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第五章 お泊りに行きたい
#77 うちの妹は甘えん坊で可愛い5
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「ところで、随分早いお帰りでしたね。お兄様」
リビングに場所を移し、俺と光流はソファに座りながら雑談に興じる。
ちなみにワイシャツはちゃんと返してもらいました。
「ああ、ホームシックになっちゃったのよ俺。昨夜光流が家族LINEに上げてた目玉焼きハンバーグも美味しそうだったし、光流の手料理が恋しくなってな」
「おや、これはとんだ食いしん坊さんですね。まあそんなこともあろうかと、お兄様の分のハンバーグを残してありますけど」
得意げな顔でそう答える光流。
あっ、なんかすげえ嬉しそうだ。
きっと俺がいない間に寂しい思いをさせちゃったんだろうな。
よし、今日は一日、光流に家族サービスをしよう。
「ところで光流、今日はどっか行きたいところとかあるか?」
光流と一緒に遊びに出かけようかと切り出してみるも、彼女の反応は鈍かった。
「うーん、特にないですね」
「そうかー」
光流とは従妹同士、長い付き合いになるが、まだまだ彼女の本心を読み取ることは難しいと感じる。
例えば何をして遊びたいのか、とか。
いや、彼女に特に希望がないならこちらからアイディアを出すべきなのかもしれないな。
「お兄様は帰ってきたばかりでお疲れでしょうから、のんびりテレビでも見てたらいいんじゃないですか?」
「おう、そうだな」
俺のことを気遣ってくれるのか。それとも今はお兄ちゃんと遊ぶ気分じゃないのか。
俺はとりあえずテレビをつける。
そしてたまたまやっていた高校野球の試合を観ることにした。
光流はそんな俺に構わず、廊下の方へ姿を消す。
自分の部屋にでも行ったのだろうか。光流は一人で過ごしたい気分なのかなー。ちょっと寂しい。
そう思ってると、彼女は漫画を抱えてリビングに戻ってきた。
そしてソファに座る俺の隣へと腰を下ろし、単行本を開く。
「光流ー、テレビうるさくないか? 漫画読むのに邪魔なら消すけど」
「別に平気ですよ。お兄様は気ままに過ごしてください」
「そうか」
まあ普通に考えれば漫画を読むなら、自分の部屋ででも読めばいいわけで。これは俺と一緒に過ごしたいっていう意思表示なのか?
光流の意図を図りかねていると、彼女は体を横に倒し、コテンと俺の膝に頭を預けた。
お、おおおおおお。そういうことか、俺に膝枕して欲しいと。
その為に、俺にリビングでテレビを見るよう促したようだ。
相変わらず素直に甘えられない子だな。そんなところも可愛いんだけど。
俺は膝の上に乗った彼女の髪を優しく撫でる。
光流は気持ちよさそうに目を細めながらも、横になった状態で漫画を読み続けていた。
こんな穏やかな時間も悪くない。
「なあ光流」
「なんでしょう? お兄様」
彼女のサラサラな髪を手櫛で梳きながら、俺は言葉を吐き出す。
「いつも、ありがとうな」
そう告げると、光流はクスリと笑った。
「それはお兄様がいない間、お留守番をしていたことへの感謝ですか? いつもお兄様のお世話をしていることへの感謝ですか?」
「んーそういうの含めて全部かな」
こうして自分の家に帰ってきて、光流と一緒にノンビリとした時間を過ごすことで改めて感じる。
「いつも俺の家族でいてくれて、ありがとう」
俺と光流は別に本当の兄妹じゃない。
光流の両親が海外に転勤する際に無理を言って、彼女だけ日本に残るように取り計らってもらった。
光流だって両親と一緒に居たい気持ちはあった筈なのに、彼女は俺を選んでくれたんだ。
俺達がこうして一緒にいるのは決して当たり前のことじゃない。
もしも彼女が両親と一緒に暮らしたいと言い出したら、俺はどうするだろうか?
ひょっとしたら彼女を引き留めてしまうかもしれない。
きっと俺の方がずっと寂しがり屋で、妹離れできてないんだよ。
「それは――」
漫画をテーブルに置き、目をトロンとさせた彼女は、瞼を落としながら言葉を返す。
「どういたしまして」
そうして、暫くすると俺の膝の上から静かな寝息が聞こえてくるのであった。
リビングに場所を移し、俺と光流はソファに座りながら雑談に興じる。
ちなみにワイシャツはちゃんと返してもらいました。
「ああ、ホームシックになっちゃったのよ俺。昨夜光流が家族LINEに上げてた目玉焼きハンバーグも美味しそうだったし、光流の手料理が恋しくなってな」
「おや、これはとんだ食いしん坊さんですね。まあそんなこともあろうかと、お兄様の分のハンバーグを残してありますけど」
得意げな顔でそう答える光流。
あっ、なんかすげえ嬉しそうだ。
きっと俺がいない間に寂しい思いをさせちゃったんだろうな。
よし、今日は一日、光流に家族サービスをしよう。
「ところで光流、今日はどっか行きたいところとかあるか?」
光流と一緒に遊びに出かけようかと切り出してみるも、彼女の反応は鈍かった。
「うーん、特にないですね」
「そうかー」
光流とは従妹同士、長い付き合いになるが、まだまだ彼女の本心を読み取ることは難しいと感じる。
例えば何をして遊びたいのか、とか。
いや、彼女に特に希望がないならこちらからアイディアを出すべきなのかもしれないな。
「お兄様は帰ってきたばかりでお疲れでしょうから、のんびりテレビでも見てたらいいんじゃないですか?」
「おう、そうだな」
俺のことを気遣ってくれるのか。それとも今はお兄ちゃんと遊ぶ気分じゃないのか。
俺はとりあえずテレビをつける。
そしてたまたまやっていた高校野球の試合を観ることにした。
光流はそんな俺に構わず、廊下の方へ姿を消す。
自分の部屋にでも行ったのだろうか。光流は一人で過ごしたい気分なのかなー。ちょっと寂しい。
そう思ってると、彼女は漫画を抱えてリビングに戻ってきた。
そしてソファに座る俺の隣へと腰を下ろし、単行本を開く。
「光流ー、テレビうるさくないか? 漫画読むのに邪魔なら消すけど」
「別に平気ですよ。お兄様は気ままに過ごしてください」
「そうか」
まあ普通に考えれば漫画を読むなら、自分の部屋ででも読めばいいわけで。これは俺と一緒に過ごしたいっていう意思表示なのか?
光流の意図を図りかねていると、彼女は体を横に倒し、コテンと俺の膝に頭を預けた。
お、おおおおおお。そういうことか、俺に膝枕して欲しいと。
その為に、俺にリビングでテレビを見るよう促したようだ。
相変わらず素直に甘えられない子だな。そんなところも可愛いんだけど。
俺は膝の上に乗った彼女の髪を優しく撫でる。
光流は気持ちよさそうに目を細めながらも、横になった状態で漫画を読み続けていた。
こんな穏やかな時間も悪くない。
「なあ光流」
「なんでしょう? お兄様」
彼女のサラサラな髪を手櫛で梳きながら、俺は言葉を吐き出す。
「いつも、ありがとうな」
そう告げると、光流はクスリと笑った。
「それはお兄様がいない間、お留守番をしていたことへの感謝ですか? いつもお兄様のお世話をしていることへの感謝ですか?」
「んーそういうの含めて全部かな」
こうして自分の家に帰ってきて、光流と一緒にノンビリとした時間を過ごすことで改めて感じる。
「いつも俺の家族でいてくれて、ありがとう」
俺と光流は別に本当の兄妹じゃない。
光流の両親が海外に転勤する際に無理を言って、彼女だけ日本に残るように取り計らってもらった。
光流だって両親と一緒に居たい気持ちはあった筈なのに、彼女は俺を選んでくれたんだ。
俺達がこうして一緒にいるのは決して当たり前のことじゃない。
もしも彼女が両親と一緒に暮らしたいと言い出したら、俺はどうするだろうか?
ひょっとしたら彼女を引き留めてしまうかもしれない。
きっと俺の方がずっと寂しがり屋で、妹離れできてないんだよ。
「それは――」
漫画をテーブルに置き、目をトロンとさせた彼女は、瞼を落としながら言葉を返す。
「どういたしまして」
そうして、暫くすると俺の膝の上から静かな寝息が聞こえてくるのであった。
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