101 / 125
第六章 布教に行きたい
#101 祭りの準備
しおりを挟む
「じゃあ試合当日も俺の家にみんなで集まるってことにするか」
最初はネット越しに通話しながら対戦するスタイルを考えていたが、チーム戦をする上での意志疎通のしやすさを考えて直接顔を会わせた方がいいという結論になった。
なにより最初のミーティング以来、チーム練習の度にみんなでウチに集まっているので、もはやその方が自然になってしまった。
この日も全員で日向家に集合し、リビングにパソコンを持ってきて大型モニターに繋いでいた。
モニターにはコスモのテスト配信画面が映っている。パソコンにインストールしたチャットツールの画面共有機能によるものだ。
ボイスチャットツールなので通話もできる。
画面越しにコスモが言葉をかけてきた。
『ひとまず配信当日もこのスタイルでいいか』
「ああ、チーム内だけでやりとりをするときとかは通話は切らせてもらう。相手チームとの会話が必要になったら、こっちで通話をオンにするさ」
画面の端には俺達のチーム五人のツイッターアイコンが表示されている。
俺達の声から喋ってる人を判別して、対応するアイコンが点滅するという代物だ。
しかしこうして見ると。
「うちのチームのアイコン、統一感ないな」
最近アカウントを作った水零は初期アイコンのまま。
俺はラーメンの画像。夜宵は人気アニメの吸血鬼ヒロイン、光流は美味しそうな卵焼きの自作イラスト、琥珀は自宅で飼ってる愛犬の画像をアイコンにしている。
「イラストだったり実写だったり、見事にバラバラだね」
「食べ物だったり人だったり犬だったりするっすね」
夜宵と琥珀もそう言って同意する。
そこに光流が意気揚々に提案してきた。
「なら私が全員のアイコンを描きます! 折角の晴れ舞台ですからね。アイコンは私達の顔です。皆さんの魅力が伝わるイラストを描きますよ」
「えっ、いいの光流ちゃん! 楽しみ!」
光流のファンである夜宵はその言葉に目を輝かせた。
と、そこに画面の中からコスモが忠告してくる。
『そうだ、一応言っておくけど通話するときにうっかり本名ポロリとかされると、こっちじゃどうしようもないからな』
まあ確かに。多くの視聴者の集まる生放送だし、本名暴露はよくないな。
オフ会の時と同様、ハンドルネーム呼びを徹底するべきだろう。
「えー、じゃあヒナくんとか呼ぶの? なんか恥ずかしい」
水零がそう言って苦笑する。
一方で琥珀が神妙な顔で呟く。
「前々から言いたかったんだけどさ、光流のハンネのたまごやきって人名感ないよね。リアルで口に出すのは違和感が凄い」
「えっ!?」
予想外の言葉に光流が驚くが、それには俺にも同意見だった。
「わかる。ネットで文字だけのやり取りするにはいいんだけど、チーム戦の最中にたまごやきって呼ぶのは呼び辛いっていうか、シリアスな空気を壊しかねないというか」
「そ、そんなお兄様まで」
人のハンドルネームにケチをつけるのはよくないが、ちょっと別の呼び方が欲しいと思う。
「そうまで言うならわかりました! 改名します。これから私の名前はひよこにします!」
言って光流はスマホを操作する。
ツイッターを確認すると、彼女のアカウント名が、ひよこ@旧たまごやき、となっていた。
「あっ、いいんじゃない。ひよこちゃんって名前可愛いよね」
夜宵のフォローのおかげで、場の空気が軽くなる。
圧力をかけるみたいになって申し訳ないが、確かにひよこなら大分呼びやすくなった。
そこで琥珀が真剣な顔をして考え込んだ。
「たまごやきが調理前に戻って、ひよことして卵から孵った。これは別の世界線へ移動したってことなのか?」
「いえ、ただの改名にそんなガチ考察されても困ります」
そんな風に練習と準備を繰り返しながら俺達の夏休みは進んでいった。
そしていよいよエキシビションマッチ当日を迎える。
最初はネット越しに通話しながら対戦するスタイルを考えていたが、チーム戦をする上での意志疎通のしやすさを考えて直接顔を会わせた方がいいという結論になった。
なにより最初のミーティング以来、チーム練習の度にみんなでウチに集まっているので、もはやその方が自然になってしまった。
この日も全員で日向家に集合し、リビングにパソコンを持ってきて大型モニターに繋いでいた。
モニターにはコスモのテスト配信画面が映っている。パソコンにインストールしたチャットツールの画面共有機能によるものだ。
ボイスチャットツールなので通話もできる。
画面越しにコスモが言葉をかけてきた。
『ひとまず配信当日もこのスタイルでいいか』
「ああ、チーム内だけでやりとりをするときとかは通話は切らせてもらう。相手チームとの会話が必要になったら、こっちで通話をオンにするさ」
画面の端には俺達のチーム五人のツイッターアイコンが表示されている。
俺達の声から喋ってる人を判別して、対応するアイコンが点滅するという代物だ。
しかしこうして見ると。
「うちのチームのアイコン、統一感ないな」
最近アカウントを作った水零は初期アイコンのまま。
俺はラーメンの画像。夜宵は人気アニメの吸血鬼ヒロイン、光流は美味しそうな卵焼きの自作イラスト、琥珀は自宅で飼ってる愛犬の画像をアイコンにしている。
「イラストだったり実写だったり、見事にバラバラだね」
「食べ物だったり人だったり犬だったりするっすね」
夜宵と琥珀もそう言って同意する。
そこに光流が意気揚々に提案してきた。
「なら私が全員のアイコンを描きます! 折角の晴れ舞台ですからね。アイコンは私達の顔です。皆さんの魅力が伝わるイラストを描きますよ」
「えっ、いいの光流ちゃん! 楽しみ!」
光流のファンである夜宵はその言葉に目を輝かせた。
と、そこに画面の中からコスモが忠告してくる。
『そうだ、一応言っておくけど通話するときにうっかり本名ポロリとかされると、こっちじゃどうしようもないからな』
まあ確かに。多くの視聴者の集まる生放送だし、本名暴露はよくないな。
オフ会の時と同様、ハンドルネーム呼びを徹底するべきだろう。
「えー、じゃあヒナくんとか呼ぶの? なんか恥ずかしい」
水零がそう言って苦笑する。
一方で琥珀が神妙な顔で呟く。
「前々から言いたかったんだけどさ、光流のハンネのたまごやきって人名感ないよね。リアルで口に出すのは違和感が凄い」
「えっ!?」
予想外の言葉に光流が驚くが、それには俺にも同意見だった。
「わかる。ネットで文字だけのやり取りするにはいいんだけど、チーム戦の最中にたまごやきって呼ぶのは呼び辛いっていうか、シリアスな空気を壊しかねないというか」
「そ、そんなお兄様まで」
人のハンドルネームにケチをつけるのはよくないが、ちょっと別の呼び方が欲しいと思う。
「そうまで言うならわかりました! 改名します。これから私の名前はひよこにします!」
言って光流はスマホを操作する。
ツイッターを確認すると、彼女のアカウント名が、ひよこ@旧たまごやき、となっていた。
「あっ、いいんじゃない。ひよこちゃんって名前可愛いよね」
夜宵のフォローのおかげで、場の空気が軽くなる。
圧力をかけるみたいになって申し訳ないが、確かにひよこなら大分呼びやすくなった。
そこで琥珀が真剣な顔をして考え込んだ。
「たまごやきが調理前に戻って、ひよことして卵から孵った。これは別の世界線へ移動したってことなのか?」
「いえ、ただの改名にそんなガチ考察されても困ります」
そんな風に練習と準備を繰り返しながら俺達の夏休みは進んでいった。
そしていよいよエキシビションマッチ当日を迎える。
0
お気に入りに追加
190
あなたにおすすめの小説
実力を隠し「例え長男でも無能に家は継がせん。他家に養子に出す」と親父殿に言われたところまでは計算通りだったが、まさかハーレム生活になるとは
竹井ゴールド
ライト文芸
日本国内トップ5に入る異能力者の名家、東条院。
その宗家本流の嫡子に生まれた東条院青夜は子供の頃に実母に「16歳までに東条院の家を出ないと命を落とす事になる」と予言され、無能を演じ続け、父親や後妻、異母弟や異母妹、親族や許嫁に馬鹿にされながらも、念願適って中学卒業の春休みに東条院家から田中家に養子に出された。
青夜は4月が誕生日なのでギリギリ16歳までに家を出た訳だが。
その後がよろしくない。
青夜を引き取った田中家の義父、一狼は53歳ながら若い妻を持ち、4人の娘の父親でもあったからだ。
妻、21歳、一狼の8人目の妻、愛。
長女、25歳、皇宮警察の異能力部隊所属、弥生。
次女、22歳、田中流空手道場の師範代、葉月。
三女、19歳、離婚したフランス系アメリカ人の3人目の妻が産んだハーフ、アンジェリカ。
四女、17歳、死別した4人目の妻が産んだ中国系ハーフ、シャンリー。
この5人とも青夜は家族となり、
・・・何これ? 少し想定外なんだけど。
【2023/3/23、24hポイント26万4600pt突破】
【2023/7/11、累計ポイント550万pt突破】
【2023/6/5、お気に入り数2130突破】
【アルファポリスのみの投稿です】
【第6回ライト文芸大賞、22万7046pt、2位】
【2023/6/30、メールが来て出版申請、8/1、慰めメール】
【未完】
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
可愛すぎるクラスメイトがやたら俺の部屋を訪れる件 ~事故から助けたボクっ娘が存在感空気な俺に熱い視線を送ってきている~
蒼田
青春
人よりも十倍以上存在感が薄い高校一年生、宇治原簾 (うじはられん)は、ある日買い物へ行く。
目的のプリンを買った夜の帰り道、簾はクラスメイトの人気者、重原愛莉 (えはらあいり)を見つける。
しかしいつも教室でみる活発な表情はなくどんよりとしていた。只事ではないと目線で追っていると彼女が信号に差し掛かり、トラックに引かれそうな所を簾が助ける。
事故から助けることで始まる活発少女との関係。
愛莉が簾の家にあがり看病したり、勉強したり、時には二人でデートに行ったりと。
愛莉は簾の事が好きで、廉も愛莉のことを気にし始める。
故障で陸上が出来なくなった愛莉は目標新たにし、簾はそんな彼女を補佐し自分の目標を見つけるお話。
*本作はフィクションです。実在する人物・団体・組織名等とは関係ございません。
幼馴染と話し合って恋人になってみた→夫婦になってみた
久野真一
青春
最近の俺はちょっとした悩みを抱えている。クラスメート曰く、
幼馴染である百合(ゆり)と仲が良すぎるせいで付き合ってるか気になるらしい。
堀川百合(ほりかわゆり)。美人で成績優秀、運動完璧だけど朝が弱くてゲーム好きな天才肌の女の子。
猫みたいに気まぐれだけど優しい一面もあるそんな女の子。
百合とはゲームや面白いことが好きなところが馬が合って仲の良い関係を続けている。
そんな百合は今年は隣のクラス。俺と付き合ってるのかよく勘ぐられるらしい。
男女が仲良くしてるからすぐ付き合ってるだの何だの勘ぐってくるのは困る。
とはいえ。百合は異性としても魅力的なわけで付き合ってみたいという気持ちもある。
そんなことを悩んでいたある日の下校途中。百合から
「修二は私と恋人になりたい?」
なんて聞かれた。考えた末の言葉らしい。
百合としても満更じゃないのなら恋人になるのを躊躇する理由もない。
「なれたらいいと思ってる」
少し曖昧な返事とともに恋人になった俺たち。
食べさせあいをしたり、キスやその先もしてみたり。
恋人になった後は今までよりもっと楽しい毎日。
そんな俺達は大学に入る時に籍を入れて学生夫婦としての生活も開始。
夜一緒に寝たり、一緒に大学の講義を受けたり、新婚旅行に行ったりと
新婚生活も満喫中。
これは俺と百合が恋人としてイチャイチャしたり、
新婚生活を楽しんだりする、甘くてほのぼのとする日常のお話。
Bグループの少年
櫻井春輝
青春
クラスや校内で目立つグループをA(目立つ)のグループとして、目立たないグループはC(目立たない)とすれば、その中間のグループはB(普通)となる。そんなカテゴリー分けをした少年はAグループの悪友たちにふりまわされた穏やかとは言いにくい中学校生活と違い、高校生活は穏やかに過ごしたいと考え、高校ではB(普通)グループに入り、その中でも特に目立たないよう存在感を薄く生活し、平穏な一年を過ごす。この平穏を逃すものかと誓う少年だが、ある日、特A(特に目立つ)の美少女を助けたことから変化を始める。少年は地味で平穏な生活を守っていけるのか……?
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる