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第三章 オフ会に行きたい
#24 決勝戦開始!
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「そしてこの決勝戦はスタンドモードで行われるぞ! 各自、準備をしてくれ!」
部屋の中央に五メートルほどの距離を空けて四台の三脚が正方形を描くように配置されていた。
俺達が話してる間に運営スタッフがセッティングしてくれたのだろう。
俺達はそれぞれの三脚の傍に移動し、準備を開始する。
Standは長方形のゲーム機で、両端に各種ボタンがついているが、実はそのコントローラー部分だけを取り外し、無線で操作することもできる。
俺は両端についたコントローラーを外し、掌に収まるサイズのコントローラーを両手それぞれで握る。
ゲーム機とセットとなってるそれはアタッチコントローラー、通称Aコンと呼ばれるものだ。
残った中央部分にはゲーム画面を映すスクリーンがある。
Standの本体とも呼べる中央部分を三脚の上に取り付け、スクリーンを部屋の中央へ向ける。
これで準備完了。
夜宵、光流、琥珀も同様にゲーム機を三脚にセットしていた。
そして四機のStandのスクリーンから映像が照射される。
四角く囲われたフィールドには立体映像が展開され、戦いの舞台となる広大なバトルフィールドが映し出された。
これがスタンドモード。
この機能を使うには広いスペースが必要になるが、周りの人に試合を見せるにはもってこいのモードである。
「あれ?」
そこで俺は気付いた。
俺と夜宵は両手にAコンを持って準備万端といった状態なのに、光流と琥珀の正面にセットされたStandにはAコンが取り付けられたままだ。
これでは操作できないだろう。
「お前ら、コントローラーは?」
俺がそう問いかけると、光流は得意気な顔を見せた。
「ご心配なく、私にはこれがあります」
そう言って彼女は右手に持った黒いピストル型の機械を示して見せる。
「ガンショット・コントローラー。私の秘密兵器です」
銃口を俺の方へ向けながら、バン、と口で言って発砲の真似事をする光流。
「そして、私にはこいつがある!」
元気よく言い放ちながら、琥珀は鋭利な四枚の刃物をくっつけたような平べったい操作盤を取り出す。
なんだあれ? 玩具の風車みたいな形してるな。
「卍手裏剣コントローラー! こいつで先輩達をぶっ倒しますよ!」
彼女達が使ってるのはゲーム機とは別売りの特殊コントローラーか。
その種類は無数に有り、俺も全てを把握してはいない。
ボタンの配置などはコントローラーによって違うし、熟練のプレイヤーなら自分の手に馴染むコントローラーを選ぶものだ。
「随分個性的なコントローラーだね」
夜宵がポツリと感想を漏らす。
バトルフィールドの周囲にギャラリーが集まり、各々の観戦ポジションを確保する。
いよいよ始まるんだな。決勝戦が。
広大なバトルフィールドの上空に俺達のプレイヤーネームが表示される。
プレイヤーネームとはゲーム内で使ってる自分の名前であり、ツイッターのアカウント名と一致させる必要はない。
俺や夜宵はツイッターと同じ名前にしているが。
そこでギャラリーがざわめき出した。
「おい、見ろ。あのプレイヤーネームを!」
誰かが琥珀達の方を指差した。
琥珀のプレイヤーネーム、タイガーマスク。
光流のプレイヤーネーム、スクランブルエッグ。
その名前は俺も聞いたことがある。
常にダブルスランキング百位以内にいると言われる上位ランカーの名前だ。
実際にマッチングした人の話によれば、抜群の連携を誇り、また連携を阻害するために二人を引き離しても、各個人それぞれが単独で戦える強さを持ってる隙のないチームらしい。
しかしツイッターなどはやっていないようで、謎に包まれたプレイヤーとして噂されていた。
その正体が、まさか光流と琥珀だったというのか?
クスリ、と光流が笑いながら言葉を吐き出す。
「ヴァンピィさん達はシングルスでは強いらしいですが、ダブルスの腕はどうでしょうね?」
その台詞に琥珀が続く。
「まあ私達最強タッグには敵わないと思うっすけどね。残念でしたね先輩。私をパートナーに選んでれば優勝できたのに!」
琥珀の挑発を受け、夜宵の表情が険しくなる。
「ヒナは、私の相棒だよ。誰にも渡さないから」
おお、あの大人しい夜宵が燃えている。
そこでバトルフィールドの四隅に、各人の操るマドールが召喚された。
炎の翼を背に生やした赤い鱗の竜、俺のプロミネンス・ドラコ。
漆黒のマントに身を包んだ銀髪イケメン吸血鬼、夜宵のジャック・ザ・ヴァンパイア。
首から懐中時計を下げ、両手に拳銃を持ったガンマン姿のウサギ、ラビット・バレット。光流のマドールである。
そして虎の被り物で頭部を覆った黒い忍び装束の忍者、大河忍者。琥珀の操るマドールだ。
「さあ、決勝戦! バトルスタート!」
司会の声が会場に響くとともに決勝戦が開始された。
部屋の中央に五メートルほどの距離を空けて四台の三脚が正方形を描くように配置されていた。
俺達が話してる間に運営スタッフがセッティングしてくれたのだろう。
俺達はそれぞれの三脚の傍に移動し、準備を開始する。
Standは長方形のゲーム機で、両端に各種ボタンがついているが、実はそのコントローラー部分だけを取り外し、無線で操作することもできる。
俺は両端についたコントローラーを外し、掌に収まるサイズのコントローラーを両手それぞれで握る。
ゲーム機とセットとなってるそれはアタッチコントローラー、通称Aコンと呼ばれるものだ。
残った中央部分にはゲーム画面を映すスクリーンがある。
Standの本体とも呼べる中央部分を三脚の上に取り付け、スクリーンを部屋の中央へ向ける。
これで準備完了。
夜宵、光流、琥珀も同様にゲーム機を三脚にセットしていた。
そして四機のStandのスクリーンから映像が照射される。
四角く囲われたフィールドには立体映像が展開され、戦いの舞台となる広大なバトルフィールドが映し出された。
これがスタンドモード。
この機能を使うには広いスペースが必要になるが、周りの人に試合を見せるにはもってこいのモードである。
「あれ?」
そこで俺は気付いた。
俺と夜宵は両手にAコンを持って準備万端といった状態なのに、光流と琥珀の正面にセットされたStandにはAコンが取り付けられたままだ。
これでは操作できないだろう。
「お前ら、コントローラーは?」
俺がそう問いかけると、光流は得意気な顔を見せた。
「ご心配なく、私にはこれがあります」
そう言って彼女は右手に持った黒いピストル型の機械を示して見せる。
「ガンショット・コントローラー。私の秘密兵器です」
銃口を俺の方へ向けながら、バン、と口で言って発砲の真似事をする光流。
「そして、私にはこいつがある!」
元気よく言い放ちながら、琥珀は鋭利な四枚の刃物をくっつけたような平べったい操作盤を取り出す。
なんだあれ? 玩具の風車みたいな形してるな。
「卍手裏剣コントローラー! こいつで先輩達をぶっ倒しますよ!」
彼女達が使ってるのはゲーム機とは別売りの特殊コントローラーか。
その種類は無数に有り、俺も全てを把握してはいない。
ボタンの配置などはコントローラーによって違うし、熟練のプレイヤーなら自分の手に馴染むコントローラーを選ぶものだ。
「随分個性的なコントローラーだね」
夜宵がポツリと感想を漏らす。
バトルフィールドの周囲にギャラリーが集まり、各々の観戦ポジションを確保する。
いよいよ始まるんだな。決勝戦が。
広大なバトルフィールドの上空に俺達のプレイヤーネームが表示される。
プレイヤーネームとはゲーム内で使ってる自分の名前であり、ツイッターのアカウント名と一致させる必要はない。
俺や夜宵はツイッターと同じ名前にしているが。
そこでギャラリーがざわめき出した。
「おい、見ろ。あのプレイヤーネームを!」
誰かが琥珀達の方を指差した。
琥珀のプレイヤーネーム、タイガーマスク。
光流のプレイヤーネーム、スクランブルエッグ。
その名前は俺も聞いたことがある。
常にダブルスランキング百位以内にいると言われる上位ランカーの名前だ。
実際にマッチングした人の話によれば、抜群の連携を誇り、また連携を阻害するために二人を引き離しても、各個人それぞれが単独で戦える強さを持ってる隙のないチームらしい。
しかしツイッターなどはやっていないようで、謎に包まれたプレイヤーとして噂されていた。
その正体が、まさか光流と琥珀だったというのか?
クスリ、と光流が笑いながら言葉を吐き出す。
「ヴァンピィさん達はシングルスでは強いらしいですが、ダブルスの腕はどうでしょうね?」
その台詞に琥珀が続く。
「まあ私達最強タッグには敵わないと思うっすけどね。残念でしたね先輩。私をパートナーに選んでれば優勝できたのに!」
琥珀の挑発を受け、夜宵の表情が険しくなる。
「ヒナは、私の相棒だよ。誰にも渡さないから」
おお、あの大人しい夜宵が燃えている。
そこでバトルフィールドの四隅に、各人の操るマドールが召喚された。
炎の翼を背に生やした赤い鱗の竜、俺のプロミネンス・ドラコ。
漆黒のマントに身を包んだ銀髪イケメン吸血鬼、夜宵のジャック・ザ・ヴァンパイア。
首から懐中時計を下げ、両手に拳銃を持ったガンマン姿のウサギ、ラビット・バレット。光流のマドールである。
そして虎の被り物で頭部を覆った黒い忍び装束の忍者、大河忍者。琥珀の操るマドールだ。
「さあ、決勝戦! バトルスタート!」
司会の声が会場に響くとともに決勝戦が開始された。
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