31 / 125
第三章 オフ会に行きたい
#31 ヒナの賭け2
しおりを挟む
そう言いきった瞬間、光流の顔に貼りついた笑みが凍りついた。
マクロコントローラーとは、人間のコマンド操作を記憶し、ボタン一つでそれを再現できる機能を持つコントローラーだ。
例えば必殺コマンドなどを記憶させれば、マクロボタンを押すだけで複雑なコマンド入力を再現できるだろう。
さらにマクロコンが記憶できるのはボタンを押す順番だけではない。
一つ目のボタン操作から二つ目のボタン操作まで何秒開いたか、その間隔も記憶できるのだ。
恐らく光流は天罰の光の発射ボタンを五秒間隔で押し続ける動作をマクロコンに記憶させたのだ。
勿論正確なタイミングでボタンを押し続けるのは簡単ではない。
ストップウォッチを片手にタイミングを計りながら、失敗したらやり直すという行為を何度も繰り返し、今のマクロを完成させたのだろう。
「それが何か?」
冷たい笑みを貼りつけたまま、光流はガンショット・コントローラーをプロミネンス・ドラコに向ける。
彼女の操作に呼応し、ラビット・バレットが光線銃を放ち、炎の竜の足を撃ち抜いた。
これで、十六発目!
プロミネンス・ドラコは再び停止状態となり、操作を受けつけなくなる。
「連射コンとかマクロコンとか、細かい違いは気にしてませんでした。どちらにせよお兄様は永遠に天罰の光を受けて動けないのですから、関係無いですよね?」
「いいや、永遠には続かない。お前もわかってる筈だ。マクロコントローラーが記憶できるコマンドの数は有限だということを」
そして俺の知識の中で最も多くのコマンドを記憶できるマクロコンは十六コマンドだ。
さっき光流が撃ったのは、プロミネンス・ドラコが動きを止めてから十六発目。
もうマクロは終了している。
もう一度同じマクロを実行するとしても、一回目と二回目のマクロの間の五秒間はタイミングをとれない。
「今のでマクロは終わった筈だ。もう一度、五秒後に天罰の光を撃ちたくても、もう機械には頼れない。
次の一撃はお前自身の腕でタイミングを計らないといけない!」
光流の口元が悔しげに歪む。
図星を突かれた時はポーカーフェイスを維持できなくなる。そういうところは昔から変わってないな。
俺は彼女に挑発の言葉をぶつける。
「さあ、当ててみろよ。次の一発を、今度はお前自身の力で」
「お兄様」
彼女は引き攣った笑みで俺を見返してきた。
「その挑戦、受けて立ちます!」
言葉と共にガンショット・コントローラーを赤竜に向け、引き金を引く。
同時にラビット・バレットの右手に持った銃口が黄金の輝きを吐き出した。
そしてそれは地面に倒れるプロミネンス・ドラコに一直線に迫ってくる。
俺はそこでコントローラーを操作した。
動け、早く動いてくれ。早く五秒経て!
しかし炎の竜は動かない。
そこに黄金の光線が迫ってくる。
まさか!
ニイッ、と光流は口の端を吊り上げた。
「私の勝ちです」
「ああ、流石だな。たまごやき」
次の瞬間、黄金の光が弾ける!
そしてそれは炎の壁に阻まれ、周囲へと四散していった。
「左腕特性・火炎壁」
燃え盛る炎の壁を盾にして、赤い鱗の竜は立ち上がる。
あとゼロコンマ一秒早かったら負けていた。
本当に恐ろしい奴だよ、お前は。
だがこれで、ようやく動けるようになった。
「防がれた!」
驚きに目を見開く光流に、俺は言葉を投げつける。
「ここからが俺の反撃だ! 頭部特性・燃え盛る魂!」
プロミネンス・ドラコが口を開くと、その口内に深紅の炎が満ちる。
俺はAコンの片方を右手で握り締め、その拳を正面に突き出した。
「発射!」
同時にプロミネンス・ドラコが口から極大の火球を吐き出す。
燃え盛る魂は攻撃と同時にAコンを振り、その振動の大きさによって威力がアップする。
火球は屋根の上に立つラビット・バレットへと向かい、その小さなウサギの体と一緒に建物を呑み込んでいった。
巨大な炎の塊は勢いを増し、町の中心にある時計塔に衝突して火柱を上げる。
炎が消え去った時、ラビット・バレットの体は時計塔に磔になっていた。
全パーツに大ダメージ、しかしパーツ破壊には至らなかったか。
「まだです。私はまだ戦えます!」
ウサギガンマンは時計塔から落下しながらもなんとか着地し、立ち上がると共に右手に持った光線銃を正面に構えた。
だが俺はそこに言葉を挟む。
「燃え盛る魂を喰らったマドールは融解状態になる」
銃を持ったガンマンの右手が炎に包まれる。
融解になったマドールは時間経過と共にダメージを受け続ける。
ラビット・バレットの右腕は炎の中で黒く焦げ落ち、原型を失っていった。
右腕パーツ破壊!
そして炎はまだ消えない。
これであの厄介な天罰の光を無力化した。
悔し気に表情を歪める光流に向けて、俺は言葉を投げつける。
「さあ、勝負はこれからだぜ!」
マクロコントローラーとは、人間のコマンド操作を記憶し、ボタン一つでそれを再現できる機能を持つコントローラーだ。
例えば必殺コマンドなどを記憶させれば、マクロボタンを押すだけで複雑なコマンド入力を再現できるだろう。
さらにマクロコンが記憶できるのはボタンを押す順番だけではない。
一つ目のボタン操作から二つ目のボタン操作まで何秒開いたか、その間隔も記憶できるのだ。
恐らく光流は天罰の光の発射ボタンを五秒間隔で押し続ける動作をマクロコンに記憶させたのだ。
勿論正確なタイミングでボタンを押し続けるのは簡単ではない。
ストップウォッチを片手にタイミングを計りながら、失敗したらやり直すという行為を何度も繰り返し、今のマクロを完成させたのだろう。
「それが何か?」
冷たい笑みを貼りつけたまま、光流はガンショット・コントローラーをプロミネンス・ドラコに向ける。
彼女の操作に呼応し、ラビット・バレットが光線銃を放ち、炎の竜の足を撃ち抜いた。
これで、十六発目!
プロミネンス・ドラコは再び停止状態となり、操作を受けつけなくなる。
「連射コンとかマクロコンとか、細かい違いは気にしてませんでした。どちらにせよお兄様は永遠に天罰の光を受けて動けないのですから、関係無いですよね?」
「いいや、永遠には続かない。お前もわかってる筈だ。マクロコントローラーが記憶できるコマンドの数は有限だということを」
そして俺の知識の中で最も多くのコマンドを記憶できるマクロコンは十六コマンドだ。
さっき光流が撃ったのは、プロミネンス・ドラコが動きを止めてから十六発目。
もうマクロは終了している。
もう一度同じマクロを実行するとしても、一回目と二回目のマクロの間の五秒間はタイミングをとれない。
「今のでマクロは終わった筈だ。もう一度、五秒後に天罰の光を撃ちたくても、もう機械には頼れない。
次の一撃はお前自身の腕でタイミングを計らないといけない!」
光流の口元が悔しげに歪む。
図星を突かれた時はポーカーフェイスを維持できなくなる。そういうところは昔から変わってないな。
俺は彼女に挑発の言葉をぶつける。
「さあ、当ててみろよ。次の一発を、今度はお前自身の力で」
「お兄様」
彼女は引き攣った笑みで俺を見返してきた。
「その挑戦、受けて立ちます!」
言葉と共にガンショット・コントローラーを赤竜に向け、引き金を引く。
同時にラビット・バレットの右手に持った銃口が黄金の輝きを吐き出した。
そしてそれは地面に倒れるプロミネンス・ドラコに一直線に迫ってくる。
俺はそこでコントローラーを操作した。
動け、早く動いてくれ。早く五秒経て!
しかし炎の竜は動かない。
そこに黄金の光線が迫ってくる。
まさか!
ニイッ、と光流は口の端を吊り上げた。
「私の勝ちです」
「ああ、流石だな。たまごやき」
次の瞬間、黄金の光が弾ける!
そしてそれは炎の壁に阻まれ、周囲へと四散していった。
「左腕特性・火炎壁」
燃え盛る炎の壁を盾にして、赤い鱗の竜は立ち上がる。
あとゼロコンマ一秒早かったら負けていた。
本当に恐ろしい奴だよ、お前は。
だがこれで、ようやく動けるようになった。
「防がれた!」
驚きに目を見開く光流に、俺は言葉を投げつける。
「ここからが俺の反撃だ! 頭部特性・燃え盛る魂!」
プロミネンス・ドラコが口を開くと、その口内に深紅の炎が満ちる。
俺はAコンの片方を右手で握り締め、その拳を正面に突き出した。
「発射!」
同時にプロミネンス・ドラコが口から極大の火球を吐き出す。
燃え盛る魂は攻撃と同時にAコンを振り、その振動の大きさによって威力がアップする。
火球は屋根の上に立つラビット・バレットへと向かい、その小さなウサギの体と一緒に建物を呑み込んでいった。
巨大な炎の塊は勢いを増し、町の中心にある時計塔に衝突して火柱を上げる。
炎が消え去った時、ラビット・バレットの体は時計塔に磔になっていた。
全パーツに大ダメージ、しかしパーツ破壊には至らなかったか。
「まだです。私はまだ戦えます!」
ウサギガンマンは時計塔から落下しながらもなんとか着地し、立ち上がると共に右手に持った光線銃を正面に構えた。
だが俺はそこに言葉を挟む。
「燃え盛る魂を喰らったマドールは融解状態になる」
銃を持ったガンマンの右手が炎に包まれる。
融解になったマドールは時間経過と共にダメージを受け続ける。
ラビット・バレットの右腕は炎の中で黒く焦げ落ち、原型を失っていった。
右腕パーツ破壊!
そして炎はまだ消えない。
これであの厄介な天罰の光を無力化した。
悔し気に表情を歪める光流に向けて、俺は言葉を投げつける。
「さあ、勝負はこれからだぜ!」
0
お気に入りに追加
198
あなたにおすすめの小説
『俺アレルギー』の抗体は、俺のことが好きな人にしか現れない?学園のアイドルから、幼馴染までノーマスク。その意味を俺は知らない
七星点灯
青春
雨宮優(あまみや ゆう)は、世界でたった一つしかない奇病、『俺アレルギー』の根源となってしまった。
彼の周りにいる人間は、花粉症の様な症状に見舞われ、マスク無しではまともに会話できない。
しかし、マスクをつけずに彼とラクラク会話ができる女の子達がいる。幼馴染、クラスメイトのギャル、先輩などなど……。
彼女達はそう、彼のことが好きすぎて、身体が勝手に『俺アレルギー』の抗体を作ってしまったのだ!
貞操観念逆転世界におけるニートの日常
猫丸
恋愛
男女比1:100。
女性の価値が著しく低下した世界へやってきた【大鳥奏】という一人の少年。
夢のような世界で彼が望んだのは、ラブコメでも、ハーレムでもなく、男の希少性を利用した引き籠り生活だった。
ネトゲは楽しいし、一人は気楽だし、学校行かなくてもいいとか最高だし。
しかし、男女の比率が大きく偏った逆転世界は、そんな彼を放っておくはずもなく……
『カナデさんってもしかして男なんじゃ……?』
『ないでしょw』
『ないと思うけど……え、マジ?』
これは貞操観念逆転世界にやってきた大鳥奏という少年が世界との関わりを断ち自宅からほとんど出ない物語。
貞操観念逆転世界のハーレム主人公を拒んだ一人のネットゲーマーの引き籠り譚である。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
田中天狼のシリアスな日常
朽縄咲良
青春
とある県の平凡な県立高校「東総倉高等学校」に通う、名前以外は平凡な少年が、個性的な人間たちに翻弄され、振り回され続ける学園コメディ!
彼は、ごくごく平凡な男子高校生である。…名前を除けば。
田中天狼と書いてタナカシリウス、それが彼の名前。
この奇妙な名前のせいで、今までの人生に余計な気苦労が耐えなかった彼は、せめて、高校生になったら、平凡で平和な日常を送りたいとするのだが、高校入学後の初動に失敗。
ぼっちとなってしまった彼に話しかけてきたのは、春夏秋冬水と名乗る、一人の少女だった。
そして彼らは、二年生の矢的杏途龍、そして撫子という変人……もとい、独特な先輩達に、珍しい名を持つ者たちが集まる「奇名部」という部活への起ち上げを誘われるのだった……。
・表紙画像は、紅蓮のたまり醤油様から頂きました!
・小説家になろうにて投稿したものと同じです。
俺の家には学校一の美少女がいる!
ながしょー
青春
※少しですが改稿したものを新しく公開しました。主人公の名前や所々変えています。今後たぶん話が変わっていきます。
今年、入学したばかりの4月。
両親は海外出張のため何年か家を空けることになった。
そのさい、親父からは「同僚にも同い年の女の子がいて、家で一人で留守番させるのは危ないから」ということで一人の女の子と一緒に住むことになった。
その美少女は学校一のモテる女の子。
この先、どうなってしまうのか!?
まずはお嫁さんからお願いします。
桜庭かなめ
恋愛
高校3年生の長瀬和真のクラスには、有栖川優奈という女子生徒がいる。優奈は成績優秀で容姿端麗、温厚な性格と誰にでも敬語で話すことから、学年や性別を問わず人気を集めている。和真は優奈とはこの2年間で挨拶や、バイト先のドーナッツ屋で接客する程度の関わりだった。
4月の終わり頃。バイト中に店舗の入口前の掃除をしているとき、和真は老齢の男性のスマホを見つける。その男性は優奈の祖父であり、日本有数の企業グループである有栖川グループの会長・有栖川総一郎だった。
総一郎は自分のスマホを見つけてくれた和真をとても気に入り、孫娘の優奈とクラスメイトであること、優奈も和真も18歳であることから優奈との結婚を申し出る。
いきなりの結婚打診に和真は困惑する。ただ、有栖川家の説得や、優奈が和真の印象が良く「結婚していい」「いつかは両親や祖父母のような好き合える夫婦になりたい」と思っていることを知り、和真は結婚を受け入れる。
デート、学校生活、新居での2人での新婚生活などを経て、和真と優奈の距離が近づいていく。交際なしで結婚した高校生の男女が、好き合える夫婦になるまでの温かくて甘いラブコメディ!
※特別編3が完結しました!(2024.8.29)
※小説家になろうとカクヨムでも公開しています。
※お気に入り登録、感想をお待ちしております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる