52 / 57
高校生編
mission47 メンバー集めを実行せよ!
しおりを挟む
「あー、本当駄目。犬に聞いた方がマシなレベルね。あー、話して損した!」
クイズ娘こと中安は相変わらずいきなりクイズを出しては罵倒してどこかへ去っていく、ヘイト娘になっていた。
「ドラゴン……アイツを見返したくはないか」
「うーん……でも、僕雑学あんまり詳しくないしなぁ」
「ちゃんと勉強しよう。毎回無駄にバカにされるストレスもすごいぞ」
俺から中安への好感度は割とウザいくらいから、結構ウザいに変わりつつある。これで攻略可能キャラならまだ可愛げがあるが、完全にフラグも折れて攻略もできない。クラスメイトに対して毎回ヘイトを貯めるのもなんだし、太郎がバカにされ続けるのもなんか癪だ。
「ほーちゃんがそう言うならちょっと頑張ってみようかな」
「その意気その意気……ん? アイツ桐生と仲良いのか?」
先程まで蛆虫でも見るような目で俺達を見ていたくせに、桐生に対してはなんとも可愛らしい笑顔で桐生と話していた。そりゃ、桐生は雑学詳しそうだけど。
「そうみたいだねー。でも、桐生さんもクラスに馴染んだみたいで良かったね」
そう。桐生は少しずつクラスに溶け込み始めた。あの喫茶店以来気にかけてくれているのか、みけが積極的に話しかけて(おまけで箱森)から、男子はともかく女子は普通に話すようになったらしい。男子も変な牽制しあわなきゃいいのにな。
『あのときの、あの言葉。まだ、有効ですか?』
目があった桐生は、こちらに向けても笑いかけてくれる。近くの男子が『こっち見たぞ!』とはしゃいでいるが、俺には『忘れたなんて言いませんよね』と圧のある笑みに見える。こわい。
言えないよなぁ……忘れたなんて。
「黄昏ているところ悪いんだけど古井戸くん」
「おわっ! ……なんだ、委員長か」
「はいはい、委員長ですよ。この前のボランティア活動。あと2人決まった?」
「あ」
実行委員の桐生と太郎。とりあえず俺。3人しか考えていなかった。うっかりしてたな。
「今日中に提出が必要だから、またメンバー教えてね。あと、出し物の内容も。ちなみに老人ホームの場所は……」
「とりあえずメンバーだけ先に決めさせてくれ。後のことも早めに言うから」
と言っても心当たりも特にないが。アホの鹿峰は元気に走っているし、みけもなんかの部活に入ってた気がするな。あと部活に入ってなくて話しかけやすそうで、ついでに攻略に関係しそうな奴か……。
「呼んだっ?」
「ごめんな鹿峰。驚くほどお呼びじゃないんだ」
「なんだぁ」
何しにきたのか分からないが、鹿峰は今日も元気そうだ。と、鹿峰が話しているのはアイツか。
「宮藤」
「なによ」
宮藤まなみ。アイドル活動をするとかで、部活には入っていなかったな。
「ボランティア活動のメンバーになってほしいんだけど」
「私、暇じゃないから」
なんかぷいっとされた。まあウインナーの試食販売まで手広くやっているくらいだし、そこそこには忙しいんだろう。
「……いつするの?」
その割には食いついてきたな。
「来月の第3土曜日」
「マナティいいじゃん、やろうよー。楽しいよ!」
そして、関係ない奴が誘い出してきた。やろうよも何もお前はそもそもメンバーじゃない。
「アンタはその日大会じゃない」
「友情のためなら大会くらいどうってことないよ!」
「出る方向で話を進めるなノリで大会をサボるなそもそも誘ってない陸上部にチクるぞ」
「あははっ! てっきびしー!」
両手で指をさされる。なんだろうな。鹿峰と話していると湧いてくる殺意のような感情は。
「それはそれとして……宮藤が出てくれると助かるな」
メンバーが二人も足りないから。それだけの理由で深い意味はないが、なんとなく意味深な誘い文句になってしまった気もする。
「…………あんまり、手伝えないかもしれないけど」
「助かる!」
「どういたしまして!」
「落ち着け鹿峰。お前に言ったわけじゃないんだ」
鹿峰の元気がどこから出てくるのかは知らないが、とりあえず宮藤を確保できた。あと一人か……。
「ほーちゃんっ! 何か困りごと?」
「ああ、これこれしかじかの」
「かくかくうまうまというわけだねっ! なるほど」
急な登場ではあったがさすがみけだ。話が早い。何も話していないのに状況を把握してくれた気さえする。
「ぴよちゃんどうかな?」
「箱森? アイツ暇なのか?」
本屋の娘という設定上、放課後は本屋の手伝いでもしてそうではあるが。
「確か、最近は図書室でイケメンが声かけてくれるのを待ってるって言ってたかなー」
「よし、暇人だな」
と、誘いに行こうと思ったが。
「アイツクラス別だったわ……」
「そっか、同じクラスじゃないといけないもんね。あと部活入ってないのは……あ」
みけも辺りを見回す。適任者がいなければ箱森をなんとか捕まえて委員長に頼み込むしかないが。
「さららちゃんは? 笹川さららちゃん」
笹川さらら。
幼少期に一度会話しただけの攻略可能キャラクター。必要パラメータ的に重要キャラではないためそんなに絡みはなかったが。
「笹川は部活やってなかったか? えっと……超常現象なんたら部」
「超常現象及び心霊現象並びに霊的反応研究同好会だねっ。ただ、部活じゃなくて同好会だし、多少融通は効くかなって」
そう。現代ではなんとなく廃れつつあるが、この頃は心霊現象だとかUFOだとかなんだかよく分からない物がそこそこに人気だったのである。
テレビ番組も何本かあったし、漫画やギャルゲーにそういうものが好きなキャラがいるのも珍しくはない。今の厨二病枠がオカルト枠だった感じがする。
「とりあえず誘ってみるか……。ありがとな、みけ」
「えへへっ! 上手くいくといいねっ!」
バグ設定がなければ良い子のみけから離れていざ笹川の元へ。フード被ってるからすぐに分かるものの話しかけるのにはなかなか勇気が要る。机に変な魔法陣書いてあるし。
「笹川、ちょっといいか?」
笹川さららはその言葉にぴくっと反応し、右手にはめたぬいぐるみ……パペットって言うんだったか。それとひそひそ会話をして、こちらに向き直った。
「パミュリャンも良いって言ってるから……良いよ」
誰だよパミュリャン。とは思うが、雰囲気的にこのぬいぐるみか。無駄に言いづらい名前だな。
「ああ……助かる。ありがとうパミュリャン」
「君に黒き光あれだって……うふふ」
うふふじゃねーよ。一応礼は言ったけどパミュリャンと会話してても仕方ない。笹川だ笹川。
「笹川。今度ボランティア活動をするんだけど、メンバーになってくれないか?」
「ボランティア……?」
概要をちょろちょろっと説明すると、またパミュリャンと話し始めた。二倍時間かかるからなるはやでお願いしたいところではあるが。
「良いよ……」
「おお! ありがとう!」
「ただし」
一筋縄ではいかないようで、何やら条件が出されるようだ。
「古井戸くんが、私と付き合ってくれるなら」
とんでもない要求が出てきた気がする。
「え、なんだって? まあ、何はともあれよろしくな」
こんな時は先人達の知恵だ。聞こえていないふりで乗り切ろうとしたが。
「私と、付き合ってほしいんだよ……」
フードがズレて見えたその顔は。
このゲームの売りであることから分かってはいたものの。
とんでもなく可愛かった。
クイズ娘こと中安は相変わらずいきなりクイズを出しては罵倒してどこかへ去っていく、ヘイト娘になっていた。
「ドラゴン……アイツを見返したくはないか」
「うーん……でも、僕雑学あんまり詳しくないしなぁ」
「ちゃんと勉強しよう。毎回無駄にバカにされるストレスもすごいぞ」
俺から中安への好感度は割とウザいくらいから、結構ウザいに変わりつつある。これで攻略可能キャラならまだ可愛げがあるが、完全にフラグも折れて攻略もできない。クラスメイトに対して毎回ヘイトを貯めるのもなんだし、太郎がバカにされ続けるのもなんか癪だ。
「ほーちゃんがそう言うならちょっと頑張ってみようかな」
「その意気その意気……ん? アイツ桐生と仲良いのか?」
