ネットで出会った最強ゲーマーは人見知りなコミュ障で俺だけに懐いてくる美少女でした

黒足袋

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第六章 布教に行きたい

#100 ポジション適性

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 トレジャーハントバトルは五人で行うチーム戦だが、バトルフィールドで同時に戦えるのは各チーム三人までだ。
 残りの二人は控えベンチに待機し、フィールド内に複数箇所ある交代地点リリーフスポットから交代が可能となる。
 かつてトレジャーハントバトルを極めた幻想の竜達ファントム・ドラゴニクスはバトルフィールドで戦う三体の役割に三つのポジションを定義した。
 敵陣へ切り込み、相手のゴールデンマドールを倒す役割を担うFW(ファーストウォリアー)。
 フィールドの中央付近で攻守に目を光らせ、必要なところにアシストに入るMF(マルチファイター)。
 そして常に自陣のゴールデンマドールの傍で待機し、ゴールデンマドールを守護するGK(ゴールデンキーパー)。
 トレバトに関しては初心者であるメンバー四人に俺はそんな説明をするのだった

「まずファーストウォリアーは近接戦闘が得意なマドールが向いてる。夜宵のジャック・ザ・ヴァンパイアや琥珀の大河忍者が適任だろう。
 そしてマルチファイターは遠距離攻撃を駆使して攻守の薄いところのサポートに回る役割。俺のプロミネンス・ドラコや光流のラビット・バレットが力を発揮する役職だ。
 そして最後にゴールデンキーパー、これは水晶の魔法使いクリスタル・メイジを操る水零に任せようと思う」
「えっ、ちょっ、ちょっと待って太陽くん! 初心者の私がそんな重要ポジションやるの!?」

 水零が泡を喰った様子で待ったをかけるも、俺は自信を持ってそれに答える。

「あくまで各人の適性を考えた上での暫定的なポジションだ。もし無理ならポジションの入れ替えだって検討するから、まずは気楽にやろうぜ」
「うーん、自信ないなあ」

 不安げな顔を浮かべる水零の肩をポンポンと叩いて勇気づけてやる。

「じゃあ、これからチーム練習をしよう。先発メンバーや交代のタイミングなど、色々試していこうか」
「おお、楽しみです」
「腕が鳴るっすね」

 俺の言葉にやる気を見せる光流と琥珀。
 対照的に水零は微妙な顔をして呟いた。

「相手って凄く強いチームなんでしょ。大丈夫かしら? ボロ負けして恥を晒すだけにならないかな?」
「それが嫌なら練習あるのみだ。練習をすりゃ自信もつく。強くなっていい勝負しようぜ」
「ねえヒナ」

 俺が水零を励ましていると夜宵が口を挟む。

「いい勝負をするってのも間違ってないけどさ。目標としてはちょっと違うよね」

 ほう、違うとは?
 夜宵は闘志を漲らせながら、続く言葉を吐き出す。

「勝とうよ! 大物V軍団を私達で倒そう!」

 力強く言う夜宵を見て、俺も嬉しくなる。

「よく言った。そうだな、俺達でコスモ達をぶっ倒してやろうぜ!」

 そうしてフリーバトルに潜り、チーム練習を開始した。
 その日からコラボ配信まで、俺達は準備に明け暮れた。
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