつい最近まで不登校だったし、クラス全員の顔を覚えてないのも無理はないかもしれない。
「も、勿論覚えてるよ。眼鏡かけてる人だよね」
「誰と勘違いしてるのか知らんが違うぞ」
「えっ、全身に眼鏡かけてる人じゃないの?」
「どういう状態!? うちのクラスにそんな恐ろしい人いるの?」
そんなやりとりをしていると、モニターに映ったツイッターのタイムラインを見ながら水零が言葉を挟んできた。
「それにしても光流ちゃんってホント絵が上手いのね。可愛いアイコンを描いてもらえて嬉しいわ」
水零の視線の先に映るのは、水姫というアカウントである。
そのアイコンに描かれているのは、真っ白なローブに身を包んだピンクのおさげ髪の魔法使い少女。光流の作品だ。
水姫、それはエキシビションマッチへの参加をきっかけに、つい最近ツイッターを始めた水零のアカウントである。
アイコンとなっているキャラは水零が愛用する水晶の魔法使いをベースにしながら、悪戯っぽく微笑むその顔つきは彼女によく似ていた。
「ありがとうございます。頑張りました」
得意気な顔で胸を張る光流。
水零だけでなくチーム全員のアイコンを描いてくれた光流には頭が上がらない。
「私のアイコンもめっちゃカッコよくて可愛いっすからね」
琥珀の言葉に応え、俺はモニターに彼女のアカウントを表示する。
そのアイコンに描かれたキャラは琥珀が使う大河忍者をベースにしていた。
黒い忍び装束に身を包み、右手には三本爪の手甲鉤を装備している。
本来の大河忍者は虎の被り物で顔を隠しているが、光流の描いたアイコンでは被り物を外して虎の頭を手に持った栗色髪のポニーテール少女となっている。
「私のも可愛いよね! ジャックの格好した私の似顔絵だよね」
夜宵がそう言ったので今度は彼女のアカウント映す。
黒いタキシードとマントを身に纏った吸血鬼スタイルの少女の絵だ。
頭の左側の髪を黄色いシュシュで結わえてワンサイドアップにした髪型は夜宵によく似せられていた。
それぞれが自分の使うマドールのコスプレをした似顔絵となっている。
称賛を受け光流は嬉しそうに言葉を返す。
「どれも皆さんの特徴をばっちり掴んで描かせていただきました。自画自賛ですが、私のアイコンもお気に入りです」
ふむ、俺は光流のアカウントを表示し、改めて彼女のアイコンを見る。
ガンマンの格好をして両手に拳銃を持った亜麻色髪の少女が描かれていた。
頭にはうさ耳カチューシャが装着されており、光流の愛用するウサギガンマンことラビット・バレットのコスプレ衣装なのだろう。
しかしここまで四人が人型に近いマドールを使っているのに対し、俺だけドラゴンである。
俺は自分のアカウントをモニターに映す。
「俺のは、どちらかというと擬人化って言う方が近いな」
赤を基調とした服装と背中に生えた炎の翼、そして炎を模したような髪型の少年が俺のアイコンだ。
赤とオレンジで色分けした逆立ち髪、漫画の世界にしか存在しないような髪型であるが、顔の方は俺の特徴を捉えたものとなっており、似顔絵としての上手さとイラスト的なデフォルメ力の両方が発揮されていた。
「お兄様を漫画キャラにしたら、こんな感じだと思います」
「そいつはありがとうな。俺もこのアイコンは気に入ってるよ」
その時だった。
『ヒナ、そろそろ始まるぞ』
ボイスチャットツールから土倉の声が響いてくる。
いよいよ配信が始まるらしい。
俺はコスモとクロリスの配信画面をモニターに映す。
まだ待機中になっており、主役達は登場していないようだが、チャット欄のコメントは賑わっていた。
まもなく画面が切り替わり、黒いドレスを纏った金髪ツーサイドアップの少女と、星空パーカーに身を包みフードを目深に被った白い髪の青年が姿を現した。
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