先程まで蛆虫でも見るような目で俺達を見ていたくせに、桐生に対してはなんとも可愛らしい笑顔で桐生と話していた。そりゃ、桐生は雑学詳しそうだけど。
「そうみたいだねー。でも、桐生さんもクラスに馴染んだみたいで良かったね」
そう。桐生は少しずつクラスに溶け込み始めた。あの喫茶店以来気にかけてくれているのか、みけが積極的に話しかけて(おまけで箱森)から、男子はともかく女子は普通に話すようになったらしい。男子も変な牽制しあわなきゃいいのにな。
『あのときの、あの言葉。まだ、有効ですか?』
目があった桐生は、こちらに向けても笑いかけてくれる。近くの男子が『こっち見たぞ!』とはしゃいでいるが、俺には『忘れたなんて言いませんよね』と圧のある笑みに見える。こわい。
言えないよなぁ……忘れたなんて。
「黄昏ているところ悪いんだけど古井戸くん」
「おわっ! ……なんだ、委員長か」
「はいはい、委員長ですよ。この前のボランティア活動。あと2人決まった?」
「あ」
実行委員の桐生と太郎。とりあえず俺。3人しか考えていなかった。うっかりしてたな。
「今日中に提出が必要だから、またメンバー教えてね。あと、出し物の内容も。ちなみに老人ホームの場所は……」
「とりあえずメンバーだけ先に決めさせてくれ。後のことも早めに言うから」
と言っても心当たりも特にないが。アホの鹿峰は元気に走っているし、みけもなんかの部活に入ってた気がするな。あと部活に入ってなくて話しかけやすそうで、ついでに攻略に関係しそうな奴か……。
「呼んだっ?」
「ごめんな鹿峰。驚くほどお呼びじゃないんだ」
「なんだぁ」
何しにきたのか分からないが、鹿峰は今日も元気そうだ。と、鹿峰が話しているのはアイツか。
「宮藤」
「なによ」
宮藤まなみ。アイドル活動をするとかで、部活には入っていなかったな。
「ボランティア活動のメンバーになってほしいんだけど」
「私、暇じゃないから」
なんかぷいっとされた。まあウインナーの試食販売まで手広くやっているくらいだし、そこそこには忙しいんだろう。
「……いつするの?」
その割には食いついてきたな。
「来月の第3土曜日」
「マナティいいじゃん、やろうよー。楽しいよ!」
そして、関係ない奴が誘い出してきた。やろうよも何もお前はそもそもメンバーじゃない。
「アンタはその日大会じゃない」
「友情のためなら大会くらいどうってことないよ!」
「出る方向で話を進めるなノリで大会をサボるなそもそも誘ってない陸上部にチクるぞ」
「あははっ! てっきびしー!」
両手で指をさされる。なんだろうな。鹿峰と話していると湧いてくる殺意のような感情は。
「それはそれとして……宮藤が出てくれると助かるな」
メンバーが二人も足りないから。それだけの理由で深い意味はないが、なんとなく意味深な誘い文句になってしまった気もする。
「…………あんまり、手伝えないかもしれないけど」
「助かる!」
「どういたしまして!」
「落ち着け鹿峰。お前に言ったわけじゃないんだ」
鹿峰の元気がどこから出てくるのかは知らないが、とりあえず宮藤を確保できた。あと一人か……。
「ほーちゃんっ! 何か困りごと?」
「ああ、これこれしかじかの」
「かくかくうまうまというわけだねっ! なるほど」
急な登場ではあったがさすがみけだ。話が早い。何も話していないのに状況を把握してくれた気さえする。
「ぴよちゃんどうかな?」
「箱森? アイツ暇なのか?」
本屋の娘という設定上、放課後は本屋の手伝いでもしてそうではあるが。
「確か、最近は図書室でイケメンが声かけてくれるのを待ってるって言ってたかなー」
「よし、暇人だな」
と、誘いに行こうと思ったが。
「アイツクラス別だったわ……」
「そっか、同じクラスじゃないといけないもんね。あと部活入ってないのは……あ」
みけも辺りを見回す。適任者がいなければ箱森をなんとか捕まえて委員長に頼み込むしかないが。
「さららちゃんは? 笹川さららちゃん」
笹川さらら。
幼少期に一度会話しただけの攻略可能キャラクター。必要パラメータ的に重要キャラではないためそんなに絡みはなかったが。
「笹川は部活やってなかったか? えっと……超常現象なんたら部」
「超常現象及び心霊現象並びに霊的反応研究同好会だねっ。ただ、部活じゃなくて同好会だし、多少融通は効くかなって」
そう。現代ではなんとなく廃れつつあるが、この頃は心霊現象だとかUFOだとかなんだかよく分からない物がそこそこに人気だったのである。
テレビ番組も何本かあったし、漫画やギャルゲーにそういうものが好きなキャラがいるのも珍しくはない。今の厨二病枠がオカルト枠だった感じがする。
「とりあえず誘ってみるか……。ありがとな、みけ」
「えへへっ! 上手くいくといいねっ!」
バグ設定がなければ良い子のみけから離れていざ笹川の元へ。フード被ってるからすぐに分かるものの話しかけるのにはなかなか勇気が要る。机に変な魔法陣書いてあるし。
「笹川、ちょっといいか?」
笹川さららはその言葉にぴくっと反応し、右手にはめたぬいぐるみ……パペットって言うんだったか。それとひそひそ会話をして、こちらに向き直った。
「パミュリャンも良いって言ってるから……良いよ」
誰だよパミュリャン。とは思うが、雰囲気的にこのぬいぐるみか。無駄に言いづらい名前だな。
「ああ……助かる。ありがとうパミュリャン」
「君に黒き光あれだって……うふふ」
うふふじゃねーよ。一応礼は言ったけどパミュリャンと会話してても仕方ない。笹川だ笹川。
「笹川。今度ボランティア活動をするんだけど、メンバーになってくれないか?」
「ボランティア……?」
概要をちょろちょろっと説明すると、またパミュリャンと話し始めた。二倍時間かかるからなるはやでお願いしたいところではあるが。
「良いよ……」
「おお! ありがとう!」
「ただし」
一筋縄ではいかないようで、何やら条件が出されるようだ。
「古井戸くんが、私と付き合ってくれるなら」
とんでもない要求が出てきた気がする。
「え、なんだって? まあ、何はともあれよろしくな」
こんな時は先人達の知恵だ。聞こえていないふりで乗り切ろうとしたが。
「私と、付き合ってほしいんだよ……」
フードがズレて見えたその顔は。
このゲームの売りであることから分かってはいたものの。
とんでもなく可愛かった。
0
お気に入りに追加
8
あなたにおすすめの小説
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
女子高生は卒業間近の先輩に告白する。全裸で。
矢木羽研
恋愛
図書委員の女子高生(小柄ちっぱい眼鏡)が、卒業間近の先輩男子に告白します。全裸で。
女の子が裸になるだけの話。それ以上の行為はありません。
取って付けたようなバレンタインネタあり。
カクヨムでも同内容で公開しています。
3年振りに帰ってきた地元で幼馴染が女の子とエッチしていた
ねんごろ
恋愛
3年ぶりに帰ってきた地元は、何かが違っていた。
俺が変わったのか……
地元が変わったのか……
主人公は倒錯した日常を過ごすことになる。
※他Web小説サイトで連載していた作品です
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
校長先生の話が長い、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
学校によっては、毎週聞かされることになる校長先生の挨拶。
学校で一番多忙なはずのトップの話はなぜこんなにも長いのか。
とあるテレビ番組で関連書籍が取り上げられたが、実はそれが理由ではなかった。
寒々とした体育館で長時間体育座りをさせられるのはなぜ?
なぜ女子だけが前列に集められるのか?
そこには生徒が知りえることのない深い闇があった。
新年を迎え各地で始業式が始まるこの季節。
あなたの学校でも、実際に起きていることかもしれない。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる