39 / 125
第四章 学校に行きたい
#39 七月一日1
しおりを挟む
「やっほー太陽くん。最近夜宵といい感じらしいじゃない」
放課後の喧騒に包まれた教室内で、水零は俺の机に近づきながら、そう話しかけてきた。
「一緒にお洋服買いにいったり、オフ会に行ったり、随分お楽しみって聞いたわよ」
俺はその話を水零にはしてないので、情報源は夜宵だろう。
俺の机に手をつきながら、水零のダル絡みは続く。
「ずるいなー太陽くんは。私が夜宵を遊びに誘った時なんて毎回断られてたのに。一体どんな弱みを握って夜宵に言うこと聞かせたのかしら?」
「人聞きが悪いことを言わない! キミはなにかね? 俺と夜宵が仲良くなるのがそんなに面白くないのかね?」
「もっちろーん。最初に太陽くんが夜宵をお出かけに誘った時だって、私は猛反対したからね。太陽くんは狼さんだから駄目よって。上半身が下半身と直結してる性欲モンスターなのよって」
「風評被害をばら蒔くのは止めなさい。それと上半身が下半身と直結してるのは至って普通の人体構造だからね」
そうやって意地悪く笑う水零に俺は当てつけがましく言ってやる。
「全く不思議なこともあるもんだな。そんなに反対してるのに、夜宵に服を貸してくれたりするんだから」
「あっ」
それを忘れてたという様子で間の抜けた顔を見せる彼女。
普段は俺をからかうのが生き甲斐みたいなところはあるが、根はいい奴なんだよなこいつ。
どうせ俺と出掛けるのを猛反対したなんてのも嘘だろう。
「ありがとな、夜宵のこと色々サポートしてくれたんだろ」
素直に礼を言うと、それに面食らったのか水零は拗ねたように口を尖らせた。
「感謝の気持ちがあるなら行動で示して欲しいわね」
「一体何をご所望ですか、お嬢様」
そう聞き返すと、水零は自分の唇を人差し指でトントンと叩く。
「ご褒美のチューならいつでも歓迎よ」
ざわっ、と教室内の空気が変わった。
学校一の美少女と噂され、男女問わず人気の高い星河水零の口から、キスして欲しいなどという問題発言が飛び出したのだ。
クラスのみんなが俺達の一挙手一投足を固唾を呑んで見守ってるのが空気でわかる。
くそー、相変わらずの小悪魔っ子めえ。
他の相手には品行方正な優等生で通ってるのに、俺のことはありとあらゆる手段で弄んでくるんだよなコイツ。
「ここは教室内だからな、いかがわしい冗談はせめて場所を選んでくれよ」
「えー、なになに? 太陽くん、いかがわしい想像したのー? 私は唇チューとは言ってないよ。おでこでもほっぺでも、別にいいんだけどなー」
そこまで言うと、水零は机に座ったままの俺の耳に顔を近づけ、怪しく囁いてきた。
「私の体のどこでも好きなところに、キスしていいのよ?」
こ、こいつはー!
流石に今の発言の衝撃はでかかった。
「水零、ちょっと外に出ようか!」
これ以上の爆弾発言は俺の身が持たない。
今の水零の台詞がクラスメイトに聞こえていないことを祈りながら、俺は彼女を廊下に連れ出すのだった。
放課後の喧騒に包まれた教室内で、水零は俺の机に近づきながら、そう話しかけてきた。
「一緒にお洋服買いにいったり、オフ会に行ったり、随分お楽しみって聞いたわよ」
俺はその話を水零にはしてないので、情報源は夜宵だろう。
俺の机に手をつきながら、水零のダル絡みは続く。
「ずるいなー太陽くんは。私が夜宵を遊びに誘った時なんて毎回断られてたのに。一体どんな弱みを握って夜宵に言うこと聞かせたのかしら?」
「人聞きが悪いことを言わない! キミはなにかね? 俺と夜宵が仲良くなるのがそんなに面白くないのかね?」
「もっちろーん。最初に太陽くんが夜宵をお出かけに誘った時だって、私は猛反対したからね。太陽くんは狼さんだから駄目よって。上半身が下半身と直結してる性欲モンスターなのよって」
「風評被害をばら蒔くのは止めなさい。それと上半身が下半身と直結してるのは至って普通の人体構造だからね」
そうやって意地悪く笑う水零に俺は当てつけがましく言ってやる。
「全く不思議なこともあるもんだな。そんなに反対してるのに、夜宵に服を貸してくれたりするんだから」
「あっ」
それを忘れてたという様子で間の抜けた顔を見せる彼女。
普段は俺をからかうのが生き甲斐みたいなところはあるが、根はいい奴なんだよなこいつ。
どうせ俺と出掛けるのを猛反対したなんてのも嘘だろう。
「ありがとな、夜宵のこと色々サポートしてくれたんだろ」
素直に礼を言うと、それに面食らったのか水零は拗ねたように口を尖らせた。
「感謝の気持ちがあるなら行動で示して欲しいわね」
「一体何をご所望ですか、お嬢様」
そう聞き返すと、水零は自分の唇を人差し指でトントンと叩く。
「ご褒美のチューならいつでも歓迎よ」
ざわっ、と教室内の空気が変わった。
学校一の美少女と噂され、男女問わず人気の高い星河水零の口から、キスして欲しいなどという問題発言が飛び出したのだ。
クラスのみんなが俺達の一挙手一投足を固唾を呑んで見守ってるのが空気でわかる。
くそー、相変わらずの小悪魔っ子めえ。
他の相手には品行方正な優等生で通ってるのに、俺のことはありとあらゆる手段で弄んでくるんだよなコイツ。
「ここは教室内だからな、いかがわしい冗談はせめて場所を選んでくれよ」
「えー、なになに? 太陽くん、いかがわしい想像したのー? 私は唇チューとは言ってないよ。おでこでもほっぺでも、別にいいんだけどなー」
そこまで言うと、水零は机に座ったままの俺の耳に顔を近づけ、怪しく囁いてきた。
「私の体のどこでも好きなところに、キスしていいのよ?」
こ、こいつはー!
流石に今の発言の衝撃はでかかった。
「水零、ちょっと外に出ようか!」
これ以上の爆弾発言は俺の身が持たない。
今の水零の台詞がクラスメイトに聞こえていないことを祈りながら、俺は彼女を廊下に連れ出すのだった。
0
お気に入りに追加
201
あなたにおすすめの小説

転校して来た美少女が前幼なじみだった件。
ながしょー
青春
ある日のHR。担任の呼び声とともに教室に入ってきた子は、とてつもない美少女だった。この世とはかけ離れた美貌に、男子はおろか、女子すらも言葉を詰まらせ、何も声が出てこない模様。モデルでもやっていたのか?そんなことを思いながら、彼女の自己紹介などを聞いていると、担任の先生がふと、俺の方を……いや、隣の席を指差す。今朝から気になってはいたが、彼女のための席だったということに今知ったのだが……男子たちの目線が異様に悪意の籠ったものに感じるが気のせいか?とにもかくにも隣の席が学校一の美少女ということになったわけで……。
このときの俺はまだ気づいていなかった。この子を軸として俺の身の回りが修羅場と化すことに。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
キャバ嬢(ハイスペック)との同棲が、僕の高校生活を色々と変えていく。
たかなしポン太
青春
僕のアパートの前で、巨乳美人のお姉さんが倒れていた。
助けたそのお姉さんは一流大卒だが内定取り消しとなり、就職浪人中のキャバ嬢だった。
でもまさかそのお姉さんと、同棲することになるとは…。
「今日のパンツってどんなんだっけ? ああ、これか。」
「ちょっと、確認しなくていいですから!」
「これ、可愛いでしょ? 色違いでピンクもあるんだけどね。綿なんだけど生地がサラサラで、この上の部分のリボンが」
「もういいです! いいですから、パンツの説明は!」
天然高学歴キャバ嬢と、心優しいDT高校生。
異色の2人が繰り広げる、水色パンツから始まる日常系ラブコメディー!
※小説家になろうとカクヨムにも同時掲載中です。
※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。
幼馴染と話し合って恋人になってみた→夫婦になってみた
久野真一
青春
最近の俺はちょっとした悩みを抱えている。クラスメート曰く、
幼馴染である百合(ゆり)と仲が良すぎるせいで付き合ってるか気になるらしい。
堀川百合(ほりかわゆり)。美人で成績優秀、運動完璧だけど朝が弱くてゲーム好きな天才肌の女の子。
猫みたいに気まぐれだけど優しい一面もあるそんな女の子。
百合とはゲームや面白いことが好きなところが馬が合って仲の良い関係を続けている。
そんな百合は今年は隣のクラス。俺と付き合ってるのかよく勘ぐられるらしい。
男女が仲良くしてるからすぐ付き合ってるだの何だの勘ぐってくるのは困る。
とはいえ。百合は異性としても魅力的なわけで付き合ってみたいという気持ちもある。
そんなことを悩んでいたある日の下校途中。百合から
「修二は私と恋人になりたい?」
なんて聞かれた。考えた末の言葉らしい。
百合としても満更じゃないのなら恋人になるのを躊躇する理由もない。
「なれたらいいと思ってる」
少し曖昧な返事とともに恋人になった俺たち。
食べさせあいをしたり、キスやその先もしてみたり。
恋人になった後は今までよりもっと楽しい毎日。
そんな俺達は大学に入る時に籍を入れて学生夫婦としての生活も開始。
夜一緒に寝たり、一緒に大学の講義を受けたり、新婚旅行に行ったりと
新婚生活も満喫中。
これは俺と百合が恋人としてイチャイチャしたり、
新婚生活を楽しんだりする、甘くてほのぼのとする日常のお話。

恐喝されている女の子を助けたら学校で有名な学園三大姫の一人でした
恋狸
青春
特殊な家系にある俺、こと狭山渚《さやまなぎさ》はある日、黒服の男に恐喝されていた白海花《しらみはな》を助ける。
しかし、白海は学園三大姫と呼ばれる有名美少女だった!?
さらには他の学園三大姫とも仲良くなり……?
主人公とヒロイン達が織り成すラブコメディ!
小説家になろう、カクヨムでも投稿しています。
カクヨムにて、月間3位

俺の高校生活がラブコメ的な状況になっている件
ながしょー
青春
高校入学を前に両親は長期海外出張。
一人暮らしになるかと思いきや、出発当日の朝、父からとんでもないことを言われた。
それは……
同い年の子と同居?!しかも女の子!
ただえさえ、俺は中学の頃はぼっちで人と話す事も苦手なのだが。
とにかく、同居することになった子はとてつもなく美少女だった。
これから俺はどうなる?この先の生活は?ラブコメ的な展開とかあるのか?!
「俺の家には学校一の美少女がいる!」の改稿版です。
主人公の名前やもしかしたら今後いろんなところが変わってくるかもしれません。
話もだいぶ変わると思います。

幼馴染が家出したので、僕と同居生活することになったのだが。
四乃森ゆいな
青春
とある事情で一人暮らしをしている僕──和泉湊はある日、幼馴染でクラスメイト、更には『女神様』と崇められている美少女、真城美桜を拾うことに……?
どうやら何か事情があるらしく、頑なに喋ろうとしない美桜。普段は無愛想で、人との距離感が異常に遠い彼女だが、何故か僕にだけは世話焼きになり……挙句には、
「私と同棲してください!」
「要求が増えてますよ!」
意味のわからない同棲宣言をされてしまう。
とりあえず同居するという形で、居候することになった美桜は、家事から僕の宿題を見たりと、高校生らしい生活をしていくこととなる。
中学生の頃から疎遠気味だったために、空いていた互いの時間が徐々に埋まっていき、お互いに知らない自分を曝け出していく中──女神様は何でもない『日常』を、僕の隣で歩んでいく。
無愛想だけど僕にだけ本性をみせる女神様 × ワケあり陰キャぼっちの幼馴染が送る、半同棲な同居生活ラブコメ。
髪を切った俺が『読者モデル』の表紙を飾った結果がコチラです。
昼寝部
キャラ文芸
天才子役として活躍した俺、夏目凛は、母親の死によって芸能界を引退した。
その数年後。俺は『読者モデル』の代役をお願いされ、妹のために今回だけ引き受けることにした。
すると発売された『読者モデル』の表紙が俺の写真だった。
「………え?なんで俺が『読モ』の表紙を飾ってんだ?」
これは、色々あって芸能界に復帰することになった俺が、世の女性たちを虜にする物語。
※『小説家になろう』にてリメイク版を投稿しております。そちらも読んでいただけると嬉しいです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